今月の表紙:ロシア、ロストフ・ナ・ダヌーの街角

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2012年1月号 No.603

新年のご挨拶

会長 柴田 順吉

 会員の皆様、関係者の皆様!

 明けましておめでとうございます。

 昨年度は語学、音楽両教室ともほぼ順調に運営され、夏の旅行の不催行などもありましたが、ヨールカ祭、国際フェスタなどの主要年間行事は成功裏に行われました。 しかし、会員数は1名の実増とほぼ現状維持に止まりました。予算総額目標は104.9%を達成、1997年以来、連続14年の前進を遂げました。これにより手狭になった5階の事務所を1階に移し、5階の教室を広く快適にすることが出来ました。

 新年度は諸活動を質・量とも一層前進させ、入会者の増加と退会者の減少に努めます。

 今、地球上到る所で人々の貧富の差は拡大し、矛盾が噴出し、エジプトやアメリカに見るように、諸国民は新たな社会制度を探求し、世界は激動の時代に入りつつあります。そうした中にあって私達は世界に誇る日本国平和憲法と協会の理念、「人権、民主主義、平和」を守り、ユーラシア諸国民との友好と世界平和の大道を、ゆるぎない確信を持って進みたいと思います。

 今年も着実に前進しましょう!

行事予定

ロシアの新年とクリスマスを祝う ヨールカ祭 2012

 来る1月29日、第51回目の「ヨールカ祭」が開催されます。
 会員や教室生徒の皆さんとユーラシア諸国出身の方々との親睦を図る最大の機会です。
 是非、ご家族やお友達と誘い合わせてご参加ください!ボランティアも大歓迎!

【日時】2012年1月29日(土)13:00~16:30
【会場】2階(コンサート)、3階、(ビュッフェ)、5階(映画)
詳細は右のチラシでごらんください。クリックで拡大します。

ボランティアスタッフ募集!

ヨールカ祭で振る舞うロシア料理の準備(前日・当日)、当日の会場や料理の準備・片づけ等の裏方スタッフも募集します。お問い合わせ・お申し出は協会事務局まで。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 第8回定期総会

【日時】2012年2月26日(日)12:30~
【会場】横浜平和と労働会館3階
【予定】

  • 12:30~14:00 定期総会
  • 14:15~15:15 総会記念特別講座「ロシアの歌」
    懐かしいロシア民謡やロマンスなど、ロシアの歌をロシア語で一緒に楽しく歌いましょう。
    講師:川北ナターリア(当協会ロシア語教室会話クラス講師)
  • 15:30~ みなとみらいマトリョミン教室アンサンブルクラス「MMM」のマトリョミン演奏

活動報告

ソフィアは悪妻か?-映画「終着駅」上映会-

 2011年を締めくくる文化行事として、「終着駅」の上映会が三連休の中日、12月24日(土)に開催されました。

 世界三大悪妻(他は哲学者ソクラテスの妻クサンティッペ・皇帝ナポレオンの妻ジョセフィーヌ)の一人とされる文豪トルストイの妻、ソフィアについてこの映画によって認識を変えることになりました。関戸が初めてソフィアのことを知ったのは大学で哲学の講義を受けた時です。教授が世界三大悪妻の話をした際に知りました。その時以来、博愛主義に満ちたトルストイを追い出し、野たれ死にさせた悪女という認識でいたのです。

 この映画はトルストイ、ソフィア、トルストイ運動の中心人物を冷静に見つめるトルストイの秘書の立場の視点が非常に興味深く描写されていました。

 トルストイは博愛主義を自らの文学で広めようとしました。その文学は書物によって人々に知れるのです。その著作権をソフィアは当然の権利として自分が受け取るものと思いました。ソフィアに著作権を取られたら、トルストイの精神を全世界に広げようとする運動はできません。この三者の立場をことごとく知っていたのが秘書でした。

 印象的なのは映画のラストシーン、人生の「終着駅」で死を迎えるトルストイが最後に「ソフィア」とつぶやいたことです。ソフィアとトルストイの結婚生活は48年にも及びました。今の関戸の人生とほぼ同じ年数です。本当にソフィアが悪女であったなら、この長い時間を一緒に過ごすことができるでしょうか。その間に13人もの子をなしたのです。その子供たちの生活のため、著作権に固執したのです。この映画で初めて知りました。

