NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
 

当協会夏休みと機関紙神奈川県版8月号休刊のお知らせ

 8月3日(日)~17日(日)は神奈川県日本ユーラシア協会の夏休みとなります。
 この間、協会事務局、各種教室、物販事業等は全て休業させていただきます。

 また、今年は諸事情により、機関紙「日本とユーラシア」神奈川県版8月号を休刊とさせていただきます。
 全国版機関紙8月号は、翌月に9月号と一緒に発送いたします。
 皆様にはご不便をおかけしますが、何卒ご理解・ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

 酷暑の折、体調にはくれぐれも気を付けてお過ごしください。

戦後80年「8・15」DVD鑑賞会『カティンの森』

 今年は戦後80年。体験者も少なくなりました。映像や書物での継承が大事です。

 今回の「8・15」は『カティンの森』です。第二次世界大戦は1939年9月1日にナチスドイツのポーランド侵攻が始まりです。そして、2週間余り後にソ連も侵攻し、ポーランドは2国に侵攻を受けました。その際に多くのポーランド軍将校が捕虜となり、カティンの森で銃殺されました。この事実をソ連はナチスドイツの仕業としました。

 この時、殺害された将校の中に、この映画の監督であるアンジェイ・ワイダの父も含まれていました。歴史的事実を白日のもとに明らかにして映像で父の仇を討ったのです。是非、ご覧ください。

日時 8月17日(日)午後2時~
会場 横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費 500円(黒パン・紅茶付)

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夏のロシア語日本語交流会 夏のロシア語日本語交流会 夏のロシア語日本語交流会 夏のロシア語日本語交流会

十人十色のYouTube/TVの楽しみ方 夏のロシア語日本語交流会

 2025年夏の「ロシア語日本語交流会」は6月22日(日)日本時間18:00に開催。今回のテーマは「私の好きなYouTube/TV番組」。発表者は18名でした。前半は、酷暑の日本側から。

 横浜チームからは、ロシア語教室初級クラスの飯塚さんがYouTube番組「とやまソフトセンター」に登場するかわいい犬達を紹介。板垣さんは町のガイド番組が好きで、某番組で野毛の町を紹介されていたこと、高校時代過ごした地域の紹介について触れ、ウリヤノフスクチームからボルガライスについて質問を受けました。井村さんは吉田類さんの番組が好きなようで、東京近郊を散歩し居酒屋に立ち寄る「吉田類の酒場放浪記」や低山の魅力に迫る「にっぽん百低山」などを紹介。岩立さんはYouTube上にある独身中年男の一人旅記録「北海道を旅するサカイ」と中村シリョーガさんの毎日生活記「日露家族の日常」を紹介。田中さんは捜査モノ番組「警視庁捜査一課長」「科捜研の女」を紹介。滝沢さんは露在住時のよく見ていた好きな番組として、マシーナヴレーメニのVoマカレーヴィチさんが司会をしていた料理番組「Смак」を紹介し、印象的だったゲストは誰かという質問に「スパゲティを作っていたオルバカイテさんと、音楽グループ『マンゴマンゴ』だった」と回答。

 次は城東支部チーム。数々の起業後人道支援活動に従事している平方さんは、日本語で発信するロシア人「あしや」チャンネルや、リアリティオーディション番組「アメリカズ・ゴッド・タレント」などを紹介。上智大でロシア語を学んでいる伊藤さんは、古民家でのDIYや料理などを後悔しているYouTube「ひみつ基地」を紹介、中でも「サーロで作るポップコーン」がお気に入り動画だそう。東京理科大で工学を学んでいる山下さんはYouTubeが好きで、マイクラ中心にユーモラスな実況の「ぐちつぼ」、宇宙自然アニメ「Kurzgesagt」、文房具や本の紹介をしている「有隣堂しか知らない世界」チャンネルを紹介。阪大でロシア語を学んでいる山田さんは、インスタグラムのイリーナさんのページ「癒しの赤ちゃん」を紹介。柴田さんは、家で絶対安静時に没頭した連続テレビ小説「おしん」を紹介。どの「おしん」時代が好きかという質問には、乙羽信子さんが演じた中高年時代のおしんが好きとのこと。また露で放映されたかという質問には、世界中で放映されたが露ではどうだかは知らないので、調べてくれるそう。

