NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
 
看板

ロシア軍は即時撤退し、ウクライナに平和を!

 2月24日、ロシア軍が突然ウクライナに侵攻しました。首都キエフ(キーウ)に、また第2の都市ハリコフ(ハルキウ)に無差別攻撃が、他の多くの都市にも侵攻が及んでいるとの情報です。当協会横浜ロシア語センターでロシア語を教えている講師の中には、ウクライナ出身の方が二人おられます。うち一人はドネツク(ドネツィク)出身です。毎日深夜のキエフからの電話では爆発音が聞こえるそうです。夜も眠れず不安に駆られていると語っています。

 ウクライナの状況を解決するためには、ロシア軍は、直ちに武器を置き撤退すべきです。これ以上、市民に犠牲者が出ないようにしなければなりません。ロシアの武力を背景にした脅しやNATOの軍事同盟に頼ることなく、2015年に締結した「ミンスク協定」に基づく、ウクライナ東部の当該地域の当事者同士の真摯な話し合い以外に真の解決方法はありません。

 この戦争の恐怖の中に、ひとつの光もあります。ロシア国内の多くの街からも「戦争反対」「ウクライナに平和を」との声が上がっていることや、日本に住んでいるロシア出身者の中からウクライナ出身者と連帯した「戦争反対」「ウクライナに平和を」のデモが起こっていることです。文化と芸術に満ち満ちるウクライナ、ロシアがよみがえることを心から願います。

2022年3月1日
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
会長 木佐森 雅道

 
世界に平和を

平和を願うメッセージ
ロシア語を愛する私たちは、確固たる平和の擁護を求めて行きます!

 言語は人々の友好関係を円滑にする手段です。外国語を教え学ぶことは、人々の相互理解を深め、交流の支えとなります。故に、私たちはすべての問題は兵器を使用することなく平和的対話で解決できると信じています。

 私たちは、言語のルーツを共にするロシア、ウクライナ、ベラルーシをはじめユーラシア諸国の文化、歴史、伝統に関心を抱いています。

 何よりも私たちはこれらの国の人々と草の根レベルでの交流を深めるためにロシア語を学び、教えています。

 私たちは問題の平和的解決の立場を堅持するすべての人たちと連携します。なぜならいかなる紛争も罪なき人々の犠牲、経済的困難、展望なき未来などの破滅的結果をもたらすからです。

 同時に私たちは、ロシア人とロシア語圏の人々、またロシア語を学び、教えている人たちに対する心無い誹謗中傷と差別に対して抗議します!  

2022年3月8日
横浜ロシア語センター有志一同

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NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 2022年度(第18回)定期総会

【日時・内容】2022年4月3日(日)
13:30~15:00 定期総会
内容:活動報告、事業計画、決算、予算、2022年度役員案の承認、質疑応答他
【会場】横浜平和と労働会館5階 当協会教室 および オンライン(Zoom)
【参加費】無料

※総会議案書を同封しますので、ご一読の上、総会出欠席や委任について必ずご回答ください。
機関紙に同封されているFAX用紙・ハガキをご利用ください。Eメールでの回答も受け付けます。
総会成立のため、皆様のご協力をお願い申し上げます。

※リモート出席をご希望の方には、追ってZoom招待状を送信します。
Eメールにて総会リモート出席をお申し込みください。

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罪と罰

ミニ料理教室とともに文芸作品を堪能

 一年で一番短く感じる2月。その最終日曜の27日に7名の参加で『罪と罰』DVD鑑賞会を開催しました。

 前回同様、手軽にできるロシア料理を作りました。料理はロシアの水餃子「ペリメニ」です。市販の餃子の皮に挽肉とセロリのみじん切りを具にして巻き込みました。鑑賞会の前にお腹を満たしていい気分。もちろん、ライ麦パンもついています。

 ドストエフスキーの名作『罪と罰』のエッセンスを描写したアメリカ版です。主人公ラスコーリニコフの貧困から起こしてしまった殺人事件。嫌疑の目が向けられます。その時、別の容疑者が浮かび、ラスコーリニコフは無罪放免となります。しかし、無実の者が処刑されることに苦悩、葛藤します。美しい心を持つソーニャの言葉が、ラスコーリニコフを目覚めさせます。

