今月の表紙:ハンガリー・ブダペストの街

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2012年6月号 No.608

行事予定

チェチェン料理教室

ジジ・ガルナシ(羊肉料理)
山の恵み豊かなコーカサス地方。民族料理シリーズ第2弾は、チェチェンの伝統料理です。内容の詳細はこちらのページにて。どうぞご期待ください!

メニュー:なすの前菜、ジジ・ガルナシ(羊肉料理)、ハルヴァ(ナッツを使ったデザート)
日時:7月1日(日)13:30~17:00
※先月号で日程を「6月24日」と発表しましたが、都合により7月1日に変更しました。何卒ご了承ください。
会場:横浜市青少年交流センター(ふりーふらっと野毛山)2階料理室(JR・市営地下鉄桜木町駅徒歩15分・京浜急行日の出町駅徒歩10分)
参加費:会員2,500円、一般3,000円、小学生1,500円

お問い合わせ・お申し込み:
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

第14回「大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅」

第14回「大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅」 今年はロシア極東ハバロフスクへの旅を再開します。今回はこの旅行の創始者・柴田会長、ベテランの田中事務局長などが同行、ご案内します。ロシア語は話せなくても大丈夫です。奮ってご参加ください!

【日程】8月13日(月)~8月17日(金)
【旅行地】ロシア・ハバロフスク市
【参加費】175,000円(ホテル&ホームステイコース、ダーチャ生活体験コース共)
【基本企画】(1)ダーチャ生活体験 (2)児童サマーキャンプ「オケアン」訪問 (3)お別れパーティー
【オプション企画】(1)市内観光 (2)ロシア民族楽器「ドムラ」レッスン(1) (3)アムール河ミニクルーズ (4)「ドムラ」レッスン(2) (5)子ども鉄道 (6)博物館・寺院めぐり (7)路面電車で巡るハバロフスク (8)現地市民団体との日露文化交流 (9)現地で学ぼう!ロシア語会話
【お申し込み締切】2012年6月25日(月)
【旅行と説明会のお申し込み・お問い合わせ】
第14回「大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅」実行委員会(神奈川県日本ユーラシア協会内)
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

【緊急開催!】第14回 大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅 第2回説明会

2012年6月17日(日)14:00~16:00 参加費無料
場所:横浜平和と労働会館5階 当協会教室

活動報告

第59回ロシア語能力検定試験

第59回ロシア語能力検定試験
 5月27日(日)第59回ロシア語能力検定試験が行われました。横浜会場では午前の4級を15名、午後の3級を18名の計33名の方が受験されました。受験者は男性が全体の7割、女性が3割を占めていました。

 2009年から3級・4級の検定試験が5月・10月の年2回開催になって今年で4年目ですが、検定試験の受験はロシア語学習の達成度を測るうえで、また学習意欲を高めるうえで非常に有益です。近年は日露の経済交流の活性化を受けてか、書店に並ぶ初心者向けの教材の数も増えていますので、昔ロシア語をかじっていた方にも、これから始めようという方にも、今は学びの“旬”ではないかと思います。

 今回は試験監督として立ち会いましたが、やはり聴解や朗読は初級者にとって難所で、特に3級の朗読では、制限時間以内にテクストを読み終えられなかった方が多かったようです。聞く、喋るといった分野は、独習ではなかなか上達が難しいもの。当協会の横浜ロシア語教室ではネイティブ講師の授業も充実していますので、ロシア語学習でステップアップを図りたい方は、ぜひ一度、授業の見学にいらしてください!

(桜井)

教室案内

ロシア語教室第116期

 ロシア語教室も開講から2か月が経ち、初めて学ぶ方も少しずつロシア語に慣れてきているようです。

 月曜夜、土曜午後の新規入門クラスの他、初級・中級・上級・応用・会話の各種クラスにもまだ空きがあります。

 途中からの参加もできますので、是非気軽にご見学ください。見学は3クラス・30分まで無料です。

 皆様のお申し込みをお待ちしています。

 時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細はホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせ先は次の通りです。

木曜午後のロシア語個人レッスンは会員のみ特別料金で受講できます!

