神奈川県日本ユーラシア協会の定期総会が4月6日(日)13:30から開催されます。すべての会員のみなさま、ご出席ください。リアル出席でも、リモート出席でも結構です。
日時:4月6日(日)13:30~15:00
会場:当協会5階教室及びオンライン(Zoom)
議案:
1) 2024年度活動報告及び2025年度活動計画
2) 2024年度決算報告及び2025年度予算
3) 2025年度役員選任
3月号会報に総会議案書を同封しますので、ご一読の上、総会出欠および委任について、必ずご回答ください。
総会成立のため、会員のみなさまのご協力をお願いいたします。
*リモート出席をご希望の方は、ご連絡ください。ZoomミーティングIDをお送りいたします。
*もし、ご出席できない場合は、会報に同封の委任状(葉書及びFAX用紙)を必ずご返送ください。協会事務所での提出・Eメールでの送信も受け付けます。
神奈川県日本ユーラシア協会会長
木佐森 雅道
近年の世界情勢も相まって、ロシア語学習を続ける意義が見出せなくなったり、ロシア語を身につけてもなかなか使う場所がなくモチベーションが下がったりするという声を耳にします。
しかし、日本でもロシア語話者の役に立てる場所はあります。その一つが「コミュニティ通訳」。ある国に在留する外国人がそこで使われている言語を話せない場合に支援する、ボランティアとは異なるサービスで、医療、学校、司法などの現場で必要とされるものです。
今回の講演会では、通訳・翻訳者として長年活動し、コミュニティ通訳にも携わってこられた当協会講師の竪山洋子先生に、ご自身や仲間の通訳者の体験を含めた実例を紹介していただきます。当日は「学校の三者面談」の模擬通訳も行う予定です。関心のある方はぜひご参加ください!詳細は同封のチラシにて。
日時:4月13日(日)13:00~14:30
会場:横浜平和と労働会館5階教室・オンライン(Zoom)併用
参加費:会員・受講生=無料、一般=対面1,000円、オンライン無料
主催:横浜ロシア語センター講師会
今テーマは「私の好きな音楽」です。
某大手音楽ショップの宣伝文句「No music, no life (Без музыки - без жизни.)」生まれてから今まで、音楽を聴かないときはありません。母と一緒に聞いて歌ったわらべ歌。幼稚園のお遊戯会で友達と一緒に踊った歌。学校の音楽の授業で聞いたクラシック。放課後クラブの皆で練習したロック。勉強の合間に聞いたリラックス曲。フラれたときに聴く哀愁のある歌謡曲。旅先でふと聴いた印象的なメロディ。休暇先のダーチャでラジオから流れた80-90年代ポップスなどなど…。
いろいろあって迷いそうですが、 あなたが一番好きな音楽は何ですか?
その音楽との出会い、思い出、聴いたり奏でたりすると貴方はどう感じるのかなど、あなたの声をお聞かせください。
ウリヤノフスク、ムルマンスク、ウラジオストクなどから日本語を学習している人との交流会です。
最初にロシア語で、続いて同じことを日本語で3分以内にお話しください。他の参加者のお話を聞くだけでもOKです。お申し込みをお待ちしております。
日時:3月23日(日)18:00(日本時間)
Zoomミーティングルームにてオンライン開催
ゴールデンウィーク最終日をロシアアニメで楽しみましょう。作品は『蛙になったお姫さま』です。3人の王子が矢を射て、落ちたところに住む娘を花嫁にします。ところが、最後の王子の矢は沼の中に……。そこには魔王によって蛙に姿を変えられたお姫さまが……。
この後は作品をご覧ください。かつて旧ソ連はディズニーに勝るとも劣らないアニメ大国でした。「アニメは児童の情操教育に有益である」という国家的姿勢で多数のアニメが量産されたのです。今回はその一つを鑑賞します。大人もこの日だけは子どもに戻って観てください。
日時:5月6日(火・祝)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5F教室
参加費:500円(黒パン・紅茶付)
今月は休載いたします。
2025年4月からの第142期開講に先立ち、初めて学ぶ方のための入門体験講座を行います。
語学の学習は相互理解と平和への第一歩です。こんな時だからこそ、ロシア語もウクライナ語も同じ学び舎で、仲良く一緒に勉強してみませんか。
学んでみたい方はどなたでも歓迎いたします。まずは気軽にお試しください!
