ロシアの料理と歌を楽しみながら、会員の間で親睦を深めてみませんか?
6月23日、新会員・新受講生歓迎料理教室&親睦会を開催いたします。お誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。
日時:6月23日(日)
第1部・料理教室 10:00~13:00
第2部・親睦会&ロシア歌謡を歌う会 14:00~17:00
会場:横浜平和と労働会館5階
当協会横浜ロシア語センター教室
参加費:一般2,000円、会員1,500円(料理教室のみの場合は各500円引き)、新会員・新受講生は第1部・2部の一方でも両方でも500円
※新会員は2019年1月~6月の入会者、新受講生は2019年4月以降の入学者が対象
参加お申し込み締切:6月21日(金)
【第1部・料理教室】
メニューが変更されて「ビーツづくしのロシア料理とスナック」になりました。旬のビーツを根から葉まで丸ごと使い切ることをテーマに、下記1~3までをこの教室で作る予定です。お楽しみに!
1.ザクースカ:ビーツのみのサラダ
2.スープ:サリャンカ
3.メイン:ガルブツィ(ロールキャベツのビーツ葉版)
4.海軍マカロニ
5.手作りピロシキ
6.黒パン、その他
(4~6は別途用意される予定です)
持ち物:エプロン、三角巾、布巾
講師:滝沢 三佐子
【第2部・親睦会&ロシア歌謡を歌う会】
懐かしいロシア歌謡、チェブラーシカ、百万本のバラ、今人気の歌など…佐野真澄さんの伴奏で楽しく歌いましょう。リクエスト受付は6月15日まで。
※希望する歌の題名、作曲者名、歌詞付きの楽譜(伴奏用でなくても可)を下記締切日までに事務局へご提出ください。
(日本で広く知られていない歌は、上記に加えて動画・音声ファイルまたはダウンロードURLもあればお願いします)
リクエスト提出締切:6月15日(土)
お申し込み・お問い合わせ先:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
5月31日の河野・ラブロフ両外相会談で、6月29日に安倍・プーチンの日ロ首脳会議の開催が予定されました。
昨年までの日本側には日ロ平和条約の締結へ向けた収穫をこの日に得る期待がありましたが、昨年9月のウラジオストクのプーチン大統領の「前提条件なしの平和条約年内締結」発言以来、日ロ両国の読みが噛み合わなくなってきたようです。
ロシア側の発言も、昨年秋11月ごろから見ると変化しているように見えます。
日本ユーラシア協会全国理事長堀江則雄氏が最新の情報を持って参加します。
日時:6月30日(日)午後2時~4時
場所:横浜平和と労働会館5階・当協会教室(中区桜木町3-9)
茶菓子代:会員(ユーラシア協会及び平友連会員)300円、一般500円
※要予約。参加人数が多い場合は3階または4階に変更します。
主催:神奈川県日本ユーラシア協会
協賛:神奈川県平和と国際友好団体連合会
お申し込み・お問い合わせ先:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
北辺の旧「日本」樺太 サハリンへの旅
昨年、初めて企画したサハリン旅行。今年も最少催行人数に達しましたので旅行が実現しました。
今年は、広島からの参加者が多いです。関戸は昨年から岡山県の高校に勤務し、住居は広島県です。そのため、いろいろな行事に参加し、広島支部・呉支部と深いつながりができました。
広島では5月19日(日)に旅行説明会を開催し、樺太の悲劇を描いた『氷雪の門』の鑑賞会も行いました。その場で参加申し込みがありました。その後も参加希望者が増え、4人に。おかげで開催できるようになりました。
今年も「戦争と平和」、「宮沢賢治の足跡」の二つが大きなテーマです。今年は現地の人たちとの交流もしたいと考えています。詳細はチラシ画像をクリックしてご覧ください(PDFファイルが開きます)。参加人数はまだゆとりがあります。興味や関心をもたれたら、是非お問い合わせください。
期間:2019年8月9日(金)~8月13日(火)
料金:会員185,000円、一般200,000円
主な来訪都市:ユジノサハリンスク(札幌を模した州都)、ブズモーリエ・ドリンスク(宮沢賢治の足跡が残る地)、ホルムスク(『北のひめゆり』と言われる真岡郵便局女子職員自決の地)
● 旅行説明会 6月22日(土)14:00
