今月の表紙:銀世界に佇むモスク(カザフスタン・アスタナ)

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2012年2月号 No.604

行事予定

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 第8回定期総会

【日時】2012年2月26日(日)12:30~
【会場】横浜平和と労働会館3階
【予定】
12:30~14:00 定期総会
14:15~15:15 総会記念特別講座「ロシア民謡」
知る人ぞ知るロシア民謡の名曲「紡ぎ女」をロシア語で一緒に楽しく歌いましょう。
どなたでもお気軽にご参加ください。詳しくはこちらのページにて。
講師:川北ナターリア(当協会ロシア語教室会話クラス講師)
参加費:500円
15:30~ みなとみらいマトリョミン教室アンサンブルクラス「MMM」のマトリョミン演奏

活動報告

ヨールカ祭2012
今年は在日ロシア人の参加が多く90名超

 1月29日(日)午後1時にウォッカ(もちろん子どもはジュース)の乾杯で、2012年の神奈川県日本ユーラシア協会のヨールカ祭が始まりました。

 今年は、在日ロシア人の出席が目立ち、90人を超える参加者となりました。3階パーティー会場の料理メニューは、スタッフ手製の「外套を着たニシン」、ボルシチ、スープペリメニ、そばのカーシャ、ニンジンサラダなど、後から後から出てきました。

ヨールカ祭2012 ヨールカ祭2012

 2階のホールでは、恒例のジェットマロースИスネグローチカと子どもたちのプログラムが始まりました。子どもたち(10人)はジェットマロースからプレゼントをもらって、みんなでダンスをして嬉しそうです。今年初めて参加の梶谷さんの「切り絵」には子どもたちが群がりました。関戸さんの小話も面白かったです。木曜会話クラス(平均年齢55才)は、今年はロシア語劇「ナグラーダ」(ご褒美)を持ってきました。ラシンカ(在日子どもロシア語教室)は、親子のダンスになりました。続いて、高橋朋子さんの歌「ザマナイ」。川北ナターリヤさんの歌「紡ぎ女」、樋口悟さんと渡辺照子さんのドムラのロシア民謡の歌と演奏です。最後は、当会が誇るマトリョミンアンサンブルの演奏で2階ホールのプログラムは終了しました。

ヨールカ祭2012 ヨールカ祭2012

 5階会場は、「マーシャと熊」と「チェブラーシカ」のDVDの上映会です。1階ショップでは物産展が行われました。ヨールカ祭の最後は恒例のビンゴ大会です。今年も大盛り上がりでした。

(木佐森)

教室案内

第115期ロシア語教室 終了間近

 各クラス全15回で今期終了となります。来期の時間割とクラス開講の決定のため、継続される受講生の方は申込書を速やかにご提出ください。

 新学期は4月9日(月)より順次開講予定です。入門体験レッスンも3月下旬に行います。また、平日と土曜日に新規入門クラスを開設します。春からロシア語学習を始めたい方のお申し込みをお待ちしています。連絡先は下記の通りです。

日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分。
基本的には個人レッスン、同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2011年度後期予定(毎月2回、土曜日開講):
後半残り:2月18日、3月3日、3月17日

生徒募集クラス(※時間が変更になりました):
15:00~15:45(バラライカ上級)
17:00~17:45(ドムラ初級)
18:00~18:45(バラライカ初級)

講師:北川 翔

会場:横浜平和と労働会館5階

会員受講料(1回45分×6回分):
3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:会員60,000円

みなとみらいマトリョミン教室

2011年度後期残り:2月18日、3月17日
アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30
グループレッスン(※60分・2クラスに戻ります)
Aクラス14:45~15:45、Bクラス15:55~16:55

入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:
アンサンブル 3,500円×5回=17,500円
グループレッスン 3,000円×5回=15,000円
※初めての方も歓迎。楽器をお持ちでない方は授業時間内のみ借りられます。

会場:横浜平和と労働会館2階 音楽センター

講師:平野 麻里 (マトリョミン演奏家、指導者 マトリョミングレード1級)