 ウリヤノフスクチームからは、オクサーナさんがYouTube番組「Darya darcy」を紹介、そのヴィンテージスタイルを取り入れた生活を見るのがお気に入りで、自身も参考にしているとのこと。ヂーナさんもYouTubeが好きで旅番組「Пора валить!」、犯罪ドキュメンタリー番組「Криминальная Россия」、探偵モノ「Agatha Christie」、歴史チャンネル「Файб」などを紹介。

 リューバさんは、ネットでよく植柴師範らの技を見て勉強するために合気道動画を見たり、墨絵や書道レッスン動画見たりするそう。国際ニュースをどうやって見るかという日本側からの質問には、ネットでロシア語ニュースを視聴すると回答。ヂーナさん紹介の歴史紹介動画にも興味をもたれました。

 日本とは反対に冷夏+6℃のムルマンスクチームからは、エーリャさんとフョードルさんが先ず登場、日本語はまだ習いたてなので、それぞれ自己紹介をしました。ソフィアさんはファッションに興味がありYouTube「Moi-meme-Moitie official」をよく見るほか、V系バンドのコンサートや日本のインタビュー動画も見るそう。好きなV系バンドは、という質問には「マリスミゼル」と回答。福島はコンプライアンスとプロパガンダが強くなかった時代の娯楽が大好きなので、それらのカウンターパート「エガちゃんねる」を紹介。過激で下品な芸を見せるだけでなく、様々な層に楽しめるように情報・グルメ・スター対談・ゲーム・麻雀・大食い・商品開発企画など多彩であることを強調しました。しかし質問はムルマンスクのことに集中。いつしか「福島さん、実は私『隠れあたおか』なんです。」なんていう告白をお待ちしてます。

 あっという間に時が過ぎ…もっと時間があれば、もっと深堀りして聞けましたね。

(福島)

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横浜ロシア語センター第142期 生徒募集中

 今期はロシア語入門クラスが木曜と土曜に開講しました。初歩を少し独習した方、初歩からやり直したい方などは今から編入されても間に合いますので、ぜひご検討ください。

 初級~上級、会話、演劇、ウクライナ語初級クラスも生徒募集中です。見学は計3クラスまで無料。各級、学期途中からの編入も歓迎いたします。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 当協会の日本語教室は、主にユーラシア(旧ソ連)諸国出身のロシア語を母語とする方を対象としています。

 日本での生活に必要な日常会話や日本語能力検定試験対策など、それぞれの目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。

 ロシア語版ホームページもありますので、学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、横浜平和と労働会館6階会議室で土曜日に開講中。

 奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで学べます。初心者から中・上級者まで歓迎!

 今期後半のレッスン日は、7月12日、7月26日、8月2日、8月23日、9月13日、9月27日です。
 お問い合わせは神奈川県日本ユーラシア協会事務局まで。

時間:14:00~18:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織状況

 ロシア語142期が始まり3ヶ月が経ち、受講生も落ち着いてきたようです。新規のイベントもなく会員数は5月と同じ189名です。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2025/6/1~6/30
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計62,55038,90023,650
教育事業437,696209,730227,966
一般事業26,65460,284-33,630
合 計526,900308,914217,986
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計497,447550,592-53,145
教育事業584,040575,1788,862
一般事業064,118-64,118
支出合計1,081,4871,189,888-108,401
当該月収支-554,587-880,974326,387
累計収支計-176,185508,898-685,083

 各事業でも、昨年より少し頑張っていますが、1月からの収支はマイナス17万円となってしまいました。次の受講料の納入予定は9月ですので、それまでどのくらい赤字になってしまうのか、心配です。しかし、なんとか運営していかなければなりません。みなさまのお力添えをお願いいたします。

(木佐森)

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アルメニアワイン・ブランデー各種入荷!

● ワイン(各750ml/税込)
アルメニア・レッド 2,000円
アルマス・ロゼ 3,100円
クール・レッド 3,100円
クール・ホワイト 2,500円

● ブランデー(500ml/税込)
グランド・エレヴァン 3年 2,600円

アルメニアワイン
アルメニアブランデー
 

 現在、諸事情により通販サイト「うにべるま~ぐ」に出品していない商品が多数ありますが、協会事務所では原則として平日・土曜の12時~18時に購入可能です。営業時間内に事務局員が外出する場合がありますので、来所の際に確実を期する場合は事前にご一報ください。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 今年末まで待たずして自国軍死傷者数100万人突破、露中央銀行総裁曰く「露経済成長のための資源は枯渇した」、同盟国シリアを失くされ、イランに助け舟ができなく外交もピンチなロシアから、2025年6月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中4曲が新曲、1曲リターンの嵐!