日時:2025年4月5日(土)
●13:00~13:45 ロシア語体験1 講師:織田 桂子(土曜入門クラス担当)
●14:00~14:45 ロシア語体験2 講師:大山 麻稀子(木曜入門クラス担当)
●16:30~17:15 ウクライナ語体験 講師:ジェルーリ・ラリーサ(水曜入門クラス担当)
場所:横浜ロシア語センター教室(オンライン=Zoom併用可)
受講料:無料
定員:各講座8名
お申し込み締め切り:4月2日(水)
2025年5月25日に行われる第85回ロシア語能力検定試験の前に、現受講生限定で下記の日時に3級・4級対策講座を実施します。お申し込み・お問い合わせは事務局まで。
●3級対策講座:4月12日(土)、4月26日(土)、5月10日(土)各日10:30~12:00 講師:大山 麻稀子
●4級対策講座:3月22日(土)、3月29日(土)、4月5日(土)各日10:30~12:00 講師:織田 桂子
※入門~準上級、会話、演劇の通常クラス新学期は4月14日(月)より順次開講。新規・継続受講お申し込み受付中!
Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.
Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.
За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).
当協会の日本語教室は、主にユーラシア(旧ソ連)諸国出身のロシア語を母語とする方を対象としています。
日本での生活に必要な日常会話や日本語能力検定試験対策など、それぞれの目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
ロシア語版ホームページもありますので、学習希望者にぜひご紹介ください。
毎月原則2回、横浜平和と労働会館6階会議室で第2・第4土曜日に開講中。
3月のレッスンは8日、22日の予定です。お問い合わせは神奈川県日本ユーラシア協会事務局まで。
時間:14:00~18:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室
2月になりましたが、昨年秋までロシア語クラスに通っていた人が2月で退会したため、2月末の会員数は、1名減の191名となっています。
(木佐森)
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 | 2025/2/1~2/28 | ||
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単位:円 | |||
摘 要 | 本年度当該月収入 | 前年度当該月収入 | 対前年度増減 |
一般会計 | 57,000 | 134,522 | -77,522 |
教育事業 | 208,750 | 295,800 | -87,050 |
一般事業 | 48,850 | 62,974 | -14,124 |
合 計 | 314,600 | 493,296 | -178,696 |
摘 要 | 本年度当該月支出 | 前年度当該月支出 | 対前年度増減 |
一般会計 | 960,761 | 464,492 | 496,269 |
教育事業 | 387,315 | 589,381 | -202,066 |
一般事業 | 0 | 2,123 | -2,123 |
支出合計 | 1,348,076 | 1,055,996 | 292,080 |
当該月収支 | -1,033,476 | -562,700 | -470,776 |
累計収支計 | -1,586,131 | -705,532 | -880,599 |
昨年に比べ、一般会計支出が50万円ほど多くなっています。その理由は、一つに、昨年8月~11月までの1Fの事務所賃貸料@4万円×4ヵ月分の未納分16万円が判明したので、まとめて、2月に支払ったこと。二つに、昨年は、3月に納付した消費税と県民税、市民税を2月に467,700円納付したためです。赤字すれすれなのに、消費税40万円もふんだくるのです。決算が赤字になったときには、どうやって支払ったら良いのでしょうかね。消費税は、非学校法人格にとって、大きな困難となっています。
(木佐森)
ラトビアの甘みと酸味のあるライ麦パン。18世紀にラトビアの首都リガで開発され、現在も昔のレシピを大切に守っています。本場の味をぜひお楽しみください。
原材料:ライ麦(52%)、小麦(20%)、砂糖、ライ麦モルト、イースト、食塩、クミン、小麦粉改良剤(小麦粉、豆粉)、小麦グルテン、pH調整剤(アスコルビン酸)
内容量:300g
原産国名:ラトビア
賞味期限:2025年5月21日
※底部に焦げが見られる場合があります。気になるときは取り除いてお召し上がりください。
難しいロシア語文法の要点がコンパクトに整理された一冊。薄くて持ち運びにも便利なので、出先でもすぐに開けます。検定対策や日頃の学習に。
【目次】アルファベット/硬軟母音字の対応/正書法の規則/名詞の語尾変化(男性・中性)/名詞の語尾変化(女性)/形容詞の変化/形容詞の短語尾/人称代名詞の変化/所有代名詞の変化/кто, чтоの変化/чейの変化/этот, тотの変化/весь, самの変化/動詞の第1(е)、第2(и)の変化/動詞の過去形/命令形の語尾/不完了体副動詞/完了体副動詞/能動形動詞(現在)/能動形動詞(過去)/被動形動詞(現在)/被動形動詞(過去、短語尾)/個数詞、順序数詞/ロシア語キーボード配列表
※会員割引もあります!