 偶然ですが、同じ日同じ時間にユーラシア協会宮城県支部では、旧ソ連版『罪と罰』上映会が開催されていました。こちらは6時間を超える超大作です。アメリカ版では省略されている金貸しの老婆の妹の殺害、ソーニャの家庭やラスコーリニコフと警察の駆け引きなどの描写が盛り込まれています。いつか、旧ソ連版も鑑賞したいものです。

 コロナ禍で貧困に直面し、罪を犯してしまうことが増えたような気がします。この世の罪の大半は金銭なのでしょう。貧困は犯罪の引き金になるのではないでしょうか。その罪に対する罰とは何か。人間の良心とは何かを考える鑑賞会となりました。

 また、次回のゴールデンウィークの日程・作品も決まりました。5/5(木祝)、作品は『イワンと仔馬』です。さらに、8月の「8・15」戦争と平和を考える鑑賞会は8/21(日)『ジョバンニの島』も決まりました。参加者は早速、手帳に書き込んでいました。今年最終の11月の鑑賞会も、会員や参加者の希望を取り入れて開催したいと思います。

(関戸)

 
「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」

現代ロシア映画鑑賞会「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」

 2月27日、「罪と罰」の後に、ロシア映画「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」(ヴァレリー・トドロフスキー監督作品、2017年)を鑑賞しました。

 3名が参加。バレリーナをめざす少女たちの夢や葛藤を体感する132分を楽しみました。

(滝沢)

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横浜ロシア語センター 教室公開日

横浜ロシア語センター 教室公開日

 「ロシア語ってどんな言葉?勉強法や楽しみ方は?」
 ロシア語に興味のある方、これから始めたい方、少し学んでその先を見てみたい方…ロシア語の扉を開けて、向こう側に一歩踏み出してみませんか?
 この日、ぜひ横浜ロシア語センターへ。皆様をお待ちしています!

【日時】 第1回:3月19日(土)10:30~16:00、第2回:4月2日(土)10:30~16:00
【会場】横浜平和と労働会館5階教室、オンライン(Zoom)併用
【内容】入門体験講座、ロシア語学習体験談、横浜ロシア語センター案内、ロシア語学習相談

 詳細はホームページをご参照ください。

 

横浜ロシア語センター第136期 生徒募集中!

 4月16日(土)より順次、第136期ロシア語講座を開講します。新学期からは下記の講座が加わる予定です。奮ってお申し込みください。
 また既存クラスは受講生が2名以上継続すれば原則として同じ曜日・時間・講師で持ち上がりとなります。
 講座やお申し込み方法の詳細は横浜ロシア語センターホームページにて。

【新規開講予定】
● 火曜夜 ロシア演劇講座 シュヴァルツ『平凡なる奇跡』 講師:安達 紀子
● 水曜夜 特別集中講座 発音とイントネーション 講師:小林 淳子
● 木曜夜 入門 講師:大山 麻稀子
● 土曜昼 入門 講師:織田 桂子
● 日曜午前 文学読解 トゥルゲーネフ『初恋』 講師:竪山 洋子

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。
 3月のレッスンは5日・19日の予定です。詳細はお問い合わせください。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織状況

(2022年2月28日現在)

 2月は会員に変動がなかったので、1月末の会員数220人のままです。

(木佐森)

 

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2022/2/28
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計183,20066,400116,800
教育事業675,770171,500504,270
一般事業108,00153,67854,323
合 計966,971291,578675,393
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計1,058,0831,073,594-15,511
教育事業448,890269,350179,540
一般事業58,09016,13541,955
支出合計1,565,0631,359,079205,984
当該月収支-598,092-1,067,501469,409
累計収支計-682,028-1,242,577560,549

 2022年2月の財政状況で目立つのは、一般会計支出が105万円になっていることです。昨年も2月の一般会計支出は107万円なので、年変化はありませんが、支出が多いのが気になります。

 これは、国税の消費税の支払いが40万円になる為です。21年度の収支は、何とか赤字にしないようにしたためプラス15万円となりましたが、15万円しか利益がないのに、40万円もの消費税を支払わなければいけないのです。消費税は、なんてひどい税金でしょう。

