NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会

★ 夏休みのお知らせ ★

 2022年8月7日(日)~21日(日)は協会の夏休みのため、事務局・各種教室・物販事業等は休業いたします。
 夏休み中の行事へのお申し込み・お問い合わせは休みに入る前にお願いします。
 また、休み中にいただいたお問い合わせへの対応は休み明けに順次行います。ご了承ください。

 

今回は自慢の料理を紹介して交流します
ウリヤノフスク・ウラジオストク・東京・横浜 オンライン交流会

 本紙でも記事として紹介していますが、ウリヤノフスク及びウラジオストクで日本語を学んでいる人たちと横浜ロシア語センター及び東京城東支部でロシア語を学んでいる人たちと、3カ月に1回程度の頻度で、毎回テーマを決めてロシア語・日本語で3分以内で話をします。会話者は、それぞれ10人程度、合わせて20人から30人です。

 今回8月の交流会は、それぞれの自慢の(伝統の)料理を、ロシア側は日本語で、日本側はロシア語で紹介して交流しようというものです。日本側からは、横浜の板垣さんが「麺つゆと炊き込みご飯」を紹介します。東京城東支部は「冷やし中華」です。ウリヤノフスクからは「アクローシカ」「カッテージチーズのヴァトルーシキ(菓子パン)」を紹介します。

日時:8月21日(日)日本時間18時
Zoomミーティングルームにて

※夏休み中のお問い合わせ先については、機関紙8月号紙面をご参照ください。協会事務局は休業させていただきます。

 
カリーニングラードを知る会

「カリーニングラードを知る会」8月28日開催

 バルト海に面したロシア西端の都市カリーニングラード。リトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地です。1946年にソ連領になるまでケーニヒスベルクと呼ばれたドイツの都市でした。
 長い歴史と様々な顔を持ち、ソ連とプロイセンの文化が交わるこの都市について学んでみませんか?
 今回は横浜ロシア語センター講師のプレスカヤ・エカテリーナさんを迎え、出身者の視点から語っていただきます。
 詳細はチラシ画像(PDF)をご覧ください。

日時:2022年8月28日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館4階会議室
参加費:一般700円★、会員500円
定員:20名(先着順、要予約) ※既に満席になりましたので、参加お申し込み受付は締め切らせていただきます。

 
「モスクワからの日本語放送 祝80周年!元アナウンサー大放談」

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会創立60周年記念行事
「モスクワからの日本語放送 祝80周年!元アナウンサー大放談」

 BCL(短波放送をメインとした、ラジオの国際放送を受信して楽しむ趣味)愛好者の間で絶大な人気を誇った「モスクワ放送」。今年4月に80周年を迎えました。
 この歴史ある放送局にスタッフとして飛び込んだ西野肇氏、日向寺康雄氏、長年のリスナー代表として蒲生昌明氏を迎えた大放談を企画。
 さらに、今年は岡田嘉子さんの没後30年。往年のスタッフについての思い出も含めて、モスクワ放送の意義や裏話など大いに語っていただきます。サプライズ出演もあるかも?!
 往年リスナーから、まだモスクワ放送を聴いたことのない方までお楽しみいただけます!
 詳細はチラシ画像(PDF)をご覧ください。

とき:9月11日(日)13:30開場、14:00開始
ところ:横浜平和と労働会館4階会議室
参加費:800円(会員)1000円(一般)
定員:20名(要予約)

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今月の報告はありません。

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横浜ロシア語センター 第137期 教室公開日

 私たちはなぜロシア語を学ぶのでしょう?不可解なロシア、だからもっと知りたい、言葉も文化も国民も…
 当日は教室案内、入門体験講座、学習相談、ロシア語での一言スピーチ交流会、筆記体のカリグラフィー講座など、楽しい企画を用意してお待ちしています。
 ロシア語に関心のある方、これから始めたい方、どなたでも歓迎します!

