特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙 「日本とユーラシア」
今月の表紙:ハバロフスクのヨールカ

今月の表紙:ハバロフスクのヨールカ


行事予定

望年会

12月25日(土)18:00~
台湾小皿料理「阿里山」(横浜市中区花咲町2‐60)
予算:4,000円程度

今年を忘れるのではなく、来年を望む当協会の「望」年会。美味しい台湾料理を楽しみながら、未来への展望を語り合いましょう。
※席の都合上、定員15名程度とさせていただきます。参加ご希望の方は事前に事務局までご連絡下さい。


2011年ヨールカ祭

日時:2011年1月30日(日)13:00~
会場:横浜平和と労働会館2階・3階・5階

ヨールカとはロシア語でもみの木のこと。ソ連時代は宗教行事が禁じられていたため、新年にクリスマスの要素を取り入れて祝われました。当協会では例年1月末に会員の親睦を深めるために行っています。ロシアのサンタクロース「ジェッドマロース」と孫の「スネグーロチカ(雪娘)」が子供たちにプレゼントを配り、一緒に遊びます。各種コンサートやロシア語教室生徒の劇、日露茶道コーナー、ロシア料理(ボルシチ、外套を着たニシン、ペリメニ、カーシャ、サラダ、ブリヌイ等)の会食と歓談、ロシア物産ミニバザールなどをお楽しみ下さい。

※スタッフや出演者のボランティアも募集中です。前日に調理を手伝っていただける方、音楽、劇、伝統芸能などを披露してみたい方は是非事務局までご連絡ください。

お申し込み・お問い合わせ:協会事務局
TEL/FAX 045-201-3714  E-Mail eurask2@hotmail.co.jp

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講演会「ロシア経済はどこへ向かっているか」

活動報告

シリーズ「ロシアの現在」

講演会「ロシア経済はどこへ向かっているか」

 11月27日、当協会の理事ジャブライロフ・スレイマンさんの講師による、「ロシア経済はどこに向かっているか」の講演会が、15人の参加で開かれました。

講演会「ロシア経済はどこへ向かっているか」

 現代のロシア経済の話の前に、ロシアの簡単な歴史について、いくつかの時代に分けて紹介されました。中世に、「タタールのくびき」と呼ばれるモンゴル帝国による支配が、西ヨーロッパに比べて、ロシアの発展を遅らせ、現代にまで影響を及ぼしているとのことです。言葉にも影響与え、たとえばお金というロシア語、ジェニギ(деньги)はモンゴル語から来ており、日本語の銭(ぜに)と語源が同じとか。

講演会「ロシア経済はどこへ向かっているか」

 さて現代の話ですが、リーマンショックの前にロシア経済はピークを迎えましたが、いま落ち込みから回復しつつあっても、このピークキーは越えないであろうとのこと。理由はロシアの生産設備が古すぎるからだそうです。このことを含めて、ロシア経済の将来として3つの可能性が紹介されました。残りの二つの可能性のひとつは、ロシア経済が破綻し、いくつかの国に分裂するかもしれないとのこと。もうひとつは、これが望ましいことですが、ロシア経済がさらに発展していく可能性です。それには、生産設備の更新と、政治の民主化がもっと進むことが必要とのことでした。

(田中)


第12回大自然とハバロフスク市民交流の旅

「違う」から「おんなじ」に変わった私の心

 初めての海外旅行。全体は、他に任せ、自分の心の変化を書きます。

 けちな私は、機内食のコーヒーがネスカフェの粉末だった事や、ハバロフスク飛行場のひび割れた滑走路を見て、「違う」、「これも違う」と心の手帳に書いていた。道路の排水設備が無かったこと、修理工事の作業員のスコップが旧式だった等。

