動物をテーマにした映画はありますが、その中でも猫は少数です。家庭で飼われるペットの代表である犬と猫ですが、犬の映画は名犬ラッシー、忠犬ハチ公など内外にあります。猫はどうでしょうか?猫好きには何とも残念です。
そんな猫好きが泣いて喜ぶ映画がロシア映画の「こねこ」です。何をかくそう、関戸は中学一年の時に野良猫を拾ってきて以来、20年近く猫を飼い続けていたのです。この映画を見て、拾ってきたときのことや飼っているときのことを懐かしく思い出しました。
ペットショップで買ってこられた子猫が、ある音楽家の家で起こすドタバタ騒動。ある時、窓から落ちてトラックの屋根につかまり、遠くまで運ばれたその子猫が遭遇するあれこれ。さて、どうなることやら…。続きは見てのお楽しみ!
登場する猫の可愛いことはこの文章では表せません。猫の目線で見たロシアの日常生活の描写も大変興味深いです。
週末の午後、明るく楽しい映画のひとときを過ごしましょう。小さな子供さんでも楽しめる映画。ご家族連れでぜひどうぞ。
日時:2019年11月23日(土祝)14:00
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:500円(黒パン・紅茶代)※小学生以下無料
お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
(関戸)
2017年製作/136分/ロシア/露題:≪Время первых≫
1965年に世界で初めて宇宙遊泳を行い、 今年10月に85歳で亡くなったアレクセイ・レオーノフ氏を偲んで、上映会を行います。
日時:2019年12月1日(日)13:00~16:00の間 計2時間20分上映
※14:20~15:00は会館まつりプログラムの都合で中断・休憩
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:500円(茶菓子代)
12月1日(日)横浜平和と労働会館建設32周年 会館まつり
お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
12月15日(日)に「ヴォルゴグラードを知る会」と「新受講生・新会員歓迎望年会」を2本立てで開催します!
※11月24日に予定していた「ヴォルゴグラードを知る会」は講師の都合により延期され、望年会も同日に行うことになりました。何卒ご了承ください。
「ヴォルゴグラードを知る会」では、ロシア・ヴォルガ川西岸の南北80km に広がるこの都市の今昔について、当地出身のヴァリナ・ヴァレリヤ先生(横浜ロシア語センター講師)が日本語でご案内します。講義の後は、お茶とヴォルゴグラードのお菓子をいただきながら、質疑応答や会話を楽しみましょう。
続いての「望年会」では、来る年の望みを叶えられるよう願いつつ、ロシア歌謡を心ゆくまで歌いましょう。佐野真澄さんの伴奏と金子隆一さんの司会でお楽しみください。食べ物・飲み物の差し入れも大歓迎です!
詳細はチラシ画像をクリックしてPDFファイルをごらんください。
日時:2019年12月15日(日)
14:00~15:30「ヴォルゴグラードを知る会」/16:00~18:00「望年会」
会場:横浜平和と労働会館5階教室
定員:各20名(先着順)
参加費:
●ヴォルゴグラードを知る会+望年会 一般2,500円、会員2,000円、新会員1,000円
●ヴォルゴグラードを知る会のみ 一般1,500円、会員1,000円
●望年会のみ 一般2,000円、会員1,500円、新受講生・新会員500円
※新会員は2019年6月以降の入会者、新受講生は2019年10月以降の入学者
お申し込み締め切り:12月13日(金)
お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
12月21日(土)、22日(日)の2日間、「冬の読書会」と題して、チェーホフの「悪人」を原書で読む特別講座を開講します。
「悪人」は、トルストイがチェーホフの傑作のひとつと認め、『彼の創作手法は優雅に真実に迫るもの』だと感嘆し、若い作家らに手本であると紹介していたた作品です。
作品を通じてより多くの語彙・慣用句を獲得し、構文と親しみ、ロシア人気質に触れてみましょう。