ロシア・ベリョフ市発祥の伝統的なリンゴ菓子。昔ながらのレシピを基にロシア品種のリンゴからできるリンゴピューレを使い、専用オーブンで焼いて作る甘酸っぱいリンゴ菓子です。
好きな厚さに切っていただくロールタイプはまだ若干在庫があります。※売り切れの際はご容赦ください。
原材料名:リンゴピューレ、砂糖、乾燥卵白
内容量:400g
原産国名:ロシア
現在、諸事情により通販サイト「うにべるま~ぐ」に出品していない商品が多数ありますが、協会事務所では原則として平日・土曜の12時~18時に購入可能です。営業時間内に事務局員が外出する場合がありますので、来所の際に確実を期する場合は事前にご一報ください。
米国大統領による連日のトチ狂った言動で共に世界情勢を不安定にしているが、石油収入をプールする国民福祉基金の昨年1年で半減に当たる180トン(2.7兆円)の金が消え、この調子だと今年中には枯渇&通貨不安から金利とインフレ急上昇と通貨の暴落が起きそうなロシアから、2025年1月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中、2曲が新曲、1曲がカムバック曲でした。
10位にモスクワ国立大学大学院経済学部卒のラッパー・モトの新曲≪Перемены - это красиво≫(変化-それは美しい)がランクイン。2ヶ月前にはコラボ曲でランクインしていましたが今回はソロ。毎年6~10曲のペースで精力的に新曲をリリースしていて、どれも人気を博すヒットメーカー。2025年1月30日にリリースされ、現在のYouTube再生回数は120万回。
3位にアルティク・アスティの≪Быть счастливой≫(幸せであれ)がランクイン。アンナが卒業してセヴィリに交代しても揺るぎない音楽性がリスナーの共感を生み、不動の人気。アルティクが2023年にドバイへ家族と共に移住したことを受けグループ卒業(グループ自体なくなっちゃう?!)の噂が立ちましたが、海外コンサートはせずに露でのアルティク・アスティとしての音楽活動は続けるそう。2025年1月24日にリリースされ、現在のYouTube再生回数は410万回。
先月バブリーな人気で首位を獲得したアンナ・アスティの新曲≪Топит≫(溺れる)が下位に押され、ズィヴェルトの≪Эгоистка≫(エゴイスト女子)が首位になりました。一時期イタリアで身篭った噂も出ましたが、カリーニングラードでのコンサート時は鎮痛剤を打って臨まなければならなくなったほどだったそうで、過労の蓄積でその後で長期休養に入ったとか。前回首位に躍進した際はまだMV制作中でしたが、今回はありますのでご覧下さい。2024年12月5日にリリースされ、現在のYouTube再生回数は関連動画合わせて290万回。おめでとうございまーす!:-)
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart, 2025年2月14日~20日//MOPA)
画像は https://vk.com より
※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。
(ジェームス・ネイピア・ロバートソン監督作品、イギリス=ニュージーランド、2023年)
世界的バレリーナ、ナタリア・オシポワに憧れ、ボリショイ・バレエ団への入団を夢見るアメリカ人少女ジョイ。15歳でロシアへ渡り、アカデミーに入学したジョイを待ち構えていたのは、伝説的教師ヴォルコワの脅迫的なレッスンとライバル同士の蹴落とし、非ロシア人には閉ざされた入団のチャンスだった。夢をかなえるためにジョイは次第に常軌を逸した行動に出るのだが…。
2012年にアメリカ人女性で初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだジョイ・ウーマックの実話をベースにしたという本作、ヴォルコワの話すロシア語が英語訛りだったり(ダイアン・クルーガーが演じているので当然だが)、自分に不本意なことがあるとすぐ直談判する主人公とか、トゥシューズにガラス破片といった古典的な嫌がらせも登場してつっこみ処が豊富なのだが、ナタリア・オシポワ自身が本人役で出演するほか、『ホワイト・クロウ』でルドルフ・ヌレエフ役を演じたオレグ・イヴェンコがジョイの相手役で出演するなど見所も。ジョイを演じるタリア・ライダーはブルーの瞳が印象的で可憐な美しさが魅力。
4月25日(金)より東京・TOHOシネマズシャンテ、Kinocinemaみなとみらい他、全国公開
(文:滝沢 三佐子/ 写真:(C) Joika NZ Limited / Madants Sp. z o.o. 2023 ALL RIGHTS RESERVED.)