 ところが、旅行を終えた時に、「同じ」「おんなじだ」に変わったのは、ロシア人宅訪問と、キャンプ場の子ども達との交流。「交流」によって変わったのでした。

 紹介されたサヴコロドナヤ・ラリーサさんは、美人で、アパートの2DKに夫、娘、息子の4人暮らし。階下に夫の父母もおり、夜はそこに寝に移って、部屋を4人(木佐森、林、赤井2名)に提供してくれました。夕食は、鮭のムニエルや多くの料理が出されたが、手が出ず、古漬キュウリがおいしいと(ロシア語は無理)言うと、また祖父母の家から持ってきたり、お茶(緑茶?)が美味しいと言うと、何度も注げてくれるサヴコロドナヤ・ラリーサさん。彼女は、娘と息子の学校生活のDVDを見せてくれ、8歳の息子マキシム君が画面に出てくる度に、「マキシム」「マキシム」と指差して教えてくれる普通のお母さんでした。

 オケアンキャンプ場の中央広場では、10名足らずの私達を歓迎してくれる二百数十名の子ども達は、日本語で「元気?」と呼びかけてくる。彼らの手にハイタッチで応えました。遊びコーナーは、私が横綱の土俵入りを上半身裸で演技し、後、「けんけん相撲」で子ども達が遊びました。勝ち名乗りを「チャンピョン」に変えると、ニコニコしたので、チャンピョンと続けた。子どもから「けんけん」で上げている足を絡めあって倒しあうのもあるとよ言われ、やっぱり子どもはすごい。

 経済や政治は異なるけれど、「子ども」も「大人」も、なんら変らないということを改めて確認させられた「旅行」でした。

(赤井 芳昭)


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教室案内

第113期ロシア語教室 開講中!

第113期時間割

入門~上級、月曜~土曜。各クラス全15回。個人レッスンのご相談にも応じます。各クラス等の詳細は教室ホームページをごらん下さい。曜日・時間・講師は変更される可能性もありますので、見学・入学をご希望の方は事前に事務局までお問い合わせ下さい。

ロシア語教室は現在述べ生徒数50名。下は中学生から上は70代後半まで、幅広い年齢の方が、趣味、仕事、旅行など様々な目的を持って楽しく学んでいます。中途入学も歓迎しますのでお気軽にお問い合わせください。

【引き続き募集】
クラス:初級II。曜日・時間:土曜日14:15~15:45(現在生徒1名のため14:30~15:30に短縮中)。
講師:須藤アレキサンドラ。学習レベル:ロシア語検定4級合格程度。お申込みお待ちしています。

お申し込み・お問い合わせ:
TEL/FAX 045-201-3714
メール yokohama-rosiago@hotmail.co.jp

教室ホームページ   教室ブログ


日本語教室 Курсы японского языка 生徒募集中!!

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分。
基本的には個人レッスン、同レベルで同時期に始める場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。
お問合せ先:045-201-3714 (事務局)


ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室 中途入学も歓迎!

毎月2回、土曜日開講 予定:(前半残り)12月11日、12月18日、1月15日、1月29日 (後半)2月5日、2月19日、3月12日、3月26日、4月(2回、日程未定)
時間帯:Bクラス 14:00~14:45 (バラライカ上級)/Cクラス 15:00~15:45 (ドムラ初級)/Dクラス 16:00~16:45 (バラライカ初級) 会場:横浜平和と労働会館5階
講師:北川 翔 (第7回国際ロシア民族楽器コンクール「ベロゴーリエ杯」バラライカ部門第1位)
受講ご希望の方はお問い合わせください。

お申し込み・お問い合わせ
balalaika_domra@yahoo.co.jp
Tel/Fax 045-201-3714


みなとみらいマトリョミン教室 2010年後期 10月開講!

毎月1回、土曜日開講 日程:10月2日、11月6日、12月18日、1月15日、2月19日
Eクラス(アンサンブル90分)13:00~14:30 /Aクラス(グループレッスン60分)14:40~15:40/Bクラス(グループレッスン60分)15:50~16:50
会場:横浜平和と労働会館2階 音楽ホール
講師:平野 麻里 (マトリョミン演奏家、指導者 マトリョミングレード1級)

お申し込み・お問い合わせ
minatomirai_matoryomin@yahoo.co.jp
Tel/Fax 045-201-3714


マトリョミンアンサンブル・MMM 「はたらく女性の中央集会」に出演!