 露の有名お笑い番組≪ComedyClub≫で歌・ダンス・マッスルなどを披露して一躍人気者になった芸人ピロシコフが新曲≪Само собой≫(独りでに)をリリースして8位にランクイン。

 7位にランクインしたのは、アンナ・アスティの≪Преданный бывший≫(献身的な元彼)。「お騒がせタレント」ながらリリースする曲はどれもヒット。5月30日には、9曲を収録した3枚目のアルバム≪Высшие силы≫(ハイレベルな力)を発表しました。

 デビュー曲≪Пятница≫(金曜日)がヒット、昨年2月に≪Триумфальная≫(勝利)を発表してから1年5ヶ月ぶりの登場となるピッツァが、出身地のカザフスタンでは才能ある若きアーティストの1人として注目されているアイドス改めドーズとリリースしたコラボ新曲≪Ночи напролёт≫(一晩中)が6位にランクイン。

 10~20代女性にとってファッションのお手本、アーバンポップを歌うクライムブレリの新曲≪Всё прошло≫(全て過ぎ去った)が3位にランクイン。今年2月にユーチューバーでありシンガーのダヴァと結婚。5月19日に女児が誕生しましたが、その直前までMuz-tvの年間コンテストで最優秀女性歌唱賞を受けに行ってたり多忙な日々を過ごしてました。

 先月からランクインしてパンデミック的に大流行しているアイ・ヨラの≪Homay≫(ホマイ)が首位!アイ・ヨラは露連邦内構成国の1つバシキール共和国で2024年に結成された民族ポップ音楽ユニットです。アップルストアが開発運営するShazamにおいて、3月下旬のTOP5にランクインして世界的にも注目され、パクリ疑惑も絶えませんが、それとは関係無しに視聴者数はうなぎのぼりで、リスナーはあまりモラルを気にしないのかもしれません。アイ・ヨラとは、バシキール語で「普遍的な法則、憲章」、「宇宙のルール集」、「殺さない、盗まない、年長者を敬う、若者を守るといった永遠の価値観」を意味するそうです。3月29日にリリースされ、現在のYouTube再生回数は3ヶ月で3638万回!先月より約1000万回再生数獲得。おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart, 2025年6月13日~19日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。
これまで芸能記事を掲載していたgooブログが11月終了予定のため、今月よりアメブロに移転しました。過去記事も読めます。

 
「コラボレーターズ」

【演劇】劇団青年座 第261回公演「コラボレーターズ」

6月25日 於:東京・吉祥寺シアター

 原作はイギリスの劇作家ジョン・ホッジの同名戯曲。

 「白衛軍」「巨匠とマルガリータ」などを書いたミハイル・ブルガーコフが、その晩年に自身の戯曲「モリエール」の上演許可を得るために、スターリン60歳を祝うための芝居台本を依頼され、ついにはスターリンとコラボレーションしてしまうという超辛口ブラック・コメディ。

 1930年代後半、スターリンによる大粛清は党員のみならず、芸術家や学者、さらには一般市民にまで及んでいた。長年検閲と闘って来たブルガーコフも腎臓の持病が悪化し、戯曲発表の機会も激減。ある日、二人の秘密警察がやって来て、スターリンの誕生日にかける舞台の台本を書けと命じる。「作家は登場人物を好きにならなければならない」という信条をもつブルガーコフは拒否するが、結局承諾せざるを得なくなる。「若きスターリン」というタイトルは決まったものの、筆がいっこうに進まない。その時スターリン本人から電話がかかってきてルビャンカのオフィスへ呼び出されることに。スターリンの口から出てきたのは思いもかけない提案だった。若いころ詩を書いていたスターリンは書くことに憧れがあった。そこで彼が戯曲を書き、ブルガーコフがスターリンの仕事をするというもの。スターリンは嬉々としてタイプに向かい、草稿を読んだ秘密警察は「まるで本人の頭の中がそっくり書かれているようだ」と絶賛。生活苦にあえいでいたブルガーコフ家と彼らが住む共同住宅には、さまざまな優遇が与えられる。一方ブルガーコフは、数々の「命令書」にスターリンのニセ署名を行うことになる。それはノルマ達成の厳命、裏切り者の処刑ノルマや農民からの穀物奪取に関する命令も含まれていた…。

