今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2014年10月号 No.636

行事予定

よこはま国際フェスタ2014

よこはま国際フェスタ  世界の料理、民芸品、踊りや音楽、ボランティア活動が楽しめるお祭り「よこはま国際フェスタ」が今年も行われます。当協会もロシア料理やグルジアワインなどの屋台を出店。10月18日には電子楽器「マトリョミン」のデモ演奏も予定しています。ボランティアスタッフも募集中。奮ってご参加ください!

【会場】象の鼻パーク(みなとみらい線日本大通り駅より徒歩5分、JR関内駅より徒歩15分)
【日時】2014年10月18日(土)・19日(日)10:30~16:00
【内容】国際協力・多文化共生、東日本大震災復興支援に関わる団体の活動紹介、物品・食品販売、参加団体ブース、食販ブース、だがしや楽校、エコステーション、キャンペーン、特別企画、同時開催イベントとの連携企画など
【来場者数】100団体参加、30,000人来場見込み
【主催】よこはま国際協力・国際交流プラットフォーム運営委員会、よこはま国際フェスタ2014プロジェクト

ボランティアスタッフ募集中!

よこはま国際フェスタ  前日・当日のボランティアスタッフも募集中です。参加できる日時や内容を当協会事務局までお申し出ください。皆様のご協力をお待ちしています。

【日程・内容】 ◆10月17日(金):食材買い出し・ロシア料理(ピロシキ、ボルシチ、モルス)の調理、運搬、翌日準備
〇調理の場所・時間:ふりーふらっと野毛山2階料理室(JR・市営地下鉄 桜木町駅下車 徒歩約15分、京浜急行日ノ出町駅下車 徒歩約10分、TEL:045-241-0673) 12:30~18:30

◆10月18日(土)、10月19日(日):会場準備・調理・運搬・販売・撤収
〇調理の場所・時間:ふりーふらっと野毛山2階料理室 9:00~15:15

※調理場所が上記の通り変更されました。3日間とも同じ場所になります。
※いずれか1日のみ、都合のつく時間のみの参加でも可。終日参加なら尚可。
※車で運搬できる方歓迎!

スポーツを通じて、戦争と平和を考える
『英霊たちの応援歌 最後の早慶戦』DVD上映会

英霊たちの応援歌  1943年10月16日、学徒出陣を間近に控え、最後の野球早慶戦が行われた。野球は敵国アメリカから入ってきたスポーツだとして白眼視された中でも白球を追いかけた若者たち。その若者たちがどのような運命をたどったのか―。

【日時】2014年10月26日(日)14:00~
【会場】横浜平和と労働会館5階教室
【料金】黒パン・お茶代として300円
【参加お申し込み】神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
※詳しくはこちらのチラシをご覧下さい。

【映画情報】1979年日本映画/124分/カラー/シネマスコープ/配給:東宝/監督:岡本喜八/出演:永島敏行、勝野洋 他

活動報告

旅の思い出新たに
第16回 大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅 事後交流会報告

ウラジオストクで  9月23日(火・祝)は旅行からほぼ一ヵ月後。楽しい思い出を語るための事後交流会が開催されました。遠方からの参加は無理とのことで事前にお二人の不参加の知らせがあり、当日は別の用事のため地元神奈川の参加者が不参加となりましたが、他は全員参加。旅行団は6人が顔を合わせました。また、次年度の参加を目標にして今年の旅行の雰囲気を味わうために旅行には参加しませんでしたが、1人がお見えになりました。

 まずは各自が持参した写真の交換から。神奈川の不参加者の方からは旅行に参加した皆様へということで全員分の写真が届けられていましたので、それもこの日の参加者には配りました。そして、ダーチャとホームステイのそれぞれの感想を述べ合い、お互いの知らなかったことを語り合いました。その後は、一番のお楽しみのDVD上映。田中理事長苦心の作です。楽しい映像に見入りながら、一ヶ月前の旅行を感慨深く思い出していました。