 日本でも文学者正宗白鳥と評論家小林秀雄が、ソフィアは悪妻か否かを論争しました。その時に「はたして『山の神』を恐れたか」という表現があり、ここから山の神が妻をさす言葉として広まったと聞いたことがあります。

 ソフィアが悪妻かどうか。皆さんもこの映画をみて考えてみてください。

(関戸)

2012年はどんな年に? ―大いに語り、食べて飲んだ望年会―

 「終着駅」上映会の後は望年会。上映会の参加者の他、役員やバラライカドムラ教室の講師や受講生も加わり、にぎやかなものとなりました。

 料理は鍋いっぱいのボルシチ。これは煮詰まってスープというよりも煮物になりました。それにペリメニはおかわりが何度もできるほど。そして、ボリュームたっぷりのピロシキ。一個でおなかいっぱいになるぐらいでした。さらにアジカソースのサンドイッチ。乾杯はワイン。この乾杯は一人参加者が来るたびに一本開けるという豪勢なもの。

 2012年は神奈川県連50周年の記念すべき年。その年をどんなことをしていくか、いろいろな話ができました。ワインや沖縄の古酒を片手に、2012年を素晴らしい年にすることを語り、テーブルいっぱいの料理に舌鼓を打ち、大満足の望年会でした。

(関戸)

教室案内

第115期ロシア語教室 生徒募集中

 入門~上級、月曜~土曜。各クラス全15回。個人レッスンのご相談にも応じます。各クラス等の詳細は教室ホームページをごらんください。
 また、見学・入学をご希望の方は事前に事務局までお問い合わせください。

日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分。
基本的には個人レッスン、同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2011年度後期予定(毎月2回、土曜日開講):
後半:1月14日、1月28日、2月4日、2月18日、3月3日、3月17日

生徒募集クラス(※時間が変更になりました):
15:00~15:45(バラライカ上級)
17:00~17:45(ドムラ初級)
18:00~18:45(バラライカ初級)

講師:北川 翔

会場:横浜平和と労働会館5階

会員受講料(1回45分×6回分):
3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:会員60,000円

みなとみらいマトリョミン教室

2011年度後期予定:11月19日、12月17日、1月21日、2月18日、3月17日
アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30
グループレッスン(※60分・2クラスに戻ります)
Aクラス14:45~15:45、Bクラス15:55~16:55

入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:
アンサンブル 3,500円×5回=17,500円
グループレッスン 3,000円×5回=15,000円
※初めての方も歓迎。楽器をお持ちでない方は授業時間内のみ借りられます。

会場:横浜平和と労働会館2階 音楽センター

講師:平野 麻里 (マトリョミン演奏家、指導者 マトリョミングレード1級)

歴史・社会

許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~

6.日露戦争開戦の理由

 日露戦争宣戦の詔勅で明治天皇は「・・・今不幸ニシテ露国ト釁端*ヲ開クニ至ル豈【あに】朕カ志ナラムヤ 帝国ノ重【おもき】ヲ韓国ノ保全ニ置クヤ一日ノ故ニ非ス 是レ両国累世ノ関係ニ因ルノミナラス韓国ノ存亡ハ実ニ帝国安危ノ繋ル【かかわる】所タレハナリ  然ルニ露国ハ其ノ清国トノ明約及列国ニ対スル累次ノ宣言ニ拘ハラス依然満洲ニ占拠シ益々其ノ地歩ヲ鞏固ニシテ終ニ之ヲ併呑セムトス 若シ満洲ニシテ露国ノ領有ニ帰セン乎 韓国ノ保全ハ支持スルニ由ナク極東ノ平和亦素ヨリ望ムヘカラス・・・露国ハ既ニ帝国ノ提議ヲ容レス韓国ノ安全ハ方【まさ】」ニ危急ニ瀕シ帝国ノ国利ハ将ニ侵迫セラレムトス 事既ニ茲ニ至ル帝国カ平和ノ交渉ニ依リ求メムトシタル将来ノ保障ハ今日之ヲ旗鼓ノ間ニ求ムルノ外ナシ・・・ 」と述べています。

