NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
新年会「ヨールカ祭」チラシ

新年会「ヨールカ祭」2024年1月21日(日)開催

 毎年恒例の新年会「ヨールカ(もみの木)祭」、2024年も昨年同様、リアル会場とオンラインの併用で開催します。会場の定員に限りがありますので、オンライン参加をお勧めします。
 詳しくはチラシ画像をクリックしてPDFファイルをごらんください。

日時:2024年1月21日(日)14:00~17:00(日本時間)
会場:横浜平和と労働会館2・3・4階&Zoomミーティングルームにて
参加費:会場・一般1,700円、会員1,500 円(出演者1,000円)、オンライン無料
定員:会場30名、オンライン100名(先着順、要予約)
参加申込締切:2024年1月14日(日)
出演申込締切:2023年12月16日(土)

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映画『シベリヤ物語』DVD鑑賞会

「うたごえ」の原点がここに 映画『シベリヤ物語』DVD鑑賞会

 11月26日(日)午後2時、横浜平和と労働会館5階教室に、神奈川合唱団有志5人による「バイカル湖のほとり」の歌声が響きました。アカペラでの3部合唱。合唱の後、黒パンと紅茶で一息。合唱団の方々の中にも、『シベリヤ物語』未見の方がおられました。観たことがある方も、何十年か前の話。今回はソ連時代にカットされていた個所を盛り込んだ完全版なので、その意味では「未見になりますよ」との弁。

 映画の冒頭と中ほどで歌われるロシア語の「バイカル湖のほとり」のすばらしさ。この部分を観て、聞くだけでも価値ある映画でした。日本で公開されたのが75年前。日本のうたごえ運動の始まりの時期でもあります。映画の中の喫茶店の場面は「歌声喫茶そっくりだ」とのこと。音楽や歌声が、民衆の心の中に沁みわたっていくことがしみじみと分かる映画でした。

 残念だったのは、神奈川合唱団以外はスタッフ2名であったこと。当日になって、欠席との方が二人いました。もし、神奈川合唱団の方に歌っていただく機会があれば、次回は多くの人数で開催したいものです。

(関戸)

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横浜ロシア語センター第139期 受講生募集中!

 毎週月曜~日曜、入門・初級・中級・上級・会話・演劇クラスを開講中。学期途中からの編入や見学も歓迎します。
 詳細はホームページをご覧ください。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
 講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
 ロシア語版のホームページもあります。学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。

 12月のレッスンは9日、23日の予定です。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織・財政状況

組織状況

 11月は139期講座の授業開始に係る移動が落ち着いたため、退会者はありませんでした。

 個人レッスンの受講者がお一人とイベント関連での入会者がお一人合わせてお二人が入会されましたので、11月末の会員数は2人増えて214人となりました。

 2023年もあとひと月です。語学授業及びイベント関連で入会者が増えることを期待します。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2023/11/30
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計63,50066,460-2,960
教育事業235,040484,200-249,160
一般事業62,46244,25018,212
合 計361,002594,910-233,908
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計441,946383,49458,452
教育事業601,059494,335106,724
一般事業33,94720,53913,408
支出合計1,076,952898,368178,584
当該月収支-715,9501-303,458-412,492
累計収支計1,992,8282,447,964-455,136

 11月も昨年に比べ、教育事業収入が少なくなっています。また、ロシア語検定試験事務局に検定試験処理事務を早めていただいたため、昨年は11月の入金でしたが、今年は10月の入金となってしまったので、11月教育事業収入が10万円ほどが少なくなっています。

 次期授業料収入が予定される3月まで、4か月あります。それまで、累計収支計が赤にならないことを願っています。

(木佐森)

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ボロディンスキー・ライ麦パン

ボロディンスキー・ライ麦パン 350g / 540円(税込)

本場の味で人気の黒パン、再入荷!
賞味期限:2024年2月7日
保存方法:直射日光を避け、常温で保存してください
原産国名:ラトビア

 
チョコフィットクッキー チョコチップクッキー バタークッキー

クッキー3種 各135g / 390円(税込)3箱よりどり1,000円!

