NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
チュヴァシ料理教室 パイ「フプル」 パイ「フプル」
ベークドチーズ「チャカト」 ベークドチーズ「チャカト」

NPO法人「ムルマンスクの中の日本」創立10周年記念行事・ユーラシア諸国文化教室リレー
ロシア連邦チュヴァシ共和国のママの味、パイ「フプル」とチーズ「チャカト」を作ろう!

 モスクワ市から東におよそ600kmに位置するチュヴァシ共和国。

 ロシアの中で一番寛容で、勤勉で、控えめで、平和を愛し、争いを好まないと言われているチュヴァシの民が愛する料理、パイ「フプル」とベークドチーズ「チャカト」を作る料理教室を開催します。

 ムルマンスクからのリモート指導による同時中継で開催します。通訳付きですので安心してご参加ください。

 時差の関係で日本では夜の開催になりますが、珍しい料理を夕食にできるまたとない機会です。ぜひご参加を!

 詳細はチラシ画像をクリックしてご覧ください。

日時:2024年3月10日(日)日本時間18:00~21:00
場所:横浜市技能文化会館6階601料理研修室(JR関内駅南口、市営地下鉄伊勢佐木長者町駅出口2から徒歩5分)
講師:アゲーエワ・ヂーナ(ムルマンスク州NPO法人「チュヴァシ文化協会」)
定員:24名(3月8日までに要予約)
対象年齢:7歳以上(お子様は保護者同伴で参加可能)
参加費:一般2,000円、会員1,700円
持ち物:エプロン、布巾

 
春と幸せを呼ぶはぎれ人形を作ろう!

NPO法人「ムルマンスクの中の日本」創立10周年記念行事・ユーラシア諸国文化教室リレー
Тряпичные куклы(トリャピチヌィエ・クークリ)春と幸せを呼ぶはぎれ人形を作ろう!

 日本と同様、ロシアにも訪れた季節を大切にする風習があり、それは食や手工芸にも見られます。

 裁縫で余ったはぎれで作る人形もその一つ。今回は小さい鈴の入った「カラコーリチク」と、春の到来を告げる鳥「ジャーヴァラノク(ひばり)」を作ります。

 ムルマンスクからロシア人講師のリモート指導による同時中継で開催します。日本語・ロシア語通訳付きですので安心してご参加いただけます。

 詳細はチラシ画像をクリックしてご覧ください。

日時:2024年2月18日(日)日本時間16:00~17:00
場所:横浜平和と労働会館5階 当協会教室(横浜市中区桜木町3-9)
講師:ブラコワ・オリガ(ムルマンスク州NPO法人「ロシア文化センター」)
定員:15名(2月13日までに要予約)※締め切り延長しました
参加費:一般700円、会員500円
※都合により材料費別になりました。手芸道具と布は各自でご用意ください。お申し込みの方には別途材料表をお送りします。

※Zoomでのオンライン参加も可能です。ご希望の方はお申し込み後、案内に従って参加費をお振り込みの上、お手元に材料や道具をご用意ください。
お申し込み締め切り:2月13日(火)
入金締め切り:2月15日(木)

 

2024年最初のDVD鑑賞会は「サルタン王物語」

 2024年最初のDVD鑑賞会は大人も子供も楽しめる文豪プーシキンの童話『サルタン王物語』です。ソ連特撮映画の名作ですが、日本で公開された数少ない作品です。

 美しい心を持った娘が若い王から愛されますが、そのことに嫉妬した姉たちの悪巧みによって、追放されるのです。たどり着いた場所はこの世とは思えないほどの楽園。さて、それから……、この後は上映会でお楽しみください。

 実は関戸自身はこの映画をテレビ放映で小学校2年生のときに見たのです。亡父が「珍しいな。ソ連の映画をテレビで放送するなんて。これは童話だから、お前にも分かるし、面白いぞ」と言って家族揃ってテレビの前に並んだのです。関戸にとって懐かしい思い出です。その放送の年は1970年。ベトナム戦争の最中で、米ソの対立が最も激しかったときです。小学生ですから、政治や世界情勢については詳しくありませんでした。けれども、何となく「アメリカとソ連って仲が悪いんだ」と感じていました。そういう時代背景の中でした。