歴史・社会

許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~

 自由社の教科書は日露戦争の遠因となった義和団事件(中国では庚子事変という)について「外国人を排斥し、宣教師や外交官を殺害、北京の各国公使館を包囲した。」としていますがこれは極めて一面的な見方です。

 山川出版社の歴史教科書は「列強の侵略に対し、清国内では内政改革や『扶清洋滅』をとなえる義和団を中心とする外国人排斥の暴動が激化し、清国政府も同調した。」となっています。(下線筆者)

 ここでは、義和団が中国人民の支持を受け、列強の軍事・経済侵略に反対し、清国政府の支援も得て活動していたことが記されています。自由社の記述は本末転倒というべきものです。

 義和団事件の詳細などについてはフリー百科事典Wikipedia「義和団の乱」などを参照してください。

(柴田)

政治・経済

【政治】エスカレートする米・ロ軍拡競争

 1月24日付けRIA-Novostiによれば、今年、ロシアの戦略核戦力には、2隻のボレイ級原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」と「アレクサンドル・ネフスキー」が加わることになる。

 ボレイ級潜水艦は、ブラヴァ・ミサイルを16発搭載し、ミサイル1発につき、6発から10発の弾頭が搭載できる。ほかに「ウラジーミル・モノマハ」などの潜水艦は、20発のミサイルを搭載できる。2020年に向けて、ロシア北部の戦略核戦力は史上最大のものとなり、11隻となる。

 同通信社によればこれら原潜は北氷洋の氷の下に配備され敵に探知され難いし、ミサイルおよび弾頭は水中から発射、超音速で飛行し、その弾道も予測できないため、それを阻止できるようなMDシステムはありえないとの事である。

 米国がヨーロッパにMDシステムを配備することは、ロシアにとっては深刻な問題である。ロシアの抗議に対し米国は「これはロシアを対象とするものではない」と弁明した為、ロシア政府は共同管理を申し入れたが結局は断られた。これを受けてロシアは2020年までの軍事発展に、20兆ルーブル(約7,000億ドル)という多額の予算を計上した。

 コムソモーリスカヤ・プラヴダ紙のヴィクトル・バラネツ軍事評論員は、「大陸間弾道ミサイルを搭載した潜水艦の配備数が増加することは、米国や英国、フランスといった潜在的な敵国にとって懸念材料となる。」と指摘している。

 「力には力で!」では果てしない軍拡競争が続き諸国民の友好と平和が脅かされ、軍事費の重圧によって国民生活が悪化することになる。最悪の場合には核戦争である。両国は覇権争いを止め、話し合いによって問題を解決すべきである。、問題の最終的な解決の為には核、ミサイル兵器の全廃をめざす諸国民の連帯した運動の高揚が必要、不可欠である。どの国民も自国政府が貴重な税金を無差別・大量殺人のために使うことを許してはならない。

(柴田)

【経済】昨年末、ロシアの消費支出増加額が実質ゼロに

 ロミル社(消費動向調査会社)は2011年12月の生活必需品購入のためのロシア人の名目支出額が前年同期比でわずか6,5%増で、これは、リーマンショックによる金融危機が発生した2008年を含めても、最近3年間で最も低い増加額だったと発表した。

 ロミル社は、発表の中で、「増加額は、単にインフレで物価が高くなったことによるもので、2011年の実質支出額は2010年と全く変わらず、増加はゼロとみなされる」と指摘した。

 因みに、2010年の12月には前年同月比で支出額は18%増、2009年の12月は前年同月比で23%増、2008年12月は前年同月比で25%増だった。これはEU,米国の不況がロシアにも及んでいることを示している。

(RIA Novostiより/柴田)

【経済】ロシアの2011年のインフレ率

 ロシア中央銀行のA・ウリュカエフ第1副総裁は、テレビ放送「ロシア-24」で、「恐らく、2011年の通年インフレ率は6,2~6,3%の水準になろう」と述べた。2012年の始めには、彼の発言によれば、年間のインフレ指数は改善されるだろうとのことだ。