日時:12月21日(土)16:30-18:00、
12月22日(日)16:30-18:00(全2回)
受講料(全2回分):会員7,000円、一般8,000円 最少開講人数:3名
講師:竪山 洋子(当センター講師)
受講対象者:ロシア語能力検定3級レベル以上の方
予習の課題:オーディオブックを聴き、テキストを読む(詳細は横浜ロシア語センターホームページをごらんください)
お申し込み締切:12月19日(木)
月曜~土曜、入門~上級・会話・日本案内 各クラス開講中。
水曜と土曜に新規「入門」クラスが開講しました。水曜は5名、土曜は2名の受講生が入会されました。今後も楽しく学習を続けていただければと思います。
詳しい内容は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。
レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講、実質個人レッスンとなります。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。
今後の予定:11月23日、12月7日、12月21日
※変更の場合がありますので、見学・受講ご希望の方は事前にお問い合わせください。
時間:14:30~18:15の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
レッスン料(1回、税10%込):一般11,000円、会員9,500円
日程:毎月1回、土曜日開講
2019年度後期日程:10月19日、11月16日、12月21日、1月18日、2月15日、3月21日
内容:個人演奏・アンサンブル各クラス
レッスン時間:Aクラス13:00~14:00、Eクラス14:10~15:40
2019年10月以降の受講料(税10%込):
アンサンブル Eクラス 3,667円×6回=22,000円
グループ・個人レッスン A/Bクラス 3,142円×6回=18,850円
講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センターホール
音 楽
北川記念ロシア民族楽器オーケストラ10周年記念コンサート大成功!
10月27日に東京都江東区のティアラこうとう大ホールで、北川記念ロシア民族楽器オーケストラの創立10周年記念コンサートが行われました。
1000人近くの聴衆がホールをうずめ、内容ともに大成功でした。
私も含めて、当協会のバラライカ・ドムラ教室の生徒3人も出演しました。舞台を俯瞰した写真で、第2列目の左から3人目が私です。私の両隣が教室の生徒です。舞台の真ん中に箱のような楽器がありますが、これはグースリーというロシア独特の楽器です。
団員のほかに、プロとしてアコーディオンの大田智美さんと他1名、フルート一人、パーカッション3名、さらにロシアからのロシア民族楽器アンサンブル「ドン・トリオ」が加わって、オーケストラを構成しました。
コンサートは3部構成で、第一部では、オーケストラの団員が民族衣装で登場し、北川翔さん指揮のもと「2つのロシア民謡による幻想曲」を演奏し、以後「アムール河の波」「ピェースニャとスケルツォ」とつづいてロシアをイメージする曲が続きます。そして第一部の最後には、「ロシア狂詩曲」というテンポが速く、今回のコンサートで2番目に演奏が難しい曲を演奏して終わりました。
第2部では、男性の団員は上下黒、女性は上が白、下が黒の服装で登場し、客演歌手として迎えたソプラノの森里穂子さんとバスの岸本力さんが「アメイジンググレイス」「ヴォルガの舟歌」他をそれぞれを独唱して、オーケストラが伴奏しました。第2部の終盤で、指揮を団長の長尾さんがとり、北川翔さんがバラライカのソロパートとして、ロシアロマンスの「あなたに逢えたら」と今回のコンサートで最も難しい曲「グロテスクと瞑想」を演奏して2部が終了となりました。