 内容については、今は申しません。ただ、その映像の素晴らしさがとても記憶に残っています。現代のCGと比べても遜色のない特撮映像でした。わくわくしながら見たことを覚えています。その時からおよそ半世紀以上。大人も子供も楽しめる映画です。ぜひどうぞ。

(関戸)

日時:2024年2月18日(日)13:30~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:500円(黒パン・紅茶付)

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ヨールカ祭 舞踊団「スラヴャーニェ」による
ジェッドマロースからの贈り物
ヨールカ祭 リアル・リモート司会者の皆さん
ヨールカ祭 4階パーティー会場

ロシア各都市からの出演が、目いっぱいめじろおし ヨールカ祭2024

 今年の「ヨールカ祭」(1月21日)は、ロシア各都市からの出演が多く、最後の「みんなで歌おう」が終わったのは17:30を回っていました。参加者は、横浜平労会館に集まった「リアル参加者」が52人、ロシア各都市のからの「リモート参加者」は46人となりました。ムルマンスク11人、ウリヤノフスク7人、ハバロフスク5人、ウランウデ4人、ウラジオストク2人、モスクワ1人、その他3人です。国内リモート参加者は13人で、リアル、リモート合わせて98人の参加でした。

 4階パーティー会場の食事は、前日全国理事会を見ながら作った、生スビョークラを使ったボルシチ、長粒米を使ったキルギス風プロフ、そしてオリビエサラダとボロジンスキー黒パンです。チャイは、織田先生による「お点前茶」と、都市ウランウデがあるブリヤートのお茶になりました。

 司会は、リモート総合司会として、タラルイキナ先生と土曜初級2-2クラスの塚本さん。2階リアル会場司会として、プレスカヤ先生と、全国版機関紙に「ロシアの妖怪」を連載中の金子さんです。

 最初のプログラムはスラヴャーニェのユーラシア民族舞踊、続くのは横浜ロシア語センター木曜初級クラスのビデオ、続いてウリヤノフスク、サマーラからです。続く土曜初級クラスの後はウラジオストクからの「生クイズ」。次がリアルロシア語劇木曜会話クラスの「ねたろうくん」。一部の最後は、ピアノ演奏で、ラフマニノフのプレリュード他を安達先生、ピアノ協奏曲第2番は佐野さんと横山さんの連弾です。

 2部の最初は、ハバロフスクからロ日協会の幹部が並んだ生トークとビデオ、続いて土曜中級クラスのビデオ、ウランウデからの「日本のお正月」、土曜上級クラスのビデオと続きます。終わりに近づいて、時差が一番大きい北極圏のムルマンスクからの生出演です。当地に住んでいる福島さんの司会によるムルマンスクのドイツ協会、チュヴァシ文化協会、ウクライナ協会、レニンスキー地区文化の家、それぞれの出演です。そして、最後は「みんなで歌おう!」で、「小さなグミの木」「遠い道」「百万本のバラ」「モスクワ郊外の夕べ」をリアル、リモート参加者全員で合唱して、2024年ヨールカ祭は終演となりました。

(木佐森)

● 参加者からの感想

 今回モスクワからオンライン参加されたセルゲイ・ソロモノフさんから感想文をいただきました。和訳をご紹介します。

***

 ヨールカ祭は個性的だ。毎年同じだと言う人は間違っている。このお祭りが毎年儀式のようなものだということには同意するが、内容はそうではない。

 そして今回も異なっていた。例えば、最後にいつもの「5分間」ではなく、全員で4曲を歌ったことだ!しかし、それについては後述することにして、ここでは、他の楽しくて注目すべきひとときについてお話ししよう。

 そのひとつは、福島ルミが4人の演奏家を紹介したムルマンスクからの生出演で、そのうちの1つチュヴァシの民族アンサンブルは、普段の生活ではほとんど聴くことのないものだった。だから、ロシアの民族のひとつの文化遺産を紹介してくれた福島さんに感謝している!

