NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
2015年秋のイベント

2015年秋のイベント「Толерантная кухня(寛容な料理)」にて。各国協会がくじ引きで選んだ異国の料理をどうにかして作る、という少々無謀な企画でした。我らが「ムルマンスクの中の日本」はベラルーシ料理を作る羽目になりましたが…、 まあ何とかスヴェコーリニクとジャガイモパイを作りました。私の隣に立ってるのは右から順に、チュヴァシ協会、ドイツ協会、サーミ協会、中央アジア協会の方々です。

NPO法人「ムルマンスクの中の日本」創立10周年!
神奈川県日本ユーラシア協会との記念コラボイベント企画中

 ロシア連邦ムルマンスク州ムルマンスク市在住17年目で、元神奈川県日本ユーラシア協会理事の福島です。

 日本文化が好きな市民の有志と一緒に、2014年4月9日に現地NPO法人「ムルマンスクの中の日本」を設立。日本文化をムルマンスク州民に普及する活動をしています。そしてその翌年から州政府内政省下の「北方民族センター」内で、様々な民族団体の方々と一緒にイベントに参加したり、異民族・異文化交流をしています。

 さて、2024年で創立10周年を迎えました。

 ムルマンスク州の民族団体とコラボして、ユーラシア協会の皆様とZoom交流する各種イベントを現在企画しています。既に、ウクライナ、ロシア、タタール、チュバシ、サーミ、キルギス等の各文化協会から参加可能のお返事を戴いています。

 先ずは1月のヨールカ祭のZoom参加から開始します。その後は各文化協会の文化(料理教室、手工芸教室等々)を、毎月か隔月にご紹介していきます。
 お楽しみに。

(福島)

 
春と幸せを呼ぶはぎれ人形を作ろう!

NPO法人「ムルマンスクの中の日本」創立10周年記念行事・ユーラシア諸国文化教室リレー
Тряпичные куклы(トリャピチヌィエ・クークリ)春と幸せを呼ぶはぎれ人形を作ろう!

 日本と同様、ロシアにも訪れた季節を大切にする風習があり、それは食や手工芸にも見られます。

 裁縫で余ったはぎれで作る人形もその一つ。今回は小さい鈴の入った「カラコーリチク」と、春の到来を告げる鳥「ジャーヴァラノク(ひばり)」を作ります。

 ムルマンスクからロシア人講師のリモート指導による同時中継で開催します。日本語・ロシア語通訳付きですので安心してご参加いただけます。

 詳細はチラシ画像をクリックしてご覧ください。

日時:2024年2月18日(日)日本時間16:00~17:00
場所:横浜平和と労働会館5階 当協会教室(横浜市中区桜木町3-9)
講師:ブラコワ・オリガ(ムルマンスク州NPO法人「ロシア文化センター」)
定員:15名(2月13日までに要予約)※締め切り延長しました
参加費:一般700円、会員500円
※都合により材料費別になりました。手芸道具と布は各自でご用意ください。お申し込みの方には別途材料表をお送りします。

※Zoomでのオンライン参加も可能です。ご希望の方はお申し込み後、案内に従って参加費をお振り込みの上、お手元に材料や道具をご用意ください。
お申し込み締め切り:2月13日(火)
入金締め切り:2月15日(木)

 

2024年最初のDVD鑑賞会は「サルタン王物語」

 2024年最初のDVD鑑賞会は大人も子供も楽しめる文豪プーシキンの童話『サルタン王物語』です。ソ連特撮映画の名作ですが、日本で公開された数少ない作品です。

 美しい心を持った娘が若い王から愛されますが、そのことに嫉妬した姉たちの悪巧みによって、追放されるのです。たどり着いた場所はこの世とは思えないほどの楽園。さて、それから……、この後は上映会でお楽しみください。

 実は関戸自身はこの映画をテレビ放映で小学校2年生のときに見たのです。亡父が「珍しいな。ソ連の映画をテレビで放送するなんて。これは童話だから、お前にも分かるし、面白いぞ」と言って家族揃ってテレビの前に並んだのです。関戸にとって懐かしい思い出です。その放送の年は1970年。ベトナム戦争の最中で、米ソの対立が最も激しかったときです。小学生ですから、政治や世界情勢については詳しくありませんでした。けれども、何となく「アメリカとソ連って仲が悪いんだ」と感じていました。そういう時代背景の中でした。