日程:9月17日(土)、10月1日(土)
時間:10:30~16:00
参加費:無料
場所:横浜平和と労働会館5階教室&オンライン(Zoom)併用予定(状況によりオンラインのみで開講の場合あり)

内容:
10:30~横浜ロシア語センター案内(両日)
11:15~入門体験講座(講師:大山麻稀子=9/17、菅原彩=10/1)
12:00~学習相談(両日)
14:00~ロシア語受講生交流茶話会(9/17)
14:00~カリグラフィー講座(10/1、講師:大山ひろみ、材料費300円 オンライン参加の方は用紙と「ぺんてる 筆タッチサインペン」をご用意ください)
ロシアの茶菓子試食(両日、状況により提供中止の場合あり)

※詳細は追ってホームページに掲載予定です。

 

ロシア語秋期集中講座「句読点」

 火曜日に全4回シリーズで開講します。中級文法である関係代名詞や直接話法・間接話法などを既にある程度学んだ方が対象です。句読点の重要な規則を学び、作文や朗読に役立てましょう。

日程:9月20日(火)、9月27日(火)、10月4日(火)、10月11日(火)
時間:19:30~21:00 全4回
講師:須藤アレキサンドラ
受講料:一般15,400円、会員13,200円(全4回分、教材費込み)
講座やお申し込み方法の詳細は横浜ロシア語センターホームページにて。

 

常設ウクライナ語講座 10月開講!

 待望のウクライナ語コースを新規開講します!ウクライナ・チェルカースィ出身のジェルーリ・ラリーサ先生を講師に迎え、中澤英彦著「ニューエクスプレス・プラス ウクライナ語」等を使用し、ウクライナ語を初めて学ぶ方のための「入門」、「ロシア語履修者のためのオンライン講座」の2クラスを予定しています。

 今後ウクライナ人とはウクライナ語でコミュニケーションを取る機会が増えてくるでしょう。奮ってご参加ください!

 講座の詳細については追ってホームページに掲載する予定です。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。
 8月のレッスンは6日、27日です。詳細はお問い合わせください。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織状況

(2022年7月31日現在)

 7月は、2022年後期講座の土曜入門クラスを担当される新しい講師の先生が入会され、退会される方がいなかったので、6月より1名増えて、7月31日現在の会員数は225名です。

(木佐森)

 

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2022/7/31
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計170,160191,845-21,685
教育事業414,200336,47077,730
一般事業83,47339,25344,220
合 計667,833567,568100,265
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計472,765749,409-276,644
教育事業520,080739,090-219,010
一般事業22,4491,10021,349
支出合計1,015,2941,489,599-474,305
当該月収支-347,461-922,031574,570
累計収支計267,812-810,4651,078,277

 2022年7月の財政状況は、前年21年とほぼ同じ様に推移していますが、収入面では、教育事業収入が10万円ほど多くなりました。

 それは、今年は、夏期集中講座「中級総合レベルアップ講座」を新しく開設したので、定員いっぱいの6名分の授業料が収入増に寄与したことによります。

 支出面では、昨年21年の一般会計支出が、今年22年に比べると27万円多かったのは、5F教室の電灯をLED化した工事費のためです。

 1月からの累計収支がプラス26万円で、昨年のマイナス81万に比べると皆様の努力で踏ん張っています。

 8月7日(日)から21日(日)まで夏休みですので、ご注意ください。

(木佐森)

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ウクライナ産レモン・ジンジャージャム

ウクライナ産レモン・ジンジャージャム 390g/600円(税込)

生姜とレモンのビタミン豊富なジャムです。
ヨーグルトに、ベーカリー製品のコーティングに。お湯で割って飲んだり、紅茶やアルコールのアクセントとして加えても。
夏はかき氷のシロップにも良さそう!さわやかな風味をお楽しみください。

原材料名:砂糖、レモン、しょうが、ペクチン
賞味期限:2023年7月21日

 
菓子詰め合わせ 菓子詰め合わせ

ロシア連邦チュヴァシ共和国 アッコンド社 菓子詰め合わせ
8種300円(税込)のところ 2袋購入で500円(税込)!