 以前、中銀のS・イグナチェフ総裁は、秋季のルーブルの為替レート下落は12月のインフレ率を上昇させる材料になる可能性があり、2011年の予想指数7%を若干上回る可能性も排除していないと述べていた。経済発展省は、後に、2011年のインフレ予測を6,2~6,3%まで落とした経緯がある。ロシア政府の複数の代表者は最近、ロシアの通年のインフレ率は6%になると評価している。

(RIA Novostiより/柴田)

組織・財政

組織状況

 昨年度は年初会員数:220名、入会者数:35名、退会者数:34名、12月31日現在会員数:221名。年間拡大目標50名に対し1名の実増でした。 ハバロフスク旅行の取りやめなどが会員拡大に大きく影響しました。

財政状況

2011年度(仮)決算について

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2011/12/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計3,137,2196,342,648
教育事業8,315,5523,388,452
一般事業3,313,7382,223,099
当期剰余金 2,812,310
合 計14,766,50914,766,509
前年同期(単位:円)2010/12/31
摘 要収 入支 出
一般会計2,021,8865,534,464
教育事業7,923,8123,588,490
一般事業3,414,7242,807,313
当期剰余金 1,430,155
合 計13,360,42213,360,422

 2011年度の財政は予算総額¥14,345,000.-に対し103%の遂行率でした。

 一般会計収入が大幅に増えていますがこれは事務所建設ローンの繰上げ返済、コピー機リース料払い戻し、受け取り利息など合計¥1,337,157.-の臨時的収益があった為で、これを除くと一般会計の実質収入は¥1,800,062.-となり前年比では若干の後退となります。実質的当期剰余金は¥1,475,153.-となり、これはほぼ前年並みです。営業外収益が無ければかなり厳しい決算内容でした。しかし、不況、地震、津波、原発事故など悪条件の中で連続14年間の健全財政を維持することが出来たのは大きな成果でした。2012年度は前年度財政の成果と欠陥を分析し、さらなる前進を図りましょう。

(柴田)

文化・芸能

演劇・映画

エイコーン 栗原小巻主演「アンナ・カレーニナ」

1月8日 於:東京・かめありリリアホール

アンナ・カレーニナ

 2009年初演の「アンナ・カレーニナ」を、今年は加来英治氏の新脚本で栗原小巻が再び挑戦。トルストイの長編小説「アンナ・カレーニナ」舞台版は脚本や演出によって印象が異なるが、加来版「アンナ・カレーニナ」は会話劇である。膨大な台詞のやりとりの中で刻々と心理変化を表現、しかしあの長編を2時間半で演じるのだから、原作にある社会情勢や細かなプロットは大枠でしか取り上げられず唐突感も。

アンナ・カレーニナ

 兄夫妻の浮気騒動を仲裁したばかりの人妻アンナは、元来不倫などもってのほかの良妻賢母。一方、夫カレーニンは超堅物で体面を気にする典型的貴族だ。アンナは無意識のうちに夫への不満を募らせていたせいか、若い将校ウロンスキーとあっさり恋仲になる。アンナの姪キティも、ウロンスキーに振られるや心機一転、トルストイ本人の分身のような社会主義を信奉する男レーヴィンと結婚し幸せをつかむ。

 アンナはウロンスキーの子を宿すが流産。傷心を癒すため彼とともにイタリアへ駆け落ちする。だが、息子恋しさにロシアへ帰国。一方、離婚を承諾するかと思われたアンナの夫は、キリスト教異端派のもとに走り一転して離婚を拒否。息子とも会えず、社会的にも日陰の女になってしまったアンナは絶望の淵に。そしてついにウロンスキーの心変わりが訪れる。かくして彼女は「ウロンスキー、あなたを自由にしてあげる」というセリフを残し、冒頭で暗示された鉄道自殺を遂げてしまうのだ。

アンナ・カレーニナ

 栗原小巻がロシアと縁が深いせいか、彼女の立ち振る舞いもどこかロシア女優的で優雅。きらめくような舞台衣装もバリエーション豊かで楽しい。ただ、アンナの死がどうしても自業自得に見えるストーリー展開は、この原作を舞台芸術にすることの難しさを感じさせた。


(文:滝沢 三佐子/写真提供:エイコーン)