会場:GS プラザ桜木町302号室
横浜市中区花咲町1-46-1
市営地下鉄桜木町駅から南2A出口すぐ
お申し込み・お問い合わせ先:
第2回 北辺の旧「日本」樺太・サハリンへの旅実行委員会
(神奈川県日本ユーラシア協会内)
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
今年も「8/15」が巡ってきます。毎年、戦争と平和を考えるDVD鑑賞会を開催しています。
今回は、アメリカ映画『死刑執行人もまた死す』(1943年)です。戦争の最中に制作された映画です。これは、実話を下敷きにした作品です。1942年、チェコ副総督ラインハルト・ハイドリヒ暗殺事件です。その報復のため、リデツェ村が村民全員皆殺しの上、村そのものを消滅させられたことは有名です。
映画は、その事件を取り上げています。ナチスの侵略に命を懸けて抵抗するレジスタンス。その中で、我が身の安全のため、あるいは金のため仲間を密告する裏切り者。その結末はどうなるか。その犠牲はいかなるものか。息詰まるような緊迫感は、ぜひ映画を鑑賞なさってみてください。
自分の身に置き換えて、自分は命を懸けて仲間を守れるのか。平和を守れるのか。この映画は、観る人に問いかけてきます。
日時:2019年8月18日(日)13:00~
会場:横浜平和と労働会5階 当協会教室
参加費:500円(黒パン・紅茶付き)
お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
(関戸)
芸 能
学校が終わって3ヶ月の長い夏休みに突入したロシアから、2019年5月第3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中6曲が新曲の大嵐&1曲がカムバック!
10位にロボダの新曲≪Пуля ? Дура≫(弾丸は愚女)がランクインしました。チャートでは大変お久しぶりのダイネコの新曲≪Твоя девочка≫(貴方の女の子)が9位になりました。
7位にロデオン・ガズマノフの新曲≪Маяк≫(灯台)が入りました。彼の父は、2001年にロシア連邦国民的芸術家として表彰された有名アーティスト、オレグ・ガズマノフです。
6位にこれまた懐かしい、2000年代前半に大活躍したルキー・ヴェルフの新曲≪Она меня целует≫(彼女は僕にキスをしている)。メンバーを一新し再結集。数年前には結成20周年記念で再度チャートに上がってきました。
5位にはベラルーシ出身の歌手コルドゥンの新曲≪Вертолёты≫(ヘリコプター)が、4位にはウクライナ・ヘルソン出身、バルスキフの新曲≪Неземная≫(天上の女)がランクイン。
そして今月も、ピロシコフの新曲≪Зацепила≫(君に僕は首っ丈)が3ヶ月連続首位。おめでとうございまーす!:-)
画像引用元:
Руки вверх, Родион Газманов, Вика Дайнеко→https://vk.com
Макс Барских, Дмитрий Колдун, Loboda→http://www.peoples.ru/
(MOPA)
ユーロヴィジョン2019 オランダが44年ぶり優勝
5月にイスラエルの首都テルアビブでユーロヴィジョン2019が開催された。
ユーラシア勢はセミファイナルでロシア、ベラルーシ、アゼルバイジャン、エストニア以外落選。混戦が予想されたが、露芸能界の貴公子ラーザレフが貫禄と美声を披露し、3位に入賞。優勝はオランダ、44年ぶりの快挙。
でも普通ならそこで終わりだが、実はこの後、ファイナルでファイナルで審査員の規則違反と人為的ミスが発覚し、一部順位が次のように変動した。
オランダ(1)、イタリア(2)、ロシア(3)・・・アゼルバイジャン(7→8)、エストニア(19→20)、ベラルーシ(25→24)。
(MOPA)
アルスー娘出場の子供オーディション番組で不正発覚
日本のユーラシア音楽FANの中でもよく知られる歌姫アルスー。ユーロヴィジョン2000で当時ロシア最高位の2位を獲得し、更に富豪の元に嫁ぎ、二人の天使サフィアとミケラをもうけ、順風満帆な日々。その次女ミケラが大きくなり、露のオーディション音楽番組「ゴーラス・ヂェーチ 第6シーズン(以下ゴーラス6)」に登場した。