ポーランドのメーカーBoguttiによる「チョコフィットクッキー チョコ&オレンジ」「チョコチップクッキー」「バタークッキー」の3種類が入荷。
3箱購入で1,000円にいたします。どの組み合わせでもOKです。サクサクした食感をお楽しみください。

 
入門ロシア語の教科書

「入門ロシア語の教科書」3,000円+税(会員割引あり)

徳永晴美著/語研/11月24日発売

長年ロシア語通訳・教育の第一線で活躍され、横浜ロシア語センターでも大変お世話になった故・徳永晴美先生が約7年に及び心血を注いで執筆された一冊。
横浜ロシア語センターの野口福美先生も長い間校閲に携わっておられました。
実践会話と文法を織り交ぜて丁寧に解説し、着実な習得へ導きます。
「入門」とありますが実際は中級文法までカバーしています。日頃の学習や教授の際の参考書としてもお勧めです。
当協会・教室事務所でも取扱予定。会員の方には約5%の割引があります。
桜木町に来る機会があり、あまりお急ぎでない方はぜひ当協会でご注文ください。
語研のサイトでページ見本(計30ページ以上)を公開中です。

 

商品は協会事務所、 当協会ロシア・ユーラシア商品通販サイト「うにべるま~ぐ」で取扱中です。
※一部、通信販売を行っていない商品もありますがご了承ください。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 2号さん3号さんがまだまだ不穏な世界を継続中のロシアから、2023年11月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、2曲が復活!時節柄、過去に大ヒットしたクリスマスコラボソングがTOP10に再登場しました。

 クライムブレリの≪Случилась осень≫(秋が来た)が10位にランクイン。彼女の快進撃はまだまだ続きます。

 2009年に中国国境傍にある町ブラガベシェンスクから生まれた才能豊かなグループ、マヤ・ミシェルの新譜≪Ветер меняет направление≫(風向きが変わろうとしている)が7位にランクイン。敏腕音楽プロデューサーであるマトビエンコ氏に発掘され、DJスマッシュとのデュエットでも好評を博し、現在は独立して活動しています。

 ズィヴェルトの≪Бери и беги≫(取って走れ)が5位にランクイン。10月23日にデジタル配信、27日に3rdアルバム≪В МИРЕ ВЕСЁЛЫХ≫(愉快な人々の世界)をデジタル配信しました。そのまた1ヵ月後がZivertの32歳の誕生日。TOPチャート入りという結果が、いい誕生日プレゼントになりました。

 今月首位になったのは、2ヶ月連続でアンナ・アスティのスーパーヒット曲≪Царица≫(女王)でした。本曲は、恋の痛み、裏切り、失望を何度も経験しヤマアラシ的になっていたが、心強く逞しく傅かせる正に「女王」のように変化していく女性を描いています。3ヶ月前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は6261万回。そしてYouTube上でロシアの人気曲TOP10中、第1位をまだまだ占領中です。おめでとうございまーす!:-) 

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2023年11月17日~23日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
北川翔 バラライカリサイタル

【音楽】プロコの若々しい感性を強く感じた
田中正也「魔法のピアノ」イン東京 Vol. 5

11月12日 紀尾井町サロンホール

 田中正也の「魔法のピアノ」in Tokyo Vol.5の今年の会場は「紀尾井町サロンホール」です。以前、一回だけ訪れた記憶が残っていました。

 建物の一階部分をホールにしてあるだけですので、天井は高くないのが演奏にどう影響するか心配でしたが、意外と音響は良く、専門の天井の高い「サロンホール」より音は良かったと感じました。さすがに田中正也は、ぽっと出の若手と違い、ベテランの域に達したといってよく、ホールの特徴を捉えて上手に音量・ペダルを操作していました、お見事!

 今回のプログラムは、前半がモーツァルト・ショパン・リストと、いわゆるヨーロッパ系の作曲者の作品でまとめ、後半は彼が得意なロシアの作曲家チャイコフスキー・プロコフィエフ・ラフマニノフの作品で観客を魅了しました。

 最初は、一流のピアニストがプログラムに載せる曲?といってはモーツァルトに睨まれてしまいますが、ピアノを練習している子供達が発表会でよく弾く曲「きらきら星変奏曲」です。しかし、やはり田中正也は上手だ。この曲は、ピアニストの腕が試される作品で、彼の演奏で聴くとモーツァルトの天才たる所以がうかがえる曲、といっていいでしょう。楽しかった。