文 芸

私の春が嫌いな理由

 春が到来すると、皆周囲にいる客、同僚、あるいは見知らぬ人に対して、訪れる四季を喚起する言葉を述べずにはいられない。

 「春は素晴らしいですね。」、「春はぬくもりの季節、愛の季節、桜の季節…。」等と彼らは言う。皆、次々と同意の言葉を交わし、新しい季節への賛美が会話を盛り上げる。

 そして必ず誰かが、「私がなぜ、春が好きか分かる?」と、利口ぶった表情で私に質問してくる。

 もちろん、私はその理由も知らない上に知りたいとも思わず、沈黙を守る。しかし、この沈黙は年上に対する礼儀作法と良識ある行動であると同時に、この会話のテーマに私自身が関心を示していない旨を示唆するものでもあるが、本人には理解されず。長いモノローグをしたくて仕方ない表情を彼は隠しきれず、仮に聞きたくないという私自身の気持ちを率直に言ってみたとしても、それをきっと分かってもらえないだろう。

 「なぜ春が好きかというと、春は新生活がスタートし、新しい人との出会い、目標、幸福をもたらし、期待が膨らむからだ。」

 春とそれに期待する全ての物事に対する隣人のべた褒めは、尽きることがない。聞けば聞く程、彼のちょうど1年前の期待が早くも自身の中で価値が失われてしまい、さらに今抱いた新しい期待も恐らく1年も持ちこたえられずに、酒の席での笑いネタか二日酔いの苦しみのきっかけになる他なくなることが目に見え、悲しくなってしまう。そして春は私自身が大切にしている物、愛している者を奪い、長い道のりと寂しい日々の向う側に持ち去ってしまった、という考えが思わず脳裏に浮かんでくる。

 隣人は、自分に頷きながら話し続け、酒ではなく自身の言葉に酔っていく。私は常識に従ったというよりも、むしろ反論する力量がないため、笑みを保ちながら満足げな相手に首を縦に振ってしまうのだが、心の奥底では早くも夏が訪れ、春がもたらした全ての虚しさや傲慢さを長雨がきれいさっぱり洗い流してくれたら、と願ってしまう。

(ジャブライロフ・スレイマン/2011年4月)

芸 能

ユーラシア音楽芸能情報

 ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!

 今回は勝手ながらお休みさせていただきます。M(_ _)M

Русская десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10
 大型冬休みもひと段落してもなお食傷気味なロシアから、1月最終週のMTV TOP10をお送りします。1月は総集編!

 10位の曲も昨年下半期に長いことチャートインしていました。日本詣でしてくれたサヴィチェヴァがランクインするとR-POPファンはとても嬉しいですね。

 6位と8位と9位は昨年晩秋に登場したばかりの楽曲。メキシコの休日はMTVのサバイバル恋愛番組からスピンオフしたユニット。ヨールカは「プロヴァンス」欧州HITから一躍旬の歌手に。お笑い界のエース・ヴォーリャとタッグ組んで歌った曲が総集編で9位ゲット。8位のマクシムもiPhoneをテーマにしたPVに合わせた楽曲で人気に。

 総集編で第1位に輝いたのは、音楽の才能にも環境にも恵まれた、いま最も旬なアーティスト・ニューシャ。2010年代の若きR-POPリーダーは彼女でしょう。今後の活動から一層目が離せません。おめでとうございます!:-)

 詳細は協会ブログ「ユーラシア芸能」カテゴリーで。

(MOPA)

音 楽

ウズベキスタンに於けるクラシック音楽の発展

D・オフチンニコフ

 1868年(注)のツァーリ政府による植民政策により中央アジアがロシアに併合された後にウズベキスタンにロシアの先進的な科学、芸術の影響が浸透した。

 80年~90年代になると、ウズベキスタン各地の都市に音楽愛好家の協会が設立された。

 タシケント音楽協会(1884年に合唱指揮者兼バイオリニストのア・エフ・エイフゴルンの尽力により創立され、1895年からはヴェ・イ・ミハレクが率いた。)、タシケント合唱協会“リラ”(1898年に軍合唱団の合唱指揮者、ヴェ・ヴェ・レイスカの指導下で)、マルゲランスキー音楽協会(デ・イ・ミハイロフの指導)、サマルカンド音楽協会(90年代に設立)等々である。

