今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2016年2月号 No.652

行事予定

「名作映画鑑賞懇親会」戦後初のカラー映画『石の花』

『石の花』  昨年は戦後70年という区切りの年で戦争と平和を考える作品を中心に、一年間6回の映画DVD鑑賞を行いました。今年は旧ソ連の作品を中心に開催します。

 そのトップは『石の花』です。第二次世界大戦後、日本で最初に公開されたカラー作品です。1946年製作のソ連初の長編カラー映画で、日本公開は1947年でした。まだ、日本中に戦争の傷跡が生々しく残っていました。その焼け野原だったころ、映画館の中でこの『石の花』を観賞した観客は、映像の美しさに声もありませんでした。現在のCGやFSXにも匹敵するような映像の世界は、とても70年以上前のものとは思われません。そのすばらしさは実際に上映会でごらんになってください。

 すばらしいのは映像だけでなく、その話の面白さにもあります。民話をもとに、子供から大人まで楽しめる内容になっています。今ここで種明かしをしてしまうと、観る楽しさが減ってしまいますので、内容には触れません。ただ、映画の中に出てくる数々のシーンはとても興味深いものがあります。一つだけ、紹介しましょう。「ペチカ」をご存知ですか?満州にいた陸軍部隊の兵舎では必ず設置されていました。もちろん、これはロシアの一般家庭に普及していました。その「ペチカ」は家庭の中心になるのです。暖房だけでなく、調理にも使われました。そして、風邪を引いた時には石の「ペチカ」の上に布団を敷き、寝ていたのです。そのシーンが出てきます。さあ、この後は映画を見てのお楽しみ。日曜の午後、家族そろって楽しめる映画鑑賞懇親会にします。ぜひ、ご参加ください。

【映画情報】1946年・ソ連作品/監督:アレクサンドル・プトゥシコ/脚本:パーヴェル・バジョフ/イワン・ケッレル/撮影:フョードル・プロヴォロフ/音楽:レフ・シュワルツ/出演:ウラジーミル・ドルージニコフ、タマーラ・マカーロワ、エカテリーナ・デレフシチコーワ、ミハイル・ヤンシン他

日時:2016年2月28日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
会費:一般500円、会員300円(黒パン・お茶代として)
お申し込み先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 第12回定期総会

【日時・内容】
2016年3月21日(月・祝)
13:30~14:30 定期総会
15:00~15:20 ピアノコンサート 演奏:スクリャービン川西さん
15:30~16:00 マトリョミンアンサンブル「MMM」コンサート
【会場】横浜平和と労働会館2階 音楽センターホール
【参加費】総会:無料(会員限定)、コンサート:会員500円、一般700円

※来月上旬に総会議案書をお送りしますので、ご一読の上、出欠席や委任について必ずご回答ください。(回答用FAX用紙・ハガキ添付予定)
総会成立のため、皆様のご協力をお願い申し上げます。

スクリャービン川西さん マトリョミンアンサンブル「MMM」

※今回のジョイント企画は、ミニコンサート2本立てです。
午後のひととき、ヨールカ祭でも好評だった「神の左手」と呼ばれるピアニストのスクリャービン川西さん(写真左)と、おなじみのみなとみらいマトリョミン教室アンサンブル「MMM」の電子楽器「マトリョミン」の演奏をどうぞお楽しみください。
コンサートにはどなたでもご参加いただけます。
(写真はヨールカ祭2016より)

全国総会に参加しませんか?

 3月26日(土)、27日(日)、日本ユーラシア協会は名古屋市で全国総会を開催します。創立60周年を来年に控え、各分科会、記念講演会、レセプション、本会議が行われます。詳しい内容は本部機関紙3月号をごらんください。

 神奈川県連会員の参加も歓迎します。宿泊費・食費・レセプション参加費は個人負担になりますが、交通費のみ半額補助いたします。参加ご希望の方は事務局までご連絡ください。

お申し込み先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

ロシア風新年会+クリスマス会「ヨールカ祭2016」

 1月24日(日)、横浜市従会館4階ホールで毎年恒例の新年パーティー「ヨールカ祭」が行われた。家族親戚12人で早くから楽しみにして来てくれた人、去年に続いて参加した親子連れ、旧ソ連の歌を歌っているという軍服姿の面々、神奈川以外も含めた日ユ協会会員、ロシア語教室生徒、ネットで知った一般客など、出演者やスタッフも含めると総勢124名が集まった。

ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016

 ロシア語講師タチヤーナ・シプコーワ先生の乾杯で開幕。前日にスタッフが用意したロシアのご馳走に舌鼓。色鮮やかな根菜やニシンをケーキのように重ねたサラダ「外套を着たニシン」、ボルシチ、そばのカーシャを添えたビーフストロガノフ、じゃがいもの付け合わせ、サラダ、黒パン、ラトビア産燻製鰯のペーストをのせたオープンサンドなどがふるまわれ、茶道のお点前とサモワール紅茶、ジョージアワイン、ロシア物産販売のコーナーも設けられた。

ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016

 子供の部の冒頭は、ジェッドマロース(ロシア版サンタクロース=中岡栄作さん)とスネグーロチカ(雪娘=馬場タチヤーナさん)が子供たちともみの木(ヨールカ)の周りを歌い踊り、プレゼントを配って、楽しく記念撮影。次は電子楽器テルミンがマトリョーシカの中に入ったマトリョミンのアンサンブル「MMM」の演奏。例年は最後だが今回は早い時間に登場したので、ヨールカ祭に来たことはあっても初めて見たという人も多かったようだ。その後、こちらもおなじみ、梶谷直樹さんの紙切りショー。「メリークリスマス」という意味のロシア語の切り文字や冬の風景が貼られた下絵に、橇、もみの木、雪だるまを、トークを交えながら次々と切り抜いては張り付ける。同時進行で小学生アシスタントの末川さんもかわいい動物の絵を切り貼り。出来た作品は最後に観客にプレゼントしていた。

ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016

 大人の部はまずロシア語教室の生徒たちが登場。野口先生担当の総合演習クラスは、ロシアの美しい冬の映像と字幕を背景に映し出しながら、プーシキンの詩「冬の朝」を朗読した。今井イリーナ先生担当3クラス合同メンバーは、童話「三匹の子豚」をミュージカル仕立てで愉快に演じ、美術教師の山田さんが描いたわらと木と煉瓦の家も効果を上げていた。続いてシプコーワ先生担当の実践会話クラスの「十二の月(森は生きている)」より「ジェッドマロース」。長い原作がうまくまとめられ、一人一人が適役で演技も面白く、場内の笑いが絶えない舞台だった。

ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016
ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016
ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016

 コンサートは今年初登場のピアニスト、スクリャービン川西さんの演奏から。左手のためのオリジナル曲、「赤いサラファン」「ハナミズキ」など5曲を披露し、アンコールも出て盛り上がった。次にこちらも初出演のメゾソプラノ歌手天野加代子さんが、ユーリー・コジェヴァートフさんのピアノ伴奏でロシア歌曲「春の水」「ホパック」「馬の鈴」や民謡メドレーを会場と一体になって熱唱。あっという間にお開きの時間になり、予定していたダンス&ディスコのコーナーが省略されてしまったが、華やかなフィナーレとなって良かったのではないだろうか。

ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016
ヨールカ祭2016 ヨールカ祭2016

 今回はユーラシア諸国出身の参加者が出演者や講師も含めて8名と昨年よりさらに減少したのが残念だが、全体的には満員御礼の印象で、初対面の参加者同士も親睦を深め、料理や出し物の量も十分だったと思われる。準備の遅れや要員不足など裏方の課題は多々ありつつも、良い2016年の滑り出しとなったことを願いたい。来場された皆様、ありがとうございました。ボランティアスタッフ・出演者の皆様、お疲れ様でした。

教室案内

『3パターンで決める日常ロシア語会話 ネイティブ表現』
出版記念授業と祝賀会報告

出版記念授業  1月19日(火)、『3パターンで決める日常ロシア語会話 ネイティブ表現』出版記念授業と祝賀会が行われました。

 この教科書は、横浜ロシア語教室の大山麻稀子先生と須藤アレキサンドラ(サーシャ)先生が徳永晴美先生の監修の応援を得て語学書専門出版社「語研」から2015年12月に出版されたものです。当協会ロシア語講師としては初めての快挙なので、教室あげてお祝いをすることになりました。当日の教室は、執筆された3名の先生方の他、ロシア語教室受講者、講師、会員、語研の担当者の合計20名で満員御礼状態でした。