ゴーラスは露の公営テレビ局1TVによる超人気番組。有名芸能人の指導の下、有能な子供たちが歌で競い合い、視聴者が電話投票で選ぶというシステム。
同番組では歌唱力ある子供たちが接戦を繰り広げ、ゴーラス6ではミケラが優勝となった。しかし視聴者の多くは彼女の獲得点の異常な多さに疑問を持った。サイバー犯罪調査機関Group-IBによる調査の結果、アノニマス票が38,000票もあることが判明。電話投票は有料で、投票時に一票60~80ルーブル課金されるため、総額200~300万ルーブル。ミケラの優勝のために、何者かがそのような巨額でミケラ票を”買った”のだ。票を不正に買ったのはミケラの親族だとか、または1TVが視聴率を稼ぐために子供たちと有名芸能人の娘を使ったのだとかなど、様々な憶測が飛び交っている。いずれにしても子供の夢が、一部の大人達のエゴで蹂躙されたのだ。
これを受けて、「ゴーラス6」の結果は無効になり、スーパーファイナル参加者全員が再度出場し、全員優勝という異例の締めくくりとなった。尚、ミケラはこの再出場には姿を現さず、応援してくれた視聴者にビデオメッセージを送った。
(MOPA)
映 画
3度目観る日が楽しみ 映画「ソローキンの桜」を2度観て
最初は、この映画は、松山にある「捕虜収容所」の物語であると思っていました。というのも、この映画のチラシを見た時、その一ヵ月ほど前ではあるが、民放のテレビで、日露戦争当時、松山にあった同収容所について、かなり詳しく放送していたからであった。
テレビでは、収容所の所長が主人公として描かれていた。とても好感の持てる番組であった。この当時の日本を知らない私にとって「日本人も、ナカナカヒューマンな人物が居るんだなあー・・・」と思ったものだ。
さて、そうした事情から、私は、この映画も、松山の捕虜収容所を舞台にして、物語が進んで行くものと思っていた。必ずや、そうした映画だろうと思い込んでいた。ところが、実際に映画を見て言うと、私の思いと映画のそれは、だいぶ違っていた。
もちろん、テレビのそれと同じように日本人とロシア兵捕虜との交流は描かれていた。日本の文化、すなわち異国文化に初めて触れるロシア人の驚き、そうした場面は、ユーモラスに描かれていて、面白かった。初めて、畳や障子に出会った時には、誰でも映画にあったようになるでしょうね。靴を脱がずに畳に上がろうとして誰かに怒られますね。でも、西洋人は、ほとんど靴を脱がないのだから仕方がないのですけど。私も、日本に来た時は、こんな感じでした。まあー、障子に手を入れて、破ることはしませんでしたけど。
また、他のシーンで「ロシア人は、自分でも理解できないくらい複雑なのです」という。前後するが、「ロシアは偉大な文学の国。美しい言葉を使い、言葉にいろいろな意味を込めるのです」というセリフでも、うなずけるものがある。ロシアはプーシキン、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイといった偉大な文学者を生んだ国だから。
そういった、もろもろの面白さをこの映画は、随所に散りばめている。だが、私が一番惹かれるのは、次のシーンだ。ソローキンとその上官であるボイスマン大佐との会話である。ソローキンはボイスマンに言うのである「庶民の反乱が多くなり、軍隊でも反帝政派が広がってきました」と。これを聞いたボイスマンは「噂は本当だったか」と応えて「日本と戦争をしている場合じゃない」と言う。
この映画をだんだん観ていると、ソローキンが共産党員、いや、当時の社会民主党員ではなかったかと思えてくる。そうしたことが、私がこの映画に惹かれる所以である。寺の少年にロシア兵が“コニャック”を買って来るよう頼むシーンある。その少年こと四郎は、お酒ではなく“コンニャク”を買ってきてしまうのだ。こんな面白いシーンもあるが、私は、ソローキンが反帝政派であり、わざと捕虜になり、日本の政治的な動きを探りに来た諜報官であることに、この映画の最大の魅力があると考える。もちろん、看護婦さんとの恋はそうした映画の核心部分を飾るものであるとしか見えてこない。
この映画を褒め過ぎることはない。数ある映画の中で、好きな映画の最上位にあげることができる。アルゼンチン映画「オフィシャルストーリー」も好きな映画ではあるが、この映画も、それと同じくらい好きになった。
映画の感想は、人それぞれで、自由であろう。でも、この映画は、単なるラブロマンスを描いた恋の物語ではない。2回観たが、それでももう一度観てみたいと思うほど、良い映画である。多分、奥の深い内容を持った映画だから、そう思わせるのだろう。