ロシアのお菓子、2袋購入にご協力いただいた方には値引きいたします!

内容:オトロミー(キャラメル入ウエハースチョコ)、ドブリャンカ(ヘーゼルナッツ入チョコ)、プロンビローク2種(アイスクリーム味&ヨーグルト味ウエハース)、スリーモ(アーモンド入クリスピーチョコ)、フトローク(ミルククリームウエハース)、アデル2種(バニラ味&チェリー味アーモンド入スイーツ)

商品は協会事務所で取扱中。営業時間:平日・土曜12時~18時(外出の場合もありますので、確実を期す時は事前にご予約ください)

 
ウエハース3種

ロシア連邦チュヴァシ共和国製 ウエハース3種 250g/450円(税込)

ロシアのウエハース袋入りも販売中。素朴な甘さが楽しめます。
写真は左からフトローク(ミルククリームウエハース)、プロンビローク(ヨーグルト味)、プロンビローク(アイスクリーム味)。

商品は協会事務所で取扱中。営業時間:平日・土曜12時~18時(外出の場合もありますので、確実を期す時は事前にご予約ください)

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 先月国際宇宙ステーションから撤退すると表明したロシアから、2022年7月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月も10曲中4曲が新曲!

 露芸能界の貴公子ラーザレフの≪Танцуй≫(踊れ)が9位にランクインしました。

 ロシア当局に「海外エージェント」と見なされ只今ドバイに逃避中のお騒がせラッパー・モルゲンシュテルンとルーマニアの有名ビートメイカー・アルネがコラボした新曲≪Daleko≫(遠く)が7位にランクイン。

 4位に久しぶりのマヤ・ミシェルが登場。ユニットはシングルMVを撮影に東京に来たことがあり、また楽曲にも日本文化を題材にすることがあります。一方Doseは2020年から活動しているカザフスタン出身のラッパーで、本名であるアイドスから芸名をドスとしたとか。 彼らのコラボ≪Пташка≫(小鳥さん)が今年3月にリリースされ、YouTube上では7月下旬現在280万回の再生回数。

 ガヤゾフブラザーが2ヶ月目首位でしたが、今が旬なアンナ・アスティの新曲≪По барам≫(貴方はバーをハシゴして)が首位奪取しました。6位にはキルコーロフとのデュエット曲もチャート保持してるのに、凄いです。当新曲は7月上旬にリリースされ現在YouTube再生回数は、たった2週間で驚愕の1750万回超え!7月2日にはKING MEDIA GROUPと共同でオンラインストア「ANNAASTISHOP」を発表。おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2022年7月15日~21日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
ウクライナ侵攻で揺れるロシア音楽産業

ウクライナ侵攻で揺れるロシア音楽産業

 露のウクライナ侵攻が開始してから、異を唱えた露とウクライナのアーティストらが、50年間入国禁止措置を受けたり、国内でのコンサート開催を禁ずる措置を受けた。対象者リストは文化省で更新され、コンサート会場の責任者に配布され、7月7日に最新版が登場した。リストの中には30年以上のキャリアを持つベテラン男性歌手ヴァレーリー・メラーゼ、ソ連時代から続く伝説のロックグループ、マシーナ・ヴレーメニやアクアリウムやDDT 、映画「ロシアンブラザー」の主題歌を歌ったビー2、ユーロヴィジョン2020露代表Little Big、卑猥な言動でお馴染みのお騒がせラッパー・モルゲンシュテルン等、30の歌手やグループがリスト入りした。露で活躍するアーティストは基本、コンサートやライブで収益の大半を得る。日本のようにCDが収入の大部分を支える仕組みにはなっていない。だからこの措置は、アーティストの生命線を断ち切る仕打ちなのだ。