 これに対しニコライ二世は「・・・朕の軫念する平和を保持せんが為、朕は極東の安寧を強固ならしむることに全力を竭【つく】したり この主旨に基づき朕は日本政府の提議したる韓国問題に関する両帝国間の現存協約を改訂することに同意を表したり 然るに其の商議未だ終わらざるのみならず朕が政府よりの最近回答の到着すら待たずして日本は露国に談判停止外交断絶を知照し来たれり。日本政府はこの外交関係の断絶が軍事行動の開始を意味することを予告せずして其の水雷艇に旅順口要塞の外泊地に在る朕の艦隊を突然襲撃すべきの命令を下したり。朕は極東太守よりこの報告に接し直ちに兵力を以て日本の挑戦に応ずべきことを命じたり。・・・」と応じたのです。

 有名なイギリスの百科事典「ブリタニカ」はこの戦争について「勝利した日本が極東におけるロシアの拡張政策を断念させ、現代においてヨーロッパの強国を敗退させたアジアの最初の国となった軍事紛争。日露戦争は韓国と満州における支配権を巡る抗争から起こった。(原典英文の拙訳)」と記しています。英米両国が背後で経済的、政治的、軍事的に日本を操っていたこと、ロシア側にはドイツ、フランスが関係していたことなどには触れていませんが、植民地争奪戦というこの戦争の本質は明確にされています。

(柴田)

政治・経済

ガスプロム社(世界最大の天然ガス会社)、史上最大の投資を計画

 ロシアのガスプロム社は今後3年間で総計2,000億ドルを新プロジェクトに投ずると発表しました。こうしたプロジェクトをすべて実現できるのか疑問視する声もありますが、同社では万難を排して新しい埋蔵地を開発し、市場拡大を行うとしています。

 東京三菱UFJ、三井住友、みずほコーポレートはこのプロジェクトにとりあえず約8億ドルを協調融資することを決定しました。米国やEU諸国の不況が更に深刻化する見通しなのに反し、新興諸国を含む天然ガスの世界的需要は高まっているため、ガスプロムへの融資は、日本のメガバンクに長期的利益と安定をもたらす可能性があるのです。

(柴田)

ロシアの抗議は続く

デモの規模が、ロシアの政治家にショックを与えた

 何万というロシア人がモスクワや他の都市の大通りでロシアの議会選挙の不正に抗議して12月24 日にデモを始めました。誰も、政府がどんな反応をするか知りません。

 警察が最初の5,000~10,000のデモ参加者を手当たり次第逮捕し、弾圧し始めたとき、人びとは恐怖におびえました。しかし、数日後には、少なくとも 50,000 人、おそらくその 2倍くらいの人々がモスコーに集まりました。

 警官はそばに立って見ているだけでした。

 ロシアの政治家はその規模の大きさにショックを受けました。

 9月、ドミトリー・メドベージェフ大統領が「ウラジーミル・プーチン首相がまた3月の大統領選挙に出馬する、そしてこれは何年か前からの計画だった。」と発表すると、大衆の不満が醸し出されました。議会選挙での露骨な投票操作発覚の後、その不満が噴出しました。

 多くのロシア人はこれを有権者に対する侮辱であるとみなし、それが1991 年のソ連崩壊以来見たことのない大勢の抗議に発展しました。デモ隊の間にはプーチン大統領が過小評価していた人権、環境保護、反腐敗キャンペーンなどの活動家がいました。

 今年はじめにHuman Right Watch(人権監視団)は肖像写真家プラトンを ロシアにそれらの人々を紹介するために送っていました。

 多くの人びとがおそらく土曜日のデモでは自分たちの声を追加するでしょう。

(柴田訳)

組織・財政

組織状況

 (2011年12月24日現在)