 主催者として、何よりもうれしいのは「他の旅行では味わえない」「キャンプ場の子供たちの笑顔が忘れられない」「ダーチャでお世話になった人に、来年も会いたい」「ホームステイでロシアの本当の姿を知ることができた」という言葉を聞くことです。苦労もありますが、これらの言葉を聞くと「よし、来年も頑張るぞ」という気持ちになります。

 この記事を読んでいる皆様、来年はぜひご参加を。

(関戸)

徳永晴美先生特別講義
「ロシア語習得―もう一歩前へ進むコツ!???」

徳永晴美先生特別講義  去る9月13日、徳永晴美先生の特別講義「ロシア語習得―もう一歩前へ進むコツ!???」が行われました。以前、徳永先生のNHK・TVロシア語講座によってロシア語の魅力を知り、その世界を覗き見ることになった私としては、こんな素晴らしい機会を逃す手はないと思い、事務局から連絡をいただくと直ぐに申し込みました。

 当日は、3連休の初日・快晴の行楽日和であるにも関わらず、50人余り入る会場は満席、改めて先生の人気の高さを実感すると同時に、早く申し込んでおいて良かったと思ったものです。

徳永晴美先生特別講義  先生は、TV講座の頃と変わらず今もとてもエネルギッシュで、あっという間に会場全体を引き込んでしまいます。マヤコフスキーの詩を例に挙げ、言葉を学ぶからには「音」を大事にしたい、「音」があってこそ伝わるものがあるというお話に、まずハッとさせられました。「自分なりのテーマでノートを作る」「日本語とロシア語のニュースをインターネットで検索し等価表現を収集」といった勉強法のお話では、「ゆっくりエンジョイして」行うようにとのアドバイスに勇気をもらい、是非実践していこうと決意を固めました。その後も、映像を活用した練習法や、日本人の苦手な発音のコツなどの紹介が続き、充実した内容の楽しい2時間は、あっという間に終わってしまいました。

 講義後のサイン会では、一人一人に時間をとって朗らかにユーモアを交えながらお話しされていた先生。是非、第二弾の開催を…と密かに願っております。

(山成)


徳永晴美先生特別講義  9月13日は三連休の始まりの土曜日。その中を平和と労働会館4Fの会場を参加者が埋め尽くしました。三人掛けのテーブルの隙間がなくなるほどの盛況ぶり。改めて徳永先生の魅力を感じさせてくれました。上智大学時代の教え子も多く参加され、徳永先生の人を育てる姿勢がそのまま会場に現れた気がします。同じ教師として、何十年か後に関戸もこうなりたいものです。

徳永晴美先生特別講義  開会は柴田会長の挨拶から。ご自身の中学校時代を振り返り、英語は敵性語として扱われたこと。アメリカはハーバード大学の学生を語学兵として戦線に派遣したこと。言葉を知ることについて、戦争中の日米はこれほどの違いがあったことを示し、語学学習の意義を訴えました。

 そして、徳永先生の講義は笑いの絶えない楽しい内容でした。難しいロシア語もこういう雰囲気で勉強すれば苦になりません。最近のウクライナ情勢については、プーチン大統領の言葉をテレビ朝日の字幕では「報復措置」となっていたが、ロシア語では「それ相当の措置」という意味であること。ロシア語を知らない人がそのまま字幕の訳を信じたら、「ロシアは凶暴な国だ」という印象を持ってしまうこと。

徳永晴美先生特別講義  また、「音」から入るのが本当の語学であること。現在の語学教育は結局、大学入試のための読み書きに終始していること。関戸の父もシベリヤ抑留で最初に覚えたのは、ソ連兵に銃を突きつけられての「ストーイ(止まれ)」「ラボータイ(作業しろ)」「ダワイ(来い)」という命令形であったことを思い出しました。生まれたばかりの赤ん坊は文字など知りません。母親から耳で聞いて言葉を覚えていくのです。本来の語学教育は「音」から始まるということを強く思いました。