 横浜ロシア語教室では、クラスレッスンの他、ご希望に応じた内容・時間で個人レッスンも行っています。
 趣味から仕事や留学に役立つ学習まで、初心者から上級者までOK。木曜日の午後なら割安な会員特別料金で受講できます。この機会にぜひお試し下さい。

時間帯:木曜日13:00–14:30, 15:00–16:30, 17:00–18:30 のいずれかで応相談、各90分。希望日と時間枠を左記の教室連絡先までお伝えください。(既に予約が埋まっている場合はご容赦ください。)
受講料:通常は会員料金6,400円のところ 5,500円(適用は会員限定。一般の方は6,800円となります。)
講師:須藤アレキサンドラ(当協会講師、日本語説明可)

日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

 月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。基本的には個人レッスン。同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
 入学金5,250円(会員無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2012年度前期予定(毎月2回、土曜日開講):
前半 4/7, 4/21, 5/5, 5/19, 6/2, 6/16
後半 7/7, 7/21, 8/4, 8/18, 9/1, 9/15

生徒募集クラス:
15:00~15:45(バラライカ上級)、17:00~17:45(ドムラ初級)、18:00~18:45(バラライカ初級)
講師:北川 翔
会場:横浜平和と労働会館5階

会員受講料(1回45分×6回分):
3~5名クラス:24,000円(1回4,000円)、2名クラス:36,000円(1回6,000円)、1名クラス:60,000円(1回10,000円)
※途中入学の方は終了回数分を値引きします。

みなとみらいマトリョミン教室

 4月から新しい期が始まり、気分も一新、各クラス楽しくわきあいあいとした雰囲気の中レッスンが行われています。

 アンサンブルクラスでは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」でさらなる正確な音程と美しいハーモニーを目指し、横浜にちなんだ曲として、新たに「ブルーライト・ヨコハマ」「伊勢佐木町ブルース」に取り組んでいます。

 月1回のレッスンですが、生徒の皆さんは8月の発表会に向けて練習に励んでいます。

 ぜひ、面白く癒されるマトリョミンの音色を体験してみませんか?見学・体験レッスンもレッスン日に合わせて行っています。

(檜垣)

日程:毎月1回、土曜日開講
2012年度前期予定:4/21, 5/19, 6/16, 7/21, 8/18, 9/15 発表会:8/26(日)
アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30
グループレッスン(60分)Aクラス14:45~15:45、Bクラス15:55~16:55
入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:アンサンブル3,500円×6回=21,000円
グループレッスン3,000円×6回=18,000円
※途中入学の方は終了回数分を値引きします。
会場:横浜平和と労働会館2階または3階
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

ユーラシア通信

遅まきながら ~入会の弁~

 精力的かつ精悍な、驚異的にお元気な柴田順吉さんにお会いして、早速、突然、「原稿を書くように、何でもいいから」…と言うことにあいなりました。

 小生、これまで延々と放浪、職場替え、転職、連続出帳より成る人生。言わば風の吹くままの生き方を続けてきました。ですから、これまでソ連・ロシア・CISに深いご縁がありながらも、いかなる組織にも属したことがございません(『ロシア語通訳協会』を米原万里さん達と共に造って活動したことは例外として)。それは最近まで「温まる席」を持たなかったこととも関連しています。

 長いこと横浜市の住民ではありましたが、この桜木町の教室には25年ほど前に一度だけ、講演に呼ばれて顔を出したのが最初で最後です。

 ようやく今年の3月末、比較的落ち着いた生活を送る転機が巡ってきました。それは10年間教鞭を執っていた上智大学を定年退職したお陰です。それでいま、一種の開放感を味わっています。が、他方で、屈託のない若者たちとの縁が突然途絶えてしまい、深い、やるせない喪失感を覚えるようにもなりました。

 ロシアやその周辺、そして国際関係や世界情勢について語り会える仲間、ロシア語学習に関する相談に乗ってやれる相手が皆無…そんな余生は、のんびりは出来るが、楽しくは無かろう、ましてや人様にとって無益だろう…。というわけで、遅まきながら横浜にシフトを移した次第です。

 もう「中年」ですので、がむしゃらに何かをする気はありませんし、いやなことには「ノー」と断じてもよい年回りだとも思います。これまでさんざん周りの空気に押されてあれやこれやの役を演じさせられたので、もうそれだけはご勘弁を。いささか不遜かも知れませんけれど、これ本音です。

 幸い、柴田さんにお会いしたときに、「出来ることを、したい範囲内で、やるだけですよ」とアドバイスされたので、肩の力が抜けた感じがします。

 どうぞ以後宜しくお願い申し上げます。

(徳永 晴美)

ユーラシア関連記事・写真の投稿、ご意見、ご感想、情報等 大歓迎!

