今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2017年1月号 No.663

行事予定

『サルタン王物語』DVD上映会 2月開催!

サルタン王物語  2017年最初の上映会は大人も子供も楽しめる文豪プーシキンの童話『サルタン王物語』です。

 美しい心を持った娘が若い王から愛されますが、そのことに嫉妬した姉たちの悪巧みによって、追放されるのです。たどり着いた場所はこの世とは思えないほどの楽園。さて、それから……、この後は上映会でお楽しみください。

 実は関戸自身はこの映画をテレビ放映で小学校2年生のときに見たのです。父が「珍しいな。ソ連の映画をテレビで放送するぞ。これは童話だからお前も見たら面白いぞ」と言って家族揃ってテレビの前に並んだのです。関戸にとって懐かしい思い出です。その放送の年は1970年。ベトナム戦争の最中で、米ソの対立が最も激しかったときです。小学生ですから、政治や世界情勢については詳しくありませんでした。けれども、何となく「アメリカとソ連って仲が悪いんだ」と感じていました。そういう時代背景の中でした。

サルタン王物語  内容については、今は申しません。ただ、その映像の素晴らしさがとても記憶に残っています。現代のCGと比べても遜色のない特撮映像でした。わくわくしながら見たことを覚えています。その時からおよそ半世紀。街中のブックオフのDVDコーナーに売られているのを見て、すぐに購入しました。半世紀ぶりの映像とともに家族揃って観た思い出に浸りました。その映画を会員の皆様にもお届けしたいと思います。大人も子供も楽しめる映画です。ぜひどうぞ。

(関戸)

サルタン王物語 日時:2017年2月26日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5F教室
参加費:300円(黒パン・お茶付)
お申し込み・お問い合わせ先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

サプライズの参加も ― 望年会 ―

望年会  2016年最後の行事、望年会は12月25日(日)に行われました。ところが、開始時間について参加者の認識にずれが。1時と広報していたのですが、2時と思われていた方が多く(実際に休日の行事は2時開始が多かったのですが)、開始時間になっても来たのはひとりだけ。いくらなんでもこれでは始まりません。また、飛び込みで来られた方もいて、飲食物の追加も必要になり、買出しへ。

 結局、開始は2時となりました。一品持ち寄りでしたが、自慢の料理の腕を奮って滝沢さんは中華料理を。お酒大好きの加田さんは洋酒のビンを何本も。田中理事長はデザートのケーキを。関戸はいつもどおりに黒パンを。他にも、おつまみなどを持参して下さった方がいました。思い思いのドリンクを持って乾杯へ。

 そして、サプライズとして映画『レミニセンティア』(日本人監督による初のロシアSF映画)の監督である井上雅貴監督とその夫人(プロデューサー)、二人のお子さん(ともに映画の出演者)の参加がありました。夕方17:30に横浜シネマリンでの舞台挨拶があるため、グラスには酒が注げずソフトドリンクでしたが、元気いっぱいの乾杯となりました。

 乾杯の後は楽しい歓談。参加者の一人一言。その際に、3月5日(日)の総会のジョイント企画として井上監督の『レミニセンティア』上映と講演が決まったのです。まさに大いなる希「望」を来「年」につなげる「会」となりました。望年会の終了後は、舞台挨拶のある横浜シネマリンへ向かう参加者も。一足早く『レミニセンティア』の感動を味わいました。

(関戸)

***
お知らせとお詫び:
3月5日(日)の総会のジョイント企画としての映画『レミニセンティア』上映と講演は諸事情により実施できなくなりました。会員の皆様には心よりお詫び申し上げます。(2017.2.11追記)

教室案内

横浜ロシア語教室 生徒募集中!

 入門・初級・中級・上級・会話・演習の各クラス生徒募集中。中途編入も可能です。見学は3クラス・各30分以内まで無料です。

 詳しくは教室ホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


授業補習サービス「ロシア語寺子屋」

 当教室受講生補習のための「ロシア語寺子屋」は、学期中の第2土曜日と第4土曜日に行っています。
 ロシア語を学んでいて何か分かりにくいことなどありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。
 ご利用の際には前もって教科書のページや質問内容をご連絡下さい。
 人数が多い時は、個別に20分単位で時間の調整をさせていただきます。
 皆様のご利用をお待ちしています。

ロシア語学習動画シリーズ「おもてなしのロシア語」近日配信!