 そして、今年の歩み出しは、昨年より少しは良いものになると思っていましたが、2月も終わろうとする24日に青天の霹靂のロシア軍のウクライナ侵攻が起こりました。ロシア語学習意欲に大きなマイナスにならないことを祈っていますが、困難な一年になることが予想されます。

(木佐森)

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ロシアンベリー紅茶 ロシアンベリー紅茶

ロシアンベリー紅茶 ティーバッグ各種 1.5g×25個 / 370円(税込)

「レッド・ブラックカラント、コケモモ&ミント」
「ラズベリー&クランベリー」
「ストロベリー・ラズベリー&レッドカラント」
原産国名:スリランカ
製造者:「マイ」(ロシア・モスクワ州フリャージノ市)
協会事務所で販売中。

 
ベリョフスカヤ・パスティラ

ベリョフスカヤ・パスティラ各種 200g / 750円(税込)

リンゴのピュレと砂糖と卵白で作ったケーキのような焼き菓子。甘酸っぱい濃厚な味わいと独特の食感が特徴です。
いちご、プルーン、シーバックソーン、ワイルドベリーのジャムを加えたもの各種(200g)を協会事務所で販売中。 原産国名:ロシア
製造者:「スタールィエ・トラディーツィイ」(ロシア・トゥーラ市)

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 姉妹国ウクライナへの軍事侵攻を開始したロシアから、2022年3月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中6曲、新曲の嵐!

 日本のロシアファンの中でもとても有名な歌姫ヴァレリアの新曲≪Синица≫(シニツァ)が9位にランクイン。

 人気コメディアンであるアルトゥール・ピロシコフことレッヴァが、今大人気のユーチューバー・コカと組みリリースしたホットダンスデュオ曲≪Хочешь≫(ほしい)が8位に登場。

 ウラジカフカス出身のラッパー・カーチェルがローラクをフィーチャーした新曲≪Материк≫(大陸)が、初登場6位にランクイン。

 超人気デュオ・アルティク&アスティの女性Voアスティのソロ曲≪Феникс≫(鳳凰)が1月14日リリースされ、今回5位に登場。

 そしてそのアスティがタッグ組んでいる超人気デュオ・アルティク&アスティが今年1月21日最初にリリースした新曲≪Гармония≫(ハーモニー)が4位に登場。

 2位にガヤゾフブラザーのヒット曲≪Малиновая лада≫(ラズベリー色のラーダ)がランクインしました。昨年暮れにリリースされ大人気、現在YOUTUBE再生回数は3000万回に迫ります。

 カムチャッカ生まれの新人アーティスト、チェボキナの新曲≪Солнце Монако≫(モナコの太陽)が兄弟ユニット・ダブロから再び首位奪取しました。プロとしては2016年から開始。今年に入って10曲目のシングルです。7200万回、リリース3ヶ月前。おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2022年2月18日~24日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
「WELCOME TO CHECHNYA チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―」 「WELCOME TO CHECHNYA チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―」

【映画】「WELCOME TO CHECHNYA チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―」

(ディヴィッド・フランス監督作品 2020年、アメリカ)

 ラムザン・カディーロフ大統領によって、性的マイノリティであるLGBTを絶滅させようとする「血の浄化」が行われているチェチェン共和国。それを事実上承認しているプーチン・ロシア大統領。本作は、現在進行中である恐怖の「ゲイ狩り」をゲリラ的撮影でとらえた“ドキュメンタリー”映画だ。

 取材対象となっているのは、元ジャーナリストでロシアLGBTネットワークの危機対応コーディネーターを行っているディヴィッド、LGBTコミュニティセンターのディレクターのオリガ、チェチェン高官の娘で、家族によって軟禁状態に置かれているレズビアンの“アーニャ”、たまたま仕事でチェチェンに来ていたときに拘束され拷問を受けたゲイの”グリシャ“、シェルターに身を寄せる“アフマド”の5人。家族や国から虐待や拷問を受け命の危険が近づく彼ら。一刻も早い避難を必要としていたため、ディヴィッドとオリガは、ヨーロッパの支援組織の協力を仰ぎながら、自らの危険を顧みず彼らを国外へ避難させようとするが…。