 そして、上達のコツは気がついたことをその場でチェックしていくこと。具体的にはポストイットを貼り付けて常に興味を引くようにしていくこと。一つの言葉を覚えるにも、その言葉に関連していることを複数記して、立体的なノートを作ることなどを話していただきました。

徳永晴美先生特別講義  興味を引いたのは、日本で翻訳されているトルストイの『復活』です。徳永先生に拠れば、訳に微妙な違いがあり主人公の行動がロシア語通りになっていないとのことです。これでは本当に翻訳したとは言えないのではないでしょうか。

 講義の合間には、ご自身の留学中の経験の失敗談や、大学での教え子との対話があり、時には爆笑も。時間が経つのを忘れるほどの楽しさでした。

 終了後は、著書のサインセールと参加者の懇談で時間を過ごしました。

(関戸)

写真:桜井 他

北川記念ロシア民族楽器オーケストラ5周年コンサート 物産展報告

 9月20日(土)、降り出しそうな曇り空の夕方でしたが東京目黒区のめぐろパーシモンホール大ホールで上記のコンサートが行われました。神奈川からは物産展を出しました。事務所で田中理事長と合流し、販売する民芸品・食品その他を積み込んで出発。販売はしませんが、予約注文を受けつけるということでバラライカとドムラも。会場では、本部の木佐森さんも一緒になり、持参したチョコレートを並べました。

 このチョコレートが大好評。開場したらその途端、売れ始めてあっという間に完売しました。もっと大量に用意しておけばよかったと思いました。また、ボルシチの素もすぐに売り切れ、その後に来た人から「もうないの?」と言われるほど。そして、今まで出店しても売れなかったカシミヤのショールのような高額なものも売れました。民芸品も休憩の度に今日のコンサートのお土産に買っていかれる方も多く、来るときには関戸の車のトランクは一杯でしたが、帰りには柴田会長夫妻を乗せても余裕なほど軽くなりました。やはり、こういうコンサートに来る方はロシア大好き人間なんですね。

 コンサート自体は、関戸は外のモニターで見ていましたがそれだけでも十分にそのすばらしさを堪能しました。コンサートの題名は「家族」。北川翔さんのみならず、三代続く続く北川家との絆での出演者の数々の歌声や演奏は心に染みとおりました。そして、特筆すべきは笑福亭鶴瓶のサプライズ登壇です。北川翔さんとの関わりや自身のロシアでの体験を、全くの打ち合わせなしの飛び入りで語ったのです。その中に大変感銘を受けた言葉があります。「どんなものでも続けていくことが大切だ」という言葉です。残念ながら、バラライカもドムラも日本では知名度は低く、まだ馴染みのない楽器です。けれども小さいながらもこのような心にしみるコンサートを続けていけば、立派に根付くと思います。

 物産では黒字を出し、ロシアの文化を改めて感じることのできたコンサートでした。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語教室 第121期公開講座「ロシア語入門体験」

オクサーナ・ピスクノーワ先生  9月27日(土)、横浜ロシア語教室第121期公開講座が行われました。

 講師は今期2年ぶりに火曜日入門クラスを担当することになったオクサーナ・ピスクノーワ先生です。11:00~12:00の回は8名、13:00~14:00の回は5名の参加者がありました。

 オクサーナ先生は「入門」のクラスが実は一番難しい、アルファベットも全く初めて見る方から既に文字を覚えて会話もできる人までいるからだ、と仰っていましたが、確かに今回の参加者の顔ぶれも、全くの初心者から、大学の第二外国語で学んでいた方やオクサーナ先生の出演していたNHKの語学講座を視聴していた方まで様々でした。(当教室の「入門」クラスは原則として全く初めて学ぶ方のためのクラスですので、ご承知おきください。)

 当日は皆さんにお楽しみいただけたようで、講座終了後、新たに5名の方が入学のお申し込みをされました。

 新学期からどうぞよろしくお願いいたします。

オクサーナ・ピスクノーワ先生 オクサーナ・ピスクノーワ先生

横浜ロシア語教室 第121期生徒募集

 月曜~土曜、入門・初級・中級・上級・会話クラス開講予定。3クラス・各30分まで見学無料。時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細はホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせ先は教室事務局まで。