 また、日本からのフェスティバル参加者たちにも感謝している。彼らは素晴らしいロシア語で自国の見どころを教えてくれ、日出ずる国のさまざまな場所を案内してくれた。特に、紫式部の生まれ故郷の話には興味があった。彼女の小説『源氏物語』は、一気に読んでしまい、平安時代への想像の旅をして、私が知らなかった世界を彼女の目を通して見ることができたからだ。

 このままでは、私のレビューは長い絶賛記事になってしまうかもしれない。先ほども書いたように、最後はこれまでのように1曲だけでなく、4曲もあった。そしてそのうちの1曲「長い道」が、いつの日か私と私の師匠であるプロの歌手兼作曲家が昨年録音したロマンスの「秋の花」にとってかわるだろうと思わせた。

(セルゲイ・ソロモノフ/モスクワ在住)

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横浜ロシア語センター 春の講座案内

 横浜ロシア語センターでは、第139期終了後の春休みに特別講座を予定しています。ぜひご参加ください!

● 映画『ドライブ・マイ・カー』に見る『ワーニャ伯父さん』

 映画に登場するチェーホフ劇の台詞を原文で読み、映画の場面とリンクさせながら「ワーニャ伯父さん」でチェーホフが訴えたかったものを皆でディスカッションしていきます。検定2級レベル。

日時:3月23日(土)10:30~12:00、3月24日(日)11:00~12:30 全2回
場所:オンライン(Google Meet)
講師:竪山洋子
受講料:会員7,000円、一般8,000円

● ウクライナ語 はじめの一歩

 初めての方でも気軽に参加できるオンライン短期講座。ウクライナ語教育についてのお話を聞き、文字と発音、挨拶、いくつかのフレーズを学びます。

日時:3月16日、3月23日、4月6日(土)11:00~12:00 全3回
場所:オンライン(Zoom)
講師:ジェルーリ・ラリーサ
受講料:7,000円(全3回分)

● 動詞と前置詞の支配

 ロシア語らしい自然な伝え方を身につけるため、表現のニュアンスを理解し、動詞と前置詞や名詞の格変化をセットにして覚えましょう。中級文法をある程度学んだ方が対象です。

日時:3月11日、3月18日、3月25日、4月1日(月)19:30~21:00 全4回
場所:横浜ロシア語センター教室・オンライン(Zoom)併用可
講師:須藤アレキサンドラ
受講料:会員13,200円、一般15,400円

● ロシア語・ウクライナ語入門体験

 初めて学ぶ方や初歩から学びたい方を対象に、新学期の入門クラス担当講師による無料体験講座を行います。各60分。参加は1コマでも複数コマでも可能。

日時:3月30日(土)13:00~14:00、14:15~15:15、15:30~16:30
講師:ジェルーリ・ラリーサ(ウクライナ語)、大山麻稀子、竪山洋子(ロシア語)
※当日の時間割と内容は追ってホームページでご案内します。

 詳細は当センターホームページをご覧ください。
 未掲載の講座については近日公開予定ですのでお待ちください。

 

横浜ロシア語センター第139期 受講生募集中!

 毎週月曜~日曜、入門・初級・中級・上級・会話・演劇クラスを開講中。学期途中からの編入や見学も歓迎します。
 また、ご都合に合わせた時間・頻度・内容での個人レッスンもご相談に応じます。
 詳細はホームページをご覧ください。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
 講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
 ロシア語版のホームページもあります。学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。

 2月のレッスンは10日、24日の予定です。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織・財政状況

 今月は休載いたします。

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ベリョフスカヤ・パスティラ ベリョフスカヤ・パスティラ

リンゴスイーツ「ベリョフスカヤ・パスティラ」シーバックソーン、ワイルドベリー
各200g / 550円(税込)※値下げしました!

