許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~
ロシア革命について(3)
前号で指摘したように自由社、育鵬社の歴史教科書はロシア革命について否定的側面だけを不正確に、また極めて一面的に記しています。
ロシア革命は世界に極めて大きな影響を与えた革命です。
革命直後、レーニンは第一次世界大戦をやめさせる為に「平和についての布告」で敗戦国領土の無併合、無賠償、民族自決という原則に基づく即時講和を提唱しました。これは背教者スターリンによって歪められたものの第二次世界大戦の戦後処理にも大きな影響を与えました。わが国も敗戦の際にこの原則によって大きな恩恵を受けているのです。ポツダム宣言は米ソの密約によって歪められたものの建前としてはこの原則に従ったものです。
「土地に就いての布告」は土地が農民の手に引き渡されねばならないことを宣言し、日本の戦後の農地改革に大きな影響をあたえました。
8時間労働制は1886年5月1日に米国の労働組合がストライキで提起し、世界中の労働者がメーデーとして連帯して闘いその実現を目指しましたが、ロシアではレーニンの指導によって8時間労働制が革命後、世界で初めて国家の法律として確立しました。そして、1919年のILO第1回総会で、「1日8時間・週48時間」労働制を第1号条約に定め、国際的労働基準として確立しました。(しかし、それから93年も経つ現在でも日本政府は財界の要求に基づいて残業を温存させたい為この第1号条約を批准していません。世界では残業時間の上限時間が厳しく規制されており、違法なら刑事犯となるほどです。日本では残業代も支払われず徹夜でも残業を命じることは可能です。こうした労働規準は世界に通じないものです。ILOはこれまでに22本もの労働時間に関する条約を締結していますが、日本政府はただの1本も批准していません。残念ながら、わが国はそれほど文明後進国なのです。) こうした革命の成果について両社の教科書は一言も触れていません。
(柴田)
私の見た中・東欧諸国の現在(5)
スロヴァキア・ブラチスラヴァ
スロヴァキアの経済
スロヴァキアは昔から農業国だったが、最近ではフランスのPSA・プジョーシトロエンや韓国の起亜自動車が工場を設立している。
2004年にEU 加盟、2009年1月1日に通貨をスロバキア・コルナからユーロに切り替えた。
2011年の主要経済指標は:主要産業:機械工業,自動車産業、GDP:960 億米ドル、一人当たりGDP:17,644米ドル:.経済成長率:3.3%:物価上昇率:4.1%(年平均値):失業率:13.4%(年末値)、総貿易額:輸出564.1億ユーロ、輸入539.7億ユーロ、主要貿易品目:輸出電気機器・部品,自動車・部品、輸入電気機器・部品,自動車・部品、主要貿易相手国:輸出(%) ドイツ(20.4),チェコ(14.2),ポーランド(7.3)、輸入(%) ドイツ(16.4),ロシア(11.5),チェコ(10.6)。
通貨:ユーロ(EUR)(2009年1月より導入、これによりポーランドと違いEU の影響が強まった)。
2008年までは,高い経済成長率を維持してきたがEU を中心とした輸出に依存する体系のため,EU 経済危機の影響で,2009年のGDPは-4.8%の成長となった。
政府は,知識集約型経済の構築を継続すると共に,労働市場の流動性強化や国際競争力回復を目指した政策を導入した。また,2010年はドイツの景気回復、国外需要の増加に牽引され、経済も予想以上に急速に回復し,通年で4.0%(IMF)のGDP 成長を達成した。
2011年上半期も経済成長が続いたが,下半期には,欧州債務危機とユーロ圏の景気後退の影響が波及し,再び経済の失速傾向が現れている。失業率は,2011年を通じて,約13%台前半と高率、深刻である。
スロヴァキアの物乞い?
高い失業率を反映してか、観光地では若者の物乞いや大道芸、みやげ物売りなどが見られた。
1. この見るからに哀れなおバーさん、動画でないのが残念だが、杖をブルブル細かく痙攣させている。
しかし、お金をもらってもお礼も言わないし、顔も上げない。近寄って手足をよく観察すると爪も皮膚も若々しい。青年の迫真の演技であった。
2. 歩道を歩いているとマンホールから顔を出している労働者のブロンズ像があった。(写真左)
その近くに同じようなものがあった。(写真右)
こちらはマンホールの蓋が労働者の前にある。観光客が近くに来るまではブロンズ像と同じ姿態で、じっと動かないが、客が近づくとマンホールの蓋をばたばたさせ、顔を持ち上げてニヤリと笑う。これも動画でないのが残念だが目が口ほどにものを言う。こちらもお金をもらっても決してものは言わないが目と顔で素晴らしく表現する。昔の日本の乞食や大道芸人は大体暗い感じが多かったが、ここでは明るく、芸術的でさえある。
―続く―
(柴田)