 年初会員数:220名、入会者数:35名、退会者数:34名、12月24日現在会員数:221名。前月比3名減、年初比1名増。前年同期比1名増。会員拡大目標:250名。年間拡大目標50名に対し1名の実増。 夏の旅行の取りやめが会員拡大に大きく影響しています。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2011/12/24
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計2,278,5995,437,083
教育事業8,293,7523,390,452
一般事業3,215,7982,128,787
当期剰余金 2,128,787
合 計13,788,14913,788,149
前年同期(単位:円)2010/12/24
摘 要収 入支 出
一般会計2,036,5155,530,829
教育事業7,777,6363,480,502
一般事業3,404,2952,778,925
当期剰余金 1,428,190
合 計13,218,44613,218,446

12月24日現在の総収入は年間予算額13,149,582円に対し、実績13,788,149円で104.9%の遂行率です。予算は超過達成されました。 剰余金は年間目標794 120円に対し、決算処理をしていない段階で2,831,827円(1/1~12/24)です。このうちには前号記載の通り計約134.5万円の営業外収入が含まれます。これを除いた金額は1,486,827円で前年度の104.1%となります。 財政収支は健全な状態を維持しています。

貸借対照表 (2011)
科 目本年12/24残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産4,761,2784,088,549672,729
固定資産2,340,0001,680,000660,000
資産合計7,101,2785,768,5491,332,729
流動負債000
固定負債01,969,2220
負債合計01,969,222-1,969,222
純資産7,101,2783,799,3273,301,951

 資産は前年同期比で23%増加、負債はゼロです。年末に当たり皆様方のご協力に心から感謝します。

(柴田)

文化・芸能

演劇・映画

ロシア語劇団コンツェルト 第41回定期公演「ロミオとジュリエット」

12月25日 於:早稲田大学学生会館

ロシア語劇団コンツェルト

 ロシア演劇とは切っても切れないシェークスピア作品に、創立41年の歴史を持つコンツェルトが初めて挑戦。ロシア語訳はパステルナーク、ミハイロフスキーといった文豪や著名翻訳家5人の訳文を使い、劇団の新境地を開いた舞台となった。

 敵対する二つの名家に生まれ育ったロミオとジュリエットが許されない恋に陥った。両家の和解を願う神父の賢明な助けにもかかわらず、結局この世では結ばれない有名な悲恋物語。

ロシア語劇団コンツェルト

 しかし今回は、いささか単純なロミオと気の強いジュリエットの対比がおもしろく、敵対する両家の夫婦のどこかドタバタ的な諧謔性に満ちた演出も新鮮だった。周囲の人物も女優が男役を演じるなど、倒錯した笑いもしこまれていた。

 舞台空間を広げるため花道を両サイドに設置し、役者はステージを縦横無尽に駆け回る。殺陣も鮮やか。あれだけアクションをつけながら、ロシア語の台詞を忘れないところがすごい。学生劇団の若さを感じた。

ロシア語劇団コンツェルト

 日本語字幕も役者の表現をサポートすべく工夫されていたが、饒舌すぎるところもあり工夫が必要と思われた。

 たまたま演技指導のナターリヤ先生が、受付スタッフに観客への対応を指導しているところを見かけた。劇団は舞台だけではなく、客席とも一体となった総合芸術だということを痛感した。

(文:滝沢 三佐子/撮影:劇団提供)

音 楽

ウズベキスタンの音楽(2)

D・オフチンニコフ

 ウズベキスタンに於ける音楽芸術のプロフェッショナリズムは、タジキスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、東部のアラブ諸国、インド等と同じく太古の昔に起源を持っている。単旋律の歌は、プロフェショナルなジャンルの高名な作曲家達により創造された。6-8世紀の傑出した音楽家は、バルバート、イブラヒム・アリ・マウシリとその息子、イサク・アリその他であった。伝統的音楽の理論的基礎は中央アジア東部の学者の論文により解明された。その学者にはアブ・ハスル・ムハメドアリ・ファラビー(9-10世紀)、アブ・アリ・フセイン・イブン・シノ(10-11世紀)、イブン・ザイル(11世紀)、ホレズム(11世紀)、サフィ・アド・ディナ・ウルマビ(13世紀)、マフムド・アシ・シラジ(13世紀)、アブドゥル・カディル・マラギ(14世紀)アブドゥラフマナ・ジャミ(15世紀)、ザイヌラ・ビディナ・フサイン(16世紀)、ダルベシ・アリ・チャンギ(16-17世紀)がいる。加えて、16-19世紀にかけて多くの中央アジアの無名の作者がいた。