 次は、ピアニストが必ずプログラムに載せなければならないショパンの作品です。まず「パガニーニの想いで」、です。パガニーニの名前がついているので超絶技巧の曲かと思いきや、意外に抒情性の豊かな曲で、気に入りました。3曲目はショパンの「バラード第一番」、私の最も好きな曲の一つです。彼の演奏は素敵で、文句のないものでしたが、さすがにホールの容積がもっと欲しい、天井ももっと高く…とないものねだりを感じる演奏でした。やはりスタインウェイのD型は良く鳴ってくれます。彼のショパンをもっと聴きたいと思わせる演奏でした。

 4曲目と5曲目はリストの作品です。お客さんがよく知っている「愛の夢第3番」と「死の舞踏 より、怒りの日によるパラフレーズ」です。「愛の夢」は楽しく聴けましたが、「死の舞踏」はオーケストラの部分もピアノで演奏しているためか、正直あまり楽しくはありませんでした。

 休憩をはさんで後半は、彼の自家薬籠中ともいえるロシアを代表する作曲家の作品です。先ず、チャイコフスキーの「瞑想曲」。初めて聞く曲だと思いますが、日本人の琴線にふれる曲の様で、しんみりと聞くことが出来ました。後の3曲は、彼の得意中の得意なプロコフィエフとラフマニノフの作品です。

 プロコフィエフは「トッカータ」、彼の若々しい感性が強く感じられました。ラフマニノフの「リラの花」は青山のカワイのホールで聴いた曲ですが、彼の演奏が変わったのか、スタインウェイの力か、フォルテシモでも崩れず違う曲の様に聴くことが出来ました。素敵な作品だと見なおしました。プログラムの最後を飾るのはラフマニノフの他の曲と少し違うように感じた「コレルリの主題による変奏曲」です。少しウェットになったショスタコーヴィチが書いてもおかしくないようだな、と聴きました。また、ラヴェルの「オンディーヌ」を連想させるようにも私は感じました。

 アンコールは3曲。プロコフィエフ、ショパン(有名な 子犬のワルツ)、そして〆は、もちろんリストの名曲「ラ・カンパネラ」です。

 彼は、ショパンに合っているな、と「子犬のワルツ」を聴いて感心しました。「ラ・カンパネラ」はもっと広いホールで聴きたい、何年も聴いてきたが、昔の荒っぽさ?が少し薄れ、大家のような演奏を少し感じました。しかし素晴らしい。ブラボーです。来年も楽しみです。有難う正也!

(金子)

 
「セルギー神父」
「セルギー神父」

【映画】柳下美恵のピアノdeフィルム Vol.10「セルギー神父」

11月18~19日 於;横浜シネマリン

 シネマリン名物といえるピアノ即興生伴奏つきの“サイレント映画35ミリフィルム上映会”。第10回目の今回は、いよいよロシア作品だ。「セルギー神父」は1918年の作品で、監督はヤーコフ・プロタザーノフ。主演はモスクワ芸術座のイワン・モジューヒン。

 近衛仕官のカサツキーは伯爵令嬢を熱愛し婚約したが、彼女は皇帝ニコライの愛人だった。落胆したカサツキーは隠遁し修道士セルギーに。そして彼を誘惑しようとした女を退け尼僧にしたことで、彼の神父としての名声が高まるが…。

 トルストイの原作「セルギー神父」をリアリズムの手法で撮った本作品は、1917年の革命を受け、それまで禁じられていた王室、協会、修道院といったモチーフをふんだんに映し出す。まさに帝政と革命のはざまを映し出した作品として、興味深い作品である。

 ピアノ伴奏も正教会の音楽を取り入れるなど、当時の雰囲気を盛り上げた。

 上映後、トークイベントも行われ、初日はロズニツァ監督作品の字幕を手掛ける守屋愛氏、二日目は映画ソムリエの杉浦かおり氏が登壇。当時の社会的背景から宗教的意味、革命後のソ連当局への忖度等、多岐にわたるトークが繰り広げられた。

 なお、観客から鋭い質問がいくつか投げられたが、今年急逝したソ連・ロシア映画研究者の井上徹氏がいらっしゃれば…という言葉が何度も発せられた。

(文:滝沢 三佐子)