 字数は読み物なら400字~800字程度(長ければ連載で)、案内なら1行~200字以内で。この神奈川県版機関紙「日本とユーラシア」に関するご意見やご感想なども歓迎します。月末締切。投稿は郵便・FAX・Eメールのいずれかでお願いします。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

政治・経済

私の見た中・東欧諸国の現在(2)ハンガリー経済の一断面

 4月24日、世界遺産のブダペスト王宮を見学、素晴らしかったですが、観光はここでは対象外なので興味をお持ちの方は;http://oasis.halfmoon.jp/extphoto/hungary.htmlをご覧下さい。私はHi-Visionカメラで撮影してきましたので(目下編集中)ご希望があれば映写してお目にかけます。

 さて、この見学で心に残ったのはアメリカによる第二次大戦時の爆撃を受けた王宮跡(瓦礫など)が復旧されず未だにそのまま放置されていたことでした。王宮の他には40年ほど前によく行ったGellert-Hotelの大温泉浴場にも行ってみました。古色蒼然、ほとんど昔と変わっていないのには驚きました。ブダペスト中心地のエリザベータは若者の買い物や喫茶で結構にぎわっていました。

 ベテラン・ガイドのナジさんと色々話しました。彼によれば、今のハンガリーはEU加盟によって農業が、パプリカなどの特産物を除けば、ほぼ完全に崩壊してしまったそうです。私も以前のように食事に新鮮な野菜が無いのを不思議に思っていました。

 ハンガリーは体制転換時には外資の導入で「わが世の春」を謳歌していました。EU加盟ではIMFからも多額の資金が貸与されました。しかし、社会主義体制時代の名残も有ってハンガリー人はあまり働きません。ナジさんによれば彼らは(8時間労働を前提として)一生に29.3年しか働かないそうです。新卒者の年休は20日、病休は医師の証明で無制限、ちょっとした病気でも休むのが子供のときから当たり前。有給休暇は年を取るごとに自然に増え、45歳になれば誰でも30日の休暇がもらえます。日本と違って堂々と休む。ハンガリー企業では欠勤率10~15%は当たり前。私は一生に既に60年以上働いていますからハンガリー人の2人分以上です。まさに蟻とキリギリス。キリギリスは最近の20年、借金を食いつぶして歌を唄っていたのです。

 その間に資本主義国との激しい競争にさらされ、国営企業はNational-FlagであるMALEEV航空を始めとして多数倒産、失業者が巷にあふれました。国家財政は無論大赤字、そこでEUは補助金を打ち切り、財政赤字の削減を求めました。ハンガリーはこれに強く抗議していますが果たしてどうなることか・・・。ナジさんはこう締めくくりました;「ハンガリーは以前はソ連の植民地だったが、今はドイツ、フランス、イギリスの植民地だ。IMFはアメリカ/ユダヤの高利貸し、国民は高い利息で搾取されている。偽共産党の幹部は今ではそのまま新興成金に変身、昔と何も変わっていない。被爆した王宮が復興しないのも、地下鉄の工期が3年も延びているのも、その予算が悉く成金達が横領してしまったからだ。」と。

 風光明媚なドナウ川のブダ側には成金が、ペスト側には貧民やジプシーが住み、ジプシーなどが成金の居住区に入ると警備員に追い出される姿が、私には美しい世界遺産と強烈なコントラストでした。

(柴田)

Eurasia Gallery

ハンガリー・ブダペスト、2012年春 (撮影:柴田 順吉)

ブルタヴァ河の鎖橋と大聖堂 ブルタヴァ河の鎖橋と大聖堂
王宮、漁夫の砦 王宮から見た国会議事堂 (左)王宮、漁夫の砦 (右)王宮から見た国会議事堂
ブダペスト王宮戦災痕 王宮、米軍空爆の痕 (左)ブダペスト王宮戦災痕王宮 (右)米軍空爆の痕

