今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2021年3月号 No.713

行事予定

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 第17回定期総会

【日時・内容】
2021年3月28日(日)
◆13:30~15:00 定期総会(内容:活動報告、事業計画、決算、予算、2021年度役員案の承認、質疑応答他)
【会場】横浜平和と労働会館4階会議室 および オンライン(Zoom)
【参加費】無料

※総会議案書を同封しますので、ご一読の上、総会出欠席や委任について必ずご回答ください。
(機関紙に同封されているFAX用紙・ハガキをご利用ください。Eメールでの回答も受け付けます。)
総会成立のため、皆様のご協力をお願い申し上げます。

※リモート出席をご希望の方には、追ってZoom招待状を送信します。
Eメールにて総会リモート出席をお申し込みください。

委任状送付・総会出席お申し込み
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-Mail: eurask2@hotmail.co.jp

現代ロシア映画鑑賞会「カリキュレーター」

(原題:Вычислитель  D.グラチョフ監督作品、2014年ロシア)

「カリキュレーター」  2016年に開催された「未体験ゾーンの映画たち」で好評を博したロシアSFアクション。
 未知なる生命体の巣くう惑星で、生死をかけた究極のサバイバル・バトルが始まる!

とき:4月4日(日)14時~(本編86分)
ところ:横浜平和と労働会館5F教室
資料代:500円
ご注意:鑑賞中のマスク着用をお願いします。

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-Mail: event@kanagawa-eurasia.org

ゴールデンウイークの締めくくりは『チェブラーシカ』で決まり!

「チェブラーシカ」  今年度第二回のDVD鑑賞会は人形アニメ『チェブラーシカ』です。

 今や、100円ショップでも買えるキャラクター。その製作は1969年(昭和44)です。まだ、生まれていない方も多数いらっしゃるのでは……。

 ロシアからやってきた可愛い、そして不思議な動物の物語。第一話から第三話と本邦初公開の幻の第四話も一気に鑑賞しましょう。短編なので、ここで内容を話してしまうと楽しみがなくなります。当日のお楽しみに。

 大人の方も、この日ばかりは童心に戻ってロシアのファンタジーを味わってみてください。

日時:2021年5月5日(水祝)午後1時
会場:横浜平和と労働会館5F教室
参加費:500円(黒パン・お菓子・紅茶付き)
※小学生・中学生無料

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-Mail: event@kanagawa-eurasia.org

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10  3月8日からマースレニッアが始まり、春まで後もう少しのロシアから、2021年2月第2-3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中3曲が新曲!

 品性下劣を日々極めているお騒がせタレント、モルゲンシュテルンの新曲≪Cristal & МОЁТ≫(クリスタル&モエ)が初登場9位にランクイン。素行やプロモートの数々でYouTubeなどのSNSには連日酷評が書かれていますが、それとは裏腹に実は、GQマンオブザイヤーのアーティスト部門優勝、雑誌「フォーブス」の露版で特集された「40歳までに成功したスターTOP40」において21位にランクインされるなど、栄えある賞を多々2020年に獲得した注目人物でもありました。

 ラグチェフの失恋ソング≪Горький вкус≫(苦い味)が初登場6位にランクイン。露のチェルケス市出身で北カフカース民族アバザ人です。名前の「スルタン」は本名。17歳からアコーディオンを習い始め、音楽界では既に6年間奏者として演奏しているそう。2021年になってYouTubeにリリースした本曲は、同郷のリスナーやFANから支持され、一週間で60万回、現在は2700万回再生を記録しています。

 2位にドミトリエンコのラブソング≪Венера-Юпитер≫(金星と木星)が初登場2位。クラスノヤルスク出身の15歳の少年で、2020年から活動開始。本曲はЯндекс.МузыкаとApple storeで2月上旬時点で第一位獲得、他の局でも上位ランクインするなど、才能と勢いがとまりません。