映画を見る前から、病院職場の労働組合の掲示板にチラシを掲示しておいた。映画の副主人公が看護師であるから、私の病院職場の職員にも、見てもらうよう声をかけていた。それだけに観るのが楽しみだった。 初めて観たのは、横浜のジャックアンドベティという映画館であった。とても、良かったので映画館からチラシを数十枚もらって、私の住んでいるマンションに30枚ほどポストインした。その他、マンション管理組合理事長にも渡した。驚いたことには、数日したらマンションの回覧板に、ソローキンのチラシが挟まって回覧されてきたのであった。きっと、理事長が気を利かせて回覧したのだと思う。
二度目、東京有楽町の映画館で観た。2度観ても、とても良かった。映画館でポスターを求めたが「無い、チラシはありますが」と言われた。そこで、仕方なくソローキンの本を買った。
この映画の良さが今でも心地よい余韻として残っている。2回とも一人で、観たができるならば、3回目は皆で観て、感想を語り合いたい。とても素晴らしい映画であった。3度目を観る日を楽しみにしている。
(地域労組よこはま副委員長 今野)
EUフィルムデーズ2019でバルト三国の作品上映
5月末から6月27日まで、在日大使館・文化機関が提供する作品が一堂に会するEUフィルムデーズが開催されます。
24作品が上映される17回目の今回は、本邦初公開2本を含むバルト三国の3作品を上映。
「小さな同志」(2018年エストニア、モーニカ・シーメッツ監督作品)
「バルト・キングダム」(2018年ラトビア、アイガルス・グラウバ監督作品)
「古代の森」(2017年リトアニア、ミンダウガス・スルヴィラ監督作品=写真)
場所:国立映画アーカイブ(東京・京橋)
上映スケジュールはwww.eufilmdays.jpにて。
(滝沢)
アムールの秋映画祭「日本シネマデイズ」参加者が記者会見
6月5日、7日 於:四谷区民ホール
極東アムール州の州都ブラゴベシチェンスクで、2002年以来毎年開催されている映画祭「アムールの秋」。今年は日本の映画作品やエンターテイメントを紹介する「日本シネマデイズ」が設けられることになった。「ひとりじゃない」(鐘江稔監督作品)、「くらやみ祭りの小川さん」(浅野幸泰監督作品)など映画5本、江戸糸あやつり人形結城座、殺陣集団鴉などのステージパフォーマンス組織が参加することになり、それぞれが意気込みを語る記者会見が行われた。
また、同映画祭への一般参加者も募集している(9月12日~17日の6日間)。
詳しくは、一般社団法人ユーラシア国際映画祭(代表:増山麗奈、070-6425-4217=加藤、info@eurasiafilmfestival.net)まで。
(滝沢)
演 劇
日露演劇交流 私立中等教育学校シュコーラ・ブンデルキンド演劇部
マルシャーク原作『幸せはだれのもの』
5月9日 於:両国 シアターΧ(カイ)
シュコーラ・ブンデルキンドは、サンクトペテルブルグ北部にある私立の小中高一貫校。このほど、ロシア関係教育者や交流に尽力している人たち、日露青年交流センターの助成により、同校の演劇部約30名による来日公演が実を結んだ。
演目は「森は生きている」でおなじみのサムイル・マルシャーク作、「不幸を恐れれば幸せは来ない」(Горя бояться-счастья не видать)という原題の戯曲『幸せはだれのもの』。
孤児ナースチャのおじさんは、何世代にもわたって貧乏で不幸な木こり。あまりの辛さに「不幸よ消えてくれ」とお願いをするとなんと「不幸」が姿を現した。
「不幸」が言うには、「私を追い払うのは簡単さ。だれかを騙して物を受け取らせ、おまけとして“不幸”をつけてあげるだけ」木こりは商人に「不幸」を押し付けた。すると商人の荷馬車は消え強盗に遭うという不幸に見舞われる。しかも強盗の濡れ衣がかけられる。
そこへ王さまがお伴を連れて狩りにやってきた。獲物を料理するのにマッチを忘れた家来たちは火を起こせない。商人が火打石で火を起こしてあげると、王さまは喜んで火打石を買い上げた。もちろん「不幸」がおまけだ。王さまの取り巻きは消え、国庫は空っぽ。戦争にも負けてしまった。