 第一部の特別授業では大山先生とサーシャ先生が具体的なページやフレーズを挙げながら、どのような日本語の表現がロシア語の日常会話ではどのような表現になるかを説明しました。日露の言語・文化・習慣の違いから対応する表現を決めるのに苦労することも多かったようです。参加者の皆さんはページをめくりながら、「なるほど」と頷いたり、「そうなんだ」と気付かされたりしながら聞いていました。

出版記念授業  徳永先生の「編集後記的レクチャー」では、最初に視力を失いかけながらも先生がこの本のルビを半年かけて自ら打ち込まれたお話がありました。「文字を頼りに音を出そうとするのは間違い」と前置きしながらも、この本では読者がロシア語の発音に近い読みができるように、いかに体系だったルビが打たれているかの説明がありました。

 また、何語のネイティブでも、その言葉が母国語だからと言うだけですべてが正しいとは限らない(旧ソ連のゴルバチョフ書記長でさえ間違っていることがあった)、語学教師は、ネイティブか否かに関係なく誰もが常に切磋琢磨しなければならないとの徳永先生の教えは説得力がありました。

出版記念授業 出版記念授業

出版記念授業  特別授業の後はいよいよお待ちかねの第二部です。参加者の皆さんは先生方にサインをして貰った後、紅白のワインで乾杯をし、テーブルを囲んで楽しく歓談しました。手製のヴィネグレット・サラダやラトビア産鰯ペーストのオープンサンド、そして皆さんからの差し入れの焼売やお菓子などでそれは豊かなテーブルになりました。皆さんには、「1000円の参加費にしては充実したメニュー」と喜んでいただけたようでした。楽しい時間は瞬く間に過ぎ、9時過ぎてお開きにしなければならないのが残念なほどでした。

(野口)

横浜ロシア語教室 第123期 生徒募集中

 月曜~土曜、入門・初級・中級・上級・会話・演習の各クラス生徒募集中。
 既存クラスへの中途編入も可能です。
 見学3クラス・各30分以内まで無料。
 詳しくは教室ホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


補習サークル「ロシア語寺子屋」

 今学期もお忙しい受講生の皆様のロシア語学習のお手伝いを致します。
 ご希望の方は事前に教室事務局まで、日時と学習内容をご連絡ください。

第123期後半 学習支援予定日時
2月13日(土) 13:30~15:00
2月27日(土) 15:00~16:30
3月12日(土) 13:30~15:00

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 毎月2回、土曜日に開講します。魅力的なロシアのメロディーを、ご自分の手で体感してみませんか?初めての方でも歓迎、楽器レンタルもご相談に応じます。

2015年度後期(後半)の予定:1/9, 1/30, 2/6, 2/20, 3/5, 3/19

生徒募集クラス
17:00~17:45 ドムラ初級
18:00~18:45 バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室

 マトリョミンは他のどんな楽器とも違う、触らないで弾くという不思議な奏法がとても面白い楽器です。
 ワンフレーズ弾くぐらいなら触れたその日からでもOK。
 可愛さ、不思議さ、ロシアっぽさなどもさることながら、楽器としてのポテンシャルも非常に高く、弾く人の内面を如実に映し出します。
 会社や友人同士の集まりに持って行くと、話題性もパフォーマンス性も抜群で、注目の的です。
 一度、教室に遊びにいらっしゃいませんか。見学、体験も大歓迎です。

日程:毎月1回、土曜日開講

2015年度後期予定:10/24, 11/21, 12/19, 1/16, 2/20, 3/19

※レッスン日に見学随時可能です。発表会、協会行事等で演奏の機会もあります。是非お気軽にご参加ください!

◆アンサンブルクラス(90分)  13:00~14:30 (満席)
◆グループレッスン
 Aクラス 14:45~15:45 (満席)
 Bクラス 15:55~16:55 (空席1)

入学金:3,000円(継続の方、休学1年以内の方、当協会会員は免除)
受講料:アンサンブル3,600円×6回=21,600円、グループレッスン3,085円×6回=18,510円
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター 音楽ホール
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

組織・財政

組織状況

(2015年1月29日現在)

 今年度年初会員数209名、今年度累計入会者数1名、累計退会者数 4名、(休会1名)。 1月29日現在会員数206名。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2016/1/29
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計154,200159,814-5,614
教育事業97,950121,100-23,150
一般事業289,181413,862-124,681
合 計541,331694,776-153,445
前年同期(単位:円)2015/1/29
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計302,610542,794-240,184
教育事業185,550244,682-59,132
一般事業206,245294,246-88,001
支出合計694,4051,081,722-387,317
当期剰余金153,074386,946-233,872
合 計1,541,8842,550,390-1,008,506