 口伝による伝統的プロフェッショナルな音楽の演奏が困難な故に歌手、楽器奏者には多年に亘る修練を要求した。

 音楽家達は、流派を結成していた高名な達人について修行した。各流派は夫々、自分の流儀を持っていたが全て、口伝で教えられた。中世には既に知られていた記譜法(ファラビ・アシ・シラジ他の論文による)は、音楽の実践には利用されていなかった。19世紀の第3四半期になって創造されたホレズムの記譜法がマコームの記録の補助手段ではあるが口伝の音楽家達によって利用された。

 口伝の伝統によるプロフェッショナルな音楽は基本的に声楽と器楽による連作マコームの作品から出来ている。ウズベキスタンのマコームには地方固有の特徴によりブハラ系(ウズベキスタンとタジキスタンの民衆が遺した物である。)とホレズム系に分けられる。ブハラ系マコームはフェルガナ渓谷、タシケントに広範に伝播し、これらの地方の特徴が加わった。ブハラ系連作マコームは6つの作品からできている。即ち、ブズルク、ロスト、ナボ、ドゥゴク、セゴフとイロクでありハフィザ、ベジリャ、アリシェル・ナボイ、ダシャミ他の詩人の作品を演奏した。

 ホレズム系の作品も上記の6つからできているが、地方的特徴として、大きな部分に進歩した楽器(ナシキ、スボラ)の作品が挿入されていることである。これが、ブハラ系とホレズム系の構造的な差異である。

(訳・一杉 次郎/タシケント)

芸 能

ユーラシア音楽芸能情報

 ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!

 晩に年越しそばを食べながら紅白を見て、除夜の鐘の音を聞きながら新年を迎える…。お決まりの日本の大晦日の過ごし方ですね。一方ロシアでは、新年までにこちらのお節に相当する肉料理とオリビエサラダなどを用意し、元旦3分前に流れる「大統領のあいさつ」をテレビで見ます。そして新年を告げる鐘を聞き、シャンパンを開け飲み干す。鐘の音を聞いた後は、多くの人は毎年恒例のお正月特番「ノボゴドニィ・ガルブォイ・アガニョーク(Новогодний голубой огонёк)(以下НГО)」を見ます。このНГОとは・・・?

正月特番НГО

■音楽のオンパレード 豪華絢爛正月番組

 お正月特番НГОは、「水色の火」という訳の大型歌謡番組です。1962年から始まった伝統的な番組で、当時はまだモノクロカラーで放映されていました。番組名は微妙に変化しましたが、現在はГолубой огонёк на Шаболовкеという名称になりました。

 1962年と言えば、ソ連時代。放送局はСоветский ЦТ(ソビエツコエ・ツェントラリノエ・テレビジェニエ:現1TV)でした。現在は他の公営局Россия-1が放送しています。

 毎年特番には国民的人気を誇るアーティスト・俳優・お笑い芸人や、前年に旬だった人物が登場します。1963年の特番には、世界初の宇宙飛行士Ю.ガガーリンも登場。'68年には世界初の女性宇宙飛行士В.テレシコワなどなど・・・。芸能界の女帝A.プガチョワが総合司会をつとめたときもありました。

 番組はまるでミュージカルの寄せ集めを見ているよう。豪華な大ステージあり、数百脚のテーブルあり。オープニングからいろいろなタレントが登場、新年の言葉を挟みながら、音楽に合わせ昨年を振り返った替え歌やドタバタを披露。もうステージと客席の区別なしでしょう。ロシアの元旦はこんなにも華やか!