 
「エア」
「エア」(C)LLC METRAFILMS (C)Metrafilms
Q&Aで登壇する「エア」の監督と俳優たち
Q&Aで登壇する「エア」の監督と俳優たち
「鳥たちへの説教」
「鳥たちへの説教」
「マディーナ」
「マディーナ」(C)KANOKINO PRODUCTION
Q&Aで観客の声援に応える「マディーナ」登壇者
Q&Aで観客の声援に応える「マディーナ」登壇者
「タタミ」
「タタミ」(C)Juda Khatia Psuturi
「ゴンドラ」
「ゴンドラ」

【映画】東京国際映画祭 2023

10月23日~11月1日 有楽町エリア各映画館

 今年の東京国際映画祭は実に4年ぶりのレッドカーペットならびに久しぶりのロシアからノミネートがあった。コロナ禍以降、事実上全面解禁となった映画祭とあって、開催中は連日多くの人でにぎわった。今回のユーラシア関係国の作品は以下のとおり。なお、「タタミ」が最優秀女優賞、審査員特別賞を受賞した。

●「エア」

(原題:Воздух、アレクセイ・ゲルマンJr.監督作品、2023年、ロシア)

 独ソ戦における女性パイロットに焦点を当てた戦争映画。ヒロインは実在の女性パイロット、リディア・リトヴァクを彷彿とさせる金髪美女。当初、女性パイロットは軍の中でも下に見られ、活躍の場も与えられなかったが、そうした差別的環境でも彼女らは果敢に飛び立ち戦果を挙げる。そして死と隣り合わせのミッションを続けるうちに、彼女たちは一人また一人と命を落としていく。

 上映後のQ&Aセッションでは、ゲルマンJr.監督のほか、美術・衣装担当でゲルマン夫人のイレーナ氏、主演女優が2名登壇した。観客から「女性パイロットたちは国から表彰されたのか」と質問され、監督は「この作品の制作現場は女性が多かった。その意味では女性が活躍している作品です。ある時期までは戦ってきた女性は評価されなかったが、現在は彼女らの活躍が認識され、そうした事実が多数伝えられるようになりました」と答えた。

 たしかにここ数年、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」を皮切りに、戦場での女性が描かれる機会が増えた。それは男性中心の武勇談ではなく、戦争によって人間性を変質させられる女性として、である。

 一方、「エア」のヒロインは、普通の女の子志願兵がめきめきと頭角を現し、ドイツ軍パイロットエースとの一騎打ちや、大胆な飛行チェイス、大尉との恋と愛人化などが描かれ、男性監督の描く「女性兵士」の域を出ていないことに気づく。

 今回、ウクライナ侵攻が終了しない状況下、このような作品を選んだ映画祭サイドへの疑問を呈する人もいたが、娯楽作品としてこの映画は受け入れられたと思われる。


●「鳥たちへの説教」

(英語題:Sermon to the Birds、ヒラル・バイダロフ監督作品、2023年、アゼルバイジャン)

 2021年の本映画祭で、「クレーン・ランタン」の作品が芸術貢献賞を受賞したヒラル監督。

 本作も静謐な映像、詩的なセリフ、象徴的メタファーにあふれる作品だ。

 美しい女性スーラと、彼女を慕うダヴド。身籠るスーラを残して、ダヴドは兵士となり明日は戦場へ赴くことになる。絶望したスーラはダヴドの銃を奪って「必ず帰ると約束してほしい」と迫るが、沈黙を守るダヴドにスーラは発砲してしまい、自分も自殺する。

 美しい森、葦の群生る水辺に対比するように、登場する人物は互いに銃を向け攻撃しあう。「ただ人間でいたかった」という言葉が、観るものの胸を打つ。しかし抽象性が高い映像作品だけに、非常に難解な印象は避けられず、今回は受賞を逃した。


●「マディーナ」

(英語題:Madina、アイジャン・カッセィムベック監督作品、2023年、カザフスタン/インド/パキスタン)

 女性監督によるカザフ女性の自立と困難を描いた作品。

 シングルマザー、マディーナはダンス講師やナイトクラブのダンサーとして生計をたて、実母、自閉気味の実弟とともに慎ましく暮らしている。自分の娘のDNA鑑定で別れた男との親子関係が証明されれば、養育費を請求できる。彼女は結果が出るのを心待ちにしているのだ。ひとり奮闘するなか、家父長的なカザフスタンでは、ダンス講師の仕事が卑しい仕事と非難される。そのうえ、実弟が伯父から性的虐待を受けていたことを告白、マディーナは伯父の子どもの婚礼に乗り込み、実弟への仕打ちを暴露する。