 11月20日(土)、鶴見会館にて行われた「はたらく女性の中央集会」の文化行事として、私たちアンサンブルチーム・MMMがお招きいただき、演奏を披露しました。

 会場は数百人収容の広さで、MMMとしては今までで最大数のお客様の前での演奏となり、始まる前はワクワク・ドキドキでした。

 まず、平野先生とギター奏者のデュエットでチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第一番」シューベルトの「アベマリア」。楽器の説明を交えながらアンサンブルで「モスクワ郊外の夕べ」「もみじ」「ドナウ川のさざなみ」を演奏しました。

 会場の皆様にもマトリョミンはとても珍しかったようで、観客席のあちこちからフラッシュを浴び、マトリョミンの不思議な音色に笑い声もあり、とても楽しんでいただけたようでした。

 MMMもアンサンブルクラスができて、1年半となり、少しずつ上達できてるかな!?と、ちょっぴり自信にもなった演奏会でした。

 また機会があればいろいろな所で演奏してみたいと思います。

(S)


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政治・経済

日露経済ニュース

 仙谷官房長官は11月12日、露日投資フォーラムでの日露経済協力の覚書締結を見送ったのは、メドヴェージェフ露大統領の北方領土訪問とは関係がないと声明した。これより先、大畠経済産業相は、露大統領の北方領土訪問に抗議して覚書締結を見送ったと声明している。覚書締結は同日東京で開幕した投資フォーラムで予定されていた。

 11月12日、東京で露日投資フォーラムが行われ、両国からビジネス界の代表者600人以上が参加した。

 主催は経済産業省、ロシア経済発展省、日露貿易投資促進機構、後援はロシアNIS貿易会、日本貿易振興機構(ジェトロ)、ロシア産業家企業家同盟。

 日本代表団団長は大畠章宏経済産業相。開幕式にはエリヴィラ・ナビウリナ露経済発展相が出席した。投資フォーラムには、三菱、三井、伊藤忠など日本の大手企業が参加。ロシア側からは露国営ガス企業「ガスプロム」、航空会社「アエロフロート」、ロシア鉄道、対外貿易銀行、自動車「アフトワズ」が参加。参加者は露日の経済戦略を審議し、今後の日露経済関係の見通しを討議した。このほか自動車産業とハイテク分野での協力に関する円卓会議が行われた。

 同日、APECが行われた横浜では5つの大型プロジェクトに関して8つの文書が調印された。そのなかには、露・アンモニー社と三菱重工業および双日とが、中国化学工程集団公司(CNCEC)と合同で結んだ協定も含まれる。今回合意されたタタルスタンでの肥料生産に関する近代的化学工場の建設案件だけでも、10億ドルに上ると見られている。

 ここ1年間でロシアは日本への石油の輸出を9割以上増加させた。石油のほかにも、ユジノサハリンスクで生産される液化天然ガスの6割以上が日本市場向けである。またロシアで活動する日本企業の数は現在194社にまで達している。2010年の露日間の貿易高は、09年比で約2倍増となる190億ドルとなる。

 しかし、領土問題などの影響でこの数字は両国の持つ可能性に比べ極めて低いものである。

(柴田)


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組織・財政

組織状況

(2010年11月30日現在)
年初会員数:211名、入会者数:44名、退会者数:36名、11月30日現在会員数:219名。前月比2名増、年初比8名増。前年同期比6名減。年度末目標数は250名。


財政状況

 財政全体の規模は本年11月度予算対比で遂行率95.4%です。年末にもう一頑張りで予算達成の可能性があります。昨年度に比べれば大前進です。会員、関係者の皆様のご協力に感謝します。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2010/11/30
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計1,831,8654,899,799
教育事業7,272,1503,188,272
一般事業3,102,8312,306,708
当期剰余金 1,812,067
合 計12,206,84612,206,846
前年同期(単位:円)2010/11/30
摘 要収 入支 出
一般会計1,657,0335,531,141
教育事業6,414,5752,813,339
一般事業2,085,0591,925,971
当期剰余金 ▲113,784
合 計10,156,66710,156,667

(柴田)

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文化&スポーツ

ユーラシア芸能

t.A.T.u.情報

みんな大好き♪ロシア発世界のスーパーアイドル「t.A.T.u.」関係の情報です。(^^)
・タトゥのオンライングッズショップ「shop.tatu.ru」で、レーナのソロデビューを記念するレーナコレクションを販売開始しました。

ロシア・トップ10

11月最終週のMTVTOP10をお送りします。10曲中6曲が初チャートイン!今回はおまけで11位と12位も発表!