 さて今年の顔ぶれは・・・・くわしくは動画をどうぞ。4時間にわたる大変賑やかな番組ですので、覚悟してご覧ください。

(MOPA)

文 芸

О весне

Пришла весна, и все достопочтенные и недостопочтенные обыватели не могут удержаться и не высказать находящимся в их обществе гостям, коллегам или незнакомцам слова восхищения в адрес наступившего времени года.

– О, весна! – говорят они. – Время тепла, время любви, время цветения вишни...

Кивки и реплики согласия не замедляют последовать в ответ, и комплименты новому сезону продолжают разговор.

– Знаешь, почему я люблю весну? – с замудренным выражением лица обязательно спросит один из них.

Я, конечно, не знаю почему и нисколько знать не хочу, и сохраняю молчание. Но это молчание, обусловленное рамками приличия и вежливостью к старшему по возрасту, и не в последнюю очередь призванное намекнуть собеседнику мою нерасположенность к разговору на обозначенную тему, остаётся незамеченным: ответ на собственный вопрос во всём своём откровенном многообразии не терпит обнажить себя моему слуху, и по плохо скрываемому предвкушению продолжительного монолога на лице спросившего, я знаю, будь оно и высказано прямо, моё нежелание слушать всё равно осталось бы неуслышанным.

– Я люблю весну, – продолжает он, – потому что она приносит новое в жизнь, оставляя старое позади: новые цели, новые горизонты, дарит новые знакомства, новых друзей, новые радости...

Дифирамбам моего собеседника весне и всему тому, что от неё ожидают, не видно конца. Слушая его, становится грустно от того, что прежние ожидания говорящего так быстро утратили для него ценность, и что его новым предвкушениям, очевидно, так же суждено остаться не более, чем поводом для нетрезвого хохота или похмельной тоски. На мысли невольно приходит то, к чему я был привязан, чем дорожил и кого любил, – всё то, что весна забрала от меня на длинные километры пути и долгие дни разлуки.

Он продолжает говорить, кивая головой в такт собственным словам, пьянея от них более, чем от спиртного в его стакане на столе. Более из-за неумения умело возражать, чем из-за рамок приличия, я, сохраняя улыбку на лице, молча киваю головой в такт моему довольному собеседнику, в глубине души желая, чтобы поскорее пришло лето и своими затяжными обильными дождями смыло всю суету и спесь, наделанную весной.

Джабраилов С.
Апрель 2011 г.

ユーラシア通信

リペツク便り (11)ロシアで迎える新年

スネグーロチカのマトリョーシカ
 С Новым годом!(新年おめでとう)

 年末を迎え、ロシアは新年&クリスマスの準備中。ロシアのクリスマスは1月7日です。そのため、日本のように12月の声を聞いた途端に街中クリスマスムード一色!という感じではなく、もう少しのんびりと準備が始まります。

 日本では25日まではクリスマス、それが過ぎたら大晦日まで年末の慌しい雰囲気、そして新年を迎える、と切り替えがはっきりしていますが、ロシアは新年休暇中にクリスマスを迎えるので、なんだか曖昧な感じです。あまり強い宗教観が無いためか、休暇に入る前の24日や25日のクリスマスパーティーも結構あったりします。クリスマスの絵が描かれたカードにはメリークリスマスではなく冒頭の「新年おめでとう」の文字が書かれていて、見慣れない私にはちょっと違和感があります。年賀状にサンタクロース、みたいな…(笑)。

 ちなみにロシアはサンタクロースもオリジナルです。Дед Мороз(厳寒のおじいさん)と孫娘のСнегурочка(雪姫)がトロイカ(3頭立ての馬のソリ)に乗ってやってくる。Дед Морозは青いガウンを着て手に魔法の杖を持っています(赤い衣装のこともありますが)。余談ですが、ロシアに駐在中の小さい子供を持つお母さん達は、日本の習慣とつじつまを合わせて誤魔化すのが大変なようですよ!