 内容については、今は申しません。ただ、その映像の素晴らしさがとても記憶に残っています。現代のCGと比べても遜色のない特撮映像でした。わくわくしながら見たことを覚えています。その時からおよそ半世紀以上。大人も子供も楽しめる映画です。ぜひどうぞ。

(関戸)

日時:2024年2月18日(日)13:30~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:500円(黒パン・紅茶付)

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講演会「嫌われた国」を伝える~モスクワ放送で働いた日本人~ 講演会「嫌われた国」を伝える~モスクワ放送で働いた日本人~

講演会「嫌われた国」を伝える~モスクワ放送で働いた日本人~

12月10日 於:横浜平和と労働会館4階会議室

 モスクワ放送で活躍していた日本人たちの姿を追ったルポ「МОСТ(モスト)『ソ連』を伝えたモスクワ放送の日本人」で開高健ノンフィクション賞を受賞した青島顕記者を招いて、出版記念を兼ねた講演会を開催、26人が参加しました。

 青島氏がモスクワ放送との出会いや背景、取材の発端などを話したあと、スペシャルゲストの西野肇氏が登場、当時のモスクワ放送の状況やいかに西野氏が“面白くない放送”をいかに“面白いものにしていったか”について対談しました。

 休憩を挟んでの第2部では、日本語放送の歴史とその業務を担った日本人たちの紹介、その人たちがモスクワ放送に関わることになった経緯の分類などが紹介されました。その後再び西野氏が登場して「西野イズムは継承されたか」を、元モスクワ放送勤務だった佐藤史郎氏に電話で直撃インタビュー。来所者との質疑応答で講演会を締めくくりました。

 アンケートでは、「歴史と人とのつながりが感じ取れたイベントだった」「前置きが長すぎて、予想と違っていた」「めったに聞けない話がきけた」「歴代アナウンサーと交流するイベントを希望」などの回答を得ました。

※この講演会の録画は、講師の都合により非公開となりました。楽しみにされていた皆様にお詫び申し上げます。

(文:滝沢/写真:木佐森)

 
第9回ロシア語・日本語学習者交流会
センギレエフスキー山脈国立公園

第9回ロシア語・日本語学習者交流会
オーロラ写真 (C) ジガーノフ・ヴァレンチン

「私の街の自慢話」 第9回ロシア語・日本語学習者交流会

 2023年12月3日の日曜日に、第9回目の標題の交流会が日ロ合計22名の方々が参加して開催されました。ロシア側からはウリヤノフスク、ウラジオストク、ムルマンスク他の方々が、日本からは神奈川県協会の方々と城東支部が参加しました。

 ウリヤノフスクからは、リューバさんが同市の出身であるレーニンを記念して作られたレーニン記念碑について話しました。なお、同市は、レーニンの本名ウリヤノフにちなんで名づけられました。オクサーナさんは、同市のアビアスター航空機工場で製造する巨大な貨物運搬用のルスラン輸送機について話しました。ディナさんは、ウリヤノフスク南側のヴォルガ高地に広がるセンギレエフスキー山脈国立公園について話しました。この地域には美しい白亜の山々があり、マーモット、ノロジカ、マレーワシ、その他の希少な動物が生息しています。そして、ヴィカさんは鉱泉で有名なウンドリー村のことを話しました。この鉱泉では人々は鉱泉水を薬用目的に幅広い疾患の治療用に飲用しています。

 ウラジオストクグループからは同市近郊のウスリースクから中学生くらいの仲良し兄、妹が、モスクワからは10歳の男の子が初めて交流会に参加しました。彼ら3人はアニメがきっかけで日本語を勉強し始めたそうです。ムルマンスクからは今回は福島さんだけの参加でした。彼女はオーロラなどの極北の自然について話をしました。

 神奈川県協会からは田中さんが横浜市の瀬谷八福神について、額田さんは自宅近くの公園の中の、ほとんど人が立ち入らない秘密の自分のお気に入りの場所について、板垣さんは出身地である福岡の猫が生息する小島について、三重県出身の塚本さんは伊勢神宮、松坂牛、熊野古道、忍者などについてそれぞれ話をしました。城東支部からは柴田が地元の地区が防災公園であること、そして同公園は近年桜の名所になったことを話しました。

 続いて質疑応答が行われました。「ウリヤノフスクのレーニン記念碑などの見学は、現在の学校教育で授業の一環となっているか」、に対して、リューバさんからは現在は共産主義の功罪について意見が分かれていることもあり、見学は学校教育には含まれていない、と回答がありました。また「忍者を正式に養成する学校はあるのか」、の質問に対しては、観光目的の簡単なショーがある程度、との回答がされました。