 横堀悦夫演じるスターリンが本人さながらの概観。しかしそのキャラクターは冷酷であると同時に、妙に明るく振舞う姿が恐ろしくも可笑しい。すべてを達観する独裁者としての面目躍如といったところか。対するブルガーコフは己の信念が徐々に浸食され、自分の作品「モリエール」のように「王の不興を買った」ため死ぬ運命に怯える。スターリンから贈られる優遇措置に、ブルガーコフの妻エレーナや共同住宅の仲間たちが飼いならされていく場面は滑稽で俗悪。さらに随所に織り込まれる舞台の稽古で、スターリンが書いた台本の内容が明かされる。

 最も恐ろしいのは、ブルガーコフがスターリンに提案した効率を目指した「システム」が、人命を奪う施策になってしまうこと。「個人的な問題は重要ではない」と言うスターリンに、ブルガーコフは「人間にはやってはいけないことだ」と反論するが、スターリンは聞く耳をもたない。なぜならスターリンにとって芝居を上演することよりも、人間の信念、ひいてはブルガーコフの心をくじけさせていくことが大切だったからだ。

 ラストシーンが近づくにつれ、スターリンの犠牲者たちが白い布にくるまれて天井からつるされる。半狂乱になったブルガーコフに秘密警察は冷たく言い放つ。「原稿は燃えないと言う人もいるがね…」

 さて、同じようなテーマで2023年に上演された「犬と独裁者」(劇団印象)も、スターリンの半生を戯曲にするよう強要され苦悩するブルガーコフの話だった。こちらは幻の犬がスターリンとの媒介を果たすものの、より事実に立脚したストーリーだった。スターリンと晩年のブルガーコフの確執は、劇作家の想像力をいたく刺激する題材のようだ。

(文:滝沢 三佐子/撮影:坂本 正郁)

 
若き日のヤンソンス氏(左)と筆者
若き日のヤンソンス氏(左)と筆者
ヤンソンス氏(左)と筆者 ヤンソンス氏(左)と筆者

【音楽】旧ソ連・ラトビアの名指揮者 マリス・ヤンソンス(1943-2019)との思い出

《青年指揮者マリスとの出会い》

 1976年9月25日は、ショスタコーヴィチ70歳の誕生日。指揮者アルヴィド・ヤンソンス氏が、氏のお骨折りでこの日のムラヴィンスキーのゲネプロを見学する許可が頂けると言う。そこでレニングラードに赴いた。

 しかし私はホールの入口で、今日は誰も入れないと守衛に止められた。そこに汗をかきながら、ネフスキイ大通りを自転車で駆けつけた息子のマリスが現れた。「父はお約束しましたが今日は戒厳令のように中に入れなくなりました。でも貴賓席の招待券を用意しました。」

 これが彼との出会いだった。私たちはドイツ語を通じて友情を深めた。

《オスロ・フィル指揮者就任の吉報》

 1977年、初来日した34歳の彼を横浜港・大桟橋に迎えた。彼が知っている日本人は29歳だった私一人だけであった。数日後の東京文化会館で彼はオスロ・フィルからオファーが来ていることを(2005年のニューイヤーの指揮が決まった時と同様に)「世界で君に最初に伝える」と言った。自身を高める良いチャンスではないかと私は答えた。

 翌年オスロ就任。予感どおりマリスはめきめきと腕を上げ、国際的な名声を獲得していった。

《マリスのムラヴィンスキー観》

 彼は、父親やカラヤンなど師事した指揮者には一目置いていたが、ムラヴィンスキーにはずっと尊厳を感じ続けていた。自己の深部・軸を造る役割を果たした厳格で神々しい人であると最後に日本を離れる日、関空までの車中でも語っていた。

《来日歴》

 1977年レニングラード・フィル訪日時のムラヴィンスキーの副指揮者として初来日以来2016年のバイエルン放送響まで足掛け40年延べ21回の演奏をした。

 1993年50歳、オスロを振ったグリーク「ペールギュント」の演奏は白眉であり、2009年66歳、サントリーホールでバイエルンを指揮したチャイコフスキーの交響曲5番と双璧を成す稀代の名演。         