王さまにとりついた「不幸」だったが、王さまの生活力のなさにあきれて、自分を追い払うよう懇願した。王さまは兵士ワーニャに何か売りつけたいが、まじめな彼は何もほしがらない。やっとのこと金の煙草入れを買わせて「不幸」もおまけにつけてやり、ワーニャは戦争に送られた。ところがワーニャは「不幸」を恐れず、煙草入れに閉じ込めてしまった。
一方、ワーニャの帰りを待つ孤児ナースチャは、金持ちと結婚させられようとしていた。結婚式当日、ワーニャが戦争から戻って来た。ところが、持っていた煙草入れが高価すぎると盗みの疑いをかけられて…。
字幕なしの上演だが、ダンスや歌、映像などを用い、工夫に富んだ舞台だった。特に赤い髪でタキシードを着た「不幸」がなんとも魅力的。小悪魔的なふるまいで、新しい持ち主の前に姿を現すたびに、情熱的なタンゴを踊る。また、王女のフランス人婚約者も「フランス語なまりのロシア語」という凝った役作りで観客を笑わせた。白樺たちの歌や踊り、ロシアのフォークロアを存分に感じされる衣装なども、存分に楽しめた。
学校の演劇部とは思えない演出と演技力だが、あくまでも学校の「部活動」なので練習時間は放課後や休日だけとのこと。指導するアンドレイ・ブラジュニク校長によると、これだけの演劇を見せる彼らだが、プロになる生徒はほんの数人、自分としては厳しいプロの道は勧めないとのことだった。それでもみんなで何かに取り組むという体験は貴重なもの。創造性を高める教育に重点が置かれている同校の生徒たちは、それこそ「未来の不幸を恐れない」目をしていて頼もしい。日露演劇交流もプロだけの催しではなく、こうした市井の愛好者も多く巻き込んでほしいと強く思った。
(文・写真下:滝沢/舞台写真提供:シアターΧ)

ラマダーン特別講話「世界の国々のラマダーン~ロシア」
5月25日 於:東京ジャーミー
代々木上原にあるモスク、東京ジャーミーで毎年行われているラマダーン期間中の講話会。
今回は待望の「ロシア」がテーマです。講師はウラジオストクから8年前に来日したボイチェンコ・クセニアさん。キリスト教から改宗されたそうですが、自身の揺るぎない信仰とともに、ロシアにおけるイスラム教徒の今昔を語ってくれました。
現在、ロシア国内人口のイスラム教徒は、キリスト教徒(正教徒など)の70%に対しおよそ2000万人の10%を占め、増加中。政府人口調査で宗教を問う項目がないため、はっきりした数字は不明とのことでした。イスラム教徒が多数を占めるのは、イングーシ、チェチェン、タタールスタンなどの自治共和国。ロシアにおけるイスラムの歴史は10世紀初頭に遡ることができるそうです。ソビエト連邦に組み込まれたことによって、異なる民族でありながら、ロシア語で意思疎通ができる反面、ソ連時代はイスラム教徒にとって逆境のときでもありました。
現在の状況では、各地にある有名なモスクが紹介されました。特にモスクワ観光でもコースに入ることのあるオールド・モスクの数奇な運命、シーア派とスンニー派の両宗派が同敷地にあるInam&Yardamモスク、カーバ神殿の方向に向いていなかったことから立て直しとなり、ロシア最大のモスクとなったカテドラル・モスクなどが印象に残りました。ちなみに東京ジャーミーはタタールスタンの縁が深く、現在のモスク建築にもタタール人によるものだそうです。
最後にロシアでのラマダーンの過ごし方について。信者数に対しモスクが少ないため、ラマダーン明けとお祝いの礼拝時、モスクワでは道路を封鎖しての礼拝が風物詩となっています。また、断食に入る前の食事(スフール)、断食明けの食事(イフタール)にどんなものを食べるのが理に適っているか、ラマダーン中に行われるレクチャー、イスラム各国を紹介するイフタール会、コーランの暗唱大会など、多彩な行事が行われることが紹介されました。
質疑応答では、ロシアにおけるイスラム教徒に対するイメージなどについて質問が出されました。これに対してクセニアさんは率直にマイナスイメージもあるとしながらも、多くの人が肯定的にとらえていると回答しました。また、「発酵飲料であるクワスはハラールなのか」という質問に対しても、「ハラームです」と回答。さらに「発酵時に生成されるアルコール分も非常に少ないし、ソフト・ドリンクの一つでもあるので、飲んでもいいという人もいるかもしれない」という意見を紹介しました。
多様なロシアのイスラム教徒のすべてを尋ねることは難しいですが、ロシア人ムスリマ(女性のイスラム教徒)のお話を伺う貴重な機会となりました。
(滝沢)