 半年間首位だったダブロを3位に降格させ首位を奪取したのは、先月2位だったハビブの≪Ягода малинка≫(ラズベリーの実)でした。本名はハビブ・シャリポフでカザン出身。露民放テレビTHTの音楽オーディション番組「ペースニャ」の第1シーズンに出場し、そこで審査員をしていた音楽プロデューサーのファデーエフ(グリュコーザ、サヴィチェワ、セレブローの音楽Pとしても有名)と2018年から2019年まで契約した若手シンガーソングライター。過去にアルティク&アスティ、アニー・ローラク、エゴール・クリードにも楽曲提供したこともあるとか。新曲のこれまでの視聴回数は前回から5千回以上増え、9400万回までに到達しました。おめでとうございまーす!:-)

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。更新再開しました!

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2021年2月12日~18日/MOPA)

演 劇

俳優座「正義の人びと」

1月31日 於:六本木・俳優座

『正義の人びと』  アルベール・カミュの戯曲「正義の人びと」は、1905年、モスクワで起こったセルゲイ大公(皇帝の叔父)暗殺事件を題材に作られた。アルジェリアで生まれ育ち、かつてレジスタンスとして活動したフランス人カミュの、複雑な心境が垣間見えるような戯曲である。

 社会革命党のアジトでは、権力の中枢である大公を暗殺して人民を圧政から解放しようと画策が進んでいた。大公の乗った馬車に爆弾を投てきする役目を詩人のヤネクが買って出る。一方、ステパンという獄で凄惨な体験をしてきた男は、自分こそ圧政への復讐にふさわしい人間だと主張。しかし、リーダーであるボリアはヤネクに大役を託す。ヤネクの恋人ドーラは、ヤネクに「爆弾を投げたとき大公もあなたと同じ人間だとわかる」と警告するが…。

 かくしてヤネクによる暗殺は失敗に終わる。目標としていた馬車に、大公の幼い甥と姪が乗っていたのだ。ヤネクは動転して投てきを断念、アジトに舞い戻った。

『正義の人びと』  ステパンにさんざん批判されるヤネク。ドーラはヤネクの「良心」を理解するが、暗殺の失敗で組織に危険が迫っていた。挽回を図った二度目の爆殺は成功し、ヤネクは逮捕された。獄中、判事のスクラートフは恩赦を提示するがヤネクは拒否。自らの行為に信念を持っていたヤネクだが、囚人フォカも看守も、ヤネクの「正義」を馬鹿にする。複雑な心境のなか、セネカは恩赦を受け入れず死刑が執行された。再会の望みを絶たれたドーラは、次は自分が爆弾を投げるのだとボリアたちに宣言した。

 ステパンが暗殺に失敗したヤネクに語る「ロシアの子どもたちは飢えて死んでいる」といセリフと、恩赦を受け入れないステパンと面会した大公妃が語る「大公の甥や姪は貧しい人たちを蔑む子どもだ」のセリフは表裏一体の意味をもつ。ヤネクは民衆を抑圧するものの本質を、死を前に理解した。そして抑圧に抵抗し続けるという「正義」を、愛をあきらめたドーラが担うことになる。

 「正義」か「良心」かがくるくると転換する心理変化がこの舞台の見どころであり、観る者を矛盾と不条理の泥沼に突き落とす。重苦しく、観劇後のもやもや感はマックスである。それもこれも、カミュが描いたロシア帝政の世界と、平和的な抗議活動に暴力が及ぶ現代と幾分の差もない現代社会がオーバーラップするせいである。

 ただ、相反する行為と感情の連続だけに、表現のブレ幅が極端なドーラ、どこか距離をおいたような感じのボリアの演技が、終始一本調子のようで気になった。

(文:滝沢三佐子/写真:劇団提供)

オペラシアターこんにゃく座「オペラ 森は生きている」新演出・オーケストラ版

2月20日 於:東京・世田谷パブリックシアター

『オペラ 森は生きている』  こんにゃく座の創立50周年記念第一弾と銘打たれたマルシャークの「森は生きている」は、これまでメインだったピアノ伴奏に加えて室内管弦楽・木管楽器・打楽器を加えたオーケストラによる生演奏による豪華版。コロナ禍で活動に規制がかかるなかでの50周年記念として、自然に生きるものたちの掟と畏怖を扱った本作は、豪華な演出以上にタイムリーなものだと感じた。