補習サークル「ロシア語寺子屋」日時変更のお知らせ

 第121期・2014年10月から寺子屋の補習授業は第2土曜日(13:00 ~ 14:30)、第4土曜日(15:00 ~ 16:30)に移ります。

 できるだけ多くの方に利用していただけるように、この時間帯に5階教室で行うことに致しました。

 また、これまで1人500 円の参加費をいただいていましたが、今後は無料とさせていただきます(横浜ロシア語教室在籍中の生徒限定)。

 個別補習(1人30分まで)の場合には、3日前までにお申し込みの上、ご希望の学習内容をご連絡ください。

 予約のない時間帯には、どなたでも簡単な質問やロシア語会話が随時、自由にできます。

 年内のスケジュールは、10/25, 11/8, 11/22, 12/13の土曜日です。

 皆様のご利用をお待ちしております。

(寺子屋担当講師・野口福美)

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 毎月2回、土曜日に開講します。来期の予定も決まりました。魅力的なロシアのメロディーを、ご自分の手で体感してみませんか?初めての方でも歓迎、楽器レンタルもご相談に応じます。

2014年度後期予定:10月4日、10月18日、11月8日、11月22日、12月6日、12月20日

生徒募集クラス
17:00~17:45 ドムラ初級
18:00~18:45 バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室

 マトリョミンは他のどんな楽器とも違う、触らないで弾くという不思議な奏法がとても面白い楽器です。
 ワンフレーズ弾くぐらいなら触れたその日からでもOK。
 可愛さ、不思議さ、ロシアっぽさなどもさることながら、楽器としてのポテンシャルも非常に高く、弾く人の内面を如実に映し出します。
 会社や友人同士の集まりに持って行くと、話題性もパフォーマンス性も抜群で、注目の的です。
 一度、教室に遊びにいらっしゃいませんか。見学、体験も大歓迎です。

日程:毎月1回、土曜日開講

2014年度後期日程:10月4日、11月15日、12月13日、1月17日、2月21日、3月14日
※レッスン日に見学随時可能です。発表会、協会行事等で演奏の機会もあります。是非お気軽にご参加ください!

◆アンサンブルクラス(90分)  13:00~14:30 (満席)
◆グループレッスン
 Aクラス 14:45~15:45 (空席2)
 Bクラス 15:55~16:55 (空席2)

入学金:3,000円(継続の方、休学1年以内の方、当協会会員は免除)
受講料:アンサンブル3,600円×6回=21,600円、グループレッスン3,085円×6回=18,510円
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター 音楽ホール
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

日本語教室

月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。
入学金5,400円、受講料(1回)3,200円(税込)。
個人レッスンのため、受講日時や学習内容は応相談。
お申し込み・お問い合わせは協会事務局まで。


組織・財政

組織状況

(2014年9月30日現在)

 今年度年初会員数243名、入会者累計42名、退会者累計58名、9月末会員数227名、年初比▼16名。残る3か月会員増加に努力しましょう。

(柴田)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2014/9/30
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,607,9931,405,585202,408
教育事業7,333,0596,490,772842,287
一般事業1,997,5262,429,770-432,244
合 計10,938,57810,326,127612,451
前年同期(単位:円)2013/9/30
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計6,555,1315,128,9451,426,186
教育事業2,730,1792,934,270-204,091
一般事業1,467,8222,284,892-817,070
支出計10,753,13210,348,107405,025
当期剰余金185,446-21,980207,426

貸借対照表 (2014/9/30)
科 目本年9月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産5,931,4684,335,5681,595,900
固定資産9,604,7759,604,7750
資産合計15,536,24313,940,3431,595,900
流動負債247,1590247,159
固定負債000
負債合計247,1590247,159
純資産15,289,08413,940,3431,348,741