組織・財政

組織状況

(2012年5月31日現在)
年初会員数:221名。5月末会員数:221名。 前年同期比7名増。会員拡大目標:240名、達成までにあと19名。夏のハバロフスク旅行の成功などで目標達成に大きく前進しましょう。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2012/5/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計813,8282,956,478
教育事業3,644,6461,579,282
一般事業1,752,400923,294
当期剰余金 751,820
合 計6,210,8746,210,874
前年同期(単位:円)2011/5/31
摘 要収 入支 出
一般会計669,4262,396,892
教育事業4,109,4971,459,180
一般事業1,510,1291,320,969
当期剰余金 1,320,969
合 計6,289,0526,289,052

 全体の規模で昨年に比べ僅かに減少。当期剰余金は43%も減少、教育事業の不振が原因です。

貸借対照表 (2012)
科 目本年5月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産5,305,0683,820,571+1,484,497
固定資産1,884,7752,340,000-455,225
資産合計7,189,8436,160,571+1,029,272
流動負債000
固定負債0570,151-570,151
負債合計0570,151-570,151
純資産7,189,8435,590,4201,599,423

 前年同期比で資産は増加、負債は減少、無借金経営を維持していますが、組織、財政面から見て、教育事業の質・量の発展をはかる必要があります。対策としては日曜講座、学習サークルなどの設置が考えられます。

(柴田)

文化・芸能

演劇・映画

映画評『プリピャチ』

於:渋谷アップリンク、横浜シネマ・ジャック&ベティほか

プリピャチ

 3.11以後、これまで上映されていなかったチェルノブイリ原発事故関連の映画を目にする機会が増えた。『プリピャチ』もその一つ。原子力発電所から約4キロに位置する街の、事故後12年の様子をとらえたものだ。原発周囲30キロは立ち入り制限区域「ゾーン」だ。しかしそこには暮らし、働く人たちがいた。

 ライフラインがまったく機能しない中で自給自足の生活をする老夫婦、移住許可が下りず苛立ちを隠せない住人、汚染自動車の盗難管理に携わる男性、環境研究所で事故後も勤務を続ける女性。そして再稼働した3号機で働く原発労働者。彼らは事故発生以前の生活を懐かしみつつ、事故後も「生活のために」この場を離れられない心境を語る。一様にやり場のない憤怒と絶望に満ちているが、彼らにとっての救いは「放射線は目に見えない」ことなのかもしれない。

プリピャチ

 この映画の監督は、『いのちの食べかた』を撮ったドイツのニコラウス・ゲイハルター。撮影されてからすでに13年のときが過ぎている。モノクロームの映像に残る彼らの証言は過去のものだが、現在進行形でもある。

※この作品は自主上映が可能です。詳細はアップリンク(03-6825-5503)まで。

(滝沢)

芸 能

ユーラシア音楽芸能情報

ユーラシア音楽芸能情報
 ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!

 5月22日、24日、26日にアゼルバイジャンの首都バクーで欧州音楽の祭典ユーロヴィジョン2012があり、ロシアから出場したスーパーお婆ちゃんユニット「ブラーノフスキエ・バーブシュキ」が大健闘し2位になりました。ウラ☆ハッスル!  

 なお、優勝はスウェーデン代表のロリーン。ホスト国アゼルバイジャンからの代表サビナ・ババエヴァも4位に。

※詳しくは6月15日頃に発表される、神奈川県日本ユーラシア協会ブログ「日本とユーラシア~ダイジェスト版~」の当月号ユーラシア芸能記事をご覧ください。

Русская десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10
 夏休みに突入し子供も大人も弾丸のように長期旅行へGO!5月最終週のMTVTOP10をお送りします。なんと10曲中5曲がチャート入り!

 10位にQuest Pistolsの新譜「Разные」。 8位にМакSимの「Одиночка」。6位5位4位とHIPHOPスターが続きます。6位にジガンの「Нас больше нет」、5位にノイズ・エムシー「Вселенная бесконечна」、4位にチマチー「RockStar」。露HIPHOPの頂点に登りつめたミスターブラックスターことチマチー。ファーブリカズビョーズド-4に出場してから8年も経ちます。今回の楽曲はタイトル通りロックメロディにチマチーのPVでは色香ありながらもハードワイルドな女性の日常を歌っています。2位は、ロシアを代表するリミックサーDJ Smashの「Young Hearts」。PVは青い光線飛び交う大きなライブ会場。DJ SMASHのライブでしょうか、若者達が集い清清しく踊ります。

