許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~
日露戦争の総括
自由社版・新編・新しい歴史教科書は日露戦争の総括として、「日露戦争は、①日本の生き残りをかけた戦争だった。②日本はこれに勝利して、自国の安全保障を確立した。③近代国家として生まれてまもない有色人種の国日本が、当時、世界最大の陸軍大国だった白人帝国ロシアに勝ったことは、植民地にされていた民族に、独立への希望をあたえた。④しかし、他方で、黄色人種が将来、白色人種をおびやかすことを警戒する黄禍論が欧米に広がるきっかけにもなった。」としている。
①「生き残りをかけた戦争」では無く「植民地争奪の為の戦争」であったことは既述の通りである。
②については、例えばインドの偉大な指導者M.ガンジーは1905年には確かに「あなたがたがロシアの武力に対して輝かしい勝利をおさめたことを知って、感動に身ぶるいしました。」と賞賛したが、1942年には「あなた方は、崇高な高みから帝国主義的な野望にまで堕してしまわれたのです。あなた方はその野心の実現に失敗し、ただアジア解体の張本人になり果てるかもしれません。かくして、知らず知らずのうちに、あなた方は世界連邦と兄弟愛――それらなくしては、人類に希望はありえないのですが――を妨げることになるでしょう。」と失望,落胆していたのである。
日露戦争について両社の教科書は、①「日露戦争は、日本の生き残りをかけた戦争だった。」 ②「日本はこれに勝利して、自国の安全保障を確立した。」と総括している。
しかし、日本の最も緊密な同盟者であった英国では;
①については、百科事典・英国版「ウィキペディア」は、「日露戦争(1904/2/8~1905/9/5)は20世紀最初の大戦であった。それは満州と韓国をめぐるロシア帝国と日本帝国の野望から生じた。」としている。
<原文>「The Russo-Japanese War (8 February 1904 – 5 September 1905) was "the first great war of the 20th century." It grew out of rival imperial ambitions of the Russian Empire and Japanese Empire over Manchuria and Korea.」、
②については、「ロシアとの競争がなくなったので、また第一次世界大戦でのヨーロッパ諸国民の混乱、それに続く大恐慌に乗じて、日本軍は中国及びその他のアジアに君臨し始めた。そしてそれは結局第二次中日戦争(いわゆる「シナ事変」)と第二次世界大戦の太平洋戦争の戦場に導いたのである。」と結論付けている。
<原文>「In the absence of Russian competition, and with the distraction of European nations during World War I, combined with the Great Depression that followed, the Japanese military began efforts to dominate China and the rest of Asia, which eventually led to the Second Sino-Japanese War and the Pacific War theatres of World War II.」
現実はどうだったのでしょうか?皆さんよくお考えください。
(柴田)