ヒューマントラストシネマ渋谷で行われている〝さまざまな理由から日本公開が見送られてしまう傑作・怪作映画″を集めた特集上映が今年も年明け早々2月中旬まで開催された。今回上映された20作品のうちロシア映画は2本、その概要をご紹介する。
(原題:The Biggest Moon アレクセイ・ポポグレブスキー監督作品、2024年)
人間の感情と行動を支配できる特殊能力者たちは、自分たちに欠けた感情を他人から摂取しないと生存できない。しかし、感情を持たない完全体ともいえる少女の存在を知った時、彼女の争奪を賭けた戦いが始まる。現代のわれわれが知り得ない力を持つ彼らの、能力の果てに広がる世界を創造した恐るべき作品。
(原題:The House Ghost、アンドレイ・ザギドゥリン監督作品、2024年)
事故で両親を失い、祖母を亡くして孤児となった兄妹アルセニーとヴァーリヤ。裕福な養父母に引き取られたが、ヴァーリャが大切にしていた小箱には、先祖から伝わるドモヴォイ(家の精霊)の憑く石炭が入っていた。一方、養父母も一人娘を亡くし、黒魔術の助けを借りて娘の魂を憑依させるためにヴァーリャを養女に迎えていた。連れてきたドモヴォイの出現で家族に恐怖が広がる中、養母が呼んだ悪魔も邪悪な力で兄妹に迫る。
本映画祭で上映されるロシア映画はSFやホラーが多いが、先日来日講演を行った映画評論家アントン・ドーリン氏のいうロシア映画の「ノスタルジー志向」「先祖帰り」が顕著になっていることがよくわかった。超能力など特殊能力への傾倒はソ連時代から存在していたが、ドモヴォイなどキリスト教以前の土着信仰へのテーマが好まれることはスラヴ・ノスタルジーの現れであろう。ただし、作品はタイトルはじめメインのキャストやスタッフのクレジットが英語記載であることに加え、フォンドキノ(ロシア映画財団)のロゴが見られなかったため、一種のインディペンデント映画といえる。プロパガンダ映画を作りたくないが検閲はパスしたいと思う映画人のぎりぎりの思いが、ノスタルジックなファンタジーをテーマにした作品になってしまうのだろう。
(文:滝沢 三佐子/写真: (C) ООО ≪СЕМЬ ХОЛМОВ≫, 2024 год , (C) ООО ≪ИНВЕСТМЕДИА≫, 2024 год)
今年の演目はミハイル・レールモントフの戯曲「人間と情熱」だ。レールモントフといえば思い浮かぶのは「現代の英雄」はだが、なんとこの作品はレールモントフ14歳の頃の戯曲で、彼の生い立ちが色濃く投影されているという。
貴族の子息ユーリーは、母亡きあと貧しい父の元を引き離され、母方の裕福な祖母マルファの家で養育された。祖母は良質の教育を施したが、成長した彼は父と祖母の対立に悩む。ある日、留学を控えた日々を送る中、従妹のリュボーフィに恋する胸の内を告白する。しかしリュボーフィの反応によって祖母のひどい行いに気づいたユーリーは、貧しい父との生活を望むようになる。そして、下女のダリヤがマルファをいい含み、ユーリーの望みを砕く行動を起こす。その上、ユーリーの友人、ザルーツキイが、リュボーフィに姉エリーザへのとりなしを頼んでいた情景を目撃し、ザルーツキイの横恋慕だと誤解したユーリーは服毒して自らの命を絶つ。幾重ものボタンの掛け違いが悲劇を生んでいく。
これまでの演目に比べて一人ひとりのロシア語台詞が長いため、台詞を語りながら役をきちんと演じていることに感嘆する。特に、マルファ、ダリヤといった陰謀をめぐらす女優陣のキャラクター造型が強烈で素晴らしかった。一方、ユーリーと父のニコライはどちらもやせ型で似た印象だったため、混同してしまうシーンもあった。今回、気になったのが舞台美術と照明。台詞が多いのでアクションがあまりできないのかもしれないが、舞台背景と照明切り替えのタイミングがややワンパターンだと感じた。