おもてなしのロシア語 おもてなしのロシア語
おもてなしのロシア語 おもてなしのロシア語
おもてなしのロシア語 おもてなしのロシア語

 今年、横浜ロシア語教室は、ロシア語学習動画シリーズ「おもてなしのロシア語」をYouTubeとニコニコチャンネルに配信していく予定です。これは、ロシア語に接したことのない人でも「ロシア語ってこんな言葉なんだ」と知ってくれ、少しでも興味を持ってもらえるよう、「ロシア語、勉強してみたいな」と思ってもらえるよう、ロシア語のすそ野を広げる目的で作成されています。さらに、2020年開催の東京オリンピックを念頭に、日本人がロシアへ赴くのではなく、ロシア人が日本へ来訪するということを前提にして、彼らをロシア語で「おもてなし」するための様々なシーンが盛り込まれています。

 以下のように、全9本、各4、5分の映像となる予定で、すでに№5まで撮影が終了しています。ぜひご期待ください!!

「おもてなしのロシア語」
№1.アルファベット
№2.挨拶
№3.出迎える
№4.知り合いになる
№5.許可を得る
№6.店での買い物
№7.通りで尋ねる
№8.駅で尋ねる
№9.レストランで

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

レッスン予定日:2016年度後期(2016年10月~2017年3月)
後半:1月7日、1月21日、2月18日、2月25日、3月11日、3月25日
生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室

日程:毎月1回、土曜日開講
2016年度後期日程:10/15、11/19、12/17、1/21、2/18、3/18
※レッスン日に見学随時可能です。発表会、協会行事等で演奏の機会もあります。是非お気軽にご参加ください!

◆グループレッスン:
Aクラス 13:00~14:00(空席2)
Bクラス 14:10~15:10(空席2)
◆アンサンブルクラス(90分):
15:20~16:50 (お問い合わせ下さい)
※10月から時間帯が変わりました

入学金:3,000円(継続の方、休学1年以内の方、当協会会員は免除)
受講料:アンサンブル3,600円×6回=21,600円、グループレッスン3,085円×6回=18,510円
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター 音楽ホール
講師:檜垣 紀子

組織・財政

組織状況

(2016年12月23日現在)

 今年度年初会員数209名、入会者累計42名、退会者累計30名。12月末会員数221名。
 会員数は、年頭初209名でしたが、年末には221名と12人増やすことができました。目標は年頭初数の1割増の230名でしたので、57%の達成率となっています。会員みなさまのお力添えを得て、2017年の早い時期に会員230名を達成しましょう。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2016/12/23
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,806,0261,859,830-53,804
教育事業8,830,2408,665,106165,134
一般事業2,341,8982,327,56414,334
合 計12,978,16412,852,500125,664
前年同期(単位:円)2015/12/23
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計6,153,0136,693,616-540,603
教育事業3,705,2333,455,937249,296
一般事業1,375,5701,229,311146,259
支出合計11,233,81611,378,864-145,048
当期剰余金1,744,3481,473,636270,712
合 計12,978,16412,852,500125,664

 一般会計収入(会費等)が前年対比でマイナスとなっているのは、月別収支の締めが、年末の23日としたために、それ以降に納入された会費の収入計上ができなかったことに因ります。確定年度会計では(1月末予定)、一般会計収入は前年度を上回ると期待されます。教育事業収入及び一般事業収入(物販等)も前年度を上回っています。その結果、純資産も年末時点で、160万円上乗せできています。会員のみなさまのご尽力に感謝申し上げます。
 2017年も、この勢いを堅持して、協会を大きくしていきましょう。

(木佐森)

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

Russia Airplay Chart TOP10  С Новым 2017м годом! 国際情勢で世界中から熱い視線が注がれているロシアから、12月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。新曲は10曲中4曲でした!
 先月から首位をキープ、ウクライナ・ヘルソン出身のイケメンシンガーソングライター、バルスキフの新譜«Туманы»(霧)が第1位になりました!おめでとうございまーす!:-)