ロシア(ベリョフ市発祥)の伝統的なリンゴ菓子。
アントーノフカ品種の酸味の強いりんごのピューレと卵白と砂糖だけで作った、グルテンフリーのもっちりした生地の焼き菓子です。
層の間にベリーのジャムを加えました。

原材料名:リンゴピューレ、砂糖、シーバックソーンジャム(シーバックソーン、砂糖、水)またはワイルドベリージャム(ワイルドストロベリー、キイチゴ、クランベリー、ブルーベリー・砂糖)、乾燥卵白
内容量:200g
原産国名:ロシア
賞味期限:2023年4月
保存方法:直射日光、高温多湿を避け、冷暗所に保存してください。

 
入門ロシア語の教科書

「入門ロシア語の教科書」3,000円+税(会員割引あり)

徳永晴美著/語研/11月24日発売

長年ロシア語通訳・教育の第一線で活躍され、横浜ロシア語センターでも大変お世話になった故・徳永晴美先生が約7年に及び心血を注いで執筆された一冊。
横浜ロシア語センターの野口福美先生も長い間校閲に携わっておられました。
実践会話と文法を織り交ぜて丁寧に解説し、着実な習得へ導きます。
「入門」とありますが実際は中級文法までカバーしています。日頃の学習や教授の際の参考書としてもお勧めです。
協会・教室事務所でも販売中。会員の方には約5%の割引があります。
桜木町に来る機会がある方はぜひ当協会でお求めください。予約なしでもご購入いただけるようになりました。
語研のサイトでページ見本(計50ページ)を公開中です。

 

商品は協会事務所、 当協会ロシア・ユーラシア商品通販サイト「うにべるま~ぐ」で取扱中です。
※一部、通信販売を行っていない商品もありますがご了承ください。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 3月の露大統領選に向けて対抗馬が正式に現われ、いつもの茶番選挙になるのか、それともセンセーショナルな交代劇が見られるのか大注目のロシアから、2024年1月第2-3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中1曲が新曲、2曲がカムバック!

 9位にピッツアの新曲≪Триумфальная≫(勝利)がランクインしました。2010年にウファ市出身のシンガーソングライターのセルゲイによって結成された音楽グループ。3ヶ月前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は凡そ9万回ですが、今後の粘りが期待されます。

 2ヶ月首位奪取後、クリスマス曲などに押されて先月は4位に転落したアンナ・アスティのスーパーヒット曲≪Царица≫(女王)が、再び首位に返り咲きました。半年前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は9705万回。YouTube内では「露で人気のミュージック動画第4位」をキープしてます。おめでとうございまーす!:-) 

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2023年12月15日~21日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
ロシア・トップ10

【芸能】ロシア芸能ニュース

● 露有名ロックグループБи-2 強制帰国を辛くも回避

Брат-2 (邦題:ロシアンブラザー2)」の主題歌で有名になったロックグループБи-2。

 彼らは露のウクライナ侵攻に反対し、2023年5月に「プーチンのロシアはただただ酷い嫌悪感を引き起こすだけ」「プーチンと周囲の精神薄弱のゴミ共が国を破壊した」と非難し、露から脱出。その後はタイに滞在していたが、1月24日Би-2メンバー全員がタイ警察に拘束された。

 拘束理由は主催者による書類の誤作成。在タイ国露大使館領事の訪問後、タイはБи-2の一部のメンバーのイスラエルへの派遣を拒否。 露側は少なくとも3人の引き渡しを要求していたが、メンバーの中で露国籍を有するものが1人だけだったため(残りはイスラエルとオーストラリア国籍)要求は却下され、全員イスラエルへ渡航できた。

●「ほぼヌードパーティー」参加のスター 一斉拘束

 2023年12月下旬モスクワのクラブ「ムタボル」で、タレントでありブロガーのナスチャ・イヴレーワが主催した「ほぼヌードパーティー」に出席した参加者が、一斉に拘束された。パーティーにはイヴレーワの他にキルコロフ、ソプチャク、ビラン、ジガン、ロリータ、アンナ・アスティら怱々たる参加者がいた。極愛国主義者らの多くは「軍事作戦中」に露兵が殉職している事実を背景に、当イベントが開催されたことに激怒した。そしてLGBTプロパガンダや薬物、過激主義の有無を検査するように求めたり、イベント参加者のコンサートなどにボイコットを呼びかけた者もいた。