 新たに組織されたロシア人音楽家の交響楽団、室内アンサンブル、オペラ劇団、加えて諸外国からの客演芸術家(ロシア、グルジア、アゼルバイジャン、イタリー、フランス等々)によりコンサートが組織された。いたる所で行われた軍楽隊の演奏が音楽の普及に大きな役割を果たした。こうした活動が、ウズベキスタンの国民的音楽文化の発展にとって積極的な貢献をした。

 この年代に初めてヨーロッパの演奏団体の為にウズベキスタンのメロディの編曲が行われた。(タシケント、チェコのヴィソクーミトで演奏された吹奏楽の為の編曲、1893年にモスクワで演奏された、エヌ・エス・クリノフスキーによる交響楽団向けの編曲がある。)

 70-80年代には、ウズベクとその他の中央アジア諸国の作曲家(エイフゴルン、レイセク、エフ・プフェンニクその他)による作品の最初の出版が行われた。エイフゴルンは更に中央アジアとカザフスタンの楽器を収集し、1880年にペテルブルグとウィーンに出品した。しかし同様の事績は音楽家自身による個人的イニシアチブにより行われ国家による援助は行われなかった。エイフゴルンにより印刷の為に用意された、中央アジアとカザフスタン民族の民謡はソヴィエト時代になって初めて陽の目をみた。(ベリャーエフの編纂によるウズベキスタンに於ける音楽的フォークロワ、1963年、タシケントで発行)

 ウズベキスタンで樹立されたソビエト政権(1917年11月~1918年3月)と関連する社会改革は音楽芸術の発展にとり質的変革をもたらした。

(次回に続く)

(訳・一杉 次郎/タシケント)

催し物情報

ロシア映画特集 レンフィルム

とき:2月25日(土)
ところ: 川崎市民ミュージアム
内容:「海に出た夏の旅」(1980) S.アラノヴィッチ監督作品 12:30より1回上映
「護送兵」(1989) A.ロゴシュキン監督作品 15:00より1回上映
問合せ:川崎市民ミュージアム 044-754-4500
問い合わせ:日経ミューズサロン事務局 03-3943-7066

アレクサンドル・メルニコフ ピアノリサイタル

演目:ショスタコーヴィッチ「24の前奏曲とフーガ」
とき:2月26日(日) 13:00
ところ:浜離宮朝日ホール
問合せ:朝日ホールチケットセンター 03-3267-9990

MUZAランチタイム&ナイトコンサート 哀愁のロシア音楽

とき:2月28日(火) 12:10/19:00開演
ところ:高津市民会館
出演:バラライカ 北川翔、アコーディオン 大田智美
料金:ランチタイム500円、ナイト1000円(全席自由)
問合せ:ミューザ川崎シンフォニーホール チケットセンター 044-520-0200

新国立劇場バレエ アンナ・カレーニナ

とき:3月16(金)・17(土)・18(日)・20(火・祝)ところ:新国立劇場中劇場
台本・振付:B・エイフマン
音楽:P・チャイコフスキー 他(録音音源を使用)
出演:ニーナ・ズミエヴェッツ、オレグ・マルコフ、長田佳世ほか

マトリョーシカを折ろう!(マトリョーシカ折り紙講座)

とき:3月7日(水) 14:00~14:30
講習後、作家によるギャラリートークあり。
ところ:おりがみ会館(文京区湯島1-7-14 御茶ノ水駅)
参加費:1500円(折り紙代含む)
講師:フィリューザ・アクメドワ 通訳つき
要予約、定員あり。
予約・問合せは、03-3811-4025、 03-3815-3348 (Fax)