《日本最後の日と印象》

 実に大成した素晴らしい指揮者であると改めて感じたと同時に少し静養が必要ではないかとも思われた。

 関空にはなぜか音楽関係者と思われる人は誰もおらず、愛妻イリーナさんと二人で旅行にでも行くような雰囲気さえあった。お守りにするのだと言って、私から受け取った花札の鶴の札をポケットにしまう彼を見ながら、再来日を祈念した。ツーショットを誰か搭乗者の方に撮ってもらおうかとも思ったが、家族ぐるみで数回撮っているし、次の機会にと考えた。

 保安検査場の向こう側で手を振るマエストロ夫妻に健康安全を祈りつつ、さようならを言った。2016年11月29日のことだった。

(髙橋 正信)

【マリス・ヤンソンス氏について】

 1943年生まれのラトビア・リガ出身の指揮者。父A・ヤンソンスも指揮者。ムラヴィンスキー、カラヤンの下で力をつけ、オスロ・フィル、ピッツバーグ響、コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響等を率いた。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートには三度招聘された。娘イローナもピアニスト。2019年11月30日、ロシア・ペテルブルクにて逝去。(享年76歳)

(植竹)

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トークイベント「共産主義車 ソ連編」 「共産主義車 ソ連編」

トークイベント「共産主義車 ソ連編」

6月12日 於:渋谷・S/U/P/E/R DOMMUNE

 共産趣味インターナショナルというシリーズを続々打ち出すパブリブ出版から、心躍る新著が発売された。その名も、ソ連時代に発売されていた車を網羅した『共産主義車』。このたび発売を記念して著者の松本京太郎氏によるトークショーが行われた。MCをパブリブのハマザキカク氏、ゲストスピーカーに蒲生昌明氏を迎えて、ソ連映画に登場する車のシーンを鑑賞しながら、在りし日の名車(迷車)を解説するという企画。見過ごしがちな映画の中の車が、ストーリーへの絡みや登場人物のステータス表象など、意外な”車の観方“を提起し、スペックや開発の裏話などを含めて、有意義で貴重なトークショーとなった。

 紹介された車は下記の通り。初代モスクビッチMZMA-401(モスクワは涙を信じない」)。土台はドイツ車オペルで、戦勝賠償して技術ライセンスを取得したもの。

 同じ映画の第2部で、主人公ひとりアレクサンドラはジグリVAZ-2103に乗車。こちらはイタリアのデザインで同じジグリでもハイクラスのもので、彼女の成功を暗示している。

 「青い炎」で使用されたモスクビッチMZMA-407でようやく純ソ連車が作られ、「レーサー」で登場する3代目モスクビッチAZLK-412は国際ラリーで好成績を出し、国内ラリーブームを巻き起こした。

 「事件簿No.306」では、タクシーにも供給されたポベーダGAZ-M20に注目、「車に気をつけろ」では初代ヴォルガGAZ-M21を取り上げ、庶民の車購入システムや西側とは大いに異なる中古車市場についても言及。

 「3+2」のサポロージェッツZAZ-965はフィアットをベースした小型車で、女性をターゲットしたオシャレ路線。さらには自家用車でダーチャやサナトリウムへ向かうオートツーリズム文化やオタクの極致ともいえる自作車輛ブームにいたるまで話が広がった。

 残念ながら、時間切れですべてのラインナップを紹介できなかったとのことだが、補足分を含めて配信予定とのことだ。なお、著者の松本氏は1996年生まれでポストソ連の世代。対する蒲生氏は1956年生まれということで、実際に乗ったことがあるというソ連車の話では大いに盛り上がった。

共産趣味インターナショナル9 『共産主義車 ソ連編』
松本京太郎著 パブリブ出版(2025年4月) 本体2800円+税

(滝沢)

 
オリガ先生、マイヤちゃん、スベトラーナさん ヴァレリヤ先生と板垣さんも一緒に

マイヤちゃんとアキミちゃん
ロシア語講師のオリガ先生とヴァレリヤ先生がお子さんと来訪

 ロシア語講師のオリガ・タラルイキナ先生と娘のマイヤちゃん、それにお母さまのスベトラーナさんが、6月13日金曜日、協会事務所に来訪されました。

 マイヤちゃんは2月17日生まれなので、6月13日で生後4ヶ月の赤ちゃんです。この来訪が初めての「顔見世」です。目がくりくりとして、タラルイキナ先生にそっくりです。髪の毛はふさふさでカシタン色です。