 今回はテーマが大変良くて、自分の住む街を皆さんがとても上手に紹介したので、参加者は互いの文化について理解を深める大変有意義な時を過ごすことが出来ました。

(柴田/東京城東支部)

 
簡単料理会

「まあ~、いい匂い。何なの?」―簡単料理会―

 12月10日(日)午前中、簡単料理会を行いました。

 参加者は田中理事長と関戸の二人だけでしたが、「ペリメニ」(ロシアの水餃子)を作りました。本当は皮から作りたかったのですが、「簡単」にするため餃子の皮は市販のもので済ませました。具材は豚挽肉とセロリ。それを塩コショウで味付けをして、混ぜ合わせるだけで終わりです。それを餃子の皮で包み、沸騰したお湯に入れるだけ。浮き上がってきたアツアツのペリメニを頬張りました。

 この時、ドアを開けて作っていたのですが、隣の学習協会の方が、「まあ~、いい匂い。何なの?」と言ってこられました。「ロシアの水餃子、ペリメニです」とおすそ分け。「おいしい」とのことでした。

 午後からのイベントに備えて、十分かつ美味しい腹ごしらえとなりました。人数が少なかったのが残念ですが、また企画することがあれば、手軽に美味しく作れるものを考えたいです。

(関戸)

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横浜ロシア語センター望年会 横浜ロシア語センター望年会

横浜ロシア語センター お昼の望年会

 12月17日(日)、横浜平和と労働会館5階教室にて、横浜ロシア語センターの望年会が行われました。

 講師と受講生合わせて27名が出席し、とても楽しい会でしたが、場所が狭く身動きできない状態で、いろいろな人と会話を交わすのが難しかったです。

 来年からは早めに会のお知らせを流し、参加人数を把握して、もし参加者が多ければ立食型のパーティにできればという意見が出ました。

 2024年も横浜ロシア語センターをどうぞよろしくお願い申し上げます。

(写真:木佐森)

 

横浜ロシア語センター第139期 受講生募集中!

 毎週月曜~日曜、入門・初級・中級・上級・会話・演劇クラスを開講中。学期途中からの編入や見学も歓迎します。
 また、ご都合に合わせた時間・頻度・内容での個人レッスンもご相談に応じます。
 詳細はホームページをご覧ください。

 

学習進度の目安をHPに掲載

 この度、横浜ロシア語センターのホームページに「本科コース諸クラス学習進度の目安」を掲載しました。
 各クラス修了までにかかる時間や学習レベル、各種ロシア語試験との対応、段階に応じた学習内容をご確認いただけます。
 詳細はリンク先のページをご覧ください。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
 講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
 ロシア語版のホームページもあります。学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。

 1月のレッスンは20日の予定です。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織・財政状況

 今月は休載いたします。

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ベリョフスカヤ・パスティラ ベリョフスカヤ・パスティラ

リンゴスイーツ「ベリョフスカヤ・パスティラ」シーバックソーン、ワイルドベリー
各200g / 550円(税込)※値下げしました!

ロシア(ベリョフ市発祥)の伝統的なリンゴ菓子。
アントーノフカ品種の酸味の強いりんごのピューレと卵白と砂糖だけで作った、グルテンフリーのもっちりした生地の焼き菓子です。
層の間にベリーのジャムを加えました。

原材料名:リンゴピューレ、砂糖、シーバックソーンジャム(シーバックソーン、砂糖、水)またはワイルドベリージャム(ワイルドストロベリー、キイチゴ、クランベリー、ブルーベリー・砂糖)、乾燥卵白
内容量:200g
原産国名:ロシア
賞味期限:2023年4月
保存方法:直射日光、高温多湿を避け、冷暗所に保存してください。

 
入門ロシア語の教科書

「入門ロシア語の教科書」3,000円+税(会員割引あり)

徳永晴美著/語研/11月24日発売

長年ロシア語通訳・教育の第一線で活躍され、横浜ロシア語センターでも大変お世話になった故・徳永晴美先生が約7年に及び心血を注いで執筆された一冊。
横浜ロシア語センターの野口福美先生も長い間校閲に携わっておられました。
実践会話と文法を織り交ぜて丁寧に解説し、着実な習得へ導きます。
「入門」とありますが実際は中級文法までカバーしています。日頃の学習や教授の際の参考書としてもお勧めです。
協会・教室事務所でも販売中。会員の方には約5%の割引があります。
桜木町に来る機会がある方はぜひ当協会でお求めください。予約なしでもご購入いただけるようになりました。
語研のサイトでページ見本(計50ページ)を公開中です。

 

商品は協会事務所、 当協会ロシア・ユーラシア商品通販サイト「うにべるま~ぐ」で取扱中です。
※一部、通信販売を行っていない商品もありますがご了承ください。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 2023年12月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、ハビブのスーパーヒット曲≪Ягода малинка≫(ラズベリーの実)が復活!