 露には音楽会社が数多くあるが、侵攻により悪影響が計り知れない。

 先ず米国音楽レーベルUniversal Musicは、3月9日に全てのアーティストとの契約を停止した。ここにはロリータ、アンナ・セダコワ(元ViaGRA)、NoizeMC、IOWA(ベラルーシ出身グループ)、アンナ・アスティ(グループArtik&Asti元女性ソリスト)、エルジェイ(Sayonara Boyとしても有名)などが在籍していた。ロリータやアスティは契約解消となり、アスティはメタレーベルやKING MEDIA GROUPへと奔走する羽目に。露文化省のブラックリスト入りしているNoizeMCは同じくリスト入りしているモネートチカと世界平和を願うコンサートを国外で開催、中央アジアやスペインなどでライブ活動を精力的に展開。

 同じく米国音楽レーベルWarner Musicも、3月に露での事業を停止した。ここには、アニー・ローラク、FEDUK、 Artik&Asti、ムーミイ・トローリ、ガヤゾフブラザー、エゴール・クリード、Little Big、 リョーシャ・スヴィーク、アルトゥール・ピロシコフ、Guf、Jah Khalib、Filatov & Karas、アルチョーム・カーチェルら多数の有名アーティストが籍を置いていた。アニー・ローラクは侵攻を受けて無期限でコンサート活動を自粛、LittleBigは米国転出なので問題なくリリースできているようだが、その他のアーティストは、新曲リリースもままならぬなどアーティスト活動に影響が出ているようだ。

 同じく米国音楽レーベルSony Music Entertainmentと同系企業も、3月に露での事業を停止した。ここには、Alexeev、 マックス・バルスキフ、 セルゲイ・ラーザレフ、LOBODAら有名アーティストが籍を置いていた。Russkoe Radioなど6つのメディアを管理する「ロシアメディアグループ」の発表によると、「LOBODAは舞台でウクライナ侵攻を背景に露と社員に暴言を放った」そうで、LOBODAは契約破棄され、「50年入国禁止するウクライナのアーティスト」としてAlexeevとマックス・バルスキフと共にリストアップされた。ラーザレフも当初は侵攻に反対し早期平和的解決を求める声明を発表したが、露国内での興行禁止アーティストにリストアップされてから立場を変え、ドンバス地域の子供達に支援したり、世界における露文化のボイコットを非難したことで、解除されたようだ。2022年に入って新曲のリリースはなく、昨秋にリリースしたアルバム≪8∞≫から≪Танцуй≫をシングルカットし7月28日にMV公開しているが、Sony Music Entertainmentとの関係等については明らかにされていない。

 露の音楽レーベルAtlantic Records Russia(旧Zara Music)は、Warner MusicとBelieve Musicのディストリビューターだったが、侵攻により無期限でリリース中止を決定。ここには、モルゲンシュテルン(卑猥でお馴染みのお騒がせラッパー)、HammAli & Navai、 Emin(同レーベルの共同創設者でもある)、Rauf & Faik、Jonyなどが在籍している。モルゲンシュテルンは現在ドバイに移住しているが、露文化省のブラックリスト入りし更に露法務省から「海外エージェント」指定され現在控訴中。現在Atlantic Records Russiaとどのような関係を維持しているか不明だが、音楽活動は止めることがないようで、露SNSのVKやYouTubeに集う数百万のリスナーに向けて発信中だ。

 何とか首を繋ぐのに必死の露アーティスト達だが、6月上旬に更に追い討ちをかけるニュースが舞い込んだ。それは、露銀行が欧米の著作権者へ外貨での支払いを停止したことだ。全米音楽産業連盟のニキータ・ダニロフは中央銀行に対し規制に関する迅速な説明を求めたが、経済開発省に送られた。一方経済開発省では「中央銀行の権限内のことであり、当省には権限はない」と、たらい回しの様相だ。

(MOPA)