 両親を亡くしたふたりの少女が主人公。一人は家臣たちに取り巻かれたわがままな女王。もう一人は継母と義姉にいじめられている娘。彼女は森の掟を理解し順守しているため、森の暦をつかさどる12の月たちから庇護を約束される。一方、女王は大晦日に身勝手なおふれを出す。「マツユキ草を籠いっぱいに積んできた者には金貨を授ける」。

 娘の継母と義姉が女王のおふれを目にする。ときは新年がはじまったばかり。欲に目がくらんだ継母は、娘を厳寒の森でマツユキ草を取ってくるよう命じる。

 4月に咲くマツユキ草が1月に咲くはずはない。娘が困っていると暦の月たちが同情し、特別に暦を先走らせてマツユキ草を咲かせてくれた。継母はそのマツユキ草を女王に献上し金貨を受け取るが、女王をマツユキ草の場所に連れていくように命じられる。こうして女王と家来たちは、娘を案内人に仕立てて森に分け入った。これを見た暦の月たちは女王に森の掟を教えるために、ある出来事を仕掛ける。

『オペラ 森は生きている』  オペラであるのにオペラ的な仰々しさがなく、「燃えろ、燃えろ」「そりの歌」など親しみやすいメロディーや美しいハーモニーに一気に引き込まれる。生オーケストラによる演奏は、森の中の多様な生きものたちを象徴するような豊かな音色。12の月たちが大晦日に「森の動物たちを点呼する」場面は、入場者数を数えるカウンターを手にした月たちが登場、そのしぐさが何とも可笑しい。森を飛び交うカラスやウサギ、オオカミたちもそれらしい衣装に身を包んで舞台中を駆け回る。

 特に目を奪われたのが12の月たちの色鮮やかな衣装。ピアノ版の時とは異なり、全体に一体感のあるデザインで、パステルカラーがとても上品だ。全身金色に統一された女王のコスチュームもまばゆいほどに美しく、ロシアンテイストなアクセサリーに女王の威厳が漂う。

 教訓的な物語ではあるが、オーケストラ版オペラ「森は生きている」はファンタジーそのもの。出演は全役ダブルキャストだったので、A組、B組による2タイプの舞台となった。筆者が観劇したのはB組である。

(文:滝沢 三佐子/撮影:前澤秀登)

★劇団夢現舎「タバコの害について」

緊急事態宣言で延期となった公演を上演。
とき:4月9日(金)19:00開演
   4月10日(土)13:00/19:00
   4月11日(日)13:00/18:30
料金:リアル生舞台(各回11名限定)2500円、学生2000円
オンライン生配信(4月10日19:00)1500円
問合・申込:koenji@mugensha.net 03-3318-0756

映 画

ユーラシア通信

書評「独裁者のブーツ:イラストは抵抗する」

絵:ヨゼフ・チャペック/訳:増田幸弘+増田 集/発行:株式会社 共和国/2,500円

『独裁者のブーツ:イラストは抵抗する』  トマーシュ・マサリクはチェコの哲学者・政治家で、現在でもチェコで流通している最高額5000コルナ紙幣に肖像が使われている。家は鍛冶屋であったが、ウィーン大学を卒業後、大学院にすすみ、プラハ大学の教授となり、1918年チェコの初代大統領となった。カレル・チャペックは彼に未来を託していた。彼との座談会集も残っている。チェコの星であったマサリクの死後、翌年、カレルが風邪をこじらせて死亡する。そして、その兄とヨゼフが逮捕される。ヨゼフの装幀家としての仕事は、たくさん取り上げられ、軽い皮肉が込められていたのだ。静かな生活と娘アレンカを愛していた彼は、小さな話などをして娘を喜ばせた。単行本「独裁者のブーツ」は、40頁弱の薄いもので、ヨゼフ50歳のお祝いであった。これは当時の習慣であり、それと祝賀会で、日本で言うとなれば、還暦と同様である。