 先月号で上位にランクインしたマヤ・ミシェルの新曲は少々TOP10圏外になりましたが、その代わりゴスチ・イズ・ブードゥシェヴォの名曲をカヴァーした≪Зима в сердце≫(心の中の冬)が10位ににランクインしました。

 タタールスタン共和国出身の女性Voアイゲルとサンクトペテルブルク出身の男性Voイリヤのデュオ・アイゲルの新曲≪Пыяла≫(ガラス)が初登場3位にランクイン。露のテレビドラマ≪Слово пацана. Кровь на асфальте≫(少年の言葉、アスファルトの血)のサウンドトラックになって人気を博しましたが、政治的立場を理由にドラマのクレジットから除外。曲を知りたい視聴者が音源を頼りにShazamに一斉にアクセス。2023年12月に世界のShazamチャートを始めYandex Music、VK、露、カザフスタン、ベラルーシ、キルギス、ラトビア、エストニアのApple Music、さらに露、カザフスタン、ベラルーシのSpotifyでも1位を獲得した、というアイロニーが生んだサクセスストーリーになりました。

 残念、アンナ・アスティは3ヶ月連続首位にはなれませんでした。彼女から首位奪取したのは、ウスラノフの新曲≪Зимняя≫(冬)でした。ウスラノフは1963年ソ連ケメロヴォ市生まれのシンガーソングライター。イルミで光り輝く大都会で、元気な子供達がサンタクロースとの出会いを待ち望み、願いを叶えるおとぎ話のような雰囲気を持っている作品です。12月1日にリリースされ、現在のYouTube再生回数は59万回。おめでとうございまーす!:-) 

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2023年12月15日~21日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
「外地の三人姉妹」 「外地の三人姉妹」 「外地の三人姉妹」

【演劇】KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ
「外地の三人姉妹(외지의 세 자매)」

12月7日 於:KAAT神奈川芸術劇場

 チェーホフの「三人姉妹」を植民地朝鮮半島に置き換えた「外地の三人姉妹」(2020年)の再演。実は、東京デスロックは、2016年にも「亡国の三人姉妹」と題して、核物質汚染後の世界を生きていくことになる三人姉妹を描き出して、究極のディストピア三人姉妹をもたらした。今回はそうした“観客を打ちのめす”「三人姉妹」だけでなく、笑いも取り登場人物の宿命も描写した深化したものとして演出されている。

 三姉妹が住むのは、ロシア国境に程近い朝鮮半島北東部の羅南(ナナム)。首都・京城(ソウル)からも方言はアクが強い。将校だった父は死去して長女・庸子(オリガにあたる。地元学校の教師)、次女・昌子(マーシャにあたる。中学校教師に嫁ぐ)、三女・尚子(イリーナにあたる。20歳になったばかり)、そして長男・晃(アンドレイにあたる)が残された。日本軍の軍人が出入りするこの屋敷には、尚子に好意を抱く日朝混血の軍人・朴(トゥーゼンバフにあたる)がいる。彼の同僚の相馬は混血の朴を見下し中傷する。そこへ中佐・磯部(ヴェルシーニンにあたる)が赴任してきた。彼は妻子持ちだったが、昌子とひそかに恋仲となる。

 同じころ、晃は大学教授をあきらめ朝鮮人有力者の娘・仙玉(ナターシャにあたる)と結婚、息子をもうけて地元の議員に。その間、小姑たる三姉妹と仙玉との間に軋轢が深まる。晃は博打に手を出して大負けし、姉妹たちの許可を得ずに屋敷を抵当に入れてしまう。日本が戦争へと突入する中、庸子の説得で尚子は朴と婚約。二人が新生活に向かう前日に、相馬は朴に果し合いを強行させ、朴は殺される。戦線は太平洋へと拡大し、磯部をはじめ部下たちも中国や南方へ出征、三人の姉妹は内地へ戻る術もなく取り残されるのだった。