 
「落とし穴」 「落とし穴」

「ジャンプ」 「ジャンプ」

「02」 「02」

「オスカーとリリ」 「オスカーとリリ」

【映画】「EUフィルムデーズ2022」

5月28日~ 6月23日 国立映画アーカイブ、7月8日~31日 オンライン配信

 欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が提供する作品を一堂に上映するユニークな映画祭「EUフィルムデーズ」。20回目の節目を迎える本年はEU加盟全27カ国が参加し、EUが重視する文化的多様性と社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン:社会的に弱い立場にある人を排除・孤立させることなく、共に支え合う社会)をテーマとした作品を中心にセレクト。バルト三国の作品は、今年も大きな問題提起を孕んだ大作だった。


「落とし穴」

(原題:Bedre ダッツェ・プーツェ監督作品、2020年、ラトビア=フィンランド)

 10歳の絵を描くことが大好きなマルクス少年。両親を失い、祖母の家で暮らしているが、大人たちに命令される生活にうんざりしている。ある日、隣人の娘エミーリヤが森の落とし穴にいるところを救出され、マルクス少年に嫌疑の目が。実は、マルクスの両親を侮蔑する発言をしたことへの復讐だった。

 偶然知り合った「水兵」と呼ばれる人物のもとで、未完成のステンドグラスを作ることになり、マルクスにとってアサイラムとなるが、大人たちの間では喧噪が絶えず、ついにエミーリヤの母親がマルクスを精神病院へ追いやろうと企て始めた。

 両親不在の背景に潜む社会問題、成長期の子どもの苦悩が美しい田舎の風景のもとに描かれる。


「ジャンプ」

(原題:Suolis ギェドレ・ジツキーテ監督作品、2020年、リトアニア=ラトビア=フランス=ドイツ=米国)

 1970年代、冷戦下のアメリカ東海岸沖で、米ソの大西洋における漁業権について海上での話し合いが行われた。その隙をついて、一人のリトアニア船員・シマスが米ソの船の隙間10フィートを飛び越えてアメリカへの亡命を申し出る。ところが、漁業権での交渉への影響を懸念したアメリカは、シマスをソ連船へ引き渡し、彼は暴力を振るわれて拘束へ。このことを知った在米リトアニア人たちが、シマスの身柄を自由にする大運動に発展する。はたしてシマスの運命は…。貴重な映像記録とシマス自身の言葉によって、当時の状況が克明に明かされる。


「02」

(原題:02 マルグス・パユ監督作品、2020年、エストニア=フィンランド=ラトビア=リトアニア)

 1939年、第二次世界大戦が勃発する前日に起こった事実を基にした歴史的スパイ・スリラー。謎のソ連の二重スパイを追跡し、強大な赤軍の侵略を防ぐ任務を負うことになったエストニアの諜報部(02課ともいうべきか)員たち。エストニアはソ連に占領されたが、彼らの功績で入手した赤軍の暗号解読コードはフィンランドへ送られ、フィンランドはソ連に勝利する。2020年10月に公開されるや同国で興行成績1位を記録、本映画祭でも毎回満席となった。


「オスカーとリリ」

(原題:Oskar & Lilli - Ein bisschen bleiben wir noch、Arash T. Riahi監督作品、オーストリア、2020年)

 オーストリアに生きるチェチェン人難民リリとオスカーの姉弟。国外退去を命じに警察がやってきた日、母親が自殺未遂を図る。そのおかげで彼らは母親の回復まで国外追放を逃れるが、バラバラの家族に里子として引き取られてしまう。彼らは母親と再会するために、突拍子もないことを実践する。

 「難民映画祭2014」でチェチェン難民を扱った「マコンド」という作品があったが、同じオーストリア作品ながら、「オスカーとリリ」はややチェチェンに対するリサーチが足りない感じがする。もっとも、それが難民に対する何年たっても変わらない認識といえるのかもしれないが。