画像引用元
Филипп Киркоров→http://zvezda.ru
Алекс Малиновский→http://www.vokrug.tv/
Elvira T→http://www.vokrug.tv/

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2016年12月19~25日/MOPA)

演劇・映画

地点「かもめ」

(12月14日 於:東京・吉祥寺シアター)

「かもめ」  京都を拠点に活動する劇団“地点”。8年ぶりとなる東京公演は「かもめ」と「桜の園」の二本で、しかもロシアで上演したバージョンの凱旋公演。

 会場に到着すると、すでになにやら始まっていた。ニーナによる本作の“予習”である。観客に紅茶をふるまいながら、これから始まる芝居についてエピソードを語る。いつのまにか本編が始まり、今から始まるのは「コースチャの物語」と紹介される。

 チェーホフの四大戯曲は、全員が主役であり脇役でもある。ところがこの「かもめ」は全編の7~8割はコースチャの独演。戯曲からコースチャのセリフを抜き出し、いろいろな場面が継ぎ合わされる。冒頭の「さあ、これが僕の劇場だ」と登場した彼の額には、自殺が未遂に終わった後の包帯がまかれている。前後の時間軸が入り乱れるなか、女優である母・アルカージナとの葛藤、彼に付きまとう幼馴染マーシャへのいらだち、恋人ニーナの心変わりを阻止できない自己嫌悪などマイナス感情が堆積していく。言葉にならない感情がタップダンスで代弁される場面は新鮮。

「かもめ」  ニーナとアルカージナの恋人であるトリゴーリンのやりとりはなく、コースチャからニーナがどのように離れていったのかというプロセスは、すでに重要なファクターではなくなっている。ニーナとコースチャとの「会話」もなく、マーシャは叫び声をあげるだけ。それはコースチャからみたニーナとマーシャの関係性でもある。アルカージナがトリゴーリンとカード遊びをするシーンは、コースチャをめぐる家庭の不毛をものがたり、彼は自分を追い詰めていく。

 意外にもコースチャがピストル自殺を遂げるシーンは台本どおり最後に演じられた。しかし、地点の「かもめ」は死にゆくコースチャとともに、観客も彼の思い出の断片を追体験することを強いる。舞台では割愛されていたが、トリゴーリンがニーナに言ったセリフ「ちょっとした短編の題材」が、コースチャのことを思わせるような「コースチャの物語」だった。

(文・滝沢 三佐子/写真上・Hisaki Matsumoto/写真下・Evgeniya Seldechnogo)

遊劇社ねこ印工務店 第10回公演「名医先生」

12月2日 於:ステージカフェ下北沢

「名医先生」  チェーホフの短編小説をベースに、アメリカの劇作家ニール・サイモンが改編した喜劇。チェーホフ本人と思われる「作家」が自分の作品を紹介していくという形式で、約十篇のエピソードから成っている。その内容はざっと以下のとおり。

 オペラ劇場に出向いた夫婦が将軍夫妻に出くわした。思わず夫がくしゃみをして将軍のカツラを吹き飛ばした顛末を描く「くしゃみ」(写真上)。ケチな女主人と家庭教師が、月給支払額をめぐってバトルを繰り広げる「家庭教師」。歯科医が外出してしまったために、助手に抜歯されてしまう男の悲喜劇「手術」、「晩秋」では伴侶を亡くした老男女の淡い恋を描いた。目をつけた女を必ずモノにすると豪語する色男が、普通の主婦に失恋する「色魔」、溺死パフォーマンスを売り物とする「水死芸人」、オーディションを受けに来た田舎娘が『三人姉妹』の一節を演じ、これに夢中になってしまう演出家の皮肉な逆転劇「オーディション」、「弱きもの、その名は…」(写真下)では、夫の治療費のために銀行家から金を奪い取ろうとする妻の鬼のような迫力がすごい。そして、息子を男にしようと娼婦の家へ連れて行こうとする父と、息子の意外な反応を描いた「教育」。