 会館5階の教室で休んでいると、定期診断を終えた、五十嵐ヴァレリヤ先生と夫の大貴さん、それに息子のアキミちゃんのお三方が来られました。

 アキミちゃんは、昨年2024年2月20日生まれで、1才4ヵ月です。タラルイキナ先生のマイヤちゃんとは、一つ違いの同じ月の生まれです。

 アキミちゃんは、最初は、恥ずかしがって、大貴パパと隣の教室で遊んでいましたが、そのうち、慣れたのか、マイヤちゃんと初対面となりました。マイヤちゃんもアキミちゃんもどちらもママ似です。

(木佐森)

 
白夜のサンクトペテルブルク(アジムトホテルの部屋から)
白夜のサンクトペテルブルク
(アジムトホテルの部屋から)
カザン寺院
カザン寺院
オペラ「ドン・パスクアーレ」
赤い帆の花火。手前はイサク寺院
オペラ「ドン・パスクアーレ」
オペラ「ドン・パスクアーレ」
オペラ「ドン・パスクアーレ」
バレエ「眠れる森の美女」結婚式の場面
オペラ「ドン・パスクアーレ」
バレエ「巨匠とマルガリータ」

白夜のサンクトは、いつまでも楽しい

 サンクトペテルブルクで、夏至の土曜日に「赤い帆」呼ばれている白夜祭があり、「夏の芸術祭」も行われるというので、行ってみることにしました。6月25日(水)朝4時50分の一番電車に乗るために、大雨の中、大きなトランクを引きずっていきました。

 現在、サンクトとの直行便がなくなっているので、上海経由が一番安いのだそうです。今回は上海で4時間のトランジットの後に、10時間のフライトでサンクトに着きました。プルコヴォ空港から街まで、高速道が出来たので30分もかからず、宿舎のアジムトホテルに着きました。

 今回は26日がマリインスキー劇場Ⅰでオペラ「ドン・パスクァーレ」。27日がミハイロフスキー劇場で「眠れる森の美女」。28日「赤い帆」当日はマリインスキー劇場コンサートホールで「オールストラディバリウス弦楽団コンサートのピアソラ曲」。29日は、マリインスキー劇場Ⅱで「巨匠とマルガリータ」(コンテンポラリー振付)。30日はサンクトフィルハーモニーホールでの今期最終演奏会と毎晩の楽しみが待っていました。

 「赤い帆」のイベントとは、高校の卒業を祝って29日(日)午前0時、赤い帆の帆船がネヴァ川を上って来て、エルミタージュの川面を周遊し、周りで打ち上げ花火を上げ、エルミタージュ宮殿前広場で祝典を繰り広げるというものです。高校卒業を祝うことが主目的ですが、この日はサンクトの地下鉄やバスは終夜運転となります。お昼ぐらいから、ネフスキー大通りのネヴァ川寄りは通行止めとなり、エルミタージュ周辺にはものものしい柵が張られ、卒業生(一人一人招待状が出されます)以外はその中に入れません。それでも、白夜のため、街は薄明るいので、サンクト市民は、ネヴァ川周辺を行ったり来たり、夜中の12時を過ぎても歩き回っていました。結局、柵の中に入れないので、急いでホテルまで戻り、窓から12時40分に始まる花火を見ることにしました。

 昼間には、久しぶりに水中翼船でネヴァ川を下り、噴水で有名なペテルゴフにいきました。噴水は前のままの威容を誇っていました。そして、以前(20年前)は入れなかったピョートル宮殿の修復が完了し、エルミタージュに劣らない美しさを見せてくれました。

 夜のバレエでは、ミハイロフスキー劇場の「眠れる森の美女」が日本で見るのと違って、第2幕全幕が王子と天使が一緒になって、魔女と闘い、オーロラ姫を救い出す場面となっていました。その他のオペラ、バレエ、コンサートも市民で一杯です。その中に日本人の姿が見えなかったのが残念でした。

(木佐森)

 

投稿歓迎!

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 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

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