(文・滝沢 三佐子、スチール写真・EUフィルムデーズ/ヨーロッパ文芸フェスティバル提供)

 
「DJ*TALK event東欧ナイト」 山中明氏、ヴォロディーミル・イヴァシューク作曲、ソフィヤ・ロタール歌のレコード

【音楽】「DJ*TALK event東欧ナイト」

7月23日 於:du cafe 新宿

 何(なに)氏、ヨハネス市来氏、“レッド・ファンク”山中明氏による3名のDJが繰り出すソ連時代の東欧グルーヴ。今回はその名も「東欧ナイト」として開催された。

 トップバッターのDJ何はハンガリー、ポーランドなどから明るくリズミックな楽曲、DJヨハネス市来は東独、ポーランド、チェコスロヴァキアなどからファンクジャズやプログレッシヴなものまで重厚なナンバーをセレクト。トリのDJ山中明は民族色豊かなグルーヴ感あふれる旧ソ連諸国を選曲し会場を沸かせた。

 ちなみに山中明氏はパブリブから『ソ連ファンク』という詳細なディスクガイドの書籍を上梓されている。『共産テクノ』『ソ連歌謡』に続く、ソ連楽曲シリーズ第3弾ということで、興味のある方は手に取っていただきたい。

(滝沢 三佐子)

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ロシアの姓(7)鍛冶屋は本人か親か、それも問題だ

 人類にとって古くから重要な職業であった鍛冶屋は、世界各地で姓になっている。欧州に限っても、英語ではスミス、ドイツ語ではシュミット、フランス語ではファーヴル、ポルトガル語ではフェレイラ、ポーランド語ではコヴァル、チェコ語ではコヴァーシュ、ハンガリー語ではコヴァーチ、ラトヴィア語ではカレイス、ジョージア語ではムチェデリ、アルメニア語ではダルビニャン等があり、その派生形も豊富に見られる。

 ロシア語で鍛冶屋はкузнец(クズネツ)だが、その子孫を表すКузнецов(クズネツォフ)という姓の持ち主はイワノフ、スミルノフに次いでロシアで3番目に多いとされる(註1)。

 世襲の姓が確立する以前の17世紀頃、国勢調査や課税台帳には、個人やその親の正式名やあだ名の他、携わる仕事も個人識別のために記録されていた。

 鍛冶屋もその一つで、1646年のヴォロネジでの国勢調査台帳にはオフォンカ・クズネツ(鍛冶屋のオフォンカ)、1671年のヤロスラヴリでの国勢調査台帳にはイワーシコ・チェルニーツィン・クズネツ(修道女の息子で鍛冶屋のイワーシコ。珍しく母親の職業=母称が併記されている)という記録がある。

 「クズネツ」と書いてあればオフォンカやイワーシコ自身が鍛冶屋である。その子供や弟子なら接尾辞-ов(~オフ)がつき「鍛冶屋の(子、弟子)」を意味する所有形容詞「クズネツォフ」になる。昔のウクライナで鍛冶屋本人はコヴァーリ、その子孫や弟子はコヴァレンコ、コヴァリチュークになったのと同じ仕組みだ(本紙4月号参照)。ロシア語の方言にも同じ「コヴァーリ」という語があり、それに由来する「コヴァリョフ」という姓もある。職業名もまた父親を示す「父称」の一つとして扱われ、後に家族の名前、姓として代々使われるようになって行った。

 昨今は姓の意味として語幹のみが取り沙汰されがちだが、当初は語幹の示すものが本人なのか親なのかも重要だったはずだから、接尾辞の意味もあなどれない。

 V. A.ニコノフは著書で「『鍛冶屋』と『鍛冶屋の』を区別しないのは、羊と羊肉と輪形パン(註2)を一緒くたにするようなもの」と断じている。クズネツ(鍛冶屋)自体は職業名だが、クズネツォフ(鍛冶屋の)は鍛冶屋の所有する人や物を形容する(息子にもエプロンにも使える)言葉で、姓のタイプを分類するなら「父称」のカテゴリーに入るという。個人名イワンと父称イワノフ スィン(イワンの息子)の関係と同じであると。