Dreams of Paper ロシアと日本のおとぎ話から

クラスノダール在住のフィリューザ・アクメドワさんの折り紙作品展。
3月7日(水)~4月7日(土) 10:00~17:00
おりがみ会館 中2階ギャラリー

スポーツ

ロシア・モルドヴィア共和国のスポーツ事情

バザロワ&ラリオノフ組
 昨年末、フィギュアスケートのロシア国内選手権が二年連続モルドヴィア共和国のサランスクで開催された。地方都市にて連続で開催されることは異例と言えるが、誘致したサランスクは近年スポーツ競技全般に大変力を入れている。今大会ペア競技で優勝したバザロワ&ラリオノフ組(写真右)も今シーズンからホームリンクをサランスクへと移し、見事に初優勝を果たしている。もちろん冬季競技だけでなく陸上や室内競技にも同じく力を入れ、サランスクでの各種国際競技会が今後に控えている。

 今大会期間中に是非と案内されたのは、サランスク市内にあるスポーツ複合施設「スポーツコンプレックス」だ。総面積は18630㎡、室内運動場やスイミングプールをはじめとした専門練習場以外にもウォームアップ用ホールや筋力トレーニングルーム、フィットネスルームなどを兼ね備え、有料ではあるが一般にも開放している。

スポーツコンプレックス全景 ゲート
(左)スポーツコンプレックス全景
(右)ゲート。スポーツコンプレックスの入り口。皆必ずセキュリティ検査が必要。

 室内運動場では一般的な陸上競技の幅跳び、走り高跳び、砲丸投げなどのトレーニングが行われ、オルガ・カニスキナ(北京五輪女子20㎞競歩・金)やワレリー・ボルチン(同五輪男子20㎞競歩・金)などもここでトレーニングしていたという。バスケットボール、ハンドボール、レスリング、柔道などの多種多様な練習場も備えており、ここからも五輪メダリストを幾人も誕生させている。例えばレスリング競技ではアテネ五輪84㎏級金メダリスト、アレクセイ・ミチンを輩出し、今年はこの施設にてグレコローマンの国際大会を予定しているそうだ。

スイミングプール バスケットボール&ハンドボールの練習場(小)
(左)スイミングプール。五輪と同じ水のろ過システムを採用したプール。訪れた当日は一般開放していた。104席の観覧席もある。
(右)バスケットボール&ハンドボールの練習場(小)。床は表面に特殊な加工を施し、滑りにくくクッション性に優れている。ミニサッカー場としても貸し出される。

 この施設内で主に試合で利用されるのは、座席数1744席を擁するユニバーサルホールだ。アリーナ席を仮設すると2000席が可能となり、スポーツ以外にもコンサートや政治関係、教会関係の集まりにも多く利用されている。サランスクの若者たちはバスケットボールを好み、ここでの試合観戦後にカフェテリアでビールを飲むことが1つの楽しみになっているという。(カフェテリアでの価格は選手支援の為にとても安いとのこと)

 また、スポーツコンプレックスからすぐ近くの場所にはヨーロッパで唯一の屋根付き室内自転車競技場もある。サランスクの若者にも人気のあるスポーツだそうだ。

室内自転車競技練習場 サランスクの子供たち
(左)室内自転車競技練習場。試合と同じ環境を整えている。土はテニスコートと同じクレー。
(右)サランスクの子供たち。最終日に行われた地元サランスクの子供たちとのスケート教室

 競技場を含め、これらのスポーツ施設はサランスク市内に多く点在し、競技会の誘致にも積極的だ。スポーツ競技に力を入れることで、モルドヴィア共和国を国内外にアピールするよう上手く繋げられていると強く感じられた。これも国(共和国)としての戦略のひとつだ。

(森 美和)

■写真満載!2011/2012 フィギュアスケートロシア国内選手権レポートはこちら
フィギュアスケートロシア国内選手権 表彰式

ユーラシア通信

リペツク便り (12)最終回

冬のリペツク
 リペツクに来て1年経ちました。冬の厳しい寒さにも慣れ、天気予報を見れば何を着たら良いかもわかるようになりました。これ、ロシアで生活していくために最も重要なことかもしれません(笑)。

 日本人が想像するロシアって「人々は長く厳しい冬の寒さに耐えて暮らしている」というイメージが多いのではないでしょうか?私もロシアに来るまでそう思っていました。

 確かに長く寒い冬ですが、一歩建物の中に入ればTシャツで過ごせるほどに暖房で温められ、風の無い晴天の日は防寒をすれば気温ほどには寒さを感じず、毛皮・ダウン・帽子・手袋・靴など、気候に対応した防寒着は機能的で非常に暖かい。日本に暮らすロシア人も、ロシアで暮らした日本人も、「冬は日本よりロシアの方が過ごしやすい」と言うのがよくわかります。