 8月末の赤字約154万円は新学期受講料収入等で教育事業収入が前月比約238万円の増収になったため18万円の黒字に転じた。しかし、受講料は来年の新学期にならなければ次の入金が無いため、財政状況は依然厳しい状況にある。

(柴田)

夏季カンパのお礼

会員の皆様

会長 柴田 順吉

 7月のカンパのお願いに対して、本日までに105,400円の現金、学童机6脚、販売用書籍「実務のロシア語I, II」計5冊の温かいご寄附を頂きました。お蔭をもちまして以下の設備改善を実現することが出来ました。

1. 可動式間仕切りカーテン2幕による会員、生徒用ミニ・サロンの新設(カーテンを除くと二部屋連結で広い教室になる)

教室改装 2. 一教室への大型ディスプレイの配備

3. 全教室でパソコンを利用できる有線および無線Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)の設置

4. 1F及び5F双方で利用可能な固定電話、および1Fと5Fを結ぶインターフォンの設置、老朽化した壁面への壁紙の貼り付け

5. 利用度の低い備品等の廃棄処分など。

 また、会館の管理組合による廊下、ドアなどの塗装も並行して行われた為、教室は見ちがえるほど広く、綺麗、便利になりました。窓側ブラインドや教室看板などの更新が今後の宿題です。

 ご寄附下さった方々、工事にご協力くださった方々に心から感謝申し上げます。

教室改装 教室改装

ユーラシア通信

ロシア幼児教育の現場から (2) 幼稚園と働くお母さん

ロシア幼児教育の現場から  ロシアの幼児教育機関は日本とは少し異なります。以前はясли(ヤースリ)とдетский сад(ジェツキーサッド)に分かれており、ヤースリは0歳~3歳を対象とし、ジェツキーサッドは3歳~7歳を対象としていましたが、最近はヤースリはほとんど見かけなくなりました。現在では3歳以上の子どもたちがジェツキーサッドに通っており、ここではジェツキーサッドのことを幼稚園として紹介します。

 幼稚園は公立、私立ともにありますが、一般的な公立の幼稚園の場合午前7時頃に始まります。7時から順々に子どもたちが現れ、朝食を食べます。幼稚園に来る時間はまちまちのため、2回目の朝食の時間をとることもあります。そして幼稚園に終わる時間は午後7時頃です。つまり、子どもがいる時間を見てみると、日本の保育園に近いといえるでしょう。「時間が長いんですね?」との質問に、モスクワ近郊にて幼稚園の先生をしているターニャさんは、ロシアでは共稼ぎが普通で、むしろ共稼ぎでないと生活が苦しいのだと説明されました。ターニャさんも実は2歳児のお母さん。少しの間育児に専念していたが、もうじき幼稚園に戻るそうです。

 モスクワで知り合った別の方でも、0歳のお子さんがいるけれど奥様がもうすぐ仕事に戻ると話していた方がいました。奥様は小学校や幼稚園で美術の先生をしているとのこと。仕事に戻るのをとても楽しみにしていると話していました。

 日本では、女性の社会進出が盛んに議論されていますが、ロシアではより自然な形で実現されているように感じます。幼稚園の時間が長いという制度的な面もありますが、既に当然のこととして受け入れられているように思います。ソ連時代男女平等に働いていた慣習が残っているからかもしれません。そうした社会の違いが、幼稚園の制度にも反映されているように感じられました。

(髙橋)

Eurasia Gallery ~モスクワの風景~

モスクワの風景 モスクワの風景
モスクワの風景 モスクワの風景
モスクワの風景 モスクワの風景
モスクワの風景 モスクワの風景

(髙橋)

投稿歓迎!