「名医先生」  1つの小品が10分程度、それぞれの話に関連は無く独立している。いずれも笑い話だが、爆笑、苦笑い、にやけた笑い、心温まる笑いなど笑いの質もさまざま。出演者たちもいろいろな役を次々と演じ、次はどんな役柄で登場するのかとわくわくさせる。笑いは病を癒し遠ざけるという効能を見越してか、「名医先生」というタイトル付けは秀逸だ。

 ちなみにニール・サイモンは「おかしな二人」など、ウィットとペーソスのある作品が多く、ロシアでも人気がある劇作家のひとり。おそらくチェーホフとの親和性がもっとも高い作家ではないかと思う。そして気になる劇団名だが、主宰のこたとのぼる氏の実家が工務店だからというのが由来らしい。2017年は『チェーホフフェスティバル』をプロデュースするそうなので、大いに期待したい。

(文・滝沢 三佐子/写真・劇団提供)

映画「太陽の下で」

ヴィタリー・マンスキー監督作品
チェコ=ロシア=ドイツ=ラトビア=北朝鮮合作 2015年

「太陽の下で」  モスクワ・ドキュメンタリー映画祭の会長を務めるV.マンスキー監督が素材として選んだ北朝鮮。これまで「脱北者」による証言を再現した映画、北朝鮮自身によるプロパガンダ映像などが公開されてきたが、本当の北朝鮮を描いた映画はほとんどないといわれる。マンスキー監督は「なぜ全体主義社会が存在するのか」という素朴な動機から、北朝鮮当局に真っ向勝負を挑み、現地の関係者との交渉の末ようやく市民生活の映像化にこぎつけた。

 平壌に住む少女リ・ジンミちゃんをヒロインに、朝鮮少年団への入団と彼女を取り巻く家族・友人との日常生活を描くという趣旨なのだが、次々と奇妙なことがおきる。ドキュメンタリーなのに一家のプロフィールは撮影用の設定に「変更」され、ドキュメンタリーなのに「演技」をさせられているのだ。そこでマンスキー監督はカメラの電源を入れっぱなしにし、秘密裏に「演出」されている部分を撮影、検閲を巧妙にすり抜けて作品化した。これが北朝鮮当局の怒りを買いロシアに上映禁止を要請、実際にロシア本国ではこの作品は上映されず、監督自身もロシア政府から非難を受けることとなった。

 スターリン体制という独裁的時代を経験したロシアで、北朝鮮での生活を撮ることは己の過去をなぞるものではないかと思われるが、この作品では監督の製作意図が当局のプロパガンダ映画へと乗っ取られていく様を写し取っており、北朝鮮のメディア戦略の巧妙さを実感される。

(滝沢 三佐子)

ユーラシア通信

「ロマノフ王朝展」会員の皆様に半額割引券プレゼント!

「ロマノフ王朝展」  2017年1月7日(土)から4月9日(日)まで、東洋文庫ミュージアム(東京都文京区)にて「ロマノフ王朝展―日本人の見たロシア、ロシア人の見た日本―」が開催されます。

 ロシア革命とロマノフ王朝滅亡から百年。今日のロシアの社会と文化の礎は、かつてヨーロッパからアジアにまたがる広大な領域を支配した強大にして華麗なるロマノフ王朝300年の歴史の中で築かれたといっても過言ではありません。史上まれにみる巨大帝国の栄枯盛衰を、 日本との交流という視点からたどります。

 この展覧会の割引券を会員の皆様に1枚ずつプレゼントいたします。1枚で4名まで半額になりますので、ご家族やお友達と一緒に、ぜひ足をお運びください。

主催:公益財団法人 東洋文庫
会場:東洋文庫ミュージアム
会期:2017年1月7日(土)~4月9日(日)
開館時間:10:00~19:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は次の平日)
入館料:一般900円、65歳以上800円、大学生700円、中学・高校生600円、小学生290円(割引券をお持ちの方は半額)
アクセス:JR山手線「駒込駅」徒歩8分、都営地下鉄三田線「千石駅」徒歩7分、都営バス上58系統・茶51系統「上富士前」徒歩1分

投稿歓迎!

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(機関紙編集部)

歴史・社会