 監督や俳優とのQ&Aでは、この作品の着想ついて尋ねられた。マディーナを演じたマディーナ・アキルベック(本人と同じ役名)がこの映画のマディーナ同様、妊娠後に相手の男性が逃げてしまい、認知を得るために多大な苦労をしたことが、監督をインスパイアしたという。自分の状況を追体験で演じることになったアキルベック氏は撮影終了後、メンタルクリニックのお世話になったそうだ。

 加えて未成年への性的虐待やシングルマザーへの偏見など、カザフスタン社会の負の面に肉薄した本作は場内も高い評価を得ていた。


●「タタミ」

(英語題;Tatami、ザーラ・アミール・エブラヒミ、ガイ・ナッティヴ監督作品、2023年、ジョージア/アメリカ)

 イランの女性監督がイスラエルの監督と、ジョージアで秘密裡に作った作品。よって、純粋にジョージアの話ではないが、物語の舞台と制作国がジョージアとなっている。

 タイトルの「タタミ」とは、そのものズバリ、柔道の畳のこと。舞台は柔道のワールドカップ予選だ。イラン女子選手マリヤムは監督と二人三脚で順当に勝ち進んできた。しかし、決勝トーナメントでイスラエルと対戦が予想される中、イラン政府がマリヤムたちに「試合を棄権しろ」と命令してくる。政治的衝突を回避するためという。家族が故国から声援を送る中、マリヤムはその命令を拒否、それを知った当局は、マリヤムの家族や監督を拘束しようと追手を放つ。国家権力への服従か、個人の信念を貫くかの葛藤がテーマ。

 奇しくも監督自身、現役選手だったころに同じ命令を受け、負傷と偽って棄権した。彼女の過去を批判したマリヤムに促され、二人はワールドカップ委員会への庇護を求めフランスへ亡命。そして、後日開催された東京オリンピックで、彼女たちは「難民チーム」として柔道の試合に参加するのだった。

 試合会場という空間でのわずか数時間の物語だが、手に汗握る心理戦と追跡劇にハラハラし通し。映画という芸術が、イランとイスラエルの監督をタッグさせるという奇跡も生み出し、感動は何倍にも膨れ上がった。


●「ゴンドラ」

(原題;Gondola、ファイト・ヘルマー監督作品、2023年、ドイツ/ジョージア)

 「ツバル TUVALU」(1999)、「ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を」(2018)など、セリフを一切使わないスタイルで知られるヘルマー監督の最新作。

 ジョージアの山岳地帯で運行されるロープウェイで働くふたりの若い女性の、出会いから関係の深まりを、ユーモラスに、ときにシリアスに描く。

 始まりが殊に印象に残る。亡くなった村人の棺がゴンドラに乗せられ運ばれていく。黒い布に覆われたゴンドラを地上から見上げる人々。ゴンドラの乗せられた棺が、人々に別れの挨拶を交わしていく。実に心に響くシーンだ。ここのゴンドラは、日常の足だけではなく村人たちの一生にも深く関わり、文字通り人々の欠かせないものになっている。そんな大切なゴンドラの仕事をやっている二人の女性。彼女たちの予測不能な行動には目を見張る。いつの時代かわからないちょっとレトロな衣装と小物も、本作のセンスのよさを感じさせる。

 Q&Aセッションにおいて、セリフのないスタイルについての質問に対し、監督は「会話があると字幕や吹替が必要になり”壁“ができます。そうした要素を排除することでイメージだけに焦点を合わせることができるのです」と答えた。

(文・Q&A写真:滝沢 三佐子)

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リューバさん(右)へプレゼント
リューバさん(右)へプレゼント

ウリヤノフスクのリューバさんよりお礼状が届きました

 こんにちは。皆さんにお礼のお手紙を書くのが遅れてしまい申し訳ありません。2週間前に無事ウリヤノフスクに到着しました。10月27日の朝に羽田空港を離陸し、10月28日午前1時にウリヤノフスクに到着しました。北京とモスクワで2回乗り換えました。ロシアに到着したとき、雪が降っていましたが、今はまた暖かくなり、気温は+7度です。昨日は大雨が降りました。日本ではもう紅葉の季節かもしれませんね。もし紅葉の写真を送って頂けましたらとても嬉しく存じます!私は帰国の1日前に本部道場での稽古中に指に怪我をしました。しかし、今はほぼ指が治り、合気道の仕事を続けていますので、どうか心配しないでください。