詳細は協会ブログ「ロシア芸能」カテゴリーをご覧ください。

(MOPA)

TAC三原塾 「かもめ」

映画・演劇

TAC三原塾 「かもめ」

10月31日 於:日暮里d‐倉庫

 TAC三原塾は、1986年の劇団創立からほどなくチェーホフの戯曲を研究し、演目の中心に据えてきた劇団である。チェーホフ作品の上演実績は80回以上にのぼり、ユジノサハリンスクやウラジオストク、ハバロフスクでの公演も経験している。今回は2004年に死去した劇団主宰者・三原四郎氏7回忌の追悼公演として、「かもめ」を再演。

TAC三原塾 「かもめ」

 とにかく坂浦洋子扮するアルカージナが最高に決まっていて、日本語を話していなければ、本物のアルカージナではないかと思うほど。彼女の愛人トリゴーリンに敵意を燃やす繊細な神経の息子、女優を夢見て転落の道をたどるニーナの生き様、人生を達観したマーシャなど、役作りが際立っていて観るものを圧倒する。役柄を生きよというスタニラフスキー・システムの模範のような舞台だ。また、衣装替えも頻繁で舞台がすばらしく華やか。

TAC三原塾 「かもめ」

 「遊び心でチェーホフを」とこの劇団は唱えるが、単なる遊び心でこの境地に達することはできない。80本以上ものチェーホフ・レパートリーを持つ彼らだからこそできた芝居ではないかと思う。今年はチェーホフ誕生150周年と銘打って、さまざまな表現手段でチェーホフが演じられたが、オーソドックスな表現法が真の実力を示す。TAC三原塾によるチェーホフ劇のさらなる進化を期待したい。

(滝沢)
写真提供:TAC三原塾


ユーラシア通信

ビフ・ア・リャ・ルース

ロシアのマクドナルド誕生20周年記念メニュー
ご当地バーガー「ビフ・ア・リャ・ルース」

ロシアのマックでもロシアパン(ライ麦使用)でサンドされた「Биф а-ля Рус(ビフ・ア・リャ・ルース)」が登場しました。
http://www.mcdonalds.ru/eat/novinki_menu/
CMもあります。若者が席で待っているところに、イワン雷帝らしき老人が「おいバヤーリ(貴族のこと)!ここ空いてるか?!」と荒々しく言い、相席になります。老人がバーガーひと齧りしたところで若者が夢から覚め、バーガーセットを持ってきた友人に「あれ、ツァーリ(皇帝)どこ?」と寝ぼけ。腑に落ちず若者がバーガーをひと齧りすると目先に雷帝によく似た老人が現代のいでたちでウインク。 ロシアマック誕生20周年を記念したロシア週間メニューだそうです。もうそんなに経つんですね・・・。お値段100ルーブル強。ロシアにお越しの際に、みやげ話のネタにどうぞ。

CMはこちら↓ http://www.youtube.com/watch?v=LEwYcYtLkZ4

(MOPA)

マトリョミンお里帰りツアーに参加して

 9月26日~10月3日、テルミン奏者でマトリョミン開発者でもある竹内正実先生と、テルミン、マトリョミン愛好家たち総勢25人でモスクワとサンクトペテルブルグのテルミン博士ゆかりの地とマトリョーシカの故郷セミョーノフを訪問。旅行中に4回のコンサートを行いました。

 日本は9月の終わりというのにまだ夏の暑さが居座っている頃でしたが、モスクワへ降り立った瞬間、世界がまるで違うほど寒く、ロシアへ来た!という実感がしました。

 まず、モスクワ郊外の墓地でテルミン博士のお墓参り、テルミンが展示されている科学技術博物館を訪れました。実際にテルミン博士とお会いして話したことがあるという学芸員の方に、テルミン博士の印象、思い出を伺いました。

 最初のコンサートは国立現代芸術センター。竹内先生と現地のテルミン研究家とのデュエットや、マトリョミンアンサンブルの披露し、マトリョミンが20体並び奏でる姿、ロシアと日本の意外なコラボレーションに、現地の方々も興味深く演奏を聴いて下さいました。