(文:滝沢 三佐子/写真:ロシア語劇団コンツェルト提供)
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、2月24日で4年目に入った。昨今は、米トランプ大統領が、ウクライナという当事国をすっとばしてロシアと停戦協議をしようとするなど、さまざまな問題が生じている。このような状況をふまえ、主催のウクライナ連帯ネットワーク(SUN)は、オクサーナ・ピスクノーワさんを講師に迎え、彼女のパーソナル・ヒストリーと全面侵攻後10回に及ぶウクライナ訪問における現地の状況を話してもらった。
オクサーナさんのプロフィールであるが、当協会ではご存じの方も多いかもしれない。しかし、今回彼女の口から語られたものは、ウクライナ人としてのアイデンティティに目覚めたのはロシアによるウクライナ侵攻後ということだった。自身が学生時代を送ったバフムートは、今や日本でも報道される戦場となり、両親は「2週間くらいの避難のつもりで」キエフに移ったあと、ドネツク州へは一度も戻っていないという。
また、もう一つのテーマである「ウクライナ国内の変化」について、日本のマスコミが報道しない状況が多く語られた。
まずは日本に避難してきたウクライナ人について。日本には2700人のウクライナ人が避難してきたが、すでに900人が帰国したという。その理由は、日本財団による年100万円の支援金が今年で打ち切られ、日本語の壁で就労がうまくいかない人にとって経済的苦境が深まったためだ。その上、家族が離散していると考え方に溝ができ、「外国へ逃げた」という非難が高まり、子どものメンタルヘルスが悪くなっていることも理由であるという。最近は、ウクライナに戻りたいウクライナ人のために、ウクライナの現況について講演することもあるというオクサーナさん。安全なはずの日本での生活だが、精神的にはかなり消耗しており、帰国を望む人が増加しているという。
一方、ウクライナ国内で生活している人たちも、日々の空襲やドローン攻撃に加え、仕事場の消失や物価高、医療のひっ迫など生活の不便が極限に達している。また、学校がオンライン主体となっているため教育レベルが低下し、徴兵後にどこに配属されるかによって生存率が左右されてしまったり、攻撃や戦闘で生き残ってしまったことへの罪悪感など、国民のメンタルヘルス悪化が著しい。こうした状況を見て、オクサーナさんは「たとえウクライナ人によい形で戦争が終わっても、復興するための人的素質が低下している」と危機感を表した。
講演後に行われた質疑応答で、「日本に避難しているウクライナ人にどんなことに気を付けたらよいか」という質問に対し、「花火大会は爆音を想起させるので招待しない」「将来のことを聞かないこと」「ウクライナに残っている家族についても聞かないこと」と答えていた。また、ロシアに連れ去られているウクライナ人孤児が、名前など情報がわかっているだけでも2万人いること、日本における避難ウクライナ人支援のプランを「利用」している非避難者がいることなどの話もあった。
最前線の従軍レポートや政治的分析が多い日本の講演会にあって、オクサーナさんの話は生活者としてのウクライナの人々の近況として、非常に参考になるものであった。
(滝沢)
「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。
※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。