第3部では、男性団員のみ上が白のYシャツに黒のジャケットに変わって登場し、ドムラのメンバー8人が舞台の前面に並んで、アヴェ・マリア(皆さんが想像するアヴェ・マリアとは違います)を演奏。入れ替わってバラライカのメンバーが前面に出て、「ヴァリンカ」という曲を演奏。その後は合唱団「白樺」のメンバーが加わり、「100万本のバラ」「鶴」、そして最後に「カチューシャ」を演奏し、合唱が加わったこともあって、圧巻のフィナーレとなりました。さらに鳴りやまぬアンコールの拍手にこたえて、「ワルツ・バラライカ」「月は輝く」を演奏してコンサートが終了しました。
1000人近くという客の入りは、5週年時の約2倍ということでした。これは団員の努力もさることながら、北川翔さんが新聞やラジオ、テレビに出演して広めたことも大きく寄与していると思われます。なお5周年時は、最終盤で落語家の鶴瓶が登場するというサプライズがありましたが、今回はサプライズはありませんでした。まあ客の倍増こそがサプライズといえるかもしれません。
今回NHKがゲネプロの時から取材をし、本番でもカメラ2台が入って撮影しました。後日何らかの番組で放映されると思います。
このように成功裏に終わったコンサートですが、個人的に残念なことは、自分の周りは忙しい人ばかりで、チケットが1枚も売れなかったことですね。
(田中)
ミロスラフ・クルティシェフ ピアノリサイタルを聴いて
10月7日、ルーテル市ヶ谷センターホールでロシアの才能豊かな若手ピアニスト、ミロスラフ・クルティシェフを聴いてきました。
当日のプログラムは、前半がシューマンとリスト、休憩を挟んで後半はショパンというロマン派の王道ともいえる意欲的な構成でした。
先ずシューマンのクライスレリアーナ。彼のピアノ作品の最高峰の一つで、ピアニストなら誰しもステージで披露したい、演奏者のテクニックと音楽性が求められる曲です。彼は、シューマンが愛妻クララのために作曲したこの八つの小品からなる組曲を、一つ一つ丁寧にそして自然なつながりを感じさせて弾いてくれました。
見事な演奏でしたが、私たちの年代の聴衆にとってはもう少ししなやかさが欲しかったかな、と思ってしまいました。贅沢なわがままです。
次のリストは、テクニックの確かさが聴き取れ文句なく楽しめました。
後半は、何とショパンの代表的な作品であるバラード4曲をまとめて演奏するという驚きのプログラムで、どうまとめるか期待で一杯でした。
結論を先に言うと、素晴らしいショパンでした。有名な1番もですが、最高傑作の4番も満足のいくもので、これならショパンコンクールに挑戦しても十分優勝争いができるのになあ、と思いながら帰途につきました。
※この演奏会には、ロシア文化フェスティバル事務局のご厚意により神奈川から6名が参加しました。
(金子)
コンスタンチン・シェルバコフ ピアノ・リサイタルを聴いて
同じロシア出身のクルティシェフを聴いた3日後の10月10日、東京芸術劇場の大ホールで、コンスタンチン・シェルバコフを続けて聴くことができました。
今回は、ロシアのピアニストが得意とするお国もののチャイコフスキー、ラフマニノフを前半に、そして後半はピアノの詩人ショパンの名作でまとめるという、ピアニストの腕が試されるオーソドックスなプログラムでした。
このホールは残響時間が比較的短く、ピアノの音がもやつかずにダイレクトに聞こえるため、ピアニストのぼろが出やすいホールと言えます。
そんなホールで彼がどんな演奏を聞かせてくれるのか期待と不安が交差する中、スーツ姿で登場したシェルバコフは、最初のチャイコフスキーで私の心をしっかりとつかんでしまったのです。テクニックを駆使してバリバリ弾きまくるギレリスのようなピアニストをイメージしていたところ、見事に裏切られてしまいました。完璧なテクニックに加えしなやかで滑らかなタッチから生まれるチャイコフスキー、ラフマニノフは“ブラボー”と叫ぶのに十分価値のあるものでした。
後半のショパンも素晴らしく、今までの多くのロシアのピアニストの演奏にはない、昔のフランスの名ピアニストが弾いているような錯覚を覚えた程でした。
ロシアのピアニストたちの層の厚さを痛感した一夜でした。
※この演奏会には、在日ロシア大使館のご厚意により神奈川から5名が参加しました。
(金子)
芸 能
Русская Десятка ロシア・トップ10
雪が降り始めたロシアから、2019年10月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中5曲が新曲!