貸借対照表 (2016/1/29)
科 目本年1月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産7,058,2615,286,2801,771,981
固定資産9,604,7759,604,7750
資産合計16,663,03614,891,0551,771,981
流動負債-8780-878
固定負債000
負債合計-8780-878
純資産16,663,03614,891,0551,771,981

お勧め商品

ミニトマトの酢漬け 480円(税込)

ミニトマトの酢漬け さくらんぼのように小さな可愛い厳選された完熱トマトを、ウクライナの伝統的なレシピに基づいて、お酢や風味豊かなスパイスに漬け込みました。
サラダのトッピングやマリネ、料理の付け合わせにどうぞ!
内容量:310グラム
原産国:ウクライナ

3パターンで決める『日常ロシア語会話ネイティブ表現』  2,200円+税

3パターンで決める『日常ロシア語会話ネイティブ表現』 著者:大山麻稀子、須藤アレキサンドラ
監修:徳永晴美
発行所:株式会社 語研

 こんなにシンプルでいいの? ネイティブのロシア語って!?目的別にすべて3パターンの言い方でまとめてあるので、覚えやすくて忘れません!もっと踏み込んで尋ねたいとき、言いづらいことを切り出したいとき、同意できないとき、言葉を濁したいとき、感情を吐露したいとき…そんな“決めの”一言も多数載せてあります。

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10  大寒波の峠をなんとか越えたロシアから、1月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中2曲が初登場。2曲がTOP10カムバック!
 7位に、21歳クリードの14曲目のシングル«Будильник» (目覚まし時計)がランクインしました。HIPHOPレーベルBlackStarメンバーらしからぬ甘いルックスと万人受けする軽快なポップスとの相乗効果で、彼の人気は鰻のぼりです。
 3位にヴィアグラの5曲目のシングル«Так сильно» (とても強く)がランクインしました。PVでは、疎遠な関係にされた女性の愛憎劇を見せています。
 ヨールカの新曲«Грею счастье» (幸せを温めてる)が2ヶ月連続1位!年末年始跨る快挙。おめでとうございまーす!:-)

(チャート詳細と全文はこちらから)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2016年1月18~24日/MOPA)

映画・演劇

劇団夢現舎「戯曲試食会」

1月8日 於:行灯パブ「ろびっち」(新高円寺アトラクターズ・スタヂオ)

劇団夢現舎「戯曲試食会」

 アントン・パーブロヴィッチ・チェーホフをもじったものとひと目でわかる会場名。入口へ向かう階段にはチェーホフの写真が展示されている。ハッピを着たもぎりのスタッフに迎えられて着席すると、アルコールを含むドリンクとチーズやナッツなどのつまみが出される。一方、「ザクースカ」や「ブリヌイ」などのロシア料理はメニュー写真を「見るだけ」。配られたプログラムには、チェーホフの名(迷)言がいっぱいだ。チェーホフの芝居を見るだけでなく、人間チェーホフをひっくるめて楽しんでしまおうという企画。日本では真面目なチェーホフ像が一般化されているだけに、開幕前からすでに笑いが込み上げる。

劇団夢現舎「戯曲試食会」 劇団夢現舎「戯曲試食会」

 第一部は「チェーホフについて」と称する芝居形式の講釈。タガンログに生まれた元農奴の息子がいかにして世界的ビッグネームとなったのか、チェーホフの考えが投影されている「かもめ」のワンシーンを再現しながら、彼の人となりを解説。また、サハリン旅行の足跡や妻となったモスクワ芸術座の看板女優との一風変わった生活を紹介するなど、チェーホフのことをよく知らない人には驚くような裏話、多少ともチェーホフについて関心を持っている観客とっては爆笑させられる小劇であった。