 皆さん、私は横浜の神奈川県日本ユーラシア協会の皆さんとの会合のことをよく思い出します。 木佐森さん、野口さん、織田さん、柴田さん、イリーナさん、三佐子さん、板垣さん、坂本さん、塚本さんにお会いできてとても嬉しかったです。そして織田さんからは素晴らしい茶道を教えて頂きとても嬉しかったです。

 神奈川県日本ユーラシア協会の皆さんから心のこもったおもてなしをして頂いたことを感謝の気持ちとともに覚えています。建物の入口で歓迎のメッセージの立て看板を見たときはとても嬉しくなり感動しました!オフィスではアットホームな雰囲気の楽しい会合がありました。

 美味しいお茶、お菓子、イリーナさんの作ったピロシキを食べながら、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。一期一会の、素晴らしい出会いでした!

 ロシア・日本両国間の友好関係を発展維持するためには、なによりも人々同士の交流が大事だと思います。神奈川県日本ユーラシア協会の人々との交流は、まさに、それを実践するとても大切な交流活動だと思います。

 皆さんの贈り物は私にとってとても貴重なものです。本当にありがとうございます! 今では優れた木製食器が我が家のキッチンテーブルを飾っており、私はキャンディーを保管するためにそれらを使用しています。そして可愛いカレンダーと便箋のセットもとても私のお気に入りです。 織田先生の書道「一期一会」は素晴らしいですね。 いつか織田先生に書道のレッスンを受けてみたいです。塚本さんから頂きました合気道開祖植芝盛平の生誕100周年に出版された本は素晴らしい贈り物です。塚本さんにとても感謝しています。帰り道の途中、私は新宿駅に着いて、そこから羽織を着てホテルまで歩きました。新宿を和服で歩けてとても嬉しかったです。こんなことは夢の中だけでできると思っていましたが、現実に起こったのです!

 皆さんまたお会いできる日を楽しみにしています!ロシアのウリヤノフスクに是非、遊びに来てください!

(11月12日 リューバ)

 
「今こそウクライナに連帯を!ロシア軍の即時撤退を求める11.26シンポジウム」

「今こそウクライナに連帯を!ロシア軍の即時撤退を求める11.26シンポジウム」

11月26日 於:九段上集会所

 イスラエルのガザ侵攻以降、ロシアとウクライナにおける戦争状態が報道のわきに追いやられる事態が続いている。開戦から2年近く、ウクライナをめぐる現地と日本国内の市民運動について独立系ジャーナリストと市民運動家の講演を聞いた。

 基調講演では、ウクライナ社会運動を支援している加藤直樹氏が、現在ウクライナで人気のある音楽アーティストの映像を紹介。Jelly Teil&Alina Alina、Okean Elzy、Alina Pashなど、戦意発揚だけでなく戦争によってもたらされた苦悩、哀しみ、人間としての尊厳などを歌ったミュージックビデオが流された。これまでロシアを音楽マーケットとしてきたミュージシャンは、戦争開始後ウクライナ国内や世界を照準におさめ、民族アイデンティティを前面に押し出した音楽・MV作りを行うようになってきているという。

 また加藤氏によると「ウクライナ社会運動」は、ウクライナ左翼グループであるが、マイダン革命を経て民主主義的社会主義を目指しているという。同グループの中心人物、タラス・ビローズの文章は、ウクライナなどいわゆる「小国」の民族自決が世界の小国の民族自決の潮流となることを祈る深い内容が綴られているという。

 続くジャーナリスト志葉玲氏は、昨年と今年ウクライナ東部の激戦地を取材した経験をふまえ、ロシアによるウクライナ侵攻は「どちらに非があるか」ではなく、明らかに国際法・国連憲章・国際人道法など普遍的な原則により判断されるべきと話す。その意味で、ウクライナの人々の抵抗する権利を非難したり、ウクライナ人の意思決定を無視した停戦を強いるべきではないとする。そして日本の市民運動にも、ウクライナの人々の現状を顧みず、彼らの意思を無視した持論を展開するものがあることに警鐘を鳴らしている。