 本作には、安全を確保するため画期的な技術が使われている。ディープフェイクという技術を進化させた「フェイスダブル」。これによって、避難者らの「顔」は、協力を申し出た22人の在ニューヨークLGBT活動家の「顔」に差し替えられ、高い匿名性を担保している。その自然な映像には驚愕するしかない。

 「人間は権力を持つと、悪用し始める人たちがいる。それはどこの国でも起こりうる」「殺されない限り、私たちの勝利だ」といった言葉が胸を打つ。LGBT難民として国を離れる彼らに安住の地は遠い。しかし、それは迫害される対象がLGBTに限らないということも意味している。

 ユーロスペースで公開中。横浜シネマリンでは3月26日より公開。

(文:滝沢 三佐子/スチール写真: (C) madegood.com

 
「親愛なる同志たちへ」 「親愛なる同志たちへ」

【映画】「親愛なる同志たちへ」

(アンドレイ・コンチャロフスキー監督作品、原題:Дорогие товарищи!、ロシア、2020年)

 1962年、ソ連南部ノボチェルカッスクの機関車工場で勃発したストライキ。社会主義国で起こった大規模ストに危機感を覚えた政権は、スト沈静化と情報遮断のために最高幹部を現地に派遣、翌日には約5000人の市民への銃撃を開始した。共産党員で市政委員リューダの目から見た「雪解け」以後の残酷な事実を描く。

 機関紙2020年12月号もご覧ください。

 4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

(文:滝沢 三佐子/スチール写真: (C) Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020)

 
「チェーホフも鳥の名前」 「チェーホフも鳥の名前」

【演劇】ニットキャップシアター 第41回公演「チェーホフも鳥の名前」

1月27日 於:東京 座・高円寺

 この作品は日本人演出家ごまのはえ氏によって書かれたサハリン島に生きる3つの家族の、19世紀末から21世紀に至る約100年にわたる年代記である。ニヴフやアイヌをはじめとしたサハリン島先住民族、ロシア人、日本人、朝鮮人など多様な文化をもった人々が相互に入り組み、三代にわたって物語が紡がれる。今回は、大阪での公演を含む再演である。

 帝政ロシアでのサハリン島は、移住者と流刑囚人によって構成されていた。そこにこの物語の始祖であるナターシャと農場移住者・塩川正十郎の夫婦、移住囚エゴールと先住民ウォッカの夫婦が誕生する。そこにチェーホフが調査に訪れるのだが、彼らの結婚にいたるまでの騒動がチェーホフの短編「結婚」ように展開して笑える。チェーホフが登場するのはこのシーンだけだが、彼の名前は地名(かつての野田)として残り、チェーホフの戯曲にオマージュを残したストーリー展開が配されていて、脚本の巧みさが堪能できる。

 時代は下り、1923年の日本領時代。日本人と朝鮮人の移住家族が登場し、李家が塩川とエゴールの家族にかかわっていく。そこに宮沢賢治が生徒の就職先を探しに訪れるのだが、彼と河童の話などが、先のチェーホフ登場のようにオマージュシーンとしてよみがえる。また、舞台の登場人エゴールの娘が先住民族の言葉を賢治に教えるというエピソードによって、その後の宮沢文学のインスピレーションが示唆される。

 1945年の終戦前後になると状況は一変。舞台は真岡やソ連との国境地帯での悲劇を経て、塩川の農場があった場所へ回帰する。この頃、農場はすでになくエゴールの一家だけが残っていた。ほかの一家は大阪やいわきに移り住み、音信不通に。80年代に入ると、それぞれの子孫が再会を果たし、サハリンでの家族の記憶が再び共有されていく。それはまるでチェーホフが戯曲の中で何度も言うような、「100年先の子孫がよりよい生活を送るために働く」という思想が体現しているようでもある。

 日露戦争、日韓併合といった史実がバックスクリーンに写真とともに投影され、年表を見ながら劇の進行を見守ることができ、3時間という上演時間を感じさせない。パーカッションとヴォーカルのBGM、ところどころ挟まる民族語とその字幕がエキゾチックでもあり懐かしくも感じる。

 日本人が「北方領土」に持つ固定概念を払拭し、サハリン島を俯瞰的にとらえた戯曲の力、物語にリアリティを持たせる演出の力に圧倒された。

(文:滝沢 三佐子)