 キルコロフは謝罪をしたが、新年特番は全カット、映画の画像も他の役者に差し替えられた。

 イヴレーワも謝罪したが、10万ルーブルの罰金刑を受けた。更にティンコフ銀行が彼女との契約を破棄、集団訴訟も起こされた。

 ラッパーのヴァシオは性器だけ靴下で隠した状態で登場したことで、15プラス10日間の拘留と20万ルーブルの罰金が科された。謝罪したが、1月9日に軍登録・入隊局への召喚状を受け、春に兵役に就くそうだ。これまで無名のラッパーであったが、この事件で一躍有名に、皮肉な結果となった。

(MOPA)

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 

【音楽】新国立劇場のエウゲニ・オネーギン

 この1月末、新国立劇場で上演されたオペラ『エウゲニ・オネーギン』(プーシキン原作、ウリューヒン指揮、ベルトマン演出)は、1922年にスタニスラフスキーが演出した舞台を主軸にして、さらに発展させたものだ。白い八本の柱が立ち並ぶファサードは、スタニスラフスキーの家博物館のオネーギン広間を思い出させる。

 とにかくチャイコフスキーの音楽が素晴らしい。深い憂いと翳りが淡い抒情と優美な詩情に彩られ、音楽が奏でる哀しみには清らかな光が透けて見える。

 タチヤーナの恋文のアリアは圧巻だ。ヒロインの心情を歌い上げるシウリーナの声は、泉から沸き出る水のように瑞々しく、豊潤な響きで劇場の空間と観客の心を満たす。激しい情熱のほとばしり、身を切るような初恋の切なさと期待感がひしひしと伝わってくる。

 一度聴いたら忘れられない、幾度も幾度もそこに立ち戻りたくなる旋律といえば、詩人レンスキーのアリアだ。愛するオリガゆえにオネーギンと決闘する羽目に陥った詩人が歌い上げるのは、愛を失った者の究極の苦悶だ。死をも孕む苦悩はかくも美しいものなのか!詩人役のアンティペンコの声はじつにドラマティックで悲劇性を帯びていた。

 第三幕の舞踏会、紅いドレスを纏ったタチヤーナは、今ではグレーミン公爵夫人となり見違えるほどに美しい。オネーギンも今や彼女に激しい恋心を抱く。だがタチヤーナはオネーギンを愛しながら、なぜ彼を拒絶したのか?今回の演出では、彼女が立ち去った後オネーギンは彼女が脱ぎ捨てたドレスに縋りつく。田山花袋の『蒲団』をふと思い出したが、紅いドレスはいったい何のメタファーなのか?もしそれが社交界の公爵夫人のメタファーだとしたら、オネーギンの愛はごく表層的なものだとも解釈できる。いずれにしろ、タチヤーナが凛として彼を拒絶しなかったら、プーシキンの小説も、チャイコフスキーのオペラも傑作とはなりえなかっただろう。

(安達)

 
「ファイアバード」

【映画】「ファイアバード」

(ペーテル・レバネ監督・脚色作品、エストニア/イギリス、2021年)

 原作はロシアの無名の俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録『ロマンについての物語』で、導入部で「事実に基づいた物語」と記されている。

 1970年代後期のエストニアが舞台。二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、退役後は実家の農業を手伝うつもりで兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属される。偶然ロマンを案内することになったセルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。それはロマンも同じだった。二人の友情は、写真や舞台芸術という共通の趣味から、あっというまに愛情へと変わる。しかし当時のソビエトでは同性愛は刑法に触れるもの。発覚すれば厳罰である。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンとの関係について密告があり、クズネツォフ大佐が二人の身辺調査を始める。

 事態の発覚を危うんだロマンはセルゲイの退役後、ルイーザと結婚し一児をもうける。”失恋“したセルゲイはモスクワで俳優への道を歩み始めるが、ロマンとの関係があるきっかけでルイーザに知られてしまう…。