9位にフィラトフ&カラスとブリトーの≪Возьми мое? сердце≫(俺のハートを取って)がランクイン。
ウクライナ出身のイケメンアーティスト、バルスキフの≪Неслучайно≫(必然)が8位に入りました。
元5sta Familyの2代目Voとしてコケティッシュな歌声を披露し、ソロ転向したカラウロワの新曲≪Танцы на нервах≫(神経上の踊り)が7位に。
5位にクライムブレリの新曲≪Мне так хорошо≫(私にとてもいい)がランクイン。
3位にズィヴェルトの新曲≪Credo≫(クレド)がランクイン。
人気絶頂デュオ、アルティックとアスティの新作≪Под гипнозом≫(催眠術下で)が首位になりました。アスティの完璧ボディとコケティッシュな歌声をほぼ前面に出した作品。MVでは、不慮の事故に遭ったカップルを甘く切なく映しています。おめでとうございまーす!:-)
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart、2019年10月21~27日/MOPA)
露芸能界人気歌手ラーザレフ 子供達の出生の秘密を明かす
露民放テレビ局NTVが9月29日に放映した人気トーク番組「セクレト・ナ・ミリオン(100万ルーブルに値する秘密)」に、セルゲイ・ラーザレフが登場、明かした数々の秘密が波紋を呼んだ。
ラーザレフと言えば、幼少時代から芸能界で活躍し、子供風刺番組「エララーシュ」にも出演。その後ブラッド・トパーロフと男性アイドルユニット「SMASH!!」を結成。解散後はソロ転向し新曲を出せば上位ランク、更に欧州音楽祭典ユーロヴィジョンに2度出場し(16年と19年)上位入賞するなど、芸能界で最も成功しているスターの一人だ。
ラーザレフが登場したその番組の司会は、元彼女クドゥリャフツェワ・ヴァレリア。嘗ては結婚も考えたが、お互い仕事が忙しく気がつけば冷めていて、関係を解消したということになっている。そんな二人が再び会い自身らの交際過去も明かし、ラーザレフの更なる秘密にも切り込んでいかなければならない、視聴者を動揺させるトークが長く続いた。
2015年に薬物所持で検挙された後交通事故死した兄パヴェルのこと、彼の子供にできる限りの援助をしたこと。最愛の母については豪邸や車、外国旅行を贈り、治療のことも話した。
中でも、「100万ルーブルに値する秘密が同封された」封筒は、クドゥリャフツェワも知らされていなかった。開けるとカードには、「子供は何人いますか。」ベビーカーを引いて息子二キータと散歩している画像、また子供洋品店で女児服を選んでいる画像も映し出された。女児が誕生していたのだ。
しかし「同じ音楽業界の女性」と言われる彼らの実の母親の姿は、これまで全く映されていない。ラーザレフは「子供達の両親は同じだが、それぞれ違う代理母から生まれ、実の母親とは別居をしている。」と明かした。
(MOPA)
映 画
「セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦」
(アレクセイ・コズロフ監督作品、ロシア、2019)
レニングラード攻防戦で本当にあった、真実の物語。
張りつめた緊迫感で“奇跡の脱出作戦”を描く戦争サバイバル・アクション大作登場!!