 
ナタリア・モロゾヴァ・シマダ
ナタリア・モロゾヴァ・シマダ

「感情のラボラトリー 自由な音の形
Лаборатория чувств звукоформы свободы
ミュージカルと詩のパフォーマンス」

 2014年、「ウクライナの夕べ」イベントで一人芝居「公爵の娘」を演じたナタリア・モロゾヴァ・シマダさんが、自身の作詩集を刊行、その詩集をベースとしたパフォーマンスを行います。

 ロシア語翻訳者、村山敦子さん経営のカフェが会場。プロの女優による現代ロシア語詩とフルート演奏のコラボパフォーマンスで、ロシア文学サロンの雰囲気に浸りませんか。 

とき:4月24日(日)14:30開場、15:00開演
ところ:カフェ「水曜日」(練馬区石神井台2丁目26-26)
料金:2,500円、ドリンク500円
※座席数に限りがあります。必ずご予約をお願いします。
問合せ:カフェ「水曜日」
080-3443-8372

 

【音楽】「アゼルバイジャン音楽の至宝」

 アゼルバイジャン国立音楽大学創立100周年記念、アゼルバイジャン=日本国交樹立30周年記念
 ミルザザデ、アミロフなどの作品を、日本、ロシア、アゼルバイジャンの音楽家が奏でます。

とき:4月23日(土)13:00開場 13:30開演
ところ:神奈川県民ホール 小ホール
問合せ・予約:音楽の家
ongakunoie_school@gmail.com
080-5191-1971

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パステルナーク詩集

サンクトペテルブルク便り Хороший человек(ハローシイ・チィラヴェーク)

 ロシアにまつわる僕の2月は特別である。2021年2月5日にここサンクトペテルブルクで新しい生活を始めたからだ。しかし、2月が特別である理由はそれだけではなく「2月だ!インクをとって泣け!」この冒頭に胸を打たれた学部生時代を思い出すこともまた2月が特別である所以なのだ。そして、博士課程の大学院生として留学している今、このフレーズから始まるボリス・パステルナークの詩をロシア語で読むことになると、誰が想像したであろうか。

 美術史研究をしている大学院生が思うところでは、例えば、レーピンの1つの肖像画について語る場合、レーピンのほかの肖像画を知る必要があることと同じように、ロシアの2月を知るためには2月のロシアへ行くだけでは、パステルナークが描写する2月にはたどり着けないだろう。1月から12月までの1年間を経験した今だからこそ、初めて2月について語ることができるのだと思う。しかし、それでもまだロシア文学、ロシア詩の深淵な世界を味わい尽くすことは難しい。

 ここで美術についての話をすると、個展を終えて以来、次に僕は何を表現するのだろうかと思い悩んでいた。こうあっても仕方ないと、窓を開けて新しい風を迎えるべく、僕はパステルナークの詩集を読むことにしたのである。絵画と詩、画家と詩人、この対立を歴史的には「パラゴーネ」という。狭義ではルネサンス期の美術における絵画と彫刻との優劣を議論することを意味するが、広義では芸術(学問)のジャンルにおける優劣論争、優劣比較ともいえるだろう。つまり、パステルナークを読むことでロシア文学、ロシア詩、ロシア語を学びつつ、絵画と詩とがどのように異なり、どのように同じであるかを自分なりに考える試みである。そして、パステルナークを以てして美術史研究と絵画制作とをより豊かにしたいと考えているのである。

 おそらく、冬の寒さも1月を終えて折り返しとなるだろう。2月からは春に気持ちが向かい、雪解けとともに冬の空気のように緊張していた精神ともしばらくお別れとなるだろう。

(齊藤 翔吾)

 

ロシアの姓(3)あだ名転じて姓となす

 ロシアでは988年のキリスト教国教化以降、教会の聖人暦に従い誕生日によって決められた聖名の中から選んで名付ける習慣ができた。しかし自ずと同名の人が増え、当初小さな村の中では「誰の子か」と父親の名を聞けば個人の識別ができたとしても、子供の名も父親の名もあちらこちらでイワンだらけとなれば、父称での区別にも限界があっただろう。