 第1位に輝いたのは、いま大注目されている新人イワン・ドルンの「Синими, желтыми, красными」で、7 位から急上昇。おめでとうございます!:-)

(MTV、5月26日付/MOPA)

音 楽

ウズベキスタンに於けるクラシック音楽の発展 (6)

D・オフチンニコフ

 戦時は、ウズベキスタンの音楽生活は緊迫していた。特に、モスクワ、レニングラード、キーエフその他のソヴィエトの諸都市から多くの音楽家、演奏者、演奏団体、音楽教育機関が疎開してきたタシケントの状況は緊迫していた。レニングラード音楽院(注)が3年間、タシケントの滞在したことによりウズベキスタンの音楽生活は進歩をとげた。

 戦時という困難な時期であったにも拘わらず、ヤンギユリに音楽ドラマ劇場(1941年)が、さらにサマルカンドに音楽学校が開設された。

 戦後になり、音楽啓蒙・教育機関のネットワーク拡大、演奏団体の創設、強化が図られた。ウズベキスタン・ラジオTV・民族楽器オーケストラ(1947年)、ウズベキスタンフィルハーモニー室内合唱団(芸術監督ヴァレンコフ、1951年)が組織された。1947年には、ウズベキスタンソビエト共和国、国歌が制定された。(作曲M・ブルハーノフ、独唱T・ファッタファ)1948年にはウズベキスタン作曲家同盟の第一回大会が行われた。モスクワに於けるウズベキスタンの芸術旬間では造形芸術・文化の著しい発展状況が公開された。(1951年)

 この時期に歌謡のジャンルが発展した。(“我が愛する党”―ブルハーノフ、“偉大な祖国”―M・ナシーモフ、“コムソモール行進曲”―ユダーコフ、“我がウズベキスタンと女英雄”―H・イザモフ他)歌謡分野の成果は、旋律のイントネーションならびに、カンタータ―オラトリオの音楽を豊かにした。こうしたカンタータのジャンルの作品として、“白金”―M・レビーエフ(1948年)、“ミルザチューリ”(1950年)と“我が祖国”(1956年)―ユダーコフ、“綿まつり”―S・ババーエフ(1955年)がある。ウズベキスタンの伝統的単旋律と多声の有機的統合の可能性を実証した、M・ブルハーノフの輝かしい民族的無伴奏合唱団は格別な興味を招いた。

 音楽ドラマ、“オルティクリ(黄金の湖)”--レービエフ(1949年)、“ヌルホン”―ヂャリーロフとT・サビートフ(1952年)、“ムーキミ”―ヂャリーロフとムーシェリ(1953年)、“バタン・イシキ(祖国への愛)”--S・ババーエフ(1957年)は舞台音楽の分野に於ける表現の可能性の広がりを示した。

 ウズベキスタンの若い作曲家達の器楽作品は、輝かしい民族的性格と交響楽の発展による自由な表現に達したことを示している。こうした作品としては、“叙情的詩”―D・ザキーロフ(1949年)、交響詩“詩人の追憶”―アクバーロフ(ハムゼ・ハキムザーゼ・ニヤーゼに捧げる、1954年)がある。多くのウズベキスタンの作曲家はウズベク民族楽器オーケストラに格別の関心をしめした。この団体の為に、“タタール組曲”―G・サビートフ(1947年)、“祝典序曲”―ユダーコフ(1947年)、“祝日の序曲”―S・ババーエフ(1959年)、“組曲”―G・カディロフが作曲された。

(次回に続く)

(訳・一杉 次郎/タシケント)

催し物情報

ソクーロフ特集2012 ドキュメンタリー

上映作品 「ビオラソナタ・ショスタコーヴィッチ」、「モスクワ・エレジー~タルコフスキーに捧ぐ」、「マリア」、「ソルジェニーツィンとの対話」、「モーツァルト・レクイエム」(劇場初公開)
とき:6月16日(土)~29日(金)
連日21時よりレイトショー
ところ:ユーロスペース(渋谷)

マトリョミンデュオH. P. Liddell「マトリョミンの小さな演奏会vol. 2」

日時:7月8日(日)19:30~
場所:名曲喫茶ヴィオロン(JR阿佐ヶ谷駅北口より徒歩5分 TEL: 03-3336-6414)
チャージ:1,000円(コーヒー付)

お勧め商品

ウクライナのお菓子が入荷しました!