 その後セミョーノフへ向かい、もっともよく知られるタイプのマトリョーシカ工場を見学。この日のコンサートは偶然にも町の「敬老の日」のイベントの一部で、お年寄りがたくさん集合。特にスカーフを被った女性が多く、ロシアの田舎のイメージそのもの!「カチューシャ」を演奏した時には手拍子とともに一緒に歌って下さり、とても印象深いコンサートとなりました。

 後半はサンクトペテルブルグへ移動。工科大学では、初めてテルミンという楽器の音を出してみたという研究室を見学し、完成したテルミンがどのような音だったのか、研究に打ち込むテルミン博士の姿を想像しました。

 工科大学の講堂で学生たちの前での演奏と、最終日には素敵なアートカフェでのライブ。回をこなすたびに私たちの緊張も解け、楽しい交流ができたと思います。実際にロシアの空気に触れ、テルミン博士がどのような思いでテルミンの発展を思い描いたかなどを想像し、とても感慨深い旅になりました。

(檜垣)


12月のロシアの気温

オイミヤコン

 本年12月1日、地球の寒極として知られるオイミヤコンでは、零下54℃が観測されました。日中でも零下53℃にまでしか上がらず、予報によれば、オイミヤコンでは12月4日まで零下50℃の日が続く見込みです。今から100年以上前にオイミヤコンでは、零下67℃という極限の寒さが記録されていますが、21世紀に入ってからも2002年には、零下65.4℃まで気温が下がったことがあります。

クラスノダール

 一方、黒海に近い南のクラスノダールでは12月4日の気温は+21℃に達します。右の写真は同日の同地方の洪水の様子です。現在、ロシアでは地域によって75℃にも達する温度差があるのです。日本では同じ日に稚内では+4℃、那覇で26℃ですからその差は22℃です。ロシアの広さや気候の厳しさが良く解ります。

(柴田)


The Story Series

メンタルホスピタルへの手紙(縮約版)

スレイマン・ジャブライロフ 作
ファンキージャネット 訳

   明らかに管理職と思われる1人の中年男性が来場していた。彼は自分に忠誠的な若い女性部下を複数引連れ、彼女達は男性を役職名で呼び、彼が言う冗談にいちいち反応しては歓声を上げていた。ちょうどこの時、僕が夢中で鑑賞していた、しかも特別気に入った作品の前にこの男が足を止めた。その作品には、痩せた少女が夜道で瀕死の老人を手で支えるシーンが描かれていた。絵画を見た途端、男は突然不機嫌な顔をし、子供が出すわざとらしい驚きの声を発しながら絵から体を遠ざけた。その姿はまるで質屋に宝石を持って行ったが、その価値が1円と鑑定されショックを受けた人のようだった。「えー?! 何これ?訳わからない!」 この「えー?!」という言葉を伸ばし、驚きのあまり笑っている。若い女性部下達もためらわず彼に参加した。「本当だ!何これ?」「分からない。訳わからないよ!」と声を合わせてお互い繰り返し、積極的に声を張り上げた。僕は失望と怒りで一杯になり、彼らの顔に唾を吐きかけてやりたかった。実際唾を吐きかけることはしなかったが、彼は人間として1円以下の価値でしかなく、見るだけで胸糞が悪くなる。こちらこそ男が発した「えー!」という驚き声の10倍を出し、この生物から体を遠ざけたい程だ。もはやこれ以上ここに止まるのは無理だと判断し、慌ててギャラリーを去った。

 怒りは容易に静まらず、管理職の中年男による驚き声と女性部下達の笑い声を頭から振り払おうとしながら、早足でホテルへ向かった。街は既に夕暮れの景色だった。かすかに街灯に照らされたこの通りで、人に会うことは滅多になかった。あちこちから、「ひったくりに注意」、「チカンに注意」を呼びかけた大きな警告ポスターが目に飛び込んできた。なんて妙なのだろう。たった一人で道行く歩行者が、経験豊富なひったくり犯や予測不能な痴漢に対して、どうやって注意できるというのだろう。さらに奇妙なのは、これらの看板があるのにこの道を平然と一人で歩く通行人の方だ。