 イケメン俳優による全編英語の作品だが、70年代からアフガン侵攻が始まった80年代のロシアの風俗、チャイコフスキーの調べも効果的に、当時の重々しいソ連時代がしのばれる。そして、1993年にいったん廃止された同性愛に関する刑法は、2013年になって同性愛宣伝禁止法として再び登場。タイトルとなっている「ファイアバード」は、永遠の大きな愛の力を象徴するものとされるが、そのパワーに触ると火傷を負うとされる。ロシアでは今日にいたるまで、同性愛とは火傷の覚悟を必要とする愛の形なのだ。

 2月9日より、新宿ピカデリー他全国公開。横浜ではジャック&ベティにて。

(文:滝沢 三佐子)

 
劇団夢現舎  令和六年新春○△□公演 劇団夢現舎  令和六年新春○△□公演

【演劇】劇団夢現舎 令和六年新春○△□公演

1月12日 於:行灯パブろびっち(新高円寺アトラクターズ・スタヂオ)

 「境界(きょうかい)」をキーワードとした11の短い演劇。オリジナル戯曲をはじめ、山本周五郎原作の「壺」、古典落語の「井戸の茶碗」もあるなかで、チェーホフの短編「妻は出て行った」「忠告」が取り上げられていて、どんな風に料理されているか興味がわいた。

 いずれの作品も、アントーシャ・チェホンテのペンネームで書かれた1882~3年頃の発表作で、生活のために短編を連発していたころのものだ。「妻は出て行った」は、ろくでなしの基準を金額で測っていった結果、妻につぎ込んだ膨大な金額に夫が「出ていけ」と命じ、妻が「隣の部屋に」出て行った話。

 「忠告」は賄賂の金額について仲介人と話をしているうちに、そんなはした金では無理だと仲介人に言われてしまう話。どちらの話も、金の切れ目が縁の切れ目のような話で、チェーホフの短編は時代も国境も越えてしまう。ただし、演劇としてはまだこなれていないようで、他の演目に負けているような感じだった。

 今回の11の演目の中で一番印象に残ったのは、オリジナルの「消防民営化…」という作品。民営化した消防署が、経費削減を行ったり営利のために消火すべき対象を選択したりするディストピアな世界観で、まさに公共事業の限界突破が描かれていて大変面白かった。「境界」を「教会」に読み替えるオリジナル演目「告解」も、夢現舎らしいシニカルな笑いに満ちた演目。

 思えばかつて流行した「ボーダレス」はいつのまにか「グローバル化」という言葉に変わったが、領土という「境界」は却って存在感を増している。そんな時代にあえて「境界」を意識する舞台は、宙ぶらりんな日本社会への挑戦ともいえる。

(文:滝沢 三佐子/撮影:鈴木 道也)

 
日本ワガノワバレエ協会 ワガノワバレエアカデミー 共同コンサート

【舞踊】日本ワガノワバレエ協会 ワガノワバレエアカデミー 共同コンサート

12月27日 於:関内ホール

 アンドレイ・オルロフ氏が主宰するバレエ・メッセ(日本ワガノワバレエ協会)が、ボリショイ劇場のアリョーナ・コワリョーワ(2016年ワガノワバレエ学校卒業、プリンシパルダンサー)を迎えて開催したワークショップと生徒さんの発表会が行われた。

 今回鑑賞したのは発表会の方で、前半では「エチュード」「ヒストリカルダンス」「マズルカ、タランテラなどのキャラクターダンス」「バリエーション集」を披露。

 後半は「海賊」「ドン・キホーテ」「眠れる森の美女」などの演目からのバリエーションを生徒さんたちが踊り、アリョーナ・コワリョーワが「パキータ」のエトワールのバリエーションとコーダを披露した。

 数あるバレエ学校の中で、ロシア人指導者がワガノワメソッドを直接教授しているクラスは珍しい。根拠地は横浜市青葉区なので、今後の活躍に期待したい。

(滝沢)

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在りし日のムラヴィンスカヤ女史(当時80歳)
在りし日のムラヴィンスカヤ女史(当時80歳)

ボゴスロフスコエ墓地のムラヴィンスキー氏の墓
ボゴスロフスコエ墓地のムラヴィンスキー氏の墓(写真はいずれも筆者撮影)