 そして、西側ロシアは自然災害がほとんどありません。一年中全国津々浦々で災害を克服しながら暮らしている日本とは大違い。リペツクで暮らした1年の間、自然災害は一度もありませんでした。そして、日本は土地も資源も持たない。

 だから頭と手を使い、常に備えを怠らず、イザという時は冷静かつ積極的に行動し、協調して困難を克服する、そんな日本人の資質はこの自然環境と歴史から生まれたものだとロシアに来てから思うようになりました。

 それに比べロシアは平穏で穏やかです。人々は社会主義時代の恩恵で家や土地を、国家は広大な土地と資源を持ち、国として自給自足が可能です。長い冬はただじっと過ぎるのを待ち、夏には長い休暇を楽しみ、ダーチャで花や野菜を育てて冬支度をする。ロシアの人たちが貯蓄もせず保険にも入らないのも納得です。

 私のリペツク暮らしはまだしばらく続きますが、こちらへの寄稿は今回が最後です。1年間ありがとうございました。

(堀江)

ムルマンスク便り ~民族友好祭2012の内幕(上)~

 1月最終日曜日。市中心にある某文化宮殿では恒例「民族友好祭(以下、祭)」という祭が開かれる。ムルマンスク州在住の外国人団体や各国愛好団体が参加し、ステージで国の芸能を披露するというものだ。私が立ち上げた団体「ムルマンスクの中の日本」は2010年から参加。今回は日本の古歌「さくらさくら」を生徒達と歌う予定だった。

 正月明けに申込用紙を提出しに行くと、取り纏めている女史から「日本は祭に参加してはならない」と言われたではないか。理由を聞くと「祭は各民族”協会”が参加対象であり、その民族がいない”愛好家団体”は参加対象に入ってない。確かに日本人はあなたがいるけど、一人で何ができるのよ。」

 「今回は生徒達と一緒に日本の歌を披露する予定です。」

民族友好祭

 「ほらみなさい。あなた以外みんな愛好家じゃない。それじゃだめ。一人じゃ民族がいるとみなせないわ。それに一昨年はあなた出たけど、ほかの人が出たじゃない。あれでムルマンスクの日本人はゼロになったとみなされたのよ。」

 一昨年は愛好家らとの共同参加を勧めた女史。今回は180度違うことを言ってきたのだ。随分横暴な参加条件である。私の存在は消され、私を手伝ってくれている愛好家のみなさんの気持ちと努力は踏みにじられたのだ。

 その暴言の後「祭のステージには立てないけど、その後の参加者だけの打ち上げだったらエントリーしてOKよ。」

 頭に血が上っていたがなんとか冷静になり、実際どうなっているのか確かめるため、当日の祭りの模様を見に行き、打ち上げに参加することに。各国演目も若干長かったように思えた。ウクライナを皮切りにベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア、サーミ…といった国々が、歌や踊りを披露。…あれ?全部昔のCCCP共同体メンバーじゃない。共同体以外はドイツとイスラエルのみ。

~つづく~
(MOPA)
ブログ「ムルマンスク便り」もあわせてごらんください。

ロストフで見たロシア下院議員選挙(後篇)

ロシアのテレビの選挙報道
 ロシアのテレビでは、投票日の前日まで、頻繁に各政党のCMが流されました。日本よりも長く、政党によっても長さが違います。与党の「統一ロシア」のCMは、やはりプーチン、メドベージェフを前面に立て、ロシアの発展や、軍隊も登場して強いロシアを強調します。野党の一つの「ロシア共産党」は、ジュガーノフが登場し、何かソ連時代を思わせる場面もありましたが、ちょっとおもしろい場面もありました。国のトップの行政官を思わせる人物が、国民への補助金を出すのですが、途中にいくつかの機関を表す人物をリレーしていく間に、それぞれが一部を自分のポケットに入れるので、最後に国民に渡った時はわずかしか残っていないというもので、今の行政機構の不正を批判したものでした。他に変わったCMは「ヤーブラカ」という政党のものです。最初私は、何かリンゴを生産する農業企業のCMかと思っていましたが、そのCMにしては長いので、やっと政党のCMと分かるような内容でした。