(つづく)


NHK大河ドラマ「坂の上の雲」について(12)

11.外務省による戦争の総括

 12月から「坂の上の雲」第2部が放映される。連載の冒頭に述べたようにNHKはこの企画意図を「『坂の上の雲』は、国民ひとりひとりが少年のような希望を持って国の近代化に取り組みそして存亡をかけて日露戦争を戦った『少年の国・明治』の物語です。・・・中略・・・この作品に込められたメッセージは、日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれるに違いありません。」としている。

 明治維新が徳川幕府の古い封建制度を倒し、日本の資本主義化、近代化に途を開いたこと、中国や朝鮮などアジアの周辺諸国が西欧諸国の植民地、半植民地化した中で日本が独立を守ったことは高く評価出来る。しかし、この近代化の成果をロシアとの植民地争奪戦に注ぎ込んだのは夏目漱石などが指摘したように決定的な誤りであった。

 自ら日露戦争に参加し、後に第一次世界大戦の惨状を視察した日本海軍の軍人・軍事評論家であった水野廣徳大佐は「斯くの如く戦争が機械化し、工業化し、経済力化したる現代に於ては、軍需原料の大部分を外国に仰ぐが如き他力本願の国防は、恰も外国の傭兵に依つて国を守ると同様、戦争国家としては致命的弱点を有せるものである。極端に評すれば斯くの如き国は独力戦争を為すの資格を欠けるもので、平時に如何に盛んに海陸の軍備を張るとも、畢竟是れ砂上の楼閣にすぎないのである。」「戦争を防ぎ、戦争を避くる途は、各国民の良知と勇断とによる軍備の撤廃あるのみである」と主張した。(余談だが彼は1923年に日米戦争が起これば東京は大空襲にあい経済力の弱い日本は必ず敗北すると予言している。)

 NHKという国民の視聴料によって賄われている公共放送局がテレビを使って日露戦争を美化するようなことは今まで述べてきたように史実にも反するし、「日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれる」ものでもない。

 1934年、水野は自らの心境を次のような歌に託している。

 「戦えば必ず勝つと己惚れて 戦を好むいくさ人あり わけを知らぬ民をおだてて戦ひの 淵に追ひこむ野心家もあり わが力かえりみもせで只管に 強き言葉を民はよろこぶ 戦へば必ず四面楚歌の声 3000年の歴史あはれ亡びん 侵略の夢を追ひつつ敗独の 轍踏まんとす民あわれなり 力もて取りたるものは力もて 取らるるものと知るや知らずや」

 原作者の意思に反し、250億円もの国民の聴取料を投じてこのような好戦的TVドラマを作ったNHKは歴史の教訓を重く、深く学び反省すべきである。戦前のNHKのように国民に侵略の夢を煽るようなことは絶対にしてはならないし、国民は声を大きく上げて反対しなければならない。幸い「『坂の上の雲』放送を考える全国ネットワーク」などの申し入れでNHKは第3部の戦争シーンを大幅に縮減したとのことである。これは貴重な成果である。しかしNHKは本来このような憲法の理念に反するTVドラマを制作、放送してはならないし、国民もこのようなことを許してはならないのだ。

 ~終~

(柴田 順吉)


ユーラシアスポーツ

フィギュアスケート ロステレコム杯2010

イリニフ・カツァラポフ組

カワグチ・スミルノフ組  エキシビション

(撮影:森 美和)


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何でも掲示板

ウラジオストクの画家受入先募集

 ウラジオストク市役所内務課長A.シードロフ氏より、日本ウラジオストク協会を通じて次のような依頼がありました。

 「2012年にウラジオストクで開催されるAPECに伴い、画家イーゴリ・オブホフ氏を環太平洋の都市(シンガポール、横浜、ホノルル、ウラジオストク)に派遣してその都市の風景画を描かせ、企画展で展示する。横浜の風景を描かせるため同氏を横浜に派遣したいのだが、彼は日本語・英語ができないため、ロシア語ができる方に日本での受入れ協力をお願いしたい」