 そこで登場するのがあだ名である。

 14世紀の貴族アンドレイ・イワーノヴィチ(イワンの息子アンドレイ)にはコブイラ(牝馬)というあだ名があった。その長男はセミョーン・ジェレベーツ(雄馬セミョーン)、次男はアレクサンドル・ヨールカ(樅の木アレクサンドル)、三男はフョードル・コーシカ(猫のフョードル)とやはり二つ名を持った。長男のひ孫はジェレプツォフ家の、次男は父のあだ名を受け継いだコブイリン家の、三男はコーシキン家の始祖になった。分家の際にいずれもあだ名の方から作った父称を家名にしたことになる。三男の一族には後に王朝を築くロマノフ家(こちらは洗礼名ロマンに由来)の系譜が連なった。

 ちなみに古い父称や姓の接尾辞の男性形は、元になる名前の末尾が子音なら-ов(~オフ)、й, ьなら-ев(~エフ)、а, яなら-ин(~イン)になり、女性形はその後にаを、複数形はыをつけて作る。

(例)
Роман(ロマン)→ Романов (а/ы)(男性形・ロマノフ/女性形・ロマノワ/複数形・ロマノヴイ)
Андрей(アンドレイ)→ Андреев (а/ы)(男性形・アンドレーエフ/女性形・アンドレーエワ/複数形・アンドレーエヴイ)
Кошка(コーシカ)→ Кошкин (а/ы)(男性形・コーシキン/女性形・コーシキナ/複数形・コーシキヌイ)

 動植物由来のあだ名や世俗名を持つ人も多く、例えばЗаяц *(ザーヤツ)は17世紀末の男性名上位十傑に入っていたと言われる人気の世俗名だった。意味はウサギだが、原義はзаяти(ザーヤチ=跳ぶ、跳ねる)という古い動詞である。ウサギではなくザーヤツという人の子を意味するЗайцев(ザイツェフ)という父称ができ、これが後に姓に転じた。現代のザイツェフ氏の先祖がウサギを飼っていたのか、ウサギが好きだったのか、ウサギに似ていたのか等は知る由もないが、ザーヤツという名の人間だったことだけは確実だ。

* 古代ロシア語ではзаяць(※яは現代のキリル文字に翻字)であったため、古い父称および姓の語尾は-овではなく-евになる。

 貴族や一部の商人以外には姓のなかった17世紀頃、庶民の課税台帳や国勢調査等では個人名に父の洗礼名由来の父称、本人か父のあだ名、職業、出身地、身体的特徴などを併記して個人識別を図っていた。

 農民には1861年の農奴解放令発布まで姓のない者が多かったが、農奴制のなかった北部ピネーガ地方では、Гришка Андреев сын Кокорин グリーシカ・アンドレーエフ スィン・ココーリン(切り株/曲がり木アンドレイの息子グリーシカ)のような、「個人名(洗礼名)+1つ目の父称(父の洗礼名由来)+2つ目の父称(父か祖父の世俗名・あだ名由来)」という命名法があり、2つ目の父称は18世紀から既に一家の名、姓になっていたという。

 現代ロシア語で姓はфамилия(ファミーリヤ)というが、これは19世紀まで家族の意味で、姓には現代語であだ名を意味するпрозвище(プローズヴィッシェ)という語が使われていた。このことは実際にあだ名由来の姓が多かったことの象徴のようにも思える。

(横嶋 冬美)

参考:
В. А. Никонов ≪ГЕОГРАФИЯ ФАМИЛИЙ≫, 1988
≪СЛОВАРЬ РУССКИХ ФАМИЛИЙ≫, 1993

(V. A. ニコノフ『姓の地理学』『ロシア姓氏事典』)

 
八端十字架

【ユーラシア歳時記】あの十字架の意味は?