 会場を見下ろすように投影された日の丸に、朝鮮半島植民地の歴史と主な世界の出来事や写真が映し出され、姉妹たちの生きてきた時代がよくわかる。朴は民族自決や世界平和を夢見てエスペラントを学び、それに共鳴していた尚子との本心の会話はエスペラントだ。生活に追われていくなか、尚子はエスペラントを忘れていき、朴と心が通わなくなっていくさまは切なく哀しい。

 今回、笑いを取ったのは植民地朝鮮で行われていた軍人たちの仮装行列や、磯部と昌子の不倫が「冬のソナタ」に見立てられて純愛ムードを盛り上げたシーン。昌子の極道の妻のような和服と磯部の軍服は、大日本帝国を象徴したものであり「冬のソナタ」との落差に観客は爆笑した。

 それにも増して注目に値するのは、日本人に同化しようと努力した仙玉である。韓国人俳優によって演じられ、毒婦のようなオリジナル「三人姉妹」にはない複雑な心境を描いている。また、負け戦の中、植民地に居住することを強いられている三人姉妹の孤立感は、オリジナルにある望郷より強烈なものだ。

 初演で印象深かったラストのセリフ、「前を向いて歩いていくのよ」「前ってどっち?」「きっとみんなが見てる方でしょ」は健在。オリジナルにはない虚無感が満載だ。初演では男たちが黙々と舞台奈落の階段を下りていき戦死を暗示させたが、今回は出征した軍人をはじめ三人姉妹たちも舞台階段を下りて去っていき、ステージ上には朝鮮人だけが残されて解放を喜び歌い踊る。

 「生きていきましょうよ」のセリフを「みんなが見てる方」に替えたことにより、外地で生きることは祖国に棄てられることの意味に変わる。「外地の三人姉妹」は私たちにそうした過去を問いただしている。

(文:滝沢 三佐子/撮影:宮川 舞子)

 
「ピブロクト」 「ピブロクト」 「ディタッチド」 「ディタッチド」

【映画】東京ドキュメンタリー映画祭2023

12月9日~22日 於:新宿K's Cinema

 今年で6回目を迎えた東京ドキュメンタリー映画祭2023。

 このうち人類学・民族映像部門にロシアから2作品(「ピブロクト」原題:Пиблокто、アナスタシヤ・シュビーナ、チモフェイ・グリニン監督作品、2023年 ロシア=アメリカ、「ディタッチド」原題:Оторванные、ウラジーミル・クリヴォフ監督作品、2022年 ロシア)が選出され、このうちクリヴォフ監督の「ディタッチド」が準グランプリを受賞した。

 2作品とも、ロシアの少数民族チュクチを異なるアプローチで描いたもので「ピブロクト」は自然との共生をシャーマンの儀式を取り入れて構成。「ディタッチド」は、街に定住したチュクチたちの高い自殺率やアルコール依存症といった社会問題にフォーカスし、人々が自身のルーツから分断されていることを表現。

 現在、ロシア映画の配給は減少しているが、こうしたコンペティションなどへの出品はこれからも増えると思われる。特に事実の記録をメインとしたドキュメンタリー映画祭は貴重な機会だ。時機を逸さずに鑑賞したい。

(文:滝沢 三佐子)

 

【映画】「アダミアニ 祈りの谷」

2021年 日本=オランダ

 12月3日kinocinemaみなとみらい映画館で、日本ユーラシア協会機関紙に紹介されていたチェチェンのドキュメンタリー映画を見てきました。

 19世紀にチェチェン共和国から移住してきたジョージア東部の渓谷で暮らすイスラム教徒のキスト人。海外からはテロリストの多い危険地帯と見られている。

 チェチェン紛争で難民となったレイラという女性は、息子達が成長してシリア内線に加わって戦死し、娘とゲストハウスを始める。

 レイラの従弟は、テロリストの村のイメージを払拭しようと、レイラのハウスに来る外国人観光客を美しい自然の中に案内するガイドであり、その彼をポーランド人女性が支援して旅行会社を作る。

 しかし一人の青年がテロリストと疑われ、殺害されて、村民の間に分断ができてしまう。そうした葛藤や助け合い、郷土愛を描いた映画。

 日本人が監督で丁寧に作られて、他にあまり情報の無いチェチェンの人々の様子が良く分かります。

 しかし、なぜ紛争が起きたのか、どうすれば争いを無くすことができるか、という事には触れず、事実描写と登場人物の話が中心です。

 また、TV同様のヤラセが何箇所かあり、それが惜しい。それに気づかない人は見に行かれると「良い映画」と思われるでしょう。

(村越)