時期:来年4月初旬(桜が咲く時期)
協力要請事項:
1.横浜での宿泊先無料提供(ホームステイ 3週間)
2.絵の描ける環境の無料提供(美術家のアトリエ、あるいはロシア語が出来る人のいる家庭でホームステイして、絵を描く)
3.国内移動のヘルプ(空港出迎えと見送り)
4.画材購入のために画材屋に案内する
5.スケッチするための横浜散策のためのアテンド(2~3日間)
6.ビザの招待状

一部分でもご協力いただければ幸いです。
受け入れご希望の方は神奈川県日本ユーラシア協会事務局までご連絡下さい。

Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp


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催し物情報

ロシア家庭料理教室

誰でも美味しく作れるロシア料理を学んでみませんか?
2010年12月18日(土)13:00~17:00
メニュー:ヴィネグレート(ビーツ入り野菜サラダ)、ボルシチ(ロシアの伝統的なスープ)、チェブレーキ(ロシア風揚げ餃子)、ロシア風紅茶・クワス
受講料:4000円
場所:川崎市国際交流センター 料理室2階(目黒線・東横線・日比谷線「元住吉駅」8分)
お問い合わせ:マリーナ・ルザエヴァ
ruskitchen@yahoo.com


シアター・クリエ「アンナ・カレーニナ」

トルストイの名作小説をミュージカル化したもの。92年にニューヨークのサークル・イン・ザ・スクエア劇場で初演され、93年のトニー賞ではミュージカル脚本賞など計4部門にノミネートされた。
http://www.anna-karenina.jp/
とき:12月25日(土)~2011年2月26日(日)
会場:シアター・クリエ(千代田区・有楽町)
料金:S席 11000円
出演:一路真輝、伊礼彼方、葛山信吾、遠野あすか、春風ひとみ、山西惇、山路和弘ほか
問い合わせ:Tel 03-3591-2400


「ロシアン・ブラス」サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー金管五重奏団
~ロシアの名手たちによるロシアの「四季」と世界オペラ名曲の旅~

2004年の初来日で日本の聴衆を魅了したロシアを代表する金管の名手たちによるチャイコフスキー「四季」、ヴェルディ「椿姫」、モーツァルト「魔笛」ほか。
とき:2011年2月25日(金) 18:30開演
ところ:日経ホール(千代田区・大手町)
料金:一般3500円
予約/問い合わせ:日経ホール主催公演事務局 ℡03-3943-7066


ア・ラ・プラス第9回公演 キョウジンニッキとガイトウ~ロシア演劇3部作 Vol.2~

「外套」
構成・演出:小山ゆうな
出演:串山麻衣 清藤昌幸 松田崇

「狂人日記」
演出:杉山剛志(「ロシア国立モスソヴィエト劇場」主任演出家ユーリー・エリョーミン演出助手)
出演:松田崇

日程:2011年1月20日(木)~23日(日)
20日(木):14:00/19:00開演 21日(金):14:00/19:00開演 22日(土):14:00/19:00開演 23日(日):14:30開演

場所:Gallery LE DECO 4(渋谷)
チケット料金(日時指定・全席自由):当日・前売り一般 3000円、学生 2500円 (要学生証)
ご予約・お問い合わせ:演劇カンパニー「A La Place」
世田谷区代田4-12-15  03-5300-6292
※ご予約の際にはお名前・連絡先・希望日時・チケットの種類と枚数をお知らせ下さい。当日受付にてチケットをご用意しておきますので、開演15分前までにご精算をお済ませ下さい。

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ユーラシア関連記事・写真の投稿、ご意見、ご感想等 大歓迎!

字数は読み物なら400字程度(長ければ連載で)、案内なら1行~200字以内でお願いします。
また、この神奈川県版機関紙「日本とユーラシア」に関するご意見やご感想なども歓迎します。
締切は毎月第3または第4土曜日(月末土曜日に開かれる協会理事会の1週間前)です。
投稿は郵便・FAX・Eメールのいずれかで。宛先は下記の通り。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館5階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

(機関紙編集部)


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●取扱商品の詳細は協会事務所、または協会主催オンラインショップ「うにべるま~ぐ」でごらん下さい。

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中世ロシア興亡史講義

第56回 嫌われ者ユーリーの最期

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