 第二部は一人芝居「タバコの害について」。ボロボロの燕尾服を着た初老の男が登壇し、タバコの害についての講演を行うというシチュエーションだ。なぜか冒頭から妻に対する不満と悪態に脱線。しだいにわが身の不幸への嘆き節と化していく。時々男は観客に絡んでいくのだが、観客も対応に困るのかノリはいま一つ。チェーホフの性格を予習しすぎた弊害だろうか。妻の視線におののく男は、結局何事もなかったかのように「…ゆえに、タバコは害毒であります」と講演を締めくくる。個人的な感想だが、第一部と第二部の演目を入れ替えていたら、観客の反応は少し違っていたのではないかとちょっぴり残念。今夏には「ワーニャおじさん」を上演予定とのこと、チェーホフの多面性がさらにわかる舞台を期待している。

(文:滝沢 三佐子/写真:劇団提供)

催し物情報

チェルノブイリ30年・福島5年救援キャンペーン
小出裕章講演会&チャリティコンサート

※この催しの収益は、チェルノブイリと福島の原発による事故被災児童の救援金にあてられます。
■日時 2016年4月23日(土)19:00開演(18:30開場)
■場所 練馬文化センター 小ホール(東京都・練馬区)「練馬駅」北口より徒歩1分

≪講演≫
小出裕章 元京都大学原子炉実験所助教。原子力を選んでいない子どもたちを被ばくから守りたい、と全国各地で講演を続けている。
≪チャリティコンサート ~フルートとピアノ 春の調べ~≫
吉原りえ(フルート)、新垣隆(ピアノ)
≪報告≫
黒部信一 「未来の福島こども基金」代表、小児科医、すずしろ診療所所長
佐々木真理 「チェルノブイリ子ども基金」事務局長

■定員 520名
■入場料 予約2,000円 当日2,500円 (全席自由)
■予約受付・問合せ先:チェルノブイリ子ども基金
※予約締切は4/22(金)午後3時まで。定員になり次第お申し込みを締め切ります。
E-mail cherno1986@jcom.zaq.ne.jp TEL/FAX 03-6767-8808
件名は「4/23イベント申し込み」として、以下の項目をご記載ください。
○お名前(ふりがな)○予約人数 ○メールアドレス ○電話番号 ○郵便番号・住所

同日開催「広河隆一 チェルノブイリ写真展」(入場無料)

フォトジャーナリスト広河隆一撮影の写真ほか、福島の子どもの描いた絵画を展示。
■日時 4/23(土)11:00~17:00
■場所 練馬文化センター内 2Fギャラリー
主催:チェルノブイリ子ども基金、未来の福島こども基金

マトリョーシカとロシアの玩具

 セルギエフ・パサード「ロシア国立玩具博物館」「東京おもちゃ美術館」姉妹美術館提携記念

 東京おもちゃ美術館が1980年代に始まるロシア〈旧ソビエト〉と、「おもちゃ」を通じて文化交流を続けたことで、ロシアを象徴する色とりどりの可愛らしいマトリョーシカを中心に、数多くのロシアの民芸玩具、構成玩具などを収蔵してきました。これらの玩具の成り立ちや背景から、ロシアの玩具の魅力が再発見できるコレクションを本展で一挙公開いたします。

日程:後期・2016年1月11日(月)~4月10日(日)
開館時間:10:00~16:00 (入館は15:30まで)※毎週木曜日休館
入館料:こども500円(6ヶ月~小学生)
おとな800円(中学生以上)おとなこどもペア券1,200円
場所:東京おもちゃ美術館企画展示室(東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」2番出口より お子さま連れで徒歩7分)

よこはま大さん橋フェスタ2016

鉄桟橋竣工122周年記念 みんなの市民大文化祭
日程:2016年2月27日(土)、28日(日)
時間:11:00~16:00
会場:横浜大さん橋国際客船ターミナル、CIQプラザ

内容:くじらのおなかコンサートSP/マルシェ&ワークショップ/魚と野菜を食いに来いヨコイチ大桟橋ワークショップ/ウッドカーチャンピオンシップ!/横浜FabLand/CIQステージ/カクテルショー&実演販売/パラスポーツinよこはま大さん橋/コスプレ撮影会&写真展

※マルシェ&ワークショップのコーナーに、ロシア雑貨店「パルク」が出展するそうです。お得な商品も土日入れ替えがあるとのこと。ぜひ足をお運びください!