 政党討論会の番組も流されていましたが、全政党が集まるものではなく、ある2党の組み合わせで、それぞれの党の代表が討論する内容ですが、代表者の後ろには、その党の支持者が陣取っていて、その支持者が相手の党の代表者とも激論を交わすというユニークな形式で行われていました。

 選挙結果は、ご承知のように、棄権した人の票は、与党の信任票と称して、選挙管理委員が勝手に与党に投票してしまう(投票は政党の番号にチェックを入れるだけなので簡単)といった様な不正があったにもかかわらず、与党が過半数ぎりぎりまで票を減らしました。

ロストフでの選挙時の様子

 最後に、これは選挙とは関係ありませんが、ロストフ空港に到着した時の様子を紹介して終わりにします。

 空港のロビーに出た時、民族衣装を着て楽器を盛った男女5人がいるのを目にし、なんだろうと思っていると、わたしたち旅行団の前に出てきて、歌と演奏を始めたのです。そして一人一人にウォッカを一杯ずつ配ってくれました。聞くところによると、ロストフに日本人が来ることはめったになく、ましてや私たちのような旅行団が訪れたのは近年なかったということで、わざわざ歓迎してくれたのです。そのうちの一人は北川さんの知り合いの人でした。今ロストフに住んでいる日本人は、旅行団の案内をしてくれた女性一人だそうですが、その人は日本語の教師をしています。日本人が来ないような土地でも日本語を学ぶ人がいるのは驚きですが、理由を聞くと、半分は日本のアニメの影響とのことでした。日本のアニメの力はすごいですね。

(田中)

中央アジア見聞録(1) ~カザフスタン首都アスタナと日本~

 東洋と西洋が入り混じるエキゾチックな地域、中央アジア。この度私はカザフスタン、ウズベキスタンの2か国に行って参りました。それぞれの国で新しい発見、たくさんの驚きがありましたので、何回かに分けてお伝えしたいと思います。

 初めにカザフスタンの首都、アスタナに行きました。アスタナは、1997年にアルマティから遷都して以来、カザフスタンの工業、経済の中心地として発展してきました。この地に立ってまず受けた印象は、とても現代的な街だということです。さらに中心地に向かうとそこには現代アートのような建築物が立ち並び、まるで未来都市に足を踏み入れたかのような感覚にとらわれました。

ハンシャティル

 実は、アスタナと日本には意外なつながりがあり、都市計画を立てたのは日本の建築家、黒川紀章氏です。1998年のカザフスタン政府主催で行われた国際コンペで1位に選ばれ、彼の計画に基づいて都市開発が行われました。実際市内には現代的なデザインの建築物や、最新の技術を駆使して建てられた建物が多くあります。

 写真の左右非対称の建物は、ハンシャティルという名前のショッピングセンターです。この建物は世界で一番大きな尖塔と言われており、内部の気温が常に16℃~29℃になるような工夫がされています。

平和のピラミッド

 三角形の建物は、平和のピラミッドと言われる建造物です。内部にはオペラハウスや博物館、最上階には国際会議に使われるホールが入っています。実はこのエレベーターも特殊な技術で作られています。ピラミッドの端に位置しているためななめ上に昇るようにできているのです。実際に乗ってみると、普通のエレベーターとは違う何ともいえない不思議な感覚でした。

 アスタナの都市計画の完成は2030年と言われています。あと18年後に一体どんな街になっているのか、今後の発展が楽しみなものです。

カザフスタン・アパートホテル「アスタナ・トリウムフ」 ウズベキスタンの民族楽
(左)カザフスタン・アパートホテル「アスタナ・トリウムフ」
(右)ウズベキスタンの民族楽器
サマルカンド「シェルドル・メドレセ」 サマルカンド「シェルドル・メドレセ」
(左)サマルカンド「シェルドル・メドレセ」  (右)市場のナン売り場
(高橋)

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