 ユーラシア関連記事、写真、本紙に関するご意見・ご感想など歓迎します。記事は1記事800字以内を目安にお願いします。紙面の都合により若干編集する場合、分割して掲載する場合がありますがご了承ください。ペンネームでの掲載・肩書をご希望の場合はお書き添えください。特に記載のない場合はフルネーム(WEB版では苗字のみ)で掲載させていただきます。締切は毎月末になります。投稿はEメール・郵便・FAXのいずれかで。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

スポーツ

サンボ練習見学と普及をめざすヴィクトル板楠氏

於:熊本中央高等学校女子柔道部

 筆者の地元である熊本市に帰省のおり、熊本中央高校女子柔道部を見学する機会を得た。「サンボの神様」(公式戦43連勝オール1本勝ち)といわれるヴィクトル古賀氏の愛弟子で、ヴィクトル板楠を襲名(?)した板楠忠士さんが指導する柔道部で、不定期だが練習にサンボを取り入れている。

 サンボとは、ソ連生まれのレスリングの一種。самозащита без оружия(武器なしの自衛)の略で、柔道とレスリングをあわせたスポーツとして旧ソ連の国技であり、護身術としてKGBも取り入れていた。今も主に旧ソ連・東欧諸国で広く普及している。

 選手は柔道着のような道着を着用し、レスリングのような靴を履いている。取り組みは柔道のようだが、圧倒的にスピーディーで関節技や筋肉つぶしのような独特の技がある。また、挨拶は礼ではなく握手をする。こうしたいくつかの共通点と相違点を比較しながら、サンボの練習を見学すること約2時間。女子と言えど、とにかく激しい。練習は受け身などのウォーミングアップのあと、5人の選手が相手を換えながら次々に取り組みを行う。女子柔道部主将の甲斐春梨さんは高校に入ってサンボを始めた。最初はとまどいを感じたが、柔道の練習にサンボを取り入れることで関節技での1本勝ちが増え、以前より強くなったとサンボの効果を評価している。

 指導するヴィクトル板楠氏(写真右)は、恩師・ヴィクトル古賀氏の指導のもと、90年、92年の柔道嘉納杯で60キロ級二連覇、96年アトランタ五輪の日本代表候補となり、サンボの全日本選手権で優勝という成績を残している。また、古賀氏とともにロシアにも遠征し、ロシア語やロシア文化への造詣も深い。現在、恩師の薫陶を受け継ぎながら、日本でのサンボ普及や旧ソ連におけるサンボ選手や愛好者との交流に意欲を燃やしている。

 ※ヴィクトル古賀氏(写真左)は、1935年、白系ロシア人でコサック末裔である母と日本人父の間に旧満州・ハイラルで生まれた。混血であることを理由に、戦後日本引き揚げ団から同行を拒絶され、たった一人で日本へ帰還。その数奇な運命と帰国後のサンボとの出会いはNHKなどでも取り上げられている。世界的サンビストとしてロシアやグルジアでも有名。引退後は東海大学で柔道やサンボを指導し、多くの格闘家を養成した。現在、横須賀市浦賀に在住。

 ヴィクトル板楠氏はCIS諸国の人たちならびにサンボに興味のある人との交流を希望しています。コンタクト先は氏のブログ サンボニュースブログ をご覧ください。

(滝沢)

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10  台所を直撃(T_T)、物価30%UP!でもウクライナへのガス供給問題で収束しつつある(?)ロシアから、9月第3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中5曲が新曲、1曲が返り咲きで、1~5位までアーティスト不動!

 10位にクルドに出自を持つロシアの美声女性歌手ザーラのСчастье над землёй。'03-'04年に世界中を夢中にしたO-ZoneのDragostea Din Tei(邦名:恋のマイアヒ)のAメロ担当アルセニェこと現在ソロ活動中のArseniumが、女性4人組ファーブリカの元メンバー、カザノワと組んでデュエットしたДо рассветаが9位に。8位はコルドゥンのГород больших огнейが5ヶ月ぶりカムバック。7位に国民的人気のセクシートリオ、ヴィアグラの新曲У меня появился другой。6位はフォーク&ポップシンガーマイダノフとバヤン・ミクスのМы с тобой одной крови。第1位に輝いたのは、ヴィンタージュのКогда рядом ты。おめでとうございます!:-)

(チャート詳細と全文はこちらから)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart、9月15~21日/MOPA)