ロシア側は本当に日本企業の工場誘致を欲している。しかし日本側は…。
ロシア工業団地協会セミナー
ロシア工業団地協会主催の「ロシアにおける日本企業の事業拡大のために~生産現地化と産業協力」をテーマにしたセミナーが、5月15日(水)午後2時から、東京のニューオータニで開催されました。
「ロシア工業団地協会」は、2010年に設立され、現在、各地の工業団地を運営する130社及び機関が加盟おり、その目的の一つとして「ロシアでの現地生産を検討する日本企業のため、各社の条件にできるだけ合致した適正な立地先を選択するための支援をする」ことをあげています。
今回の紹介工業団地は、「カルーガ州」「ウリヤノフスク州」「スヴェルドルフスク中部ウラル工業団地」「クラスノヤルスク地方シベリア農工団地」「ハバロフスクアワンガルド工業団地」で、各工業団地代表者から誘致プレゼンがありました。
進出日本企業の具体例としては、IHI統括本部主幹の高橋信康氏から「モスクワ郊外のジル工場(ジルと合弁会社を設立)の旧施設を活用して、ルノーのモスクワ工場(年16万台)に車体の一部を納入している。また、現在、新工場を建設しており、近々完成する」と報告。
続いて、ブリヂストンロシアCISユニットリーダーの村上恒氏から「98年に販売用製品工場をウリヤノフスク工業団地内に立ち上げ、2013年には、三菱商事と一緒に本格的製品工場を建設した。工場立地の決定要因はウリヤノフスク州政府が信頼できたから」と報告しました。
最後に、現ロシア工業団地協会日本アジア太平洋地区担当顧問の大橋巌氏が「今年は、ロシア側は日本から工場を誘致したいとの意欲が強い」と報告。しかし「工場建設をロシア企業に丸投げしても、建設段階で、必ずブレが出てくるので対応策を考えておく必要があり、そのためにも工業団地協会を活用してほしい」と結びました。
最初の挨拶の中で、在日ロシア大使館次席代表参事官ドミトリー・ビリチェフスキー氏は「ここ数年、日ロの経済交流は、だんだん大きくなっているが、まだ2013年の貿易額には達していない」と日本側の奮起を要請しました。しかし、挨拶中心の第1部は若きビジネスパーソンで満席状態でしたが、コーヒーブレーク後の具体的工業団地、各企業の話になると、空席が目立つようになり、顔触れも研究者、顧問風な人が目につくようになってしまいました。
(木佐森)
書評 ビリービンとロシア絵本の黄金時代〈改訂版〉
田中友子 著/東京美術 刊/2,500円+税
もし、革命前のロシア絵本を見たいならばイヴァン・ヤーコヴレヴィチ・ビリービンをお薦めしよう。19C~20C前半を生きた最も魅力的なイラストレーターであり、いつもネクタイをしている伊達男である。冷たい表情からは、冷徹に物の本質を見極めようとする意志が垣間見える、イリヤ・レーピンの弟子である。スラブ文化圏を愛し、確かなデッサン力で絵本の挿絵を描きあげていった。「芸術世界」誌同人として活躍し、ロシア・バレエ団の舞台をも筆を入れた。「芸術世界」のメンバーとして、W・モリスやアール・ヌーボーの原理、ジャポニズムの遠近法を熱く語りあった。「生活に美を!」という主題と、スラブ民話を、直接的に結びつけていった。彼はたくさんのデッサンを残すうちに、ロシア民謡の知恵と素朴さを愛し、敬意さえ払うようになった。民話はロシアでなぜ必要であったか。それは、重税にあえぐ民衆にとって、心のよりどころの場になるからだ。口実の不確実性に、絵で広がりを作り、色彩豊かな頁を何度も読む喜びを、ビリービンは気ついたのである。1861年、農奴解放令が出たが、民話は弱者や農民の味方であり続けた。スターソフ、レーピンが作った絵画の黄金時代を結実させた童話画家であった。亡くなるその日も、ネクタイをしめていたという話は有名である。
(中出)
投稿歓迎!
「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
ただし、作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。
毎月末締切、翌月15日頃に発行される見込みです。
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館1階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp
(機関紙編集部)