協会事務所でのみ販売中です。ぜひ一度お試しください!

◆コロフカクッキー ミルク味 350円

コロフカクッキー
あっさりした素朴な味わいのビスケット。180g。

◆チェリーチョコ 220円

チェリーチョコ
チェリーとリキュール入りのボンボン。3個入り。

◆ミックスチョコ 350円

ミックスチョコ
バラエティに富んだ6つの味の詰め合わせ。6個入り。

◆ハルヴァ(バニラ/ピーナッツ) 各70円

ミックスチョコ
ひまわりの種から作られる噂のお菓子ハルヴァ。甘さと香ばしさが病みつきに!

ボルシチの素

ボルシチの素 750円

本格的な伝統ウクライナボルシチ5リットル(10〜13人前)がこれ一瓶で手軽に作れます!日本語レシピ貼付。470g。
協会事務所、協会オンラインショップ「うにべるま~ぐ」で販売中。

~夏の冷製ボルシチ~

暑くなるこれからの時期にぴったり!
本品を使った冷たいボルシチのレシピをご紹介します。
作り方(4人分)
(1) ボルシチの素3分の1瓶程度(分量は好みで加減)に水2カップを加えて煮立て、冷ます。
(2) きゅうり2分の1本、玉ねぎ6分の1個をみじん切りにする。
(3) (1)に(2)のきゅうりと玉ねぎ、サワークリーム2カップ(プレーンヨーグルト1カップと生クリーム1カップを混ぜたもの)を加えて混ぜ、砂糖、酢(レモン汁でも可)、塩、こしょうで味を調え、冷蔵庫で冷やす。
(4) 器に盛り、みじん切りにしたゆで卵とハーブ(ディル、イタリアンパセリ、万能ねぎなど)を飾る。

掲載商品の詳細は協会事務所でごらんください。紙面で紹介しきれなかった素敵な商品もまだまだあります! 協会ロシア物産オンラインショップ「うにべるま~ぐ」もぜひご利用ください。

歴史・社会

許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~
事実と真実

 育鵬社、自由社歴史教科書の叙述の特徴は物事の一面的な見方と歪曲である。

 AがBを殴り、BがAを殴り返したとき、前半を隠し後半だけ叙述すれば、それは「事実」ではあるが真実ではない。加害者Aは被害者Aになってしまう。両社の教科書は戦争賛美に都合の悪いことは総て歪曲するか隠蔽している。

 (例1)与謝野晶子が反戦詩「君死にたまふことなかれ」を書いたのは有名であるが、両社の教科書は日露戦争の項ではこれを取り上げず、時代も条件も違う太平洋戦争に出征した四男を励ます詩を別項に掲載している。これでは晶子は生徒に好戦的な人物と理解されてしまう。 

 (例2)登場人物の取り上げ方も異常である。同社は乃木希典、東郷平八郎、小村寿太郎、秋山真之、明石元二郎、など13名を登場させているが、与謝野晶子、内村鑑三、幸徳秋水、夏目漱石、水野広徳、谷崎潤一郎など反戦論者は一人も取り上げていない。

日比谷焼き討ち事件

 (例3)日露戦争は国民に極めて大きな犠牲を強いた戦争であった。戦場に駆り出された農民や労働者は約130万人。戦死者約8万8千人、傷痍軍人約39万人、戦費の負担は当時のカネで18億円にも上った。両社はこうした事実を一切隠し戦争の賛美だけをしている。

 この教科書を読みながらドイツのドレスデンの戦災記念碑に刻まれた「歴史の教訓を学ばないものは、同じ過ちを繰り返す。」という言葉を思い出さずにはいられなかった。横浜市がこのような全く真実に反する教科書を使っていることを市民は見過ごすべきではない。厳しい言い方かもしれないが、意識するとしないとに拘わらず、結果的に傍観者は共犯者なのである。

「日比谷焼き討ち事件」(右図)
兵役、税金など多大な犠牲を強いられた日露戦争に「勝利」したものの結果的に何の得るものも無かった民衆は日比谷に数万人の国民大会を開いて政府に抗議、これを弾圧しようとした警官隊と衝突、一部の者が交番に放火するなどして暴動化した。

(柴田)