主催:横浜港大さん橋にぎわい創造委員会
お問い合わせ:みんなの市民文化祭事務局(特非・横浜コミュニティデザイン・ラボ内)
FAX 020-4666-6061
bunkasai-info@pierfes.com

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。もっと面白くしたい方、新しい企画を思いついた方、協会や機関紙について感想や意見のある方は、読むだけでなくぜひ投稿してください。

 ユーラシア関連ネタなら文章でも写真でも絵でも、ジャンルを問わず何でもOK。

 ただし全てボランティアで、自分のオリジナル、または権利者の許可を得たもの、著作権法に触れないものをお願いします。ペンネームや注意事項があればそれも忘れずに。

 文章は1記事800字以内が目安で、長ければ編集・分割して掲載する場合もあります。

 担当者に忘れられない限りボツになることもほとんどないので、今のうちがチャンスかも?

 原稿はメールやFAXや郵便で下記へ送ってください。締切は毎月末で、翌月15日頃に発行されます。投稿をお待ちしています!

(機関紙編集部)

歴史・社会

日露領土問題の歴史(31)

 <終わりに>
 以上2年間にわたる連載で千島、樺太、北海道の歴史を紀元前 6~2世紀まで遡って記してきました。

 その結果、はっきりしたことは日本政府の領土要求の基礎になっている「固有の領土」、「北方四島」などという概念が全く科学的根拠を欠くものであるということです。

 また、領土問題を前提にして平和条約を結ばないのも日露共同宣言違反です。

 プーチン大統領は共同宣言が領土問題解決の基礎であると認めていますから、共同宣言に沿って速やかに平和条約を締結し、歯舞、色丹を譲り受けるべきです。プーチン大統領が健在な今が恐らく最後のチャンスになるでしょう。

 従軍慰安婦問題や南京大虐殺事件のように日本政府が過去の歴史の現実を認めようとしない事が領土問題解決の最大の障碍です。

 1945年、連合国が日本の無条件降伏を迫ったポツダム宣言の第8項には「カイロ宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」(外務省翻訳)となっていて、日本はこれを受諾し無条件降伏したのですから法律的には千島列島に対する領有権はこの時点で消滅しているのです。

 しかし、ポツダム宣言に先立つ1943年のカイロ宣言では「三大同盟國(米・英・中)ハ日本國ノ侵略ヲ制止シ且コレヲ罰スル爲今次ノ戰爭ヲ爲シツツアルモノナリ右同盟國ハ自國ノタメニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ズ又領土擴張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ズ。右同盟國ノ目的ハ日本國ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戰爭ノ開始以後ニ於テ日本國ガ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト竝ニ滿洲、臺灣及澎湖島ノ如キ日本國ガ清國人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民國ニ返還スルコトニ在リ。日本國ハ又暴力及貧慾ニ依リ日本國ガ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ驅逐セラルベシ」としています。

 千島樺太交換条約で帝政ロシアとの平和的交渉によって獲得した千島列島を日本から奪い取ったポツダム宣言はこのカイロ宣言とは矛盾しています。

 カイロ宣言は当時中立状態であったソ連の参加も無く、日付や署名も無いので法律的有効性は疑問視されています。しかし、その領土問題解決方針は第一次世界大戦で連合国側がドイツに過酷な賠償金と領土の収奪を行い、それがドイツ国民の復讐心を起こさせ、ナチズムの台頭、第二次世界大戦へと至った歴史的教訓を基にしたものであり、疑問の余地なく正しいものです。

 従って、4島返還などという支離滅裂な要求は止めて、日本政府は千島列島のソ連による占領がカイロ宣言に反しており、道義的に正しくないことを強く主張すべきです。

 戦後、70年もの間ロシアの占有下にあったのは既成事実として非常に重いものです。ロシアが今更、全千島列島の領有権を放棄することは考えられません。

 現実的な策としては全千島列島を対日経済特区としてビザなし交流を含む日本の経済活動の大幅な自由を認めさせ、ロシア側と共存共栄の実利を得るのが最善と考えられます。

 戦前、ソ連領であったウラジオストックでの日本人の活発な経済活動を想起し、その歴史から学ぶべきです。そこでは日本人は大きな政治・経済上の基盤を作り上げ、中心繁華街には日本人商社のビルが林立し、日本人学校、神社、教会などもあったのです。市議会には中島三芳氏のような日本人議員までいました。

ウラジオストク・旧堀江商店 アレウツカヤ通り39番 旧松田銀行部 オケアンスキー大通り24番 1907年建造
(左)ウラジオストク・旧堀江商店 アレウツカヤ通り39番
(右)旧松田銀行部 オケアンスキー大通り24番 1907年建造

(完)

(柴田)