 また、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司氏は、ウクライナとガザは人権と人道の墓場なのかというテーマで講演。氏は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領がイスラエルを支持したこと、欧米がガザを不当占拠し攻撃を加えているイスラエルを擁護していること、ロシアがハマス指導者を呼んで武器供与を行ったなどを指摘。ウクライナとガザをめぐって、ダブルスタンダード(二重基準)が生じていると論じた。また、こうした各国の対応に日本も乗じていると危惧した。

 最後にウクライナ社会運動が発表した「パレスチナ人へのウクライナ連帯書簡」が紹介された。そのアピールには「私たちは、世界がウクライナの人々に連帯してくれたように、全ての人がパレスチナの人々のために同じことをするよう、呼びかける」と結ばれている。

(滝沢)

 
ウクライナ避難者交流BBQ

即時停戦と故国復帰の願い ウクライナ避難者交流BBQ

 11/19(日)、東京立川の昭和記念公園で、日本ユーラシア協会女性委員会と青年委員会共催の「ウクライナ避難者交流BBQ(シャシリク)」が行われました。神奈川からは内藤青年委員長と関戸が参加しました。

 当日は一日も早い停戦と、一日も早い故郷への帰国の願いを持った日本側10名、ウクライナ側8名が集まりました。正直言って、関戸はロシア語だけなので、ウクライナの方々と話がうまくできるか不安でしたが、何のわだかまりもなく交流ができました。

 BBQの肉は牛・豚・鳥・羊が並びました。炭火で焼く美味さは紙面では表現できないほど。また、持ち寄りの手作り料理がテーブルに所狭しと並べられました。美味しい焼肉を頬張りながら、アルコールとソフトドリンクで乾杯を重ね、楽しい語らいの場となりました。余興で、関戸は漢字の「日」の字に棒を一本加えてできるものを9つ、皆さんに考えてもらいました。ウクライナの方たちは、日本人が考えている間にポンポンと答えてくれました。さて、最後の9つ目は……。これは参加者から答えを聞いてください(笑)。

 世界中、皆が友達同士になれば戦争などは起きません。ささやかではあるが、確実な友好の場となりました。

 参加した方々は大変喜んでくださり、次回は自分たちがボルシチを作りたいとのこと。楽しみです。

(関戸)

 
「МОСТ 『ソ連』を伝えたモスクワ放送の日本人」

【本の紹介】「МОСТ 『ソ連』を伝えたモスクワ放送の日本人」青島顕著

 当協会でも昨年から何度か取り上げてきた「モスクワ放送」。ついに真打というべき本が発売された。しかも、2023年の開高健ノンフィクション賞を受賞して。

 本書は、イベントで登壇していいただいたモスクワ放送元アナウンサー、西野肇氏、日向寺康雄氏、名物リスナーの蒲生昌明氏のみならず、モスクワ放送成立前から日本に向けた「報道」に従事した日本人たちを数多く紹介している。

 日本からソ連へ「亡命」しモスクワ放送でアナウンサーとなった岡田嘉子氏、シベリアの収容所でスカウトされモスクワ放送での業務に携わるようになった清田彰氏、本名を隠し偽名のままでソ連生活を通した「最初の日本人アナウンサー」ムヘンシャン、抑留から残留に転じた西倉勝氏や川越史郎氏、リスナーへの返事を細かに綴り続けた岡田敬介氏、ミール・ロシア語研究所の創始者、東一夫氏などなど。時代と政治情勢に翻弄されながらも、真摯に生きた日本人たちの姿が生き生きと描かれる。

 番外編として、ロック歌手川村カオリのことも触れられている。彼女もラジオ愛聴者であり、ラジオ放送を通じて若い世代との架け橋を作った。

 ソ連と日本の関係が厳しいものだったことにより、つらい目に遭った人は多い。それでもモスクワ放送は声の力で日本への橋をかけようとした。そして、昨年から再び始まったロシアとの断絶。もう一度「架け橋」を作るためのヒントが本書にはある。

(集英社、1,800円+税)

(滝沢)

※本書は当協会事務所でも取扱予定です。桜木町に来る機会のある方はぜひこちらでお買い求めください。会員の方は約5%引きになります。

 

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598

今月は休載いたします。
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