年金問題で国内揺れているロシアから、2018年9月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、1曲が再登場!
9位に、ウクライナ発の新鋭アーティスト・モナチクと、こちらもウクライナ発大人気デュオのヴレーミャ・イ・ステクローから女性Voのナージャがタッグを組み、新譜«Глубоко...»(深く…)をリリースしランクイン。
キルコーロフとバスコフの新曲«Ибица»(イビサ島)が4位にランクイン。有名アーティストもPVに招待し、自身たちの同性愛疑惑も全てコミカルな笑いに変える二人には、脱帽です。
9月中旬にリリースし、キルコーロフとクリードのデュエット曲«Цвет настроения чёрный»(黒い気分の色)が首位を占めました。楽曲は先月チャートインしていたキルコーロフの«Цвет настроения синий»(青い気分の色)をHIPHOPにアレンジ。PVは、クリードが所属するブラックスター社に帝王キルコーロフを招き、ファンキーかつコミカルな仕上がりに。帝王キルコーロフがチャートを大占有、おめでとうございまーす!:-)
※記事全文はブログでごらんください。
【画像引用元】
Егор Крид→http://www.peoples.ru/
Филипп Киркоров →http://www.peoples.ru/
Николай Басков→http://www.peoples.ru/
Monatik→http://hitplaneta.ru/
Надя Дорофеева→http://www.vladtime.ru/
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2018年9月17~23日/MOPA)
「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」
カレン・シャフナザーロフ監督
原題:Анна Каренина. История Вронского、2017年、ロシア
これはどう評価すればよいのだろうか。観る人によって評価が分かれそうなカレン・シャフナザーロフ監督の最新作「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」は、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の原作を、アンナの愛人アレクセイ・ヴロンスキーの視点から語る“後日談”。
アンナが鉄道自殺してから、原作ではヴロンスキーは露土戦争へ赴いているが、時は流れて本作の舞台はなんと日露戦争が展開されている旧満州。そこには奇しくもアンナとカレーニンの息子、セルゲイが軍医として軍従しており、司令官であるヴロンスキーは負傷してセルゲイと対面することになった。セルゲイは、鉄道自殺を遂げた母の愛人だったヴロンスキーを憎み、殺意さえ抱いていたが、今は母の自死の真実を知ろうとしていた。
ここからトルストイの「アンナ・カレーニナ」が回想という形で進むが、ヴロンスキーの視点なので、原作にあるアンナの兄嫁の妹キティと純朴な主リョーヴィンの恋愛は当然ながら省かれている。
ヴロンスキー本人が語るのであるから、彼の愛情は一途である。アンナとの愛に終止符を打ったあと、彼は軍人としての任務に励み、日露戦争の戦地においても、彼は片言の中国語を話し、土地の少女に親しみを寄せ彼女を守ろうとする。
体面のために離婚に同意しないアンナの夫、カレーニンにしても、当時の社交界が貴族にとって重要なものであることを考慮すれば、彼の言動は決して冷血なものでないことがわかる。そのような男性登場人物の「社会性」を重んじる言動に比して、愛がすべてであるアンナの精神バランスの崩れ方は強烈だ。
「アンナ・カレーニナ」といえば、世界で何度も映画化・バレエ化・舞台化されている不朽の名作。“後日談”の設定はさておき、鉄道自殺を遂げたアンナの内面をこれほど細かく描き切った作品はないだろう。そして日本との戦争を皮切りに、彼らは過酷な運命の渦に巻きこまれていくのである。なんとなく破滅の美学に近いものを感じてしまう。
個人の回想が大河ドラマになったようなダイナミックな展開に、シャフナザーロフ監督の往年の手腕を見ることができる。
(文:滝沢 三佐子/写真 (c)Mosfilm Cinema Concern, 2017)

カザフ・キルギス平和友好フォーラム ユーラシア新時代
キルギス対外友好協会及びカザフスタン対外友好文化交流協会の招きで、日本ユーラシア協会の代表団(北海道連、茨城支部、広島支部などから計20名、神奈川からは3名)が8月28日~9月7日まで、カザフとキルギスを訪問しました。28日、仁川経由でカザフの元首都で同国最大の都市アルマトイへ。
(左)カザフスタン・アルマトイ市街 (右)アルマトイ 教会と天山山脈
セミパラ核実験場閉鎖対話集会
翌日29日は、同市の国立農業大で行われた「セミパラチンスク核実験場閉鎖27周年フォーラム」に日本代表団として参加しました。同大学本部前広場で、カザフを構成する多民族の中で、とりわけ重要とする5民族(カザフ、ロシア、ウズベク、ドイツ、朝鮮)の衣装を着けた同大学生による民族ダンス、最後に日本代表団を歓迎する「よさこいソーラン」が繰り広げられました。本部アーチには「核なき世界を求めて」の横断幕が掲げられていました。
250人以上が集った反核対話集会では、ネバダ・セメイ(セミパラチンスク)反核運動総裁、カザフ外務省代表など5名が挨拶、日本側から「広島とセメイの交流」、「日本の平和行進について」など3件が報告されました。対話集会後、同大学学長主催の昼食会が同大学内で持たれました。
キルギス独立式典
8月31日は、キルギスの独立記念日です。今回のキルギス訪問は、同国対外友好協会の計らいで、特別待遇となり、入国審査、税関検査はなし、独立記念式典は特別席に入場しました。今年の独立記念式典では、軍事パレードはなくなり、各民族の民族舞踊が続きました。