赤の広場のヨールカ

 さらに、ロシアには干支もあります。日本と全く同じ十二支です。縁起物としてすっかり定着していて、お祝いのカード、子供用のぬいぐるみ、お菓子の詰め合わせの箱などなど、2012年の干支の「龍」がデフォルメされて使われています。ロシアで干支って驚きましたが、中国から極東ロシアに伝わり、ヨーロッパロシアまで広がったようです。私が友人用に買ったカードには、かわいい龍がサンタの赤い帽子をかぶって「С Новым годом!」と言っている絵が描かれています。まさに、アジアとヨーロッパとロシアのミクスチャー。ロシアの文化的背景をよく表していると思います。

(堀江)

ナノ人間によるナノ抗議運動

ナノ人間によるナノ抗議運動
 先日全国で選挙があり、プーチン&メドベージェフ率いる「統一ロシア」は議席数が減ったものの大差で第一党になりました。

 しかし野党やその支持者から早速「妨害工作が多々あり、公正な選挙であったとは認め難い」と、選挙をやり直しを求める抗議デモが全国各地で相次いでいます。

 ムルマンスク市の近所であり、ムルマンスク州中部に位置するアパチット市では先週土曜日に、ロシアの某SNSを介して抗議デモ ナノミーティング がありました。いまロシアではナノテクノロジーから派生したなんでも「ナノ」が流行していますが、それに倣って、小さなマスコットでナノ人間を作り、箱などをナノステージにした抗議運動を始めました。このかわいらしいナノ人間たちは、小さな紙と爪楊枝で作った抗議の横断幕やプラカードをちゃんと手にしています。 

 何も知らずに見るとただのおままごとにしか見えないんですが。

 でも大規模抗議運動が認められなかったアパチット市民は、いたって真剣です。

(MOPA@ブログ「ムルマンスク便り」

ロストフで見たロシア下院議員選挙(前篇)

ロストフ・ナ・ダヌー
 去年の11月30日から12月7日まで、バラライカ奏者北川翔デビュー5周年記念「ロストフ音楽の旅」に参加してきました。

 旅行期間中の12月4日は、ロシア下院議員選挙の投票日でした。この日はまた北川翔さんのロストフでのコンサートが行われる日でもありました。コンサートはロストフ音楽アカデミーの建物内で行われましたが、たまたまこの建物の1階が選挙の投票所になっていたのです。コンサート会場に行くには、この投票所の中を通らなくてはなりません。

 投票所には金属探知機のゲートが設けられ、傍らに警察官が立って警備していました。

 ゲートを通り抜けると、日本と同じように数人の選挙管理委員たちが、テーブルを前にして座って待っていて、投票用紙を渡すなどしていました。時刻は午後2時を回っていましたが、投票する人はちらほらで、静かで落ち着いた雰囲気でした。ここ近年で、ロシアの投票所に、外国人である日本人が入ったのは、報道関係者を除けば、わたしたち旅行団ぐらいなものでしょう。

ロストフ・ナ・ダヌー

 下院議員選挙を前にして、ロストフの町でも道路のいたるところで、投票を呼び掛ける選挙管理委員会の横断幕がつりさげられているのを見ました。また街角には様々なポスターに交じって、各政党のキャンペーンポスターが貼られていました。ある公衆電話には、選挙ボイコットを呼びかけるビラが貼られているのも見かけました。

 投票日の2日前には面白い光景を目にしました。宿泊していたホテルの近くの公園の前で、2つの政党が選挙運動をしていたのです。1つの政党は、名前はわかりませんでしたが、10数人の運動員たちが大きな旗をなびかせ、風船などを持って練り歩いていました。日本でいう桃太郎行列のようなものです。

 もうひとつの政党は、これはロシア共産党でしたが、同じ公園に面した行政庁舎の前の歩道で、およそ100人規模の街頭演説会を開いていました。ここでも何人かの運動員が、大きな旗を道路側に向いて振り、場を盛り上げていました。日本ならば、選挙期間中では、規制が厳しくてあり得ない光景でした。言論抑圧がまだ完全に消えていないロシアでの選挙運動のほうが、日本より自由のようです(というか、日本が異常)。