ムラヴィンスカヤ女史(1928~2021)の思い出

 2021年9月20日、サンクトペテルブルクでアレクサンドラ・ムラヴィンスカヤ女史(93)が永眠された。

 かつてご自宅にお招きいただいたことは忘れがたい。いうまでもなく女史の夫君は、レニングラード・フィルを半世紀にわたり指揮したソ連の英雄、エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903~1988)。チャイコフスキーの後期交響曲の歴史的な名演で知られ、四度の来日には白眉の名演奏を聴かせた。

 マエストロの名を知ったのは、名古屋高校1年生の頃。『悲愴』の録音には打ちのめされ、この指揮者の虜に。私の入学前の2001年に髙橋正信教諭の尽力により、同校で女史の講演会があり、通訳は河島みどり氏が務められた。このお二人の紹介で私の訪問が許されたのである。


 2008年2月17日、地下鉄ゴリコフスカヤ駅からネヴァ川沿いのマエストロ邸を訪ねた。それはペトロフスカヤ河岸通り4の集合住宅にあった。

 部屋には往年の演奏会のポスターやマエストロの肖像画がかけられ、まるでまだご存命であるかのような雰囲気であった。

 女史は温かく歓待してくれ、往年の日本の魔法瓶を使い、自ら紅茶を淹れてくださる。持参したお好きだという焼海苔を見て目を細められた。海苔の紫色の缶を指さし、「紫は皇帝の色よ」と呟かれたのを覚えている。

 私の語学力が拙い故、踏み込んだ話はできなかったが、「ソ連時代才能ある音楽家がみな亡命したが、私たちはロシアを捨てなかった」という内容を力説しておられた。

 また心臓の調子が悪くフルートを吹いていただくことはできなかったが、チャイコフスキーの交響曲第1番の冒頭のフルートのソロを口笛で吹いておられたその音色が今も懐かしい。

 マエストロがスコアを読みこむために使い、そして最期を遂げられた椅子に座ることを許してくださり、感無量であった。そして弟子のアンドレイ・イワノヴィッチ氏(ピアニスト)に連絡され、私をマエストロの墓所に案内するよう取り計らってくださったのであった。


 女史の演奏で私が最も胸打たれるのは、ベートーヴェンの交響曲第4番(1973年4月のリハーサル)。

 第一楽章のフルートのソロは、空間にプラチナの小粒を撒いたような清らかな輝かしい音のテクスチャー。気魂の充溢した強い吹き込みは、玉鋼のごとく勁く、しなやかで、聴く者の胸に食い入る。細部まで揺るがせにしないマエストロの厳格な指示に、女史は見事に応えている。

 ソ連の閉塞した政治体制と北緯59度のレニングラードの骨を刺す酷寒に耐え、至高の芸境を目指したご夫妻にただ頭が下がるばかりである。

 マエストロの録音を聴くと、私はトレチャコフ美術館のイコン『ヴラジーミルの聖母』を思い出す。かのイコンの眼差しは悲しい。まるで人の世の闇の深さを覗きこむかのように。けれど闇の深さを乗り越える力が人には備わっていることを、聖母の眼差しは教えてくれる。

 ご夫妻の演奏もまた、いかなる困難をも乗り越える生命力を、聴く人に授けてくれるように今も感じつづけている。

(植竹)

※編集部注:ムラヴィンスカヤ女史はアレクサンドラ・ミハイロヴナ・ヴァヴィーリナの名前でも知られる旧ソ連・ロシアのフルート奏者、音楽教育者。レニングラード・フィルのソリストであった。

 

事務局からのお知らせ

 これまで当協会からの各種配送に利用していたヤマト運輸が、2024年1月31日で「クロネコDM便」の取り扱いを終了し、 2月1日(木)から日本郵便との合同による新たな投函サービス「クロネコゆうメール」を開始することになりました。

 当協会でもシステム変更に伴い、発送作業に若干お時間をいただく場合があります。何卒ご了承ください。

 

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第210回 ドミートリー暗殺の企みとその後

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