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日向寺康雄さん

【お悔やみ】日向寺康雄さん永眠
モスクワ放送元アナウンサー、当協会イベントにも出演

 2022年に開催した トークショー「モスクワからの日本語放送 祝80周年!元アナウンサー大放談」、単独DJイベント「ロシア・ミュージック・ゲリラ」にご出演いただいた日向寺康雄(ひゅうがじ・やすお)さんが、1月5日永眠されました。65歳でした。

 日向寺氏は横浜生まれ。大学卒業後の1987年モスクワ放送に入局され、ソ連崩壊後は、後継組織のVOR(ロシアの声)、スプートニクで2017年まで翻訳員兼アナウンサーとして勤務されました。お父様の介護のため日本に帰国されてから、中央大や早稲田大などで教鞭を取っておられました。また、日露のろう者による劇団へのサポートや、青島顕氏の著書「МОСТ」で取材を受けるなど、多岐にわたる活動をされていました。

(滝沢)

 
ホロドモール合同祈祷式

90年前の悲劇・ホロドモール 合同祈祷式

 12月3日(日)、東京タワー近くの在日ウクライナ正教会で行われました。

 1932~1933年にかけて旧ソ連政権により、引き起こされた人為的飢饉。最新の研究資料では犠牲者の数は1000万人にも及ぶとされています。現在のロシア・ウクライナ紛争と重なります。紛争の原因とも言える過去の歴史。このホロドモールの犠牲者の子や孫たちが、今、紛争のさなかにいます。犠牲者の遺族は、その怒りや恨みを忘れてはいないのでしょう。悲劇と憎悪の語り伝えが紛争=戦争の原因となるのかもしれません。

 友好運動とは、それらの悲劇・汚点の歴史をしっかりと見つめ、反省し、繰り返さないようにすることだということを感じます。悲しみ、怒りを乗り越えてこそ「平和な世界」となることを考えさせられました。

(関戸)

 
『母、アンナ』

【本の紹介】『母、アンナ』

ヴェーラ・ポリトコフスカヤ、サーラ・ジュディチェ著

 2006年に自宅アパートのエレベーターで凶弾に倒れたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ。彼女が在籍していた独立系新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」は、2021年「報道の自由のために闘った」としてノーベル平和賞を受賞するも、2022年のロシアによるウクライナ侵攻によって発刊停止、記者たちは出国を余儀なくされた。そして、アンナ・ポリトコフスカヤの名前自体がロシアでは禁句となっている。

 本書は、アンナの娘であるヴェーラが著した母アンナ・ポリトコフスカヤの肖像である。アンナの生い立ちと結婚、家庭と仕事の両立、子どもたちへの態度、偶然関わることになったチェチェン紛争、当局の不都合な事実の勇気ある暴露によって受けた理不尽な仕打ちなど、うかがい知れないアンナの姿が浮かび上がる。

 なおヴェーラは、自身の娘アンナが(母のアンナは孫の誕生を見ることなく死去した)、“アンナ・ポリトコフスカヤの孫である”ことで脅迫・迫害されたことを理由に命の危機を感じ、ロシア出国に踏み切った。親交のあったイタリアのジャーナリストと共同執筆し、イタリアで本書を出版したため、本国ロシアで読まれることはない。

 アンナの想いを受け継いだヴェーラの、「わたしの国においては、自由は少数の人にしか許されない贅沢品」という文章が重く響く。

 (NHK出版、1900円+税)

(滝沢)

 
『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』

【本の紹介】『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』岡島豊樹編

 世界的に流行したタンゴやラグタイムの流入によって、ソ連でもジャズが演奏されるようになった。

 本書によるとジャズは民衆音楽であるので、大祖国戦争中は多くのジャズ楽団が慰問に出るなど、戦後の一時代を除き禁令が出たことはないらしい。

 ソ連でのジャズの発展ぶりには目を見張るものがあり、1964年からソ連が消滅した1991年末の間に、唯一の国営レコード会社「メロディヤ」から出された約400点のレコードが出された。

 本書はそのうちの約300点を網羅した百科事典的書籍。

 (カンパニー社、2000円+税)

(滝沢)

 

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第209回 イヴァン三世の後継者

本文は協会サイト内 中世ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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