「マカレーヴィチは祖国の裏切り者!」

ユーラシア音楽芸能情報  ソ連ロック界創成期を築いたマシーナ・ヴレーメニのVoアンドレイ・マカレーヴィチはモスクワ出身のロシア人。音楽活動の他にTV・ラジオ・俳優・芸術活動そして建築までこなすスーパーマルチタレント。また彼は政治活動をすることでもよく知られ、野党TV「モスクワのこだま」に度々出演。そんな彼は勿論ウクライナ情勢にも意見し、よく動いている。そして今、誹謗と暴威の嵐の中で堪えている。

 2014年初めクリミア半島が露に強制編入されたことを受け、露軍介入反対をし平和行進に参加。

ユーラシア音楽芸能情報  ドンバス地域の親露派に露への移住を勧めたが、その後4月11日に書店ドムクニーギで「5人の裏切り者、俺達の中にいるエイリアン」という横断幕が顔写真と一緒に掲げられた。

 8月にドネツク州へ赴き、内戦の避難民である子供達の前に現れた。このイベント自体はウクライナのボランティア基金が催したイベントだが、露社会活動家は彼に激しい非難を浴びせた。その後のバッシングがすさまじい。サンクトペテルブルク市、ノヴォシビルスク市、サマラ市、キーロフ市他の都市でコンサートのキャンセル。露議員による称号と勲章全剥奪の提案。НТВのドキュメンタリー番組で放送されたプロパガンダ映画「キエフ政府という秘密結社の友達13人組」で筆頭に上げられた。

 これに関係してマカレーヴィチはプーチン大統領に、メディアで彼の名を出し誹謗する乱痴気騒ぎを止めるよう公開書簡を書き、「モスコフスキー・コムソモーレツ」紙上で8月25日に訴えを公開したが、これに対しペスコフ露大統領報道官はこうコメントした。「全てに同意するわけではないが、彼が迫害されている者として扱うことは、世論の反応とも言える。大統領に訴え判断を仰ぐことに甚だ値しない。」

ユーラシア音楽芸能情報  9月25日モスクワ国際音楽堂で開催された「イジシュ・ジャズ」でマカレーヴィチのコンサートが妨害された。観客の一人が観客エリアにガスボンベを噴射し、他の4人組が"Макаревич — предатель Родины!(マカレーヴィチは祖国の裏切り者だ!)"と何度も罵声を浴びせ、ビラや卵やトマトを投げつけた。当時会場には500人の観客がいたが、このため観客も演奏者も退場を余儀なくされた。コンサートは2時間以上経った後、再開された。この事件は露連邦法「乱暴行為」として刑事事件として取り扱われた。

 ネット上で、露極右政党「もうひとつのロシア」党が「ドンバスからやって来た武装組織ボリシェビキ」と称し活動したこの騒動の責任を取るという報道をした。しかし同党首は「私はこのことに関し何もわからない。朝ニュース見て知ったよ。(中略)マカレーヴィチを罰する必要がある。マカレーヴィチは身分の低い迷える子羊だということを、ウクライナと世界に示す必要がある。もし露が彼を罰しなければ、露は彼を正いと認めたということになってしまう。」マカレーヴィチもこのフーリガン達を起訴するつもりがないことを告げ、こう啖呵を切った。「何を馬鹿者達のためにわざわざ駆け回る必要があるんだ。興味ないし、考えてもいない。」

(MOPA)

催し物情報

ユートピアを求めて
~ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム

DCブランドBA-TSUの創業者松本瑠樹氏のコレクションより。
特設レクチャー、ワークショップあり。
とき:9月30日(火)~11月24日(月)
ところ:世田谷美術館(世田谷区砧公園内)
料金:一般1000円、65歳以上800円、大高生800円、中小生500円