11月22日より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。
演 劇
テアトル・カナ「Population Density 人口密度」
9月27日 於:シアターX
テアトル・カナは、ポーランドの劇団である。日本・ポーランド国交樹立100周年記念として催された本公演は、スベトラーナ・アレクシエーヴィッチの『チェルノブイリの祈り』を原作とした作品。
ステージに登場した1人の初老の男が部屋の中の道具を次々と片付ける。そして水槽に頭を沈める。彼の頭上には白い雲…。背後には2つのスクリーンが掲げられ、さまざまなイメージが投影される。やがて若い2人の女と1人の男が登場し、“あの日”を境とした人生の変化を物語っていく。『チェルノブイリの祈り』に収録された人々の「合唱」が、この4人によってかわるがわる語られるのだ。避難するときに残していった動物や記念の品々、家族との感情のもつれ、混乱した感情や将来への恐れ、静かな怒りなどが叫びにも似た口調で語られる。頭にストッキングをかぶって沈黙するまで。
同時に4人は音楽に合わせて激しく踊る(初老の男は踊りとはいいがたい動作なのだが、民族舞踊風でもある)。永久にカタルシスを得ない「合唱」とダンスは、原作の静かな語り口とは対照的に極めて肉体的だ。
彼らが黙ったあと、録音された“音源”が世界の中の被爆の声を語り始める。当然、フクシマのことも日本語で語られるのだが、それは日本向けの演出だろうか。
(文・滝沢 三佐子/写真・劇団提供)
東京芸術祭2019レッドトーチシアター「三人姉妹」
10月20日 於:池袋・東京芸術劇場プレイハウス
レッドトーチシアター(Красный факел)は、ロシア国内第3位の人口を有するノヴォシビルスクを拠点とした州立アカデミードラマ劇場。今回、日本で上演したのは手話版「三人姉妹」だ。この作品は、2001年にロシアのトニー賞ともいえる「ゴールデン・マスク賞」を受賞している。演じる俳優たちは健常者だが、まるで聾者の劇団が演じているかのように見える異色の演出。書類配達人以外、登場人物のセリフはすべて手話が用いられる。もちろん、観客には日英語の字幕付きだ。
ステージ上には所せましと家具が並ぶ。同じ色に統一されたダイニングテーブル、ベッド、ソファ、クローゼットが、イリーナ、オーリガ、アンドレイたちの部屋を形作る。俳優たちは作られたセットに入場し、それぞれの場所で同時多発的に、手話で会話を始める。観客の視線はフォーカスされる話者と字幕を行ったり来たりとかなり忙しい。
セリフがないからといって静かなわけではない。いつも誰かによって舞台にはかなりの音量で音が流されている。あるときは、チェスをしながらのテーブル叩き、食器を配る音、パソコンの起動音、ホーロー器が落下する音などなど。これらの音は登場人物の“気分”を表している。奇妙なことに、この「三人姉妹」にはスマホやタブレットも登場し、イリーナはMTVを観るのが好きだ。自撮棒で記念写真を撮り、ベッドでスマホをいじる姿など、当時の若者を今風に表現。
音を別の形で聞き取る彼らは、独楽の回る振動を全員で幸せそうに聴く。
感情が激昂する場面では、表情の変化や激しい手話に加えて嗚咽のような発声が加わる。それがすごくリアルなので、役者たちが本当に聾唖者なのではないかと思えてしまうほど。
喜びにあふれ元気いっぱいの末娘イリーナが、恋人が決闘で殺されモスクワへの夢が破れゆく場面、ヴェルシーニン中佐との不倫の恋を長姉オーリガになじられたマーシャの口論、そしてマーシャが、断腸の思いで彼と別れるシーンなど、動作や手が声を発しているような錯覚さえ感じさせる。
ともあれレッド・トーチの手話劇は、聾者のためのものではない。10月1日に行われた公演関連レクチャーで、ソ連時代からの聾者演劇に詳しい日向寺康雄氏は、「口から出る言葉と裏腹な、心の叫びを表現する手段として手話に着目した」という演出家の話を紹介した。言葉に頼らない表現を行うには、想像以上に集中力が必要でエネルギーを使うのだろう。上演時間はトータル4時間15分、全4幕で各幕間に休憩時間がとられた。
(文・滝沢 三佐子/撮影:後藤 敦司)
壁なき演劇センター×ベトナム青年劇場「ワーニャ伯父さん」
とき:11月26日(火)15時開演
ところ:横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ
料金:3000円(当日券3500円)、学生・外国籍1500円