ロストフ・ナ・ダヌー

 そしてこの集会の両側と、さらに道路を隔てた公園側を、警官隊が取り囲むようにして警備をしていて、一見、物々しい雰囲気でした。ところが、公園側では、中央にある記念碑の前で、何組かのポップスミュージシャンたちが、歌を歌っていたのです。政党の集会も大きなボリュームで演説をしていましたが、それをはるかに上回る大音響のBGMで歌っていたので、公園側に入ると、ほとんど演説が聞き取れない状態でした。その場所で演説会をビデオに撮ると、プロモーションビデオのようになってしまいます。ミュージシャンの前では、日本で見られるように、何人かのファンと思われる若者たちが、歌に合わせて踊ったり歌ったりしていました。唄われた歌のなかには知っている歌もありましたが、「ロシア、ロシア」とうたう歌もあって、何か選挙に関係があるのか、それとも偶然重なってしまったのかわかりませんでした。演説会も終わり、そしてミュージシャンの演奏も終わった時、彼らのスピーカーから、ポップ調のロシア国歌が、これまた大きなボリュームで流れてきたのです。そして12月4日に何かに行きましょうとのメッセージが。やはりこれは選挙のキャンペーンだったのか、それとも最後に国歌を流すのは、彼らミュージシャンの習慣なのか。

 ところで私が公園に入ろうとした時、警備の警官に厳しい顔で、「おまえどこへ行くのか」と呼び止められたのです。そこでカメラを振りかざして、「ビデオだ」というと、笑顔になり、通してもらいました。私は何回もロシアに行っていますが、警官に尋ねたことはあっても、警官から呼び止められたのは初めてでした。私が、ロストフではめったにお目にかからない東洋人で、何か怪しいやつと見られたのでしょうかねえ。

 ~次号に続く~

(田中)

2011年 「ラシンカ」 クリスマス会

「ラシンカ」 クリスマス会
 ロシア人の子どもロシア語教室「ラシンカ」のクリスマス会が12月4日(日)に行われました。ラシンカとは、在日ロシア人の子どもたちが、ロシア人としてのアイデンティティとして読み、書き、会話等ロシア語を学ぶ教室です。私はこの秋からロシア語教師のアシスタントとしてお手伝いをしており、今回のクリスマス会にも参加してきました。

 クリスマス会には、ロシア人の子ども、その親御さん、先生を含めて総勢約40人ほど集まりました。料理やデザートは参加者が一人一品を持ち寄るスタイルで、中にはロシア風サラダやピロシキを手作りで作ってくださったお母さん方もいました。

「ラシンカ」 クリスマス会

 子どもたちによる出し物やゲームも盛りだくさんでした。ロシアで定番のクリスマスソングに合わせたダンス、子どもたちによる「大きなかぶ」の劇、ベリーダンス等はとてもかわいらしく、微笑ましいものでした。綿のボールを使った雪合戦、雪だるまの福笑い、ビンゴゲームも皆夢中になって楽しんでいました。

 このクリスマス会は、普段日本に住んでいるロシア人にとって、久しぶりにロシアの文化に触れるよい機会になったのではないかと思います。また、親御さん同士で交流を持つきっかけになったかもしれません。私にとってもロシア人の子どもたちと一緒に遊び、学ぶことができ、本当に楽しく有意義な一日となりました。

(高橋)

横浜港に入港したロシアの帆船ナジェージダ号

ナジェージダ号 ナジェージダ号 ナジェージダ号 ナジェージダ号 ナジェージダ号 ナジェージダ号
(写真:今泉 省悟)

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催し物情報

セルゲイ・アントノフ チェロ・リサイタル

 第13回チャイコフスキーコンクール優勝。曲目はブラームス「チェロソナタ」、チャイコフスキー「6つの小品」など。ピアノ伴奏は、ルビンシュタイン国際コンクール優勝のイリヤ・カザンツェフ。

とき:2月8日(水) 18:30開演
場所:日経ホール(東京・大手町 日経ビル3階)
入場料:一般=3500円、子ども=2500円
問い合わせ:日経ミューズサロン事務局 03-3943-7066

宝塚花組公演 ミュージカル・プレイ「復活」(トルストイ「復活」より)
レビュー・ファンタシーク「カノン」

とき:2月10日(金)~3月18日(日)
場所:東京宝塚劇場
一般前売り開始:1月15日

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