 ロシア人の多くはロシア正教の信者。そこで、ロシア人とお友達になった時や、私達がロシア正教の教会を見た時に、ロシア正教について、少しでも知っておくと理解が深まり、感動も更に増すのではないでしょうか。ご自身が他宗教の信者又は無神論者でも「文化のひとつ」として、知っておいてください。字数都合上、簡単にご紹介します。

 さて、ロシア正教の教会で、まず気になるのが、独特の形をした十字架だと思います。普段、私達が「十字架」と聞いて、思い浮かべる形とは違い、4本棒でできています。長い横棒の上に短い横棒(罪状札)。そして、下にも短い横棒(足台)があります。その横棒は傾いていて、それには意味があります。ハリストス(キリスト)と同じ日に2人の盗賊も処刑されましたが、右側にいた盗賊は自ら罪を悔い改めたので「天国」行き。左側の盗賊は悔い改めなかったので、「地獄」行き。それを表して、天国は右(向かって左)地獄は左…に傾いています。また、はっきりしたことはわかっていませんが、一説に、ロシア正教で十字を描く(切る)時にも表れているのでは?…と。上、下、右、左…の順に十字を描きます。他の、カトリックでは、上、下、左、右に切る。

 では、最後にクイズです。ロシア正教の教会では、立ってお祈りします。それにも、ある意味があります。「それは何でしょう?」 ヒントはギリシャ語で(…)と「立つ」が同じ音だから…。答えは次号で。

(とくなが なつみ)

 
ゼフィール

書評「ロシア語の余白の余白」

2021年11月3日印刷/黒田龍之介著/白水社/定価 2,500円+税

 本書は「ロシア語の余白」という2010年に現代書館より刊行された本を組み替え、増補、改題したものです。

 本書はエッセイ集でロシア語を勉強する際の楽しいエピソードが満載です。第1章から第6章と追章の全7章で構成されています。

 第1章 先ずはお試しの十話、第2章 通訳は恋のキューピット、第3章 せめて文字だけは、第4章 乾杯の辞は照れ図に、第5章 違いが微妙すぎて、第6章 ドストエフスキーが苦手、追章 ベラルーシ語の余白、あるいは白学事始めです。

 例えば第1章では先ず「ロシア文字はありません」が冒頭に来ています。ロシア語はキリル文字で表記されていますが、キリル文字はブルガリアが発祥地であると記されています。ロシア語と同じ、インド―ヨーロッパ語族の中で英語とも共通点や相違点がある等、色々な面白いよもやまが満載のエッセイ集です。 

 中垣内が一番面白いと思ったのは「女性宇宙飛行士と男性主婦」でした。最近は女性の社会進出が進む中で宇宙飛行士になる方もいる時代ですが、逆に男性の地位が低下しているのか、現代の男性にとって社会進出に負担が大きいのか男性主婦がロシアにもいるようです。

 他にも面白いエッセイはあります。是非御一読下さい。横浜市立図書館で貸し出しもしています。

(中垣内)

 

ロシアのウクライナ侵攻に対する山中竹春横浜市長コメント

 横浜市は、このたびのロシアによるウクライナ侵攻に強く抗議します。

 姉妹都市であるオデッサ市が攻撃を受けているとの情報もあり、オデッサ市民の皆様の安否を案じております。

 今回の暴挙は、欧州にとどまらず、国際社会の平和と秩序を脅かすものです。

 横浜市は、国連に認定されたピースメッセンジャー都市として、世界の恒久平和に向け、即時の攻撃停止と部隊の撤収、国際法を順守した誠意ある対応を強く求めます。

令和4年2月25日
横浜市長 山中 竹春

 

ロシア国内で情報統制強まる

 2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻して以来、ロシアでの行動・情報の統制がさらに強まっている。

 ロシア各地で市民による反戦デモが行われていたが、小学生や高齢女性にまで及ぶ数千人が拘束されたという情報もある。

 テレビ局「ドーシチ」、ラジオ局「モスクワのこだま」等の独立系メディアは閉鎖に追い込まれた。

 また3月4日に、ロシア軍の活動に関する報道や情報発信のうちロシア当局が「偽情報」とみなした場合に記者らに対して最大15年の禁錮刑を科せる法案にプーチン大統領が署名したことを受け、独立系新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」等は過去記事や署名を削除。100万人以上の反戦署名を集めていた有志も大統領や政府機関への請願書提出は断念したとのこと。ロシア出身日本在住の当協会関係者も警戒を強めている。

 ウクライナ国内にいかなる問題があろうとも、主権国家への軍事侵攻を正当化し、市民の言論を弾圧することに強く反対する。世界に平和と自由を。

 

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第189回 ヴァシーリー二世とロシア正教会

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