Autumn Twilight Harmony ~魅惑の旋律にいざなわれて~

Prayer、Let It Go(ロシア語バージョン)、愛の讃歌ほか。
ロシア・チタ出身のエカテリーナと劇団四季「オペラ座の怪人」などに出演した鈴木綜馬、ピアノ、マリンバ、ベース、ギターの織り成すアコースティック音楽会。
とき:10月28日(火)19:00開演
ところ:ヤマハホール7F(東京メトロ銀座線「銀座」、JR「新橋」)
料金:6000円(全席指定)
チケット問合せ:オフィスディーバ 03-6429-3560、ラフー事務所 045-833-2238

ウラジーミル・ミシュク ピアノリサイタル

とき:11月1日(土)
ところ:東京オペラシティコンサートホール
演目:ベートーヴェン「ピアノソナタ第23番 熱情」、「テンペスト」、ショパン「ポロネーズ第6番 英雄」ほか
料金:4000円(全席指定)

歴史・社会

日露領土問題の歴史(17)

日露領土問題の歴史  1762年、ロシアではエカテリーナ2世が皇帝となり、1764年にはイルクーツクに日本航海学校を、1768年に日本語学校をそれぞれ設置し、日本近海への航海を盛んに行うようになった。18世紀にはロシアと日本は、従来の原住民を介する関係から直接に隣国と言える関係となった。日本近海、特に蝦夷地周辺に『赤蝦夷』と呼ばれたロシア人が進出するに及んで江戸幕府はこれと競って北方領土の確保、拡張を図るようになった。

 1771年には阿波国にロシア船が漂着する「ベニョフスキー事件」もあった。

 ベニョフスキーは自身の回想記では1741年生まれとしているが、これは七年戦争への従軍歴を偽るためで実際には1746年生まれであった。ハンガリー人であるが、ポーランド人、ロシア人などとも自称していた。青年時代から詐欺、殺人、反政府活動などを繰り返し、ロシアで逮捕されカムチャツカ半島に流刑されたがそこで他の囚人と共謀して看守らを殺して脱獄、帆船を奪って「聖ピョートル号」と命名し、1771年日本に向け出港、途上自分に不服従な仲間を、クリル諸島に置き去りにするなどした。1771年7月8日、ベニョフスキーは阿波国日和佐に来航したが徳島藩は幕府の鎖国令に従って上陸を許さず、水と食料・燃料を与えて追い返した。このとき、ベニョフスキーは長崎のオランダ商館長宛の手紙を徳島藩に託したが、これが後に「手紙事件」の原因となった。ベニョフスキーが残した手紙は神聖ローマ帝国陸軍中佐名義で、高地ドイツ語で書かれ商館長D・アーメナウルトがこれを解読したが、内容はロシア帝国が松前周辺を占拠するためにクリル諸島に要塞を築いているという根も葉もない出鱈目な内容であった。幕府は極秘文書としてこれを秘匿したが、工藤平助・林子平らがこれを暴露し、彼らは事実関係の調査もせず、ありもしないロシアの脅威に警鐘を鳴らした。

 1778年、厚岸にエカテリーナ2世の勅書を携えた、イワン・アンチーピンを団長とする訪問団が来日し通商を求めたが、翌1779年に松前藩はそれを拒否した。1781年、仙台藩医工藤平助は『赤蝦夷風説考』を出版し、北方防備の重要性を訴えた。老中田沼意次も北方に関心を抱き、蝦夷地調査などを開始したが、まもなく彼は失脚した。

 1783年、日本の船頭大黒屋光太夫等が伊勢白子浦から江戸へ向かう航海の途上漂流しアリューシャン列島に漂着しロシア人に保護され、長い旅の後1791年にサンクトペテルブルグで女帝エカテリーナ2世と謁見し日本事情を伝えた。光太夫は、1792年にロシア使節アダム・ラクスマンに伴われて根室に帰国した。ロシアは漂着民を届けることを契機に通商交渉を図ったが、再度拒否された。光太夫によって齎されたロシア事情は桂川甫周によって『北槎聞略』に纏められ、幕府にとって鎖国時代における重要なロシア情報源となった。林子平の対ロ啓蒙活動や長崎出島オランダ通詞からの情報などでロシアに関する日本人の対ロ認識が形成されていった。

~続く~

(柴田)