 反ファシズムのイラストは命と引き換えに発行された。ヨゼフは、この後、衣類を入れた鞄ひとつで、ゲシュタポに逮捕され、ダッハウの強制収容所に到着する。そこからグーヘンヴァルト強制収容所に移動、家系図をイラストや絵を入れてまとめる仕事に従事する。1942年ザクセンハウゼン強制収容所の独房に移され、一般棟になり、食事が減らされる。ヨゼフは、肖像画などをたくさん描かされ、字の美しさから誕生日やXmasのカード作りにまわされた。1945年2月、ベルゲン・ベルゼン強制収容所に再び移送されたが、そこには、もはやチフスが流行していた。4月が生存を確認された最後であったが、彼の作品は、そっと持ち出されて妻に届けられた。

 私たちは、自分の考えに憶病になってはいけない。臆病になった途端、ブーツが現れ、理解しがたいものを押し付けていくだろう。ブーツは、単に牛革でできている。それを忘れてはいけない。

(中出)

「ХВ」?

 春分の後の満月直後の日曜日。ロシアにも「復活祭」が訪れます。ロシア語で「復活祭」を意味する単語は「パスハ」。それは、そのまま復活祭に作る伝統的なケーキの名称としても使われています。ロシアでは、復活祭の日に「パスハ」と「クリーチ」と「彩色卵」は欠かせません。

 「クリーチ」は大型の円筒形のケーキ。各家庭で焼いた物を教会に持って行き、ローソクを灯して神様にお供えします。そして、それを家に持ち帰り、食卓に「パスハ」と共に並べて、皆で食べるのです。

 「パスハ」は、これでも大型で、形は主にピラミッド形のチーズケーキ。「トゥヴォローク」(濃厚な、ロシアのカッテージチーズのようなもの)を大量に使い、専用の型に入れて作ります。出来上がった「パスハ」には“XB”の文字が印されていて。それは「フリストース ヴァスクレース(キリストは復活せり)」の頭文字だそうです。そして、「パスハ」の周りには、キリスト復活のシンボルである「彩色卵」(英語圏では「イースターエッグ」と呼ばれている)を飾ります。彩色卵は食用ではありません。

 ところで「クリーチ」も「パスハ」も、大きい物を作るのはなぜでしょう?そこで、私がふと思い出しましたが、「キリスト教では『豊かさの本質は、他者と分かち合うことができる』という精神により、ひとつのお菓子を皆で分けて食べる習慣がある…」ということ。

 そういえば、ヨーロッパなどのケーキ屋では、日本よりもホールケーキが数多く見られるとか。「クリート」も「パスハ」も、皆で分け合って食べるところにも、大きな意味があるのでしょうね。何だか、私も食べたくなってきました…。

(とくなが なつみ)

ソ連プロパガンダ風 COVID-19対策啓発ポスター

COVID-19対策啓発ポスター COVID-19対策啓発ポスター
(左)ウイルスの予防が私達の武器だ。
(中)最も怖い感染は、恐怖だ。恐怖はウイルスより早く伝播する。恐怖とパニックにNOを!
(右)多分、「コロナウイルス!あっち行け!」だと思います。(ブリヤート語)

COVID-19対策啓発ポスター COVID-19対策啓発ポスター
(左)先生、ありがとう!
(右)マスクなしで歩かないで!

COVID-19対策啓発ポスター COVID-19対策啓発ポスター
(左)コロナウイルスを他のと共に埋めよう!
(右)家で健康を大事にして!

この他、まだまだ沢山あります。次号以降でも順次ご紹介予定です。全部掲載するまでに流行が終息してくれればいいのですが。

(日本語訳:MOPA/ロシア・ムルマンスク在住)

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

(機関紙編集部)

歴史・社会