問合せ:神奈川県文化課 045-210-3806
チケットかながわ 0570-210-3806
ウラジオストク&ナホトカ一人旅
「日本から一番近いヨーロッパ」という事で少しずつ認知されてきたロシアのウラジオストク。
どちらかというと近場の海外旅行では東南アジアだったり韓国、台湾あたりに行かれる日本人が多い中、ウラジオストクは(ましてやナホトカはほとんど情報がありません。)自分自身も未開の地であり、好奇心を擽るようなそんな気持ちで初めて訪れました。
実際行ってみて「日本から一番近いヨーロッパ」というのは正解だなって思いました。
アジアな感じはそこまでなく建物の造形、街を歩く人達、そこは紛れもなくヨーロッパの雰囲気を感じられました。
それにウラジオストクは自由港でもあり、さまざまな物流が流れる街でもあります。
街で走っている車の8割は日本車で日本から送られてきた中古車が大半を占め街中を疾走しています。
けどそんな街でもまだあまり日本人は少なく、もっと関心がでれば良いのになぁと改めて思いました。
そして更にウラジオストク駅から5時間、電車に揺られ移動した港町のナホトカは海外からの旅行客もほとんどいなく、ロシアの落ち着いた小さな街でした。
有名なガイドブックにもたったの2ページしか載っていない、ネットで探しても大した情報もないこのナホトカに何故来たのかというとその昔、かつては横浜から定期船でナホトカが結ばれていてそこからシベリア鉄道に乗ってユーラシア大陸を渡る最初のロシアの地でもあり日本とは縁が深い街でもありました。
そしてナホトカを初めて発見したロシア人が美しい入り江のあるこの街を見つけ「これは掘り出し物だ!」と(掘り出し物=ナホトカ)それが由来で出来た街で自分にも掘り出し物があるかもしれない。。
そんな安易な気持ちでナホトカへ行ったのですがロシア正教、カザンスコイ聖堂の美しい外観と中にあるイコン。そして何より神秘的な美しい聖伝の儀式を見れたのは本当にНаходка「ナホトカ=掘り出し物」だったと思います。
それだけではなくナホトカには日本人はおろかアジア人すら殆どいない中で旅人である自分が困ってた時に気さくに地元の方々たちが対応してくれたりとみんな親切にしてくれました。
決して行きやすいとは言いにくいナホトカの街ですがもしかしたら何か「掘り出し物」が見つかるかもしれません。
(武田)
書評「ほんとうの空色」
バラージュ・ベーラ 著/徳永康元 訳/岩波書店/640円+税
心の中に夢を持つ重要性を、本書は「空色」に記して語ってくれているようである。未来への明るい道のりは、いくつもの弊害を乗り越えつつ、逞しい発信力と柔軟な受信力を持つことである。発信力の高さが、人々へ与える影響力の高さの礎になるからだ。ハンガリーにおける「至宝」バラージュは、1884年に生まれ、本書は彼自身が最も気に入っていたという中編である。彼が生まれたハンガリー南東部、セゲドの町はわずか人口10万弱の都市であるが、当時のハンガリーそのものの複雑な政治力学にさらされていた。第1次世界大戦の敗北とそれに続く市民革命と共産政権の樹立である。バラージュの一生は流転に満ちていたが、どの国でも「万能芸術家」と名を馳せた。さて本書の主人公フェルコーは、家が貧しく手伝いに忙殺され宿題が忘れがちな少年である。いつも席は罰として一番後ろであった。フェルコーは、絵を得意としていたが、絵具を買うゆとりはなかった。
借りた絵具で描いたら、ある時、青が足りなかった。ある日のこと、野原の青の花の汁で空を描くことを思いつく。青い絵具を作り出してから彼の生活は、急転回を見せる。やがて少年の日の初恋の時代もやってきた。これはファンタジーに満ちたハンガリーの名作である。バラ―ジュはウィーン、モスクワ、ベルリンと移り住み、劇作家、映画評論家、小説家、美学者と足跡を残し、1949年、ハンガリーで他界した。東欧から、中欧概念構築の土台となった人物である。
(中出)
投稿歓迎!
「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
ただし、作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。
毎月末締切、翌月15日頃に発行される見込みです。
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館1階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp
(機関紙編集部)