午後は、キルギス対外友好協会との「平和フォーラム」。駐キルギス日本大使の挨拶に始まり、日本側からは「日本国憲法9条の平和への役割」「茨城百里基地闘争」などが報告され、キルギス側からは「若者の文化」「今後の世界の課題」などでした。同時通訳の問題もあり、双方の報告はあまりかみ合いませんでした。
遊牧民オリンピック
翌日、イシククル湖に向かい、2日の夜、イシククル湖畔の国立競馬場で開催された、第3回遊牧民オリンピック(ノルド)の開会式に出席、これまた特別席です。同オリンピックには60数か国の国が参加、もちろん日本選手団の入場もありました。同開会式には、キルギス大統領だけでなく、カザフスタン大統領、トルコ大統領、ハンガリー大統領、アゼルバイジャン大統領など遊牧民の末裔とされる各国首脳が集まりました。次期4回大会は、トルコで開かれることが発表されました。
(左)キルギス・イシククル湖での水浴 (右)遊牧民オリンピック開会式(撮影:村松)
キルチン渓谷の騎馬軍団
3日は、イシククル湖から天山山脈に入ったキルチン渓谷へ、見渡す限り草原が続く、同渓谷には100近いユルタ(ゲル・パオ)が並び、キルギス各地の物産を集めた大小のバザールが開かれ、主会場では、同国の建国叙事詩が見たこともない数の騎馬群で演じられました。ユルタでの食事は、お茶に始まり、お茶で終わります。料理のメインは馬肉で、とりわけたてがみの脂肉がごちそうとのことで、いやというほど勧められました。7日に仁川経由で帰国。同じコース、同じ飛行機で中谷元元防衛大臣を団長とするキルギス友好議員連盟と一緒に、彼らも遊牧民オリンピックを見に行った帰りとのことでした。
(左)キルギス・キルチン渓谷の騎馬軍団 (右)キルチン渓谷のユルタでの昼食
(木佐森)
書評「かえでの葉っぱ」
D・ムラースコヴァー 作 出久根 育 絵/理論社 ¥1,800+税
チェコは、四方、森に囲まれた国である。そのため、秋になると、美しい色に包まれる。一風ごとに色づいた葉は、旅立つのである。作者、ムラースコヴァーが、その自然の法則にヒントを得て、筆をとったのが本書である。
成熟し色づいた木の葉は、風に乗りどこへ向かうか、命とは何かを淡々と語りかける絵本である。童話を超えた哲学を、わたし達に差し示す寓意満ちた書である。かえでの葉は、木を離れ、風に乗り、四季を過ごす。美しい霜柱、美しい母国。葉の美しさは消えていくが、もう恐れもなく、星と語らい黒ずみつつも身が軽くなっていく。そこには時の流れがかもし出す真実があった。作者は、命はどこからきて、どこへ行くのかを、この1枚の美しかったかえでの葉に託している。この本は人生も半ば過ぎた方に、お勧めしたい。ムラースコヴァー×出久根育の画家同士のコラボが的確に見事に、四季の移ろいをとらえている。
あなたも、かえでと一緒に、美しい自然の旅をしませんか?命はどこへ向かうかを、きっと教えてくれるでしょう。そして何かに出会うでしょう。
(中出)
極東ロシア電子ビザ 極東ロシア5空港に拡大
今年9月から、ウラジオストク自由港法によって電子ビザの範囲が拡大された。これまでもウラジオストク空港とウラジオストク港に実施されていたが、今回拡大されたのは、ハバロフスク(ノーヴィ)、ユジノサハリンスク(ホムトヴォ)、ペトロパブロフスク・カムチャツキー(エリゾヴォ)、ブラゴベシチェンスク、アナディリ(ウゴルニー)の各空港である。
このうち、日本に大きな影響を与えそうなのが、ユジノサハリンスクとハバロフスク、そして、夏の間にチャーター便が運航されるカムチャツカであろう。(写真はカムチャツカにおける先住民族の住居とカムチャツカ富士)
ヤクーツク、マガダン、プロビデニヤ(チュコト自治管区)の空港はまだ調整中である。
このビザによって、ウラジオストクをはじめとした沿海地方と同様に大使館に赴く必要がなく、web上で電子ビザの申請が可能となる。
申請から受理までは最大で4日かかる。有効期間は30日であるが、そのうち8日以内での滞在が可能だ。なお、州・地方をまたいだ移動はできない。
この緩和によって、本会の夏のハバロフスク・サハリン旅行のコストや心理的ハードルも低くなるはずだ。
この動きを受けて、航空便にも変化が起きている。東京~ハバロフスク線が、2018年の冬ダイヤより週3便に増便されるほか、新たに札幌・新千歳~ウラジオストクを、日本初乗り入れとなるウラル航空が運航する。
この取り組みをきっかけに極東ロシアと日本の間の人的交流が深まることを願う。
(内藤)
エレーナ・コンドラシキナ先生の帰郷
ロシア語講座「日本案内」クラスのゲスト講師エレーナ・コンドラシキナ先生からのお便りをご紹介します。
「こんにちは!モスクワに帰ってきてからすでに一週間が過ぎました。友人や親戚の人たちの温かいお迎えを受けた後、私はやっと自分の家に帰ってきたと実感しています。今年のモスクワの10月はいつもと大いに違っていて、木々はまだ紅葉せず緑色で、気候は10月にしてはかなり暖かく、プラス7度か12度です。10階にある私の住まいから撮影した写真を送ります。私が住んでいる所はクリーンな環境で緑の多いヤーセネヴォ区です。モスクワの南西に位置しています。」
協会ホームページ移転のお知らせ
神奈川県日本ユーラシア協会のインターネットプロバイダーの関係でホームページを置いていた「Yahoo!ジオシティーズ」が、2019年3月末でサービス終了となることに伴い、急遽、協会ホームページも以下のURLに移転させました。
http://www.kanagawa-eurasia.org/
旧URLにアクセスすると、新URLへ自動で転送されますが、転送サービスは2019年9月までとなります。
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(機関紙編集部)