 メリニクは本人が粉挽きだがメリニコフはその子供、ゴンチャルは本人が陶工だがゴンチャロフはその子供を示しており、昔初めて文書に記録された時点でも子が親の仕事を継いでいたとは限らない。さらに現在職業名由来の姓を持つ人のほとんどはその仕事には就いておらず、当初の意味は失われて形骸化していることになる。

 それでも姓に残る様々な職業名は、そこから先祖ゆかりの仕事や今では廃れた数々の職業を見出すことができるだけでなく、ある時代や地域にどんな産業が存在し栄えていたか等、人間の生活の歴史を解き明かす鍵にもなる貴重な資料である。

(横嶋 冬美)

註1)E. V. バラノフスカヤ(2005)、A. F. ジュラヴリョフ(2005)の調査による

註2)原文はбаран, баранина и баранка (バラーン=羊、バラーニナ=羊肉、バランカ=輪形パン)。音は似ているがまるで意味の違う単語を並べて例えている。

参考文献:
В. А. Никонов ≪ИМЯ И ОБЩЕСТВО≫ (1974), ≪ГЕОГРАФИЯ ФАМИЛИЙ≫ (1988)(V. A. ニコノフ『名前と社会』、『姓の地理学』)
Ю. И. Чайкина ≪ИМЕНОВАНИЯ МУЖСКОГО НАСЕЛЕНИЯ ВОЛОГДЫ И ВОРОНЕЖА В ПЕРВОЙ ПОЛОВИНЕ XVII В. ≫ (2004)(Y. I. チャイキナ『17世紀前半のヴォログダとヴォロネジにおける男性住民の命名法』)

 

【ユーラシア歳時記】「あこがれの先生に…おこられた話」

 私は以前、皆さんもよくご存知のある高名な先生に「古希おめでとうございます」と申し上げたところ、「歳のことを話題にするのは日本人ぐらいなものだ!」と怒られてしまいました。

 ロシア語に関してはいうまでもなく、ロシアで過ごされた時期も長いその先生は、ロシア人の風習、マナー、考え方などにも、当然のごとく精通しておられます。

 日本では、わりと普通に歳のことを話題にしますが、海外の殆どの国では「歳の話はタブー」なのでした。

 そして、それは、ロシアでも。ロシアで人様に対して「あなたは何歳ですか?」と聞くことは大変失礼なことだそうです。

 小さな子どもや少年に聞くのならまだしも、20歳以上の女性、男性なら30歳以上の人に年齢を聞くべきではないようです。

 ロシア人が年齢を聞かれるのは病院や公式の場、就職の際だけで、その場合も「何年のお生まれですか?」と言い変えて聞かれるそうです。

 また、誕生パーティーでも歳のことは言わないのだとか。ロシア人が日本のテレビを見て、「〇〇さん、アラフィフに見えませんね」と言っているのを聞いたり、週刊誌に「あのアイドルも、もう60歳」なんて書いてあるのを見ると、さぞかし驚くことでしょう。

 皆さんも、外国の方と、外国に精通している方…、とのお話では、くれぐれも歳のことにはふれないようにすることが大切ですね。

 ところで、では、ロシア人が喜ぶ話題とは…?ロシア人は文学について語るのが好きで、本をたくさん持っていることを誇りにしている人が多いそうです。

 でも、その話題の為には、こちらもロシア文学を読んでおかないといけませんね。

 ちなみに私が怒られました、あの高名な先生が好まれるのはチェーホフ。理由は「短いから」…だそうです。皆さんも、参考にしてみてはいかがでしょうか。

(とくなが なつみ)

 

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第194回 イヴァン三世の